7年前の奇跡
2002年3月5日朝起きたら、鈍色の空が広がっていた。
いつものごとく、身体は重いまま。
「多分、症状的には累積疲労っぽいよなぁ」
数日前に電車の向かいの席に座っていた人の新聞にかかれていた記事の内容と自分の症状を当てはめながら、何かの形に自分自身の状態を置き換えようとしてる。
すっきりしない気持ちのまま、家を出た。
何となく、「雨が降るかもなぁ…」という気はしていたけれど、傘は敢えて持って出なかった。
けれど嫌な予感ほど良く当たるもので。
社屋に入って暫くすると、雨が降り始めた。
…きっと竜樹さん、調子悪いんだろうなぁ
今日の天気と昨日連絡がなかったことで、そのことは容易に想像がつく。
すりガラス越しに映る鈍色の空を見上げて、ため息をひとつ。
…そう言えば。
7年前の今日、竜樹さんと私の歩く道は私的な部分でクロスすることになったんだ。
3月に入ると、新年度からの準備のためにあちらこちらの部署から手伝いの要請が舞い込む。
7年前のこの日、受け持ちのコマがなかった私は経理部の仕事を手伝いに行った。
書類を見ながら、必要事項を入力する作業。
どういう訳かこの時、竜樹さんが処理した書類に沢山お目にかかった。
…竜樹先生って、すんごい綺麗な字をお書きになるなぁ(o^−^o)
感心しながら、カタカタと入力を済ませ、事務所を後にする。
エレベーターで1階に降りると、竜樹さんともう一人知ってる先生に出会った。
「こんばんは。もう終わりですか?金岡さん?」
「はい。後は家に帰るだけです」
「何人かでこれから焼肉を食べに行こうかって話しているんですけれど、金岡さんも一緒にきませんか?」
いつもならやんわり断るんだけれど、この日はどういう訳か参加することになってしまった。
家に少しばかり遅くなることを連絡して、竜樹先生と他数人の先生と一緒に出かけた。
電車で移動して焼肉屋に行くと満員で、小1時間ほど待たないといけないような状態。
そこで、待ちチームと他所の店を探すチームと分かれて行動することになった。
竜樹先生は待ちチーム。
私は、迷った末に他所を探しに行くチームに入ってしまった。
ちょっと複雑そうな顔をしていらっしゃった竜樹先生に、どこか心が引かれる部分はあったけれど、探しチームにずるずると引きずられて行った。
で、結局他所の店を探し当てて、移動してプチ飲み会になる。
その時、竜樹先生の隣の席になったにも関わらず、竜樹先生の隣の先生が竜樹先生を飛び越えて話し掛けてこられるので、ろくろく話も出来ず。
挙句の果てに、竜樹さんはその先生と席替えしてしまうし、私は捕まり続けるし。
「どこまでも縁がないんだなぁ…」って思ってた。
竜樹先生が自分の方を向いてくれないことに対してとうの昔に諦めてた部分もあったし、(当時)数ヶ月前まで付き合っていた前の彼氏とのやり取りがこじれてて、恋愛自体に疲れてたのもあったから。
そういう意味で意識せずにいられたのは、却って気楽でよかったのかもしれない。
多分、予定ではプチ飲み会が終われば、それですべてお終いになるはずだったんだ。
けれど。
飲み会を構成してたメンバーと帰る方向が違うものが2名。
そしてその2人は同じ方向に家があるという。
周りのメンバーはしたたか酔っていて、「ちゃんと送ったれよ〜ヾ(>▽<)ゞ」とはしゃいでる。
タクシーを拾われて、2人は一緒に乗り込む羽目に。
…タクシーに乗った2人が竜樹さんと私。
最初は、(もうすぐ年度が終わるから)「お世話になりました〜♪」とご挨拶。
ところがうっかり、「来年も先生とこでお世話になれるかどうかは判らないんですよぉ」と言ってしまったあたりから、微妙に話はおかしな方向に転がりだす。
…気が付くと、連絡先は聞かれるし、手は繋がれるし。
当時の私なら(今でもだけど)「ぎゃぁぁぁぁぁぁっw(☆o◎)w 」と叫ぶような事態まで…
びっくり仰天なるタクシードライブを終えて、「あぁ、酔っ払いのすることだから、明日になったら忘れてはるでしょう」で済ませる予定だったし、済むはずだったのに。
洒落で聞かれてしまった電話番号は本当に使われてしまい、これまたどういう訳か外で逢うことになる。
…今度は完全に2人だけで。しかも仕事抜きで。
竜樹先生のいろんな風評を聞いていたから、がっちがちに構えてけちょんけちょんにやっつけて。
殆ど自滅するようにこの恋は終わるはずだったのに。
さりげにしょげてる竜樹先生の背中を見て、気持ちが引きずられた。
「これで終わりにして、いいのかよ?」
気が付いたら、手紙を書いていた。
けちょんけちょんにやっつけてしまったことの理由も、何もかも思いつくまま一言箋に書きなぐってた
そして、最後に1行。
「これからも先生といろんなものが見てみたいです」
そして、2人は並んで歩くことになる。
7年前。
もしも経理部の手伝いの話が私に舞い込んでこなければ、エレベーターホールで竜樹先生に逢うことはなかった。
お決まりのようにお誘いを蹴っ飛ばしてたら、プライベートで互いの歩く道がクロスすることはなかった。
そして、帰る方向が同じでなかったら。
互いに手を差し伸べることもなく、まことしやかに流れていくだけだっただろう。
あの日の出来事が2人をここまで連れてきたんだ。
小さな奇跡の積み重ねが、2人をここまで連れてきたんだ。
そんな7年前の奇跡に想いを廻らせてるうちに、業務時間が終わってしまった。
外に出ると、雨脚はいっそう強まっていた/( ̄□ ̄)\
ずぶぬれになりながら家に帰り、身体を暖めて夕食を取り、いろんな作業をしてから竜樹さんに電話してみた。
…今日は出てくれた(*^_^*)
相変わらず、調子が悪そうだったので、今後の食事の作り方や保存方法を話したり、本当に必要最低限の話だけで終えたけれど。
切り際に「いつでも電話してくれたらいいんだからね。いつでもここにいてるから」
普段なら言えないような言葉が飛び出した。
「うん。俺からもちゃんと連絡するから」
これまたいつもなら飛び出さないような言葉が受話器から零れ落ちた。
7年前の今日がその日だということまでは、きっと覚えてらっしゃらないだろうけれど。
あの日の奇跡を抱きながら、互いの心がより素直なものになればいいなぁと思う。
いつものごとく、身体は重いまま。
「多分、症状的には累積疲労っぽいよなぁ」
数日前に電車の向かいの席に座っていた人の新聞にかかれていた記事の内容と自分の症状を当てはめながら、何かの形に自分自身の状態を置き換えようとしてる。
すっきりしない気持ちのまま、家を出た。
何となく、「雨が降るかもなぁ…」という気はしていたけれど、傘は敢えて持って出なかった。
けれど嫌な予感ほど良く当たるもので。
社屋に入って暫くすると、雨が降り始めた。
…きっと竜樹さん、調子悪いんだろうなぁ
今日の天気と昨日連絡がなかったことで、そのことは容易に想像がつく。
すりガラス越しに映る鈍色の空を見上げて、ため息をひとつ。
…そう言えば。
7年前の今日、竜樹さんと私の歩く道は私的な部分でクロスすることになったんだ。
3月に入ると、新年度からの準備のためにあちらこちらの部署から手伝いの要請が舞い込む。
7年前のこの日、受け持ちのコマがなかった私は経理部の仕事を手伝いに行った。
書類を見ながら、必要事項を入力する作業。
どういう訳かこの時、竜樹さんが処理した書類に沢山お目にかかった。
…竜樹先生って、すんごい綺麗な字をお書きになるなぁ(o^−^o)
感心しながら、カタカタと入力を済ませ、事務所を後にする。
エレベーターで1階に降りると、竜樹さんともう一人知ってる先生に出会った。
「こんばんは。もう終わりですか?金岡さん?」
「はい。後は家に帰るだけです」
「何人かでこれから焼肉を食べに行こうかって話しているんですけれど、金岡さんも一緒にきませんか?」
いつもならやんわり断るんだけれど、この日はどういう訳か参加することになってしまった。
家に少しばかり遅くなることを連絡して、竜樹先生と他数人の先生と一緒に出かけた。
電車で移動して焼肉屋に行くと満員で、小1時間ほど待たないといけないような状態。
そこで、待ちチームと他所の店を探すチームと分かれて行動することになった。
竜樹先生は待ちチーム。
私は、迷った末に他所を探しに行くチームに入ってしまった。
ちょっと複雑そうな顔をしていらっしゃった竜樹先生に、どこか心が引かれる部分はあったけれど、探しチームにずるずると引きずられて行った。
で、結局他所の店を探し当てて、移動してプチ飲み会になる。
その時、竜樹先生の隣の席になったにも関わらず、竜樹先生の隣の先生が竜樹先生を飛び越えて話し掛けてこられるので、ろくろく話も出来ず。
挙句の果てに、竜樹さんはその先生と席替えしてしまうし、私は捕まり続けるし。
「どこまでも縁がないんだなぁ…」って思ってた。
竜樹先生が自分の方を向いてくれないことに対してとうの昔に諦めてた部分もあったし、(当時)数ヶ月前まで付き合っていた前の彼氏とのやり取りがこじれてて、恋愛自体に疲れてたのもあったから。
そういう意味で意識せずにいられたのは、却って気楽でよかったのかもしれない。
多分、予定ではプチ飲み会が終われば、それですべてお終いになるはずだったんだ。
けれど。
飲み会を構成してたメンバーと帰る方向が違うものが2名。
そしてその2人は同じ方向に家があるという。
周りのメンバーはしたたか酔っていて、「ちゃんと送ったれよ〜ヾ(>▽<)ゞ」とはしゃいでる。
タクシーを拾われて、2人は一緒に乗り込む羽目に。
…タクシーに乗った2人が竜樹さんと私。
最初は、(もうすぐ年度が終わるから)「お世話になりました〜♪」とご挨拶。
ところがうっかり、「来年も先生とこでお世話になれるかどうかは判らないんですよぉ」と言ってしまったあたりから、微妙に話はおかしな方向に転がりだす。
…気が付くと、連絡先は聞かれるし、手は繋がれるし。
当時の私なら(今でもだけど)「ぎゃぁぁぁぁぁぁっw(☆o◎)w 」と叫ぶような事態まで…
びっくり仰天なるタクシードライブを終えて、「あぁ、酔っ払いのすることだから、明日になったら忘れてはるでしょう」で済ませる予定だったし、済むはずだったのに。
洒落で聞かれてしまった電話番号は本当に使われてしまい、これまたどういう訳か外で逢うことになる。
…今度は完全に2人だけで。しかも仕事抜きで。
竜樹先生のいろんな風評を聞いていたから、がっちがちに構えてけちょんけちょんにやっつけて。
殆ど自滅するようにこの恋は終わるはずだったのに。
さりげにしょげてる竜樹先生の背中を見て、気持ちが引きずられた。
「これで終わりにして、いいのかよ?」
気が付いたら、手紙を書いていた。
けちょんけちょんにやっつけてしまったことの理由も、何もかも思いつくまま一言箋に書きなぐってた
そして、最後に1行。
「これからも先生といろんなものが見てみたいです」
そして、2人は並んで歩くことになる。
7年前。
もしも経理部の手伝いの話が私に舞い込んでこなければ、エレベーターホールで竜樹先生に逢うことはなかった。
お決まりのようにお誘いを蹴っ飛ばしてたら、プライベートで互いの歩く道がクロスすることはなかった。
そして、帰る方向が同じでなかったら。
互いに手を差し伸べることもなく、まことしやかに流れていくだけだっただろう。
あの日の出来事が2人をここまで連れてきたんだ。
小さな奇跡の積み重ねが、2人をここまで連れてきたんだ。
そんな7年前の奇跡に想いを廻らせてるうちに、業務時間が終わってしまった。
外に出ると、雨脚はいっそう強まっていた/( ̄□ ̄)\
ずぶぬれになりながら家に帰り、身体を暖めて夕食を取り、いろんな作業をしてから竜樹さんに電話してみた。
…今日は出てくれた(*^_^*)
相変わらず、調子が悪そうだったので、今後の食事の作り方や保存方法を話したり、本当に必要最低限の話だけで終えたけれど。
切り際に「いつでも電話してくれたらいいんだからね。いつでもここにいてるから」
普段なら言えないような言葉が飛び出した。
「うん。俺からもちゃんと連絡するから」
これまたいつもなら飛び出さないような言葉が受話器から零れ落ちた。
7年前の今日がその日だということまでは、きっと覚えてらっしゃらないだろうけれど。
あの日の奇跡を抱きながら、互いの心がより素直なものになればいいなぁと思う。
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傷つけるのも癒すのも…
2002年3月4日おっぞましぃ〜、朝が来たっ♪
(「ラジオ体操」の前にかかる曲の替え歌)
また1週間が始まる。
キャラにあってんだかあってないんだかよく判らない替え歌を口ずさみそうになるくらい、憂鬱な週明け。
今日は部内会議。
会議の内容がどうこうというのもあるけれど、今日は同じフロアの同僚さんが休みのため、雑用を一手に引き受けないといけない。
…せめて、会社の中を吹く風がもう少しだけ心地よいものならねぇ(-_-;)
願っても仕方がないことを思いながら、家を出る。
電車の中から、ちょっとばかりご無沙汰していた友達にメールを飛ばすと、届かない。
「…もしかして?」とは思ったけれど、確認する方法もない。
本当に大変な時にいつも心を預けてしまっていた友達だったから、気になって仕方ないんだけれど。
「こういう風に別れが突然やってきたとしても、別に不思議でもなんでもないんだわなぁ。
ちょっと連絡が取れなくなったくらいで、ガタガタ言われるのもウザいだろうしねぇ…」
妙に物分り良く、心の揺れを丸め込もうとするもう一人の自分に「どしたん?」と思いながら、社屋に入る。
ただ、今日の仕事が少しでも不愉快なものでないことを願いながら…
けれど、いつものように電話は噛み付くように鳴り響き、親会社の理不尽な押し付け雑用は山のように降ってくる。
今日が会議だというせいもあるけれど、部内中いたる所の空気が尖っていて、正直それだけでもうんざりしてるのに。
他所の部署の人々の連携の悪さは、いつもにも増して磨きがかかっている。
…もう、勘弁してくれよぉ 。。゛(ノ><)ノ
毎日毎日泣き言なんかに心を明渡したくはないけれど、心底うんざりする。
…そう言えば。
竜樹さんの弟さんの会社で事務員を募集してて、「霄ちゃんが良ければ、来てくれへんか?」って話があるって言ってたっけ?
竜樹さんの弟さんはお江戸にいらっしゃるので、その話に乗ってしまったら遠距離恋愛確定。
竜樹さんは再手術があるから、一緒にお江戸に来ることなんて出来るわけもない。
二人が一緒に歩き始めてから「二人の距離」の話になる度、
「俺らは遠距離恋愛になったら、ダメになるやろなぁ」
そんな風に言っては、お互いに首を縦に振る場面が多かった。
実際、竜樹さんの部下でいた時に、職場をやめて好きな仕事をするために地方に出ようかと思ってた時も、手を差し伸べてくれた相棒と一緒にお江戸に行こうと思ってた時も、「やめてくれへんか?」って言われてた。
私自身も関係が破綻するのは嫌だったから、お伺い立てても結局こちらに留まりつづけたけれど…
多分、私が竜樹さんの弟さんの話を受けると言ったら、今度は反対しないだろう。
けれど、それなら何のために「この会社にいるのはしんどい」と意思表示してる私に、「もう少し踏ん張れ」と言うんだろう?
彼の気持ちの一番底に眠っているかけらがどんな色をしているのか、よく見極めてからでないと動くべきではないんだと。
何より、「ただ自分がしんどい」ということから逃げ出すために、竜樹さんと離れることが正しいのかどうか、自分自身の気持ちにも問い掛ける必要はあるだろう。
…判ってるんだけどね、そんなこた。
でも、やっぱりここの空気は私には合わないらしい。
頭痛もひどくなってくるし、膵炎騒動の時に感じてたような背中の痛みもある。
「どうやって、いろんなことと折り合いつけりゃいいんだろう?」と考えてるうちに、笑顔の出し方すら忘れてしまったような感覚に陥る。
時折、ボスがしょうもないギャグを一生懸命私に向かって吐き出してるのを見て、ふと我に返る。
「…これではダメだ」
今置かれてる環境がどうあれ、私を拾ってくれたのはボスに違いはないんだから。
だったら、残るにせよ辞めるにせよ、せめて彼にだけは後ろ足で砂をかけるような真似はしたくない。
そう思いながら、でも最後までちゃんとした笑顔の出し方すら思い出せないまま、社屋を後にした。
そのままの状態で家に帰るのがちと辛かったので、本屋と百貨店に寄る。
先輩に買ってきてもらったゲームソフトとおまけを提げ、勉強のための本と趣味の本、大好きな友達が「頭痛に効くらしいよ」と教えてくれた、ペパーミントのエッセンシャルオイルを買い込んで、よろよろと家に帰る。
夕飯を食べて暫くぼけっと過ごしてると、携帯にメールがひとつ。
メッセに上がるよう、お呼び出しがかかった。
リビングでコーヒーを貰い、自室に戻ってふらりとあがる。
そしたら、お呼び出しをかけた友達とは別の友達が声を掛けてくれた。
それが嬉しくて、(お友達にはしょうもなかっただろうけれど)一生懸命話す。
お呼び出ししてくれた友達とも話が盛り上がり、がつがつキーボードをたたく。
そのうち、本当に久しぶりのお友達が捕獲してくれたので、また嬉しくてがつがつ。
そのあと、また久し振りにあがってきはった友達が捕獲してくれて、がつがつ
それを何度か繰り返し、気が付くと日付が変わりかけていた。
ふらりと放置中の宙にあがると、朝メールのお友達からのメッセージがひとつ。
…あはは。やってくれたなぁ(^m^*)
ひとまず、無事でいてくれてるならそれで十分だよ?
そう思いながら、ネットの海からあがった。
…あ、竜樹さん。どうしてるかな?
我に返って電話しようかなと思ったけれど、昼間に胸をよぎったことが引っかかってしまって、電話するのをやめてしまった。
今日は幾分暖かかったから、少しでも具合が良くなってくれてたらいいんだけど…
竜樹さんの体調があまり長い間悪くなりつづけてるなら、また会社帰りに寄って帰る必要も出てくるだろう。
会社での人中り云々に負けてたんじゃこないだの二の舞になるから、あまり疲れすぎないようにしないとね。
けれど、そう言いながらきっと仕事が終わったらぐったりしてるんだろうけど…(-_-;)
何かしんどいことがあった時、所詮自分のことは自分でしか解決できへんねんし、聞かされる方はたまったもんじゃないよなぁって思うと、ぶつっと黙ってしまうんだけれど。
こうして、人と何気ないことでも話してみるのはいいのかもしれない。
人間を傷つけるのは他ならぬ人間なんだけど、人間を癒すのもまた他ならぬ人間なんだろうから。
あれほど竜樹さんが頑なに認めようとしなかったネットの海の友達を認めてくれるようになったのは、きっとネットの海の友達がそんな側面を持った友達であることを判ってくれるようになったからなんだろうし。
こうして人に癒されながら、その力を借りながら、大切な人を癒せるように。
いつか私自身が誰かを癒すかけらになれるなら。
それでいいのかな?
機嫌のいい明日にはまだ遠いけれど、大切な人たちと歩けるように。
もう少しだけ、強い自分に出会えるように。
そう願いながら、眠った。
(「ラジオ体操」の前にかかる曲の替え歌)
また1週間が始まる。
キャラにあってんだかあってないんだかよく判らない替え歌を口ずさみそうになるくらい、憂鬱な週明け。
今日は部内会議。
会議の内容がどうこうというのもあるけれど、今日は同じフロアの同僚さんが休みのため、雑用を一手に引き受けないといけない。
…せめて、会社の中を吹く風がもう少しだけ心地よいものならねぇ(-_-;)
願っても仕方がないことを思いながら、家を出る。
電車の中から、ちょっとばかりご無沙汰していた友達にメールを飛ばすと、届かない。
「…もしかして?」とは思ったけれど、確認する方法もない。
本当に大変な時にいつも心を預けてしまっていた友達だったから、気になって仕方ないんだけれど。
「こういう風に別れが突然やってきたとしても、別に不思議でもなんでもないんだわなぁ。
ちょっと連絡が取れなくなったくらいで、ガタガタ言われるのもウザいだろうしねぇ…」
妙に物分り良く、心の揺れを丸め込もうとするもう一人の自分に「どしたん?」と思いながら、社屋に入る。
ただ、今日の仕事が少しでも不愉快なものでないことを願いながら…
けれど、いつものように電話は噛み付くように鳴り響き、親会社の理不尽な押し付け雑用は山のように降ってくる。
今日が会議だというせいもあるけれど、部内中いたる所の空気が尖っていて、正直それだけでもうんざりしてるのに。
他所の部署の人々の連携の悪さは、いつもにも増して磨きがかかっている。
…もう、勘弁してくれよぉ 。。゛(ノ><)ノ
毎日毎日泣き言なんかに心を明渡したくはないけれど、心底うんざりする。
…そう言えば。
竜樹さんの弟さんの会社で事務員を募集してて、「霄ちゃんが良ければ、来てくれへんか?」って話があるって言ってたっけ?
竜樹さんの弟さんはお江戸にいらっしゃるので、その話に乗ってしまったら遠距離恋愛確定。
竜樹さんは再手術があるから、一緒にお江戸に来ることなんて出来るわけもない。
二人が一緒に歩き始めてから「二人の距離」の話になる度、
「俺らは遠距離恋愛になったら、ダメになるやろなぁ」
そんな風に言っては、お互いに首を縦に振る場面が多かった。
実際、竜樹さんの部下でいた時に、職場をやめて好きな仕事をするために地方に出ようかと思ってた時も、手を差し伸べてくれた相棒と一緒にお江戸に行こうと思ってた時も、「やめてくれへんか?」って言われてた。
私自身も関係が破綻するのは嫌だったから、お伺い立てても結局こちらに留まりつづけたけれど…
多分、私が竜樹さんの弟さんの話を受けると言ったら、今度は反対しないだろう。
けれど、それなら何のために「この会社にいるのはしんどい」と意思表示してる私に、「もう少し踏ん張れ」と言うんだろう?
彼の気持ちの一番底に眠っているかけらがどんな色をしているのか、よく見極めてからでないと動くべきではないんだと。
何より、「ただ自分がしんどい」ということから逃げ出すために、竜樹さんと離れることが正しいのかどうか、自分自身の気持ちにも問い掛ける必要はあるだろう。
…判ってるんだけどね、そんなこた。
でも、やっぱりここの空気は私には合わないらしい。
頭痛もひどくなってくるし、膵炎騒動の時に感じてたような背中の痛みもある。
「どうやって、いろんなことと折り合いつけりゃいいんだろう?」と考えてるうちに、笑顔の出し方すら忘れてしまったような感覚に陥る。
時折、ボスがしょうもないギャグを一生懸命私に向かって吐き出してるのを見て、ふと我に返る。
「…これではダメだ」
今置かれてる環境がどうあれ、私を拾ってくれたのはボスに違いはないんだから。
だったら、残るにせよ辞めるにせよ、せめて彼にだけは後ろ足で砂をかけるような真似はしたくない。
そう思いながら、でも最後までちゃんとした笑顔の出し方すら思い出せないまま、社屋を後にした。
そのままの状態で家に帰るのがちと辛かったので、本屋と百貨店に寄る。
先輩に買ってきてもらったゲームソフトとおまけを提げ、勉強のための本と趣味の本、大好きな友達が「頭痛に効くらしいよ」と教えてくれた、ペパーミントのエッセンシャルオイルを買い込んで、よろよろと家に帰る。
夕飯を食べて暫くぼけっと過ごしてると、携帯にメールがひとつ。
メッセに上がるよう、お呼び出しがかかった。
リビングでコーヒーを貰い、自室に戻ってふらりとあがる。
そしたら、お呼び出しをかけた友達とは別の友達が声を掛けてくれた。
それが嬉しくて、(お友達にはしょうもなかっただろうけれど)一生懸命話す。
お呼び出ししてくれた友達とも話が盛り上がり、がつがつキーボードをたたく。
そのうち、本当に久しぶりのお友達が捕獲してくれたので、また嬉しくてがつがつ。
そのあと、また久し振りにあがってきはった友達が捕獲してくれて、がつがつ
それを何度か繰り返し、気が付くと日付が変わりかけていた。
ふらりと放置中の宙にあがると、朝メールのお友達からのメッセージがひとつ。
…あはは。やってくれたなぁ(^m^*)
ひとまず、無事でいてくれてるならそれで十分だよ?
そう思いながら、ネットの海からあがった。
…あ、竜樹さん。どうしてるかな?
我に返って電話しようかなと思ったけれど、昼間に胸をよぎったことが引っかかってしまって、電話するのをやめてしまった。
今日は幾分暖かかったから、少しでも具合が良くなってくれてたらいいんだけど…
竜樹さんの体調があまり長い間悪くなりつづけてるなら、また会社帰りに寄って帰る必要も出てくるだろう。
会社での人中り云々に負けてたんじゃこないだの二の舞になるから、あまり疲れすぎないようにしないとね。
けれど、そう言いながらきっと仕事が終わったらぐったりしてるんだろうけど…(-_-;)
何かしんどいことがあった時、所詮自分のことは自分でしか解決できへんねんし、聞かされる方はたまったもんじゃないよなぁって思うと、ぶつっと黙ってしまうんだけれど。
こうして、人と何気ないことでも話してみるのはいいのかもしれない。
人間を傷つけるのは他ならぬ人間なんだけど、人間を癒すのもまた他ならぬ人間なんだろうから。
あれほど竜樹さんが頑なに認めようとしなかったネットの海の友達を認めてくれるようになったのは、きっとネットの海の友達がそんな側面を持った友達であることを判ってくれるようになったからなんだろうし。
こうして人に癒されながら、その力を借りながら、大切な人を癒せるように。
いつか私自身が誰かを癒すかけらになれるなら。
それでいいのかな?
機嫌のいい明日にはまだ遠いけれど、大切な人たちと歩けるように。
もう少しだけ、強い自分に出会えるように。
そう願いながら、眠った。
願いも、祈りも 迷いも、痛みも…
2002年3月3日時計を見ると、19時半。
自力で帰宅することを視野に入れて、粕汁を作り出す。
ニンジンは輪切り、小芋は3分ほど茹でて皮を剥いて輪切り、白菜はザク切り、大根はいちょう切りにしておく。
水を5カップほど鍋に入れ、昆布とカツオで合わせだしをとり、その中に下準備した野菜と、一口大に切った豚肉を入れる。
野菜が程よい堅さになったら、酒粕(100gと本にはあった)と味噌(60グラム)を溶いて入れ、砂糖を少々加えて味をみる。
金岡母がいつも作ってるものよりも味が薄い気がしたので、酒粕を足し味を調えた。
その頃になると少しだけ竜樹さんは元気を取り戻したのか、机のセッティングをしたりこちらに甘栗や(何故か)煮干を持ってきて食べさせてくれる。
「煮干食べて、顎を鍛えるとええねんで(*^_^*)」
何がいいのかまでは突っ込んでは聞かなかったけれど(^-^;
何気なく私の身体にいいだろうものを積極的に食べさせようとしてくれる気持ちが嬉しい。
そうしてるうちに、鍋の中の粕汁もすっかり出来上がり、どんぶり鉢についで持っていく。
アボガドとサーモンのわさび醤油・マヨネーズ和えも持っていく。
「いただきます♪(*^人^*)」
「アボガドのはあつあつご飯に乗せて食べるといいんですって」
「そぉか、試してみるわ(*^_^*)」
その食べっぷりを見てると、さっきまでくたってた人とは思えない。
「美味い♪o(^-^o)o(^-^)o(o^-^)o」
どうやら、アボガドとサーモンのわさび醤油・マヨネーズ和えは竜樹さんの口にあったよう。
ネギトロの感覚で食べられるのが気に入ったらしい。
粕汁の方はどうかな?と思っていたけれど…
こちらの方もお気に召して頂けたよう。
「最初味見した時、酒粕が多い気がしてんけど、この方が身体が温まってええわ(*^_^*)」
どんぶり鉢についだのは、お椀がなかったのとおかずが少なかったからだけど(笑)
気が付くと、キレイに粕汁もアボガドご飯もなくなっていた。
私はちょっと疲れてしまっていて、一足先に横になっていた。
私が寝ているお布団にもぐりこんでくる竜樹さん。
「…ちょっと触らせてなぁ」
そう言って竜樹さんが触れてくるのに任せている。
ところがどういう経緯かまたしても、じゃれっこモードに入ってしまう。
お昼の違和感の話をしていたのだけれど、違和感が生じたら止めてくれたらいいし(ごにょごにょ)……ってことでそのまま流れていく。
じゃれあうようなキスはやがて熱を帯びてくる。
竜樹さんのキスは唇だけでは留まらず、額にも頬にも瞼にも降り注ぐ。
ただのじゃれっこで終わるはずが、火が付いてしまって…(/-\*)
結局のっぴきならないところまで来てしまった。
終始、痛みも違和感もなかったけれど、今度こそ起きれない私。
のっぴきならなくなったら、本当に調子が悪くなるのは竜樹さんなのに。
「横になると送って行けなくなるから…」とたったか着替えて後片付けを始めてる。
「私、やるから…」と起き上がろうとしたら、「暫く寝とり〜ヾ(^-^)」と竜樹さん。
申し訳ないなと思いながら、竜樹さんのお言葉に甘えてしまった。
互いの体調や気持ちの部分が合わない時は、逢うのをやめた方がいいような気はいつもするけれど。
逢って触れ合ってしまえば、そんな気持ちが飛ぶから不思議なもので。
結局こうして互いが互いの温度に絆されて笑顔を分け合っていくのかなぁという気がする。
それでも、私の方が絶対的に配慮が足りないなって思うから。
「早く心も身体も元気になって、竜樹さんの役に立てるように頑張るからね」
黙々と片付け物をする竜樹さんの背中にそっと呟いた。
そして、少しだけ眠った。
「…そろそろ、起きぃやぁ」
竜樹さんにそっと起こされて、着替えたり帰る用意をしたりする。
玄関に掛けられたコートを着ると、片方が少し重い。
「…あれ?」と思ってると、「ポケットに何が入ってるんかなぁ?」と竜樹さん。
見てみると、THE DOGの小さなぬいぐるみがひとつ。
「…あれ、今日は柴?」
「そそ。ご飯が美味しかったから♪」
竜樹さんが特別おいしいと感じたご飯を作れた日はこうしてぬいぐるみをくれる。
THE DOGのぬいぐるみはこれで4個目。
「作っても、どうせ無駄になるんだし…」なんて思って、暫く作らずにいた自分が恥ずかしい(-_-;)
竜樹さんは努力をしたらした分だけ、ちゃんと認めてくれるんだから。
臆せず、ただ頑張ればいいんだよね?と思う。
柴を鞄にしまい込み、26日に忘れて帰った指輪を受け取る。
その時、竜樹さんに指輪の号数を聞かれる。
「ん?7号だけど?」
「そしたら、こっちは暫く預かるなぁ」
そう言って、誕生日プレゼントに貰ったルビーの指輪を片付けてしまった。
「別に直さなくてもいいよぉ」
「いや、ちゃんと直してつけてても不恰好でないようにした方がいいから」
「指輪が直るまでの間…」そう言って、赤い箱から緑色のキャッツアイのついた指輪を渡される。
「これはあげられへんねんけどなぁ…」
そういって、キャッツアイの指輪が合う指を探してくれる。
…竜樹さん。これ、誰にあげるつもりだったんですか?
すんごい大きいんですけど?(^-^;
中指に入れてもくるくると回るほどの大きさで。
けれど、デザイン的に親指では不似合いだからと、中指にはめて帰ることに。
落とさないようにずっとグーのままの私に、「そこまでせんでもええけどさ…ヾ(^-^)」と竜樹さん。
…「あげられへんけど」と仰るからには、この石の色が気に入ってるんでしょ?竜樹さん?
昔なら必要以上に勘繰っただろうけれど、彼がただ指輪についてる石に惚れて買ってしまうことがあることは判っているから。
私のために買ってくれた指輪が直るまでの間、竜樹さんのお気に入りを大切に持ってよう。
そう思いながら、竜樹邸を後にした。
帰る車の中でも、交わす会話はどこか静かで穏やかだ。
本当は互いに疲れが残っていて、自分のことだけで精一杯なんだろうけれど。
それでも、相手を想うことを優先しようとする気持ちが暖かさを生むようで、とても居心地よく感じられる。
私の家の前に着いたら、いつもなら早々に帰る竜樹さんが、何故か今日は暫くお話をしつづけてる。
私も別れがたくて、ずっと車を降りることができずにいる。
ようやっと、降りて別れたけれど。
いつか、竜樹さんと別れることなくいられたらいいなぁって思う。
それが叶うまでに、これからもまたいろんな出来事や感情に出逢うんだろう。
嬉しいことも悲しいことも、楽しいことも辛いことも。
願いも祈りも、迷いも痛みもそこには付き纏うんだろうけれど。
その全ての先にある不確かだけど確かに欲しいと希うものを、竜樹さんと二人で手に入れられたら嬉しいと思う。
それはきっと生きている中で一番の宝物のような気がするから。
自力で帰宅することを視野に入れて、粕汁を作り出す。
ニンジンは輪切り、小芋は3分ほど茹でて皮を剥いて輪切り、白菜はザク切り、大根はいちょう切りにしておく。
水を5カップほど鍋に入れ、昆布とカツオで合わせだしをとり、その中に下準備した野菜と、一口大に切った豚肉を入れる。
野菜が程よい堅さになったら、酒粕(100gと本にはあった)と味噌(60グラム)を溶いて入れ、砂糖を少々加えて味をみる。
金岡母がいつも作ってるものよりも味が薄い気がしたので、酒粕を足し味を調えた。
その頃になると少しだけ竜樹さんは元気を取り戻したのか、机のセッティングをしたりこちらに甘栗や(何故か)煮干を持ってきて食べさせてくれる。
「煮干食べて、顎を鍛えるとええねんで(*^_^*)」
何がいいのかまでは突っ込んでは聞かなかったけれど(^-^;
何気なく私の身体にいいだろうものを積極的に食べさせようとしてくれる気持ちが嬉しい。
そうしてるうちに、鍋の中の粕汁もすっかり出来上がり、どんぶり鉢についで持っていく。
アボガドとサーモンのわさび醤油・マヨネーズ和えも持っていく。
「いただきます♪(*^人^*)」
「アボガドのはあつあつご飯に乗せて食べるといいんですって」
「そぉか、試してみるわ(*^_^*)」
その食べっぷりを見てると、さっきまでくたってた人とは思えない。
「美味い♪o(^-^o)o(^-^)o(o^-^)o」
どうやら、アボガドとサーモンのわさび醤油・マヨネーズ和えは竜樹さんの口にあったよう。
ネギトロの感覚で食べられるのが気に入ったらしい。
粕汁の方はどうかな?と思っていたけれど…
こちらの方もお気に召して頂けたよう。
「最初味見した時、酒粕が多い気がしてんけど、この方が身体が温まってええわ(*^_^*)」
どんぶり鉢についだのは、お椀がなかったのとおかずが少なかったからだけど(笑)
気が付くと、キレイに粕汁もアボガドご飯もなくなっていた。
私はちょっと疲れてしまっていて、一足先に横になっていた。
私が寝ているお布団にもぐりこんでくる竜樹さん。
「…ちょっと触らせてなぁ」
そう言って竜樹さんが触れてくるのに任せている。
ところがどういう経緯かまたしても、じゃれっこモードに入ってしまう。
お昼の違和感の話をしていたのだけれど、違和感が生じたら止めてくれたらいいし(ごにょごにょ)……ってことでそのまま流れていく。
じゃれあうようなキスはやがて熱を帯びてくる。
竜樹さんのキスは唇だけでは留まらず、額にも頬にも瞼にも降り注ぐ。
ただのじゃれっこで終わるはずが、火が付いてしまって…(/-\*)
結局のっぴきならないところまで来てしまった。
終始、痛みも違和感もなかったけれど、今度こそ起きれない私。
のっぴきならなくなったら、本当に調子が悪くなるのは竜樹さんなのに。
「横になると送って行けなくなるから…」とたったか着替えて後片付けを始めてる。
「私、やるから…」と起き上がろうとしたら、「暫く寝とり〜ヾ(^-^)」と竜樹さん。
申し訳ないなと思いながら、竜樹さんのお言葉に甘えてしまった。
互いの体調や気持ちの部分が合わない時は、逢うのをやめた方がいいような気はいつもするけれど。
逢って触れ合ってしまえば、そんな気持ちが飛ぶから不思議なもので。
結局こうして互いが互いの温度に絆されて笑顔を分け合っていくのかなぁという気がする。
それでも、私の方が絶対的に配慮が足りないなって思うから。
「早く心も身体も元気になって、竜樹さんの役に立てるように頑張るからね」
黙々と片付け物をする竜樹さんの背中にそっと呟いた。
そして、少しだけ眠った。
「…そろそろ、起きぃやぁ」
竜樹さんにそっと起こされて、着替えたり帰る用意をしたりする。
玄関に掛けられたコートを着ると、片方が少し重い。
「…あれ?」と思ってると、「ポケットに何が入ってるんかなぁ?」と竜樹さん。
見てみると、THE DOGの小さなぬいぐるみがひとつ。
「…あれ、今日は柴?」
「そそ。ご飯が美味しかったから♪」
竜樹さんが特別おいしいと感じたご飯を作れた日はこうしてぬいぐるみをくれる。
THE DOGのぬいぐるみはこれで4個目。
「作っても、どうせ無駄になるんだし…」なんて思って、暫く作らずにいた自分が恥ずかしい(-_-;)
竜樹さんは努力をしたらした分だけ、ちゃんと認めてくれるんだから。
臆せず、ただ頑張ればいいんだよね?と思う。
柴を鞄にしまい込み、26日に忘れて帰った指輪を受け取る。
その時、竜樹さんに指輪の号数を聞かれる。
「ん?7号だけど?」
「そしたら、こっちは暫く預かるなぁ」
そう言って、誕生日プレゼントに貰ったルビーの指輪を片付けてしまった。
「別に直さなくてもいいよぉ」
「いや、ちゃんと直してつけてても不恰好でないようにした方がいいから」
「指輪が直るまでの間…」そう言って、赤い箱から緑色のキャッツアイのついた指輪を渡される。
「これはあげられへんねんけどなぁ…」
そういって、キャッツアイの指輪が合う指を探してくれる。
…竜樹さん。これ、誰にあげるつもりだったんですか?
すんごい大きいんですけど?(^-^;
中指に入れてもくるくると回るほどの大きさで。
けれど、デザイン的に親指では不似合いだからと、中指にはめて帰ることに。
落とさないようにずっとグーのままの私に、「そこまでせんでもええけどさ…ヾ(^-^)」と竜樹さん。
…「あげられへんけど」と仰るからには、この石の色が気に入ってるんでしょ?竜樹さん?
昔なら必要以上に勘繰っただろうけれど、彼がただ指輪についてる石に惚れて買ってしまうことがあることは判っているから。
私のために買ってくれた指輪が直るまでの間、竜樹さんのお気に入りを大切に持ってよう。
そう思いながら、竜樹邸を後にした。
帰る車の中でも、交わす会話はどこか静かで穏やかだ。
本当は互いに疲れが残っていて、自分のことだけで精一杯なんだろうけれど。
それでも、相手を想うことを優先しようとする気持ちが暖かさを生むようで、とても居心地よく感じられる。
私の家の前に着いたら、いつもなら早々に帰る竜樹さんが、何故か今日は暫くお話をしつづけてる。
私も別れがたくて、ずっと車を降りることができずにいる。
ようやっと、降りて別れたけれど。
いつか、竜樹さんと別れることなくいられたらいいなぁって思う。
それが叶うまでに、これからもまたいろんな出来事や感情に出逢うんだろう。
嬉しいことも悲しいことも、楽しいことも辛いことも。
願いも祈りも、迷いも痛みもそこには付き纏うんだろうけれど。
その全ての先にある不確かだけど確かに欲しいと希うものを、竜樹さんと二人で手に入れられたら嬉しいと思う。
それはきっと生きている中で一番の宝物のような気がするから。
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無駄だと思う前に…
2002年3月2日昨晩、割と早い時間に眠ってしまったので、かなり早い時間に目が覚めてしまった。
もう一度寝直すとまた昼前くらいまで起きられない気がしたので、そのまま起きてたらりたらりと文章を書いたり、お手紙を書いたりしていた。
一段楽して、リビングに降り暫く両親と話した後、竜樹さんに電話をする。
26日のことがあったから、少し竜樹邸に行くことを躊躇う部分があったせいもあるのだけれど…
「昨日、注射と点滴を打ったら少しマシになったから、おいで」
そう言われたので、週末に買い込んだ食材を提げて出かける。
重い食材を提げてよろよろしながら坂道を降り、電車に乗る。
車窓を流れる景色は、どこか春の色を帯びている。
夜の冷え込みを考えてコートを着てる私がなんだか酷く不恰好に思える。
…もう春はそこまで来てるんだから、竜樹さんの体調も早く安定すればいいのになぁ
そう願いながら、また電車を降り、また移動する。
電車を乗り換えたところに、メールがひとつ。
「鍵、開けとくね!」
そのメールに竜樹さんの調子がまだよくなってないことを読み取って、また気持ちは沈みそうになるけれど。
…それでもええやん?逢えるんだから。
気持ちを切り替えて、改札を出る。
電車を降りて、また少し足りないものを買い足してバスに乗る。
バスを降りてから、よろよろと歩いててふと見ると。
梅が咲いてる。
…桜の季節には一緒に出かけられるといいなぁ
そろそろ篭りっきりにうんざりしてるだろう竜樹さんを思いながら、暫く梅を眺めてから竜樹邸に入る。
「…来てくれたんかぁ?」
2階から竜樹さんの声が聞こえるから、荷物を置いて上がっていくと、竜樹さんは横になっていた。
「昨日眠れんでなぁ。眠剤使うと次の日すんごい背中が痛むから使わへんかったら、なんか寒気がするねん」
竜樹さんの顔に触れると、結構熱い。
「風邪ひいたんじゃないの?竜樹さん?」
「そかも知れへん。とにかく寒いねん(>_<)」
「んじゃ、あっためてあげるよぉ(*^_^*)」とだけ答えて、竜樹さんの布団にもぐりこむ。
抱き締めて背中やら頭やら撫でてくれる竜樹さんと暫く一緒に横になっていた。
そうしてるうちに少し飲み物が欲しくなったそうで、一緒に下の階に降りる。
朝ごはんは食べたと仰るけれど、昼ごはんは食べてないのだとか。
「何か作ろうか?」と聞いたら、「食べる気がしない」とのこと。
飲み物を作って竜樹さんに渡し、台所で食材を整理してると、「おいでおいで」する竜樹さん。
ちょこちょこと寄って行くと…
そのままじゃれっこモードに突入してしまった(//^//)ゞ
「本当にこの人、一睡も出来なかったんだろうか?」
首を捻りたくなるほどの勢いに戸惑う。
今までとは違う違和感を感じて、じたばたと(かなり本気で)もがき倒すのを押さえ込まれる。
戸惑いと少しばかりの恐怖感はやがて意識が落ちることで色褪せた。
暫くぱたぱたと竜樹さんが何かをしていたことを意識の底で認識しながら、それでも落ちていくのに任せてしまった。
次に目を覚ましたら、17時だった。
隣に竜樹さんがいなかったので2階に探しに行くと、静かに横になっていらっしゃった。
「何か食べて、お薬飲む?」
「うん、そうするわ」
「冷蔵庫の中に先週作ったカレーがあるからそれを食べる」と仰るのでそれを暖めなおすけれど、冷蔵庫で保存する前に室内に置いてた時間が長かったからか、傷んでしまってた。
困ってしまって、竜樹さんが好きなフレンチトーストを持って上がる。
竜樹さんに食べるように言ってから、夕飯の用意に取り掛かる。
今日は粕汁とアボガドとサーモンのわさび醤油とマヨネーズ和え(byこねここくらぶ)を作るつもり。
けれど、竜樹さんの調子があまりに悪そうなので、夕飯を作るのをちょっと躊躇ってしまう。
沢山目に作っても、冷蔵庫に入れずに置く期間が長かったり、保管してもしんどさにかまけてそれを食べられずにいて結局無駄にするなら、作っても作らなくても一緒かぁと思ってしまって。
食材を無駄にするならやめようか?なんていつもなら考えもしないことを考えてる自分がいる。
…正直、私自身の疲れはまだ抜けてないんだなぁと思う。
ネガティブに走りがちな思考を元通りに戻そうと、食事作りを横に置いて水汲みをしたりするけれど。
水汲みをする時にペットボトルをすかぁんと落としたり、水をこぼしかけたりする。
自分の予想以上に疲れが酷いことを実感するだけで、また気分は落ち込んでいく。
ひとまず、アボガドとサーモンは来週まで保存するのは難しいだろうと思って、無駄になるのを覚悟で調理しにかかる。
刺身用サーモンを細かくたたき、賽の目切りしたアボカドと小口切りにしたネギを混ぜ合わせ、わさび醤油とマヨネーズで和える。
アボカドってあの食感と味がどうも苦手で、能動的に食べたい食べ物ではないのだけれど、栄養価は高いというし、ちょっと試してみたかった気はしてたから。
竜樹さんが食べれなかったら私が食べたらいいやと、どんぶり鉢いっぱいのおかずをとりあえず作った。
けれど、粕汁を作るだけの気力は戻ってこない。
ご飯を作って、それを竜樹さんが喜んでくれる。
それがあるなら、どんなにしんどくても作れるけれど。
作ってもそれが何の役にも立たないなら、やるだけ無駄なんじゃないの?
そんな風にしか考えられない自分が嫌で仕方がない。
会社のことでもそんな風に感じることが多くなってきて、いい加減嫌になってきてるのに。
竜樹さんのことでまでそんな風に思うのがたまらなく嫌だ。
そんなことに思いを廻らせながら時間ばかりが無意味に過ぎていく。
気が付いたら、19時をまわっていた。
様子を見に行くと、竜樹さんは相変わらずの状態なので、ひとまず薬が飲めるようにとお粥を作ることにした。
お粥が出来たころ、竜樹さんは下に降りてきた。
降りてきた竜樹さんにお粥を食べてもらい、それでも夕飯を作るかどうか迷ってると、「今日の夕飯は何?」と竜樹さん。
アボガドとサーモンのは出来てるけど、粕汁を作るかどうか迷ってる旨を話すと、「粕汁、食べたい」とのことなので、慌てて作り出す。
…こんなことなら、さっさと作っておけばよかったなぁ
自分のしたことが無駄になるかどうか迷うよりも、役立つかも「しれない」可能性を大切にすべきなのにね?
ネガから抜けられない疲れた私には元気が足りなすぎて、本当はここに来てること自体が竜樹さんには何の役にも立ってはいないのかもしれないけれど…
無駄だと思う前に、相手を想うことを。
相手を想ってすることがたとえ無駄になってしまったとしても、心から生まれたものが無駄ではないのだから。
想う気持ちだけを大切にしたいね。
(3日付の日記に続きます)
もう一度寝直すとまた昼前くらいまで起きられない気がしたので、そのまま起きてたらりたらりと文章を書いたり、お手紙を書いたりしていた。
一段楽して、リビングに降り暫く両親と話した後、竜樹さんに電話をする。
26日のことがあったから、少し竜樹邸に行くことを躊躇う部分があったせいもあるのだけれど…
「昨日、注射と点滴を打ったら少しマシになったから、おいで」
そう言われたので、週末に買い込んだ食材を提げて出かける。
重い食材を提げてよろよろしながら坂道を降り、電車に乗る。
車窓を流れる景色は、どこか春の色を帯びている。
夜の冷え込みを考えてコートを着てる私がなんだか酷く不恰好に思える。
…もう春はそこまで来てるんだから、竜樹さんの体調も早く安定すればいいのになぁ
そう願いながら、また電車を降り、また移動する。
電車を乗り換えたところに、メールがひとつ。
「鍵、開けとくね!」
そのメールに竜樹さんの調子がまだよくなってないことを読み取って、また気持ちは沈みそうになるけれど。
…それでもええやん?逢えるんだから。
気持ちを切り替えて、改札を出る。
電車を降りて、また少し足りないものを買い足してバスに乗る。
バスを降りてから、よろよろと歩いててふと見ると。
梅が咲いてる。
…桜の季節には一緒に出かけられるといいなぁ
そろそろ篭りっきりにうんざりしてるだろう竜樹さんを思いながら、暫く梅を眺めてから竜樹邸に入る。
「…来てくれたんかぁ?」
2階から竜樹さんの声が聞こえるから、荷物を置いて上がっていくと、竜樹さんは横になっていた。
「昨日眠れんでなぁ。眠剤使うと次の日すんごい背中が痛むから使わへんかったら、なんか寒気がするねん」
竜樹さんの顔に触れると、結構熱い。
「風邪ひいたんじゃないの?竜樹さん?」
「そかも知れへん。とにかく寒いねん(>_<)」
「んじゃ、あっためてあげるよぉ(*^_^*)」とだけ答えて、竜樹さんの布団にもぐりこむ。
抱き締めて背中やら頭やら撫でてくれる竜樹さんと暫く一緒に横になっていた。
そうしてるうちに少し飲み物が欲しくなったそうで、一緒に下の階に降りる。
朝ごはんは食べたと仰るけれど、昼ごはんは食べてないのだとか。
「何か作ろうか?」と聞いたら、「食べる気がしない」とのこと。
飲み物を作って竜樹さんに渡し、台所で食材を整理してると、「おいでおいで」する竜樹さん。
ちょこちょこと寄って行くと…
そのままじゃれっこモードに突入してしまった(//^//)ゞ
「本当にこの人、一睡も出来なかったんだろうか?」
首を捻りたくなるほどの勢いに戸惑う。
今までとは違う違和感を感じて、じたばたと(かなり本気で)もがき倒すのを押さえ込まれる。
戸惑いと少しばかりの恐怖感はやがて意識が落ちることで色褪せた。
暫くぱたぱたと竜樹さんが何かをしていたことを意識の底で認識しながら、それでも落ちていくのに任せてしまった。
次に目を覚ましたら、17時だった。
隣に竜樹さんがいなかったので2階に探しに行くと、静かに横になっていらっしゃった。
「何か食べて、お薬飲む?」
「うん、そうするわ」
「冷蔵庫の中に先週作ったカレーがあるからそれを食べる」と仰るのでそれを暖めなおすけれど、冷蔵庫で保存する前に室内に置いてた時間が長かったからか、傷んでしまってた。
困ってしまって、竜樹さんが好きなフレンチトーストを持って上がる。
竜樹さんに食べるように言ってから、夕飯の用意に取り掛かる。
今日は粕汁とアボガドとサーモンのわさび醤油とマヨネーズ和え(byこねここくらぶ)を作るつもり。
けれど、竜樹さんの調子があまりに悪そうなので、夕飯を作るのをちょっと躊躇ってしまう。
沢山目に作っても、冷蔵庫に入れずに置く期間が長かったり、保管してもしんどさにかまけてそれを食べられずにいて結局無駄にするなら、作っても作らなくても一緒かぁと思ってしまって。
食材を無駄にするならやめようか?なんていつもなら考えもしないことを考えてる自分がいる。
…正直、私自身の疲れはまだ抜けてないんだなぁと思う。
ネガティブに走りがちな思考を元通りに戻そうと、食事作りを横に置いて水汲みをしたりするけれど。
水汲みをする時にペットボトルをすかぁんと落としたり、水をこぼしかけたりする。
自分の予想以上に疲れが酷いことを実感するだけで、また気分は落ち込んでいく。
ひとまず、アボガドとサーモンは来週まで保存するのは難しいだろうと思って、無駄になるのを覚悟で調理しにかかる。
刺身用サーモンを細かくたたき、賽の目切りしたアボカドと小口切りにしたネギを混ぜ合わせ、わさび醤油とマヨネーズで和える。
アボカドってあの食感と味がどうも苦手で、能動的に食べたい食べ物ではないのだけれど、栄養価は高いというし、ちょっと試してみたかった気はしてたから。
竜樹さんが食べれなかったら私が食べたらいいやと、どんぶり鉢いっぱいのおかずをとりあえず作った。
けれど、粕汁を作るだけの気力は戻ってこない。
ご飯を作って、それを竜樹さんが喜んでくれる。
それがあるなら、どんなにしんどくても作れるけれど。
作ってもそれが何の役にも立たないなら、やるだけ無駄なんじゃないの?
そんな風にしか考えられない自分が嫌で仕方がない。
会社のことでもそんな風に感じることが多くなってきて、いい加減嫌になってきてるのに。
竜樹さんのことでまでそんな風に思うのがたまらなく嫌だ。
そんなことに思いを廻らせながら時間ばかりが無意味に過ぎていく。
気が付いたら、19時をまわっていた。
様子を見に行くと、竜樹さんは相変わらずの状態なので、ひとまず薬が飲めるようにとお粥を作ることにした。
お粥が出来たころ、竜樹さんは下に降りてきた。
降りてきた竜樹さんにお粥を食べてもらい、それでも夕飯を作るかどうか迷ってると、「今日の夕飯は何?」と竜樹さん。
アボガドとサーモンのは出来てるけど、粕汁を作るかどうか迷ってる旨を話すと、「粕汁、食べたい」とのことなので、慌てて作り出す。
…こんなことなら、さっさと作っておけばよかったなぁ
自分のしたことが無駄になるかどうか迷うよりも、役立つかも「しれない」可能性を大切にすべきなのにね?
ネガから抜けられない疲れた私には元気が足りなすぎて、本当はここに来てること自体が竜樹さんには何の役にも立ってはいないのかもしれないけれど…
無駄だと思う前に、相手を想うことを。
相手を想ってすることがたとえ無駄になってしまったとしても、心から生まれたものが無駄ではないのだから。
想う気持ちだけを大切にしたいね。
(3日付の日記に続きます)
一歩踏み出せたら…
2002年3月1日ここ数日、ずっと身体がだるくて仕方がない。
会社帰りの電車の中で意識が落ちそうになるのはいつものことだけれど、仕事をしてる最中でも身体から力が抜けそうになる。
しないといけないことは多いのに、何も進まないまま無駄に寝てる気がする。
…昨日も竜樹さんから電話を貰った後、ごとりと意識が落ちてしまった。
気が付くと、もう3月。
あと数日で2人が始めて私的な部分でクロスするようになった日がやってきて、あと1ヶ月足らずで2人が歩き始めてから7年目の春を迎える。
去年の春は竜樹さんの進路が決まって明るい方向に向かいそうに見えながら、一番2人の関係が不安定だった。
というより、私が毎年この時期不安定なだけなのかもしれないけれど…(-_-;)
春って出会いの季節でもあるけれど、別れの季節でもあるから。
会社の行き帰りに電車やバスに乗っても学生の数もまばらで、「あ、もうちょっとしたら春休みだよなぁ」とか「もうそろそろ卒業式だよなぁ」とかつての記憶を思い返しながら実感する。
卒業式や春休みに対して敏感でなくなったのは、生徒さん相手の仕事でなくなったからに他ならないんだけれど…
生徒さん相手に仕事をしてた時も、この時期は苦手だった気はする。
受験を控えた生徒さんにとっては最後の追い込みの時期。
笑顔の底に小さな不安が見え隠れする。
その背中を「あとは自分を信じて、やるしかないやん?」と笑顔ではっつくのが精一杯。
進級組はクラスの移動を目前にしてなんだかばたばたしてるし。
でも、そこにもちゃんと「別れ」は存在してて。
ばたばたにかまけて、わざとその「別れ」の部分を見ないようにしてた気がする。
今年の春は、どんな風に過ごすんだろう?
気持ち的な部分で新しいことを始めたいなって気持ちは強い。
何かせずにはいられないというよりも、半ば何かを始めないといけないような切迫した思いに駆られてるだけなのかも知れないけれど。
仕事の面でも、自分自身に対しても。
現状のまま進めていくことに疑問符が腐るほど出てきているから。
何もせずに今のままでいることを精神的な部分で受け入れられなくなってきてる。
外を行く風は冷たいけれど、日差しは確実に春に近づいてきている。
コートが暑くて重いと感じる時間も長くなってきた。
そんな風を感じながら、私の中にも小さな春が近づいてきてるような気がする。
劇的な変化があるとは思えないけれど。
そんな変化を生み出せるかどうかすらも判らないけれど。
それでも、守るべきものをそっと抱えながら、少しずつ冬の鎧を解いて歩き出さないといけないんだろうと感じ始めてる。
この春に「別れる」のは臆病だったり必要以上に守りに入ってる自分自身かもしれない。
新しいことを始めたり現状を変えようとすることには大きなエネルギーがいるってことを重々判ってるから、なかなか踏み出せないんだけれど。
もしかしたら「何かを変えたい」っていう気持ちがただの衝動でないと判った時には、帆をあげて動き出さないといけないんだろうなって思う。
それがただの「現状から逃避したい」願望なのかどうかを見極める必要はあるだろうけれど。
そんなことに時々思いを廻らせながら、今日も仕事に挑む。
月初めは比較的仕事は楽なはずなのに、さすがは決算期。
初日から忙しい。
来年の春をここで迎えるかどうか判らないから(迎えてしまったとしても)、「この時」は二度とはないんだからときりきり頑張ってみる。
書類を渡しにいくために階下に移動すると、課長が机を移動させている。
ホワイトボードを正面にして、テスト会場みたいな形の机の配列。
「…うわぁ、懐かしい!」
思わず声をあげてしまった。
「懐かしいやろ?テストなんてそうそう受ける機会なくなってるもんなぁ?」
振り返る課長と話し込むことになってしまった(^-^;
どうやら、ある部署で親会社の入社試験と同じ問題でテストを実施するのだとか。
問題をざらっと見せてもらったけれど、なんだか懐かしい。
「金岡さんも受けてみる?」
「…いや、いいですぅ(^-^;
多分、受けても点数が分野によってめちゃめちゃ開きがあって笑いものになるだけですから」
「毎年センターの問題が新聞に載ったら俺もやってみるけど、できへんもんやなぁ?」
「あれは問題から離れちゃうと、感覚戻すだけでも大変ですもんね?」
気が付くと、入試談義(笑)
他にも勉強しとくといいことをいくつか教えてもらって、通常業務に戻る。
…他所の部署であの試験を実施するなら、うちの部署でもいずれはやってくるだろうな。あの手の試験(^-^;
そりゃ、昔取った杵柄だから、ざっとその手の本を見返せばある程度の点はとれるだろうけど…
また時間が足りないって喚き散らすことになりそうだなぁ…(-_-;)
「勉強する項目が増えちまったなぁ」と思いながら、それはそれで何となく嬉しい自分がいたりする。
…春は別れの季節だけど、新しいこと始める季節でもあるもんね?
ざらっと課長に見せてもらった試験問題の傾向見てると、実際に役に立ちそうな項目はそう沢山はないけれど。
役に立とうが立たまいが、知識欲はあるに越したことはないから。
ちょろんと頑張ってみようかな?という気持ちが湧いてくる。
事務所に戻り、再び体中から力が抜けそうな感覚と格闘しながら仕事を進める。
湧き上がった気力を維持する体力がついてきてない感じがするから、ちょっと物理的に休んでみたい気はする。
いつも休む時は何かの予定があるから休むことが多くて、殆ど休みが休みとしての機能を為してないことも多いから。
ひとまず月初めの仕事の流れが見えてきたら、何もしないただの休みの日を貰おう。
何もしない時間から自分がしないといけないことと、したいと思うことを見つめられたらいいなぁと思う。
…そう言いながら、3連休以上の休暇になんかにしてしまったら竜樹邸に泊まりに行ったり友達と会ったりする予定入れちゃいそうだよなぁ(^-^;
休みがちゃんと自分ひとりの気持ちを見つめ直すためだけに使えるかどうかは判らないけれど。
冬から春に移行する空に自分を上手く乗せてやるために。
そこから機嫌のよい状態を見つけ出すための鍵を探す旅に出られるように。
別れの不安と格闘する春でなく、今よりもっといい状態の自分を手に入れるために。
大切な人たちと歩くのに見合うだけの力を手に入れるために。
新しい春に一歩踏み出せたらいいなぁと思う。
会社帰りの電車の中で意識が落ちそうになるのはいつものことだけれど、仕事をしてる最中でも身体から力が抜けそうになる。
しないといけないことは多いのに、何も進まないまま無駄に寝てる気がする。
…昨日も竜樹さんから電話を貰った後、ごとりと意識が落ちてしまった。
気が付くと、もう3月。
あと数日で2人が始めて私的な部分でクロスするようになった日がやってきて、あと1ヶ月足らずで2人が歩き始めてから7年目の春を迎える。
去年の春は竜樹さんの進路が決まって明るい方向に向かいそうに見えながら、一番2人の関係が不安定だった。
というより、私が毎年この時期不安定なだけなのかもしれないけれど…(-_-;)
春って出会いの季節でもあるけれど、別れの季節でもあるから。
会社の行き帰りに電車やバスに乗っても学生の数もまばらで、「あ、もうちょっとしたら春休みだよなぁ」とか「もうそろそろ卒業式だよなぁ」とかつての記憶を思い返しながら実感する。
卒業式や春休みに対して敏感でなくなったのは、生徒さん相手の仕事でなくなったからに他ならないんだけれど…
生徒さん相手に仕事をしてた時も、この時期は苦手だった気はする。
受験を控えた生徒さんにとっては最後の追い込みの時期。
笑顔の底に小さな不安が見え隠れする。
その背中を「あとは自分を信じて、やるしかないやん?」と笑顔ではっつくのが精一杯。
進級組はクラスの移動を目前にしてなんだかばたばたしてるし。
でも、そこにもちゃんと「別れ」は存在してて。
ばたばたにかまけて、わざとその「別れ」の部分を見ないようにしてた気がする。
今年の春は、どんな風に過ごすんだろう?
気持ち的な部分で新しいことを始めたいなって気持ちは強い。
何かせずにはいられないというよりも、半ば何かを始めないといけないような切迫した思いに駆られてるだけなのかも知れないけれど。
仕事の面でも、自分自身に対しても。
現状のまま進めていくことに疑問符が腐るほど出てきているから。
何もせずに今のままでいることを精神的な部分で受け入れられなくなってきてる。
外を行く風は冷たいけれど、日差しは確実に春に近づいてきている。
コートが暑くて重いと感じる時間も長くなってきた。
そんな風を感じながら、私の中にも小さな春が近づいてきてるような気がする。
劇的な変化があるとは思えないけれど。
そんな変化を生み出せるかどうかすらも判らないけれど。
それでも、守るべきものをそっと抱えながら、少しずつ冬の鎧を解いて歩き出さないといけないんだろうと感じ始めてる。
この春に「別れる」のは臆病だったり必要以上に守りに入ってる自分自身かもしれない。
新しいことを始めたり現状を変えようとすることには大きなエネルギーがいるってことを重々判ってるから、なかなか踏み出せないんだけれど。
もしかしたら「何かを変えたい」っていう気持ちがただの衝動でないと判った時には、帆をあげて動き出さないといけないんだろうなって思う。
それがただの「現状から逃避したい」願望なのかどうかを見極める必要はあるだろうけれど。
そんなことに時々思いを廻らせながら、今日も仕事に挑む。
月初めは比較的仕事は楽なはずなのに、さすがは決算期。
初日から忙しい。
来年の春をここで迎えるかどうか判らないから(迎えてしまったとしても)、「この時」は二度とはないんだからときりきり頑張ってみる。
書類を渡しにいくために階下に移動すると、課長が机を移動させている。
ホワイトボードを正面にして、テスト会場みたいな形の机の配列。
「…うわぁ、懐かしい!」
思わず声をあげてしまった。
「懐かしいやろ?テストなんてそうそう受ける機会なくなってるもんなぁ?」
振り返る課長と話し込むことになってしまった(^-^;
どうやら、ある部署で親会社の入社試験と同じ問題でテストを実施するのだとか。
問題をざらっと見せてもらったけれど、なんだか懐かしい。
「金岡さんも受けてみる?」
「…いや、いいですぅ(^-^;
多分、受けても点数が分野によってめちゃめちゃ開きがあって笑いものになるだけですから」
「毎年センターの問題が新聞に載ったら俺もやってみるけど、できへんもんやなぁ?」
「あれは問題から離れちゃうと、感覚戻すだけでも大変ですもんね?」
気が付くと、入試談義(笑)
他にも勉強しとくといいことをいくつか教えてもらって、通常業務に戻る。
…他所の部署であの試験を実施するなら、うちの部署でもいずれはやってくるだろうな。あの手の試験(^-^;
そりゃ、昔取った杵柄だから、ざっとその手の本を見返せばある程度の点はとれるだろうけど…
また時間が足りないって喚き散らすことになりそうだなぁ…(-_-;)
「勉強する項目が増えちまったなぁ」と思いながら、それはそれで何となく嬉しい自分がいたりする。
…春は別れの季節だけど、新しいこと始める季節でもあるもんね?
ざらっと課長に見せてもらった試験問題の傾向見てると、実際に役に立ちそうな項目はそう沢山はないけれど。
役に立とうが立たまいが、知識欲はあるに越したことはないから。
ちょろんと頑張ってみようかな?という気持ちが湧いてくる。
事務所に戻り、再び体中から力が抜けそうな感覚と格闘しながら仕事を進める。
湧き上がった気力を維持する体力がついてきてない感じがするから、ちょっと物理的に休んでみたい気はする。
いつも休む時は何かの予定があるから休むことが多くて、殆ど休みが休みとしての機能を為してないことも多いから。
ひとまず月初めの仕事の流れが見えてきたら、何もしないただの休みの日を貰おう。
何もしない時間から自分がしないといけないことと、したいと思うことを見つめられたらいいなぁと思う。
…そう言いながら、3連休以上の休暇になんかにしてしまったら竜樹邸に泊まりに行ったり友達と会ったりする予定入れちゃいそうだよなぁ(^-^;
休みがちゃんと自分ひとりの気持ちを見つめ直すためだけに使えるかどうかは判らないけれど。
冬から春に移行する空に自分を上手く乗せてやるために。
そこから機嫌のよい状態を見つけ出すための鍵を探す旅に出られるように。
別れの不安と格闘する春でなく、今よりもっといい状態の自分を手に入れるために。
大切な人たちと歩くのに見合うだけの力を手に入れるために。
新しい春に一歩踏み出せたらいいなぁと思う。
幸せの鍵を壊すのは…
2002年2月26日土曜日に逢ったのを最後に、竜樹さんから連絡がない。
連絡がつかない時はどういう時かは判り切ってるから、電話やメールで追いかけ倒す気にはならないけれど。
「連絡がつかない」時がどんな状態であるかが判るからこそ、気になることだってある。
…どうかこれ以上、痛みがひどくなりませんように
そっと願って家を出た。
身体からやる気が失せてることを象徴してるかのように、会社に入るのが少し遅れてしまった。
慌てて席につくと、噛み付くように鳴り響く電話と相変わらず理不尽な押し付けに苛まれる。
「彼のことがなかったら、もう少し自分の動きたいように動けるのにね?」
誕生日の日に連絡をくれた友達が言った言葉が頭を掠める。
…別に、竜樹さんのためにこの会社にいてるわけじゃないよ?
けれど、彼女が言ってることが完全に間違ってる訳でないことも判ってる。
昔のように、自分のことだけ見つめて自分のやりたいようにやれなくなってるってことは正しいと思うから。
この状態がいいのか悪いのかなんて判るわけがない。
ただ判ってることは、投げ出さずにいることと引き換えに手放たくないものがあるうちは、歩きつづけるしかないってことだけ。
それでも、「ここ」にいつづけるために、いろんなことを我慢しつづけることが本当に最良の方法だとも思ってはいないのだけど。
すっきりしない心を抱えたまま、気が付くと昼休みを迎えていた。
ふとした世間話の流れで、自分の頂いてる給料に不満をもってることをさらりと溢してしまった。
「(ただでさえ低く抑えられた給料から)さらに減ってしまったから、独立するのがまた遠のいちゃいましたぁ〜」
それに、ボスはさらりと一言。
「それは独立しようという気がないからやで。独立したかったら、金持ってるええ男、捕まえやぁ」
…「人の事情も知らんと」と怒る気にはならなかった。
私の事情なんてボスに話す必要はないし、知ったところでそんなことはボスの預かり知らないこと。
さらりと話して、さらりと流れること自体は傷を深めなくてよかったのかもしれない。
けれど、「これがお前の価値なんだ」と暗に言われたような気がしてがくんと疲れはしたけれど。
ふと携帯を見ると、携帯の電池がなくなりかけてることに気が付いた。
何となくそのまま携帯の電源を切り、昼からの仕事に入る。
昼からもまた噛み付くように鳴り響く電話と容赦なく降ってくる仕事の処理に追われた。
終業時間30分前になって、何となく携帯が気になって電源を入れてみた。
ほどなく、携帯にメールがひとつ。
「今日もかなりしんどくて(T_T)
迎えに行かれへんけど、来てくれる?用事なかったら」
…そんなもの、行くに決まってるじゃないですか?
程よく片付け始めた仕事を景気よく片付けきって、会社を飛び出す。
自転車飛ばして駅に着いてから、メールをひとつ。
「用事なんてないから、これから行きます。待っててね♪」
ホームに滑り込んできた電車に乗り込む。
程なく、バスの時間と共に「さんきゅう!(^○^)」というメールがひとつ。
張り切って移動する。
ただ、気持ちとは裏腹に疲れはピークのようで。
電車に乗っていても、バスに乗っていても意識を繋ぐのがやっと。
それは座席に座ってようが立ってようが関係なくて、ゆらゆらしながら移動を続ける。
ただ、しんどい時に私のことを思い出してくれることが嬉しかった。
竜樹邸に入ると、竜樹さんはよほどしんどいのか、お布団から出て来れずにいてる。
暫く竜樹さんの傍にいて少しばかり話をしていると、
「霄ぁ、今日も朝から何も食べてへんねん(・・、)」
本当に辛そうに仰るので、急いで台所に立つ。
竜樹さんのリクエストで、備蓄のハンバーグを焼き、水菜のサラダを添えて出すことに。
ハンバーグを焼き、水菜のサラダを作ってお皿に乗せようとすると、ハンバーグの乗ったお皿がない。
…ハンバーグの乗ったお皿は、いつのまにか食卓に移動していて、静かに竜樹さんに食べられていた。
他愛もない話をしながら食事を済ませ、薬を飲んだ竜樹さんはまた横になる。
私は黙々と後片付けをする。
後片付けを終え、竜樹さんの傍にちょこんと座った時。
竜樹さんから会社のことについて訊かれた。
残業代がつかなくなったことやもろもろで手取りが減ったことを随分土曜日にも溢したからだろう。
「今の給料やと、かつかつか?」
ただ一言、「そうでもないよ?上向きになるまで待つのは大丈夫。出来るから」と嘘でも笑えばよかったんだろうか?
自分の中から無理やりに笑顔を引きずり出せばそれでよかったんだろうか?
…でも、出来るわけなかったんだ
「元が水準よりも低いところで設定されてるのに、そこから3〜4万円引かれてかつかつじゃないわけないやないですか?」
搾り出すようにして溢してしまってから「しまった」と思ったけれど。
堰を切ったように思ってることは口からこぼれていく。
「本当は何も考えずに、すぐにでも辞めてしまいたいです。
金銭的に辛い以上に精神的にあそこにいるのは辛いから」
そんなことは今改めて言わなくても、竜樹さんだって重々承知してる。
この会社に入ったときから、いろいろされたことは随分昔から話していたんだから。
目を閉じて、少し苦しそうに考える竜樹さん。
その表情を見て、これ以上何も言わないほうがいいってことは判りきってただろうに、言葉は零れ落ちつづける。
ひとしきり溢してしまった後、
「俺は今日は送ってやれへんから、そろそろ帰る用意しぃや?」
搾り出すように竜樹さんは言った。
その言葉が出るまでに、竜樹さんがどんな思いで私の言葉を聞いてたかなんて、少し思い巡らせば判ったことなのに。
一言謝ればよかったのか、前向きな笑顔ひとつあればよかったのか。
だけど、それすら捻り出す余裕は私もなかった。
「来ぉへんかったらよかったね」
言わなきゃいい言葉をまたひとつ。
バスの時間には少し遠かったけれど、竜樹邸から出てしまいたかった。
黙々と帰る準備をする私に竜樹さんは袋いっぱいのアーモンドチョコを渡してくれた。
そして、また静かにお布団に戻っていった。
涙が出そうだった。
せっかく元気を取り戻せるはずの時間が、元気を渡せるはずの時間が、
余裕がないというだけの理由で悲しい時間に変わってしまった。
余裕さえあれば、竜樹さんを傷つけずに済んだんだろうか?
余裕さえあれば、自分自身もまた傷つかずに済んだんだろうか?
幸せの鍵を壊すのは、いつでも余裕のなさ。
自分自身の無力さ加減に他ならないのかもしれない。
連絡がつかない時はどういう時かは判り切ってるから、電話やメールで追いかけ倒す気にはならないけれど。
「連絡がつかない」時がどんな状態であるかが判るからこそ、気になることだってある。
…どうかこれ以上、痛みがひどくなりませんように
そっと願って家を出た。
身体からやる気が失せてることを象徴してるかのように、会社に入るのが少し遅れてしまった。
慌てて席につくと、噛み付くように鳴り響く電話と相変わらず理不尽な押し付けに苛まれる。
「彼のことがなかったら、もう少し自分の動きたいように動けるのにね?」
誕生日の日に連絡をくれた友達が言った言葉が頭を掠める。
…別に、竜樹さんのためにこの会社にいてるわけじゃないよ?
けれど、彼女が言ってることが完全に間違ってる訳でないことも判ってる。
昔のように、自分のことだけ見つめて自分のやりたいようにやれなくなってるってことは正しいと思うから。
この状態がいいのか悪いのかなんて判るわけがない。
ただ判ってることは、投げ出さずにいることと引き換えに手放たくないものがあるうちは、歩きつづけるしかないってことだけ。
それでも、「ここ」にいつづけるために、いろんなことを我慢しつづけることが本当に最良の方法だとも思ってはいないのだけど。
すっきりしない心を抱えたまま、気が付くと昼休みを迎えていた。
ふとした世間話の流れで、自分の頂いてる給料に不満をもってることをさらりと溢してしまった。
「(ただでさえ低く抑えられた給料から)さらに減ってしまったから、独立するのがまた遠のいちゃいましたぁ〜」
それに、ボスはさらりと一言。
「それは独立しようという気がないからやで。独立したかったら、金持ってるええ男、捕まえやぁ」
…「人の事情も知らんと」と怒る気にはならなかった。
私の事情なんてボスに話す必要はないし、知ったところでそんなことはボスの預かり知らないこと。
さらりと話して、さらりと流れること自体は傷を深めなくてよかったのかもしれない。
けれど、「これがお前の価値なんだ」と暗に言われたような気がしてがくんと疲れはしたけれど。
ふと携帯を見ると、携帯の電池がなくなりかけてることに気が付いた。
何となくそのまま携帯の電源を切り、昼からの仕事に入る。
昼からもまた噛み付くように鳴り響く電話と容赦なく降ってくる仕事の処理に追われた。
終業時間30分前になって、何となく携帯が気になって電源を入れてみた。
ほどなく、携帯にメールがひとつ。
「今日もかなりしんどくて(T_T)
迎えに行かれへんけど、来てくれる?用事なかったら」
…そんなもの、行くに決まってるじゃないですか?
程よく片付け始めた仕事を景気よく片付けきって、会社を飛び出す。
自転車飛ばして駅に着いてから、メールをひとつ。
「用事なんてないから、これから行きます。待っててね♪」
ホームに滑り込んできた電車に乗り込む。
程なく、バスの時間と共に「さんきゅう!(^○^)」というメールがひとつ。
張り切って移動する。
ただ、気持ちとは裏腹に疲れはピークのようで。
電車に乗っていても、バスに乗っていても意識を繋ぐのがやっと。
それは座席に座ってようが立ってようが関係なくて、ゆらゆらしながら移動を続ける。
ただ、しんどい時に私のことを思い出してくれることが嬉しかった。
竜樹邸に入ると、竜樹さんはよほどしんどいのか、お布団から出て来れずにいてる。
暫く竜樹さんの傍にいて少しばかり話をしていると、
「霄ぁ、今日も朝から何も食べてへんねん(・・、)」
本当に辛そうに仰るので、急いで台所に立つ。
竜樹さんのリクエストで、備蓄のハンバーグを焼き、水菜のサラダを添えて出すことに。
ハンバーグを焼き、水菜のサラダを作ってお皿に乗せようとすると、ハンバーグの乗ったお皿がない。
…ハンバーグの乗ったお皿は、いつのまにか食卓に移動していて、静かに竜樹さんに食べられていた。
他愛もない話をしながら食事を済ませ、薬を飲んだ竜樹さんはまた横になる。
私は黙々と後片付けをする。
後片付けを終え、竜樹さんの傍にちょこんと座った時。
竜樹さんから会社のことについて訊かれた。
残業代がつかなくなったことやもろもろで手取りが減ったことを随分土曜日にも溢したからだろう。
「今の給料やと、かつかつか?」
ただ一言、「そうでもないよ?上向きになるまで待つのは大丈夫。出来るから」と嘘でも笑えばよかったんだろうか?
自分の中から無理やりに笑顔を引きずり出せばそれでよかったんだろうか?
…でも、出来るわけなかったんだ
「元が水準よりも低いところで設定されてるのに、そこから3〜4万円引かれてかつかつじゃないわけないやないですか?」
搾り出すようにして溢してしまってから「しまった」と思ったけれど。
堰を切ったように思ってることは口からこぼれていく。
「本当は何も考えずに、すぐにでも辞めてしまいたいです。
金銭的に辛い以上に精神的にあそこにいるのは辛いから」
そんなことは今改めて言わなくても、竜樹さんだって重々承知してる。
この会社に入ったときから、いろいろされたことは随分昔から話していたんだから。
目を閉じて、少し苦しそうに考える竜樹さん。
その表情を見て、これ以上何も言わないほうがいいってことは判りきってただろうに、言葉は零れ落ちつづける。
ひとしきり溢してしまった後、
「俺は今日は送ってやれへんから、そろそろ帰る用意しぃや?」
搾り出すように竜樹さんは言った。
その言葉が出るまでに、竜樹さんがどんな思いで私の言葉を聞いてたかなんて、少し思い巡らせば判ったことなのに。
一言謝ればよかったのか、前向きな笑顔ひとつあればよかったのか。
だけど、それすら捻り出す余裕は私もなかった。
「来ぉへんかったらよかったね」
言わなきゃいい言葉をまたひとつ。
バスの時間には少し遠かったけれど、竜樹邸から出てしまいたかった。
黙々と帰る準備をする私に竜樹さんは袋いっぱいのアーモンドチョコを渡してくれた。
そして、また静かにお布団に戻っていった。
涙が出そうだった。
せっかく元気を取り戻せるはずの時間が、元気を渡せるはずの時間が、
余裕がないというだけの理由で悲しい時間に変わってしまった。
余裕さえあれば、竜樹さんを傷つけずに済んだんだろうか?
余裕さえあれば、自分自身もまた傷つかずに済んだんだろうか?
幸せの鍵を壊すのは、いつでも余裕のなさ。
自分自身の無力さ加減に他ならないのかもしれない。
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笑顔の素
2002年2月23日今日は早起きして、早く竜樹邸に向かう予定だった。
昨日別れ際にもそう約束したから、目覚ましかけて早く寝たのに、目が覚めたら11時半。
しかも、頭が酷く痛む。
…またかよぉ(TヘT)
平日は別の意味で頭が痛むけれど、それでも週末になれば竜樹さんに逢えるんだからと自分に言い聞かせてよたよた頑張ってるのに、本当に頑張らないといけない時になるといつも頭痛の嵐。
気持ちを奮い立たせようと、日記帳に上がって散文を書いて薬を飲んで家を出ようとしたら。
…お客さま。何だってこんなときにやってくるんですか?ヽ(`⌒´)ノ
頭痛が酷かったのもあったけれど、何となく竜樹さんに申し訳なく思ったので電話してお伺いを立てた。
「お客が来たとかそんなん関係ないやん?今日は天気ええし、おいでや?」
その言葉に背中を押されて家を出た。
歩く度に振動で頭が痛むけれど、めげずにがつがつ坂道を下っていく。
電車に乗ってもすごい人で、人酔いしそうだけれど。
それでも竜樹さんに逢えるなら、それでいいのだと思って気にせずに重い荷物を提げたままじっとしてる。
電車を乗り換え、改札を出て、いつものように竜樹邸に向かうバス停の前のスーパーで買い物をしてからバスに乗り、よたよたと竜樹邸に辿り着く。
「…よぉ来てくれたなぁ(*^_^*)」
竜樹さんも少し疲れの色が見えるけれど、相変わらずほにゃっとした笑顔は柔らかい。
2階に上がって、ベタの赤ちゃんを眺めながら雑談。
暫くすると、竜樹氏。
「…朝から何も食べてへんねん。何か作ってくれへんかぁ(・・、)」
…そういうことは、もっと早く言いましょうよ?竜樹さぁん(^-^;
ひとりことことと階段を降り、パスタを作る。
玉ねぎをスライスして炒め、そこに合挽き肉を投入、塩コショウで炒める。
ひき肉の色が変わったらホールトマトと缶1杯分の水とコンソメキューブを入れ、トマトを潰しながらしばらく煮る。
パスタを茹でながら、乱切りにしたキャベツをざるに入れて湯通しし、湯通ししたキャベツはトマトソースの鍋に入れる。
茹で上がったパスタの上に、トマトソースをかけ、パルミジャーノ・レッジャーノ(硬質のチーズ)を摩り下ろしてパスタの上にかけて完成の予定が…
「霄ちゃぁん、ちょっと鍋の相手やめて、俺の相手して欲しいな♪」
…パスタを茹でようとしかけた時、降りてきた竜樹さんにちゃちゃを入れられて、料理を中断する羽目になってしまった(//^//)ゞ
竜樹さんのじゃれっこ欲求を満たしたあと、予定より少しばかり遅れて出来たパスタを竜樹さんは喜んで食べてくれた。
どうやら、ミートソースにキャベツが入ったのがお気に召したようで、1.5人前くらい入れたはずのお皿はキレイに空になっていた。
そして、また甘えた竜樹さんを甘やかす。
暫くすると少し疲れたようで眠ってしまわれたので、後片付けを済ませ今度は夕飯の用意にかかる。
今日の夕飯は、蕎麦屋のカレーを目指した豚バラ肉のカレー(笑)
先週、竜樹さんと話してる時に出た疑問。
「どうして蕎麦屋のカレーは美味いって言われるんだろうか?」
…ちなみに竜樹さんは「蕎麦屋のカレーは美味い」と言われてることすら知らなかった模様。
で、「次週は蕎麦屋のカレーを再現してみますね」と話していたんだ。
私自身、蕎麦屋でカレーを食べたことがなかったので、「蕎麦屋のカレー」についてあれこれと調べてみたけれど、どれを見ても蕎麦屋のカレーがどんなものなのかの詳細については明らかになっていない。
…判ったことは、どうやら学校給食のカレーにだしが利いたようなものだということ(爆)
そんな話を竜樹さんが寝る前にしたところ、
「学校給食のカレーはいやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁっヽ(`⌒´)ノ」と仰るので、だしの利いたというだけのカレーを作ることに。
昆布とカツオで合わせだしを取り、丁度何週か前に竜樹さんのお母さんから頂いた圧力鍋に移しておく。
豚の三枚肉を一口大に切り、フライパンで表面を焦げ目が付くまで焼き、一口大に切ったジャガイモとにんじん、玉ねぎと一緒に圧力鍋に入れて、30分煮る。
鍋の圧力を抜いた後、カレールーを入れて仕上げて完成。
料理を始めたのが18時半を過ぎていたため「どうなることか…」と思ったけれど、圧力鍋のお陰で大幅に時間が短縮できた。
煮ている間にも後片付けや水汲みも出来て、時間が有効に使えたのもありがたい。
何より、私が料理をしている間、竜樹さんが一人の時間を持て余すことなく、十分に睡眠が取れていたことがありがたかった。
カレールーを入れて、とろみや味を調え始めた頃、竜樹さんがむくっと起き出してきた。
「…ええにおい、してるやんか?(*^_^*)」
嬉しそうによってきて、味を調える手伝いをしてくれる。
竜樹さんに手伝ってもらってる間に、水菜のサラダ(水菜を洗って4等分の長さに切りボウルに盛るだけ。あとはトマトを飾りに添え、和風ドレッシングをかける)も作ってしまえた。
ようやっとご飯の用意が出来たと思ったら、竜樹さんは水菜のサラダのボウルをひとつと、出来上がったカレーを小鍋に入れている。
「何をするのかな?」と思っていたら、ご実家に差し入れするとか( ̄○ ̄;)!
「そんなものを持っていくのは、やめましょーよー」
「かまへんよ。美味しく出来てるねんから(*^_^*)」
そう言って、とっととご実家に持っていってしまった。
程なくご実家から炊き立てご飯を持って竜樹さんが戻ってくる。
食卓にご飯をセッティングして、
「いただきます♪(*^_^*)」
「美味い♪o(^-^o)o(^-^)o(o^-^)o」
食べてみるとあまり辛くなくて、正直「ちと物足りないかな?」と思ったけれど。
極端に辛いものが苦手な竜樹さんには程よい辛さだったらしい。
「これやったら、親父もお袋もちゃんと食べられるわ(*^_^*)」
終始、ご機嫌さんな竜樹さんを見て、ほっとする。
途中、竜樹さんは端休めにと(何故か)「特製納豆」を作ってくれる。
納豆にちりめんじゃこを入れるっていう発想がなかった私にはかなりびっくりな食べ物だったけれど、これまたとても美味しかった。
私もご機嫌さんで洗い物も片付けも済ませることが出来た。
体調が悪くても何であっても、竜樹さんの笑顔に触れられさえすれば、また歩き出せる。
竜樹さんにいろんなものを分け与えられながら、私はまた平日の海を泳いでいく。
もしも、竜樹さんの笑顔の素を私が差し出せてるなら、それが私の笑顔の素になる。
互いに笑顔を分け合いながら生きていられるうちは、きっと何があっても大丈夫なんだろうね?
いつも笑顔の素をくれてありがとう。
いつでも私はあなたの笑顔の素でありたいって思ってるよ?
昨日別れ際にもそう約束したから、目覚ましかけて早く寝たのに、目が覚めたら11時半。
しかも、頭が酷く痛む。
…またかよぉ(TヘT)
平日は別の意味で頭が痛むけれど、それでも週末になれば竜樹さんに逢えるんだからと自分に言い聞かせてよたよた頑張ってるのに、本当に頑張らないといけない時になるといつも頭痛の嵐。
気持ちを奮い立たせようと、日記帳に上がって散文を書いて薬を飲んで家を出ようとしたら。
…お客さま。何だってこんなときにやってくるんですか?ヽ(`⌒´)ノ
頭痛が酷かったのもあったけれど、何となく竜樹さんに申し訳なく思ったので電話してお伺いを立てた。
「お客が来たとかそんなん関係ないやん?今日は天気ええし、おいでや?」
その言葉に背中を押されて家を出た。
歩く度に振動で頭が痛むけれど、めげずにがつがつ坂道を下っていく。
電車に乗ってもすごい人で、人酔いしそうだけれど。
それでも竜樹さんに逢えるなら、それでいいのだと思って気にせずに重い荷物を提げたままじっとしてる。
電車を乗り換え、改札を出て、いつものように竜樹邸に向かうバス停の前のスーパーで買い物をしてからバスに乗り、よたよたと竜樹邸に辿り着く。
「…よぉ来てくれたなぁ(*^_^*)」
竜樹さんも少し疲れの色が見えるけれど、相変わらずほにゃっとした笑顔は柔らかい。
2階に上がって、ベタの赤ちゃんを眺めながら雑談。
暫くすると、竜樹氏。
「…朝から何も食べてへんねん。何か作ってくれへんかぁ(・・、)」
…そういうことは、もっと早く言いましょうよ?竜樹さぁん(^-^;
ひとりことことと階段を降り、パスタを作る。
玉ねぎをスライスして炒め、そこに合挽き肉を投入、塩コショウで炒める。
ひき肉の色が変わったらホールトマトと缶1杯分の水とコンソメキューブを入れ、トマトを潰しながらしばらく煮る。
パスタを茹でながら、乱切りにしたキャベツをざるに入れて湯通しし、湯通ししたキャベツはトマトソースの鍋に入れる。
茹で上がったパスタの上に、トマトソースをかけ、パルミジャーノ・レッジャーノ(硬質のチーズ)を摩り下ろしてパスタの上にかけて完成の予定が…
「霄ちゃぁん、ちょっと鍋の相手やめて、俺の相手して欲しいな♪」
…パスタを茹でようとしかけた時、降りてきた竜樹さんにちゃちゃを入れられて、料理を中断する羽目になってしまった(//^//)ゞ
竜樹さんのじゃれっこ欲求を満たしたあと、予定より少しばかり遅れて出来たパスタを竜樹さんは喜んで食べてくれた。
どうやら、ミートソースにキャベツが入ったのがお気に召したようで、1.5人前くらい入れたはずのお皿はキレイに空になっていた。
そして、また甘えた竜樹さんを甘やかす。
暫くすると少し疲れたようで眠ってしまわれたので、後片付けを済ませ今度は夕飯の用意にかかる。
今日の夕飯は、蕎麦屋のカレーを目指した豚バラ肉のカレー(笑)
先週、竜樹さんと話してる時に出た疑問。
「どうして蕎麦屋のカレーは美味いって言われるんだろうか?」
…ちなみに竜樹さんは「蕎麦屋のカレーは美味い」と言われてることすら知らなかった模様。
で、「次週は蕎麦屋のカレーを再現してみますね」と話していたんだ。
私自身、蕎麦屋でカレーを食べたことがなかったので、「蕎麦屋のカレー」についてあれこれと調べてみたけれど、どれを見ても蕎麦屋のカレーがどんなものなのかの詳細については明らかになっていない。
…判ったことは、どうやら学校給食のカレーにだしが利いたようなものだということ(爆)
そんな話を竜樹さんが寝る前にしたところ、
「学校給食のカレーはいやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁっヽ(`⌒´)ノ」と仰るので、だしの利いたというだけのカレーを作ることに。
昆布とカツオで合わせだしを取り、丁度何週か前に竜樹さんのお母さんから頂いた圧力鍋に移しておく。
豚の三枚肉を一口大に切り、フライパンで表面を焦げ目が付くまで焼き、一口大に切ったジャガイモとにんじん、玉ねぎと一緒に圧力鍋に入れて、30分煮る。
鍋の圧力を抜いた後、カレールーを入れて仕上げて完成。
料理を始めたのが18時半を過ぎていたため「どうなることか…」と思ったけれど、圧力鍋のお陰で大幅に時間が短縮できた。
煮ている間にも後片付けや水汲みも出来て、時間が有効に使えたのもありがたい。
何より、私が料理をしている間、竜樹さんが一人の時間を持て余すことなく、十分に睡眠が取れていたことがありがたかった。
カレールーを入れて、とろみや味を調え始めた頃、竜樹さんがむくっと起き出してきた。
「…ええにおい、してるやんか?(*^_^*)」
嬉しそうによってきて、味を調える手伝いをしてくれる。
竜樹さんに手伝ってもらってる間に、水菜のサラダ(水菜を洗って4等分の長さに切りボウルに盛るだけ。あとはトマトを飾りに添え、和風ドレッシングをかける)も作ってしまえた。
ようやっとご飯の用意が出来たと思ったら、竜樹さんは水菜のサラダのボウルをひとつと、出来上がったカレーを小鍋に入れている。
「何をするのかな?」と思っていたら、ご実家に差し入れするとか( ̄○ ̄;)!
「そんなものを持っていくのは、やめましょーよー」
「かまへんよ。美味しく出来てるねんから(*^_^*)」
そう言って、とっととご実家に持っていってしまった。
程なくご実家から炊き立てご飯を持って竜樹さんが戻ってくる。
食卓にご飯をセッティングして、
「いただきます♪(*^_^*)」
「美味い♪o(^-^o)o(^-^)o(o^-^)o」
食べてみるとあまり辛くなくて、正直「ちと物足りないかな?」と思ったけれど。
極端に辛いものが苦手な竜樹さんには程よい辛さだったらしい。
「これやったら、親父もお袋もちゃんと食べられるわ(*^_^*)」
終始、ご機嫌さんな竜樹さんを見て、ほっとする。
途中、竜樹さんは端休めにと(何故か)「特製納豆」を作ってくれる。
納豆にちりめんじゃこを入れるっていう発想がなかった私にはかなりびっくりな食べ物だったけれど、これまたとても美味しかった。
私もご機嫌さんで洗い物も片付けも済ませることが出来た。
体調が悪くても何であっても、竜樹さんの笑顔に触れられさえすれば、また歩き出せる。
竜樹さんにいろんなものを分け与えられながら、私はまた平日の海を泳いでいく。
もしも、竜樹さんの笑顔の素を私が差し出せてるなら、それが私の笑顔の素になる。
互いに笑顔を分け合いながら生きていられるうちは、きっと何があっても大丈夫なんだろうね?
いつも笑顔の素をくれてありがとう。
いつでも私はあなたの笑顔の素でありたいって思ってるよ?
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やるせないのは…
2002年2月21日あなたのSOSを感じ取る能力が弱いこと。
あなたが辛い時に即効性のあるものを、何一つ提示できないこと。
ただ「好き」でいるしかできないこと。
…何より。
あなたの身体の痛みだけでなく、心に宿る悲しみすら取り除けない、
私自身の無力さ加減。
ごめんなさい。
傍にいたいと願うしか出来ない無力な私でしかなくて、
ごめんなさい。
あなたが辛い時に即効性のあるものを、何一つ提示できないこと。
ただ「好き」でいるしかできないこと。
…何より。
あなたの身体の痛みだけでなく、心に宿る悲しみすら取り除けない、
私自身の無力さ加減。
ごめんなさい。
傍にいたいと願うしか出来ない無力な私でしかなくて、
ごめんなさい。
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White Birthday
2002年2月19日誕生日の朝がきた。
妙に冷え込むので布団から出るのに勇気が要ったけれど、思い切って抜け出して雨戸を開けると…
眼下に広がる家々の屋根が真っ白だった。
おまけに空から雪が舞い降りている。
…「生まれた日」の再現やねぇ
尤も本当に再現されてしまったら、会社に行ったはいいけれど家には帰ってこれない。
「困ったな…」と思いつつ遅れてる日記を書いて、いつもよりも早めに外に出る。
雪は道路に積もりこそはしていないけれど、日陰のところは微妙にアスファルトの光り方が違う。
…今日は早く帰ってこないとダメかぁ(T^T)
せっかくのお誕生日だから、ちょっとくらいのお出かけはしたいのにと思いながら、舞い降りる雪を眺めていた。
私が生まれた日と同じ光景を眺めながら、新しい年齢を迎えることに少しばかりの不思議を感じながら…
いつものように朝メールを飛ばす準備を始めると、携帯にメールがひとつ。
開けてみると、妹からだった。
彼女が金岡邸にいてる時はあれほど仲が悪かったのに、ちゃんと思い出してくれるんだなぁと思うと心が暖かくなる。
…けれど、相変わらず考えさせられる質問をしてくるなぁ、妹君(^-^;
「去年はどんな一年だった?」
確か、去年もそんなことを聞かれたような気がする。
竜樹さんとのこと、そしてそれ以外のこと。
いろいろと思いを廻らせながら、社屋に入る。
今日もまた昨日と同様、どことなく社内の空気は尖っていて、しんどい。
電話が噛み付くように鳴り響くのも同じ。
親会社の理不尽な押し付けと、理不尽なまでに連携の取れてない社内の人々。
眺めてるだけでもうんざりなのに、そこにぼぉんと放り込まれて8時間半を過ごすのは苦痛に他ならないけれど。
その苦痛をどう脱却するのか、脱却できるまでに何を必要としてどうやって血路を開くのか。
竜樹さんの体調のことも慮りながら、考えるべきときに来たのだけは間違いない。
それは昨日も思ったことだけれど。
もしも、前の年齢の私の一年について妹に説明するとしたら。
「いいことも悪いこともそれ相応にあって、いつもそれに対しては力は及ばないけれど自分の100で臨むようにしてきたつもり。
気持ちではやらないといけないことを模索しながら一人でばたばたともがいているけれど、
傍からはぼんにゃり過ごしていたようにしか見えてなかっただろう1年だったよ」
情けないたぁ思うけれど、今の時点ではそう答えるしかない。
次の1年に挑んでいくに当たって、もしも話さなければならないならば。
「『自分がなれるものの中での一番』をきちんと手に入れられるよに、足りないものが何かを考えてそれを補いながら、機嫌のいい結果を手に入れたい。
後は、能天気なようだけれど、日々の中で楽しめることをもっともっと増やしたいと思う」
こう彼女に答えて、彼女からどんなコメントが飛び出すか、楽しみなような怖いような…
時折、心に浮かぶ言葉を記憶に少しばかり留める努力をしつつ、業務に追われて午前中を終える。
昼休みに入っても、業務用の雑用と本当の雑用をしてるうちに昼休みの半分が消えてなくなっていた。
やっとのことでお昼ご飯を食べ始めたとき、机の上の携帯が踊る。
そこには、バースデイメールがまたひとつ(*^_^*)
…自分が生まれた日に自分のことを一瞬でも思い出してくれる誰かがいてくれるのって嬉しいね?
昨日の夜からずっとそう思っていた。
本当にありがたいことだ。
ご飯を食べて後片付けを済ませ、息抜きのために踊場に出る。
小さな窓から見える空は雪の降る頃の鈍色からパステルブルーに変わっていた。
いつもは辛い冬の寒さが、この時は何故か心地よかった。
少しばかり気分をよくして、また仕事に戻る。
…案の定、ヒステリックに仕事は舞い込むけれど(-_-;)
ボスが少しばかり元気を取り戻して、けったいなちゃちゃを入れられるところまで戻ってきてくれてはったのが唯一の救い。
+竜樹さんに貰ったものに囲まれてどうにか仕事をこなす。
外に出ると、吹く風は胸を刺すよう。
ほんの少しだけ、「竜樹さんに逢えるかも?」と思ってた部分もあったけれど、この寒さじゃ絶対無理。
しょぼーんとしながらよろよろ自転車をこぎ、久し振りに寄り道大会に出ることにした。
…路面凍結してしまったら、家に帰れなくなるかもしれないのに。
そう思わなかったわけじゃないけど、何となく寄り道したくなったから。
電車に乗って街に出て、CD屋で新譜を予約したり、DVDを眺めたり。
何をするわけでもなくただ散策しただけだったけれど、それはそれでいい気分転換になった。
…それでも、竜樹さんが隣にいてくれてたらなぁとは思ったけれど(しつこい)
さすがにこの年齢になって、バースデイケーキなんて用意されてないだろうと思ったので、自分でケーキを3つ購入。
電車に乗ってよろよろと家に帰る。
…そしたら、金岡母がケーキを買っていてくれた。
しかも、かわいらしい鞄も貰った(^ー^)v
それを喜んでる横で、金岡父が冷たい一言。
「あれ?今日、誕生日やったんか?」
…暖かいお言葉をありがとう、金岡父(ー_ーメ)
ケーキを食べ、自室に戻ると東京の友達から電話が入った。
向こうの電話機の調子が悪くて、本当に話し出すまでに何度かかかってきては切れかかってきては切れを繰り返したけれど…
久し振りにいい意味での昔に返れた気がして、心が安らいだ気がする。
…と言っても、近況報告と今後の予定と日常話をしただけなんだけどね(^-^;
それぞれの道に進んでいく中で忘れていくことも多いだろうし、忘れていく人も多いだろうと思うけれど。
この日に私が生まれたことを覚えていてくれて、ありがとう。
電話を切ってメールチェックをすると、これまた大好きな友達からメールがひとつ。
なんと日付が変わる1分前に受信してた\(◎o◎)/!
一日の終わる寸前に思い出してくれてありがとうm(__)m
結局、竜樹さんからは連絡はなかったし、私も敢えて連絡は入れなかったけれど。
それを寂しいと思わなかったわけではないけれど。
誕生日だから触れられる、大切な人の暖かさを改めて実感するにはこれでよかったのかもしんない。
真っ白い雪が舞い降りて始まった誕生日。
いろんなことに塗れていくうちにその白さは徐々に失われていくものだけれど。
せめて、素直に心暖められることに対して嬉しいと思えるだけの白い部分は残しておきたいなと思う。
ありがとう。
ただ生まれてきたことを喜んでくれて、ありがとう。
妙に冷え込むので布団から出るのに勇気が要ったけれど、思い切って抜け出して雨戸を開けると…
眼下に広がる家々の屋根が真っ白だった。
おまけに空から雪が舞い降りている。
…「生まれた日」の再現やねぇ
尤も本当に再現されてしまったら、会社に行ったはいいけれど家には帰ってこれない。
「困ったな…」と思いつつ遅れてる日記を書いて、いつもよりも早めに外に出る。
雪は道路に積もりこそはしていないけれど、日陰のところは微妙にアスファルトの光り方が違う。
…今日は早く帰ってこないとダメかぁ(T^T)
せっかくのお誕生日だから、ちょっとくらいのお出かけはしたいのにと思いながら、舞い降りる雪を眺めていた。
私が生まれた日と同じ光景を眺めながら、新しい年齢を迎えることに少しばかりの不思議を感じながら…
いつものように朝メールを飛ばす準備を始めると、携帯にメールがひとつ。
開けてみると、妹からだった。
彼女が金岡邸にいてる時はあれほど仲が悪かったのに、ちゃんと思い出してくれるんだなぁと思うと心が暖かくなる。
…けれど、相変わらず考えさせられる質問をしてくるなぁ、妹君(^-^;
「去年はどんな一年だった?」
確か、去年もそんなことを聞かれたような気がする。
竜樹さんとのこと、そしてそれ以外のこと。
いろいろと思いを廻らせながら、社屋に入る。
今日もまた昨日と同様、どことなく社内の空気は尖っていて、しんどい。
電話が噛み付くように鳴り響くのも同じ。
親会社の理不尽な押し付けと、理不尽なまでに連携の取れてない社内の人々。
眺めてるだけでもうんざりなのに、そこにぼぉんと放り込まれて8時間半を過ごすのは苦痛に他ならないけれど。
その苦痛をどう脱却するのか、脱却できるまでに何を必要としてどうやって血路を開くのか。
竜樹さんの体調のことも慮りながら、考えるべきときに来たのだけは間違いない。
それは昨日も思ったことだけれど。
もしも、前の年齢の私の一年について妹に説明するとしたら。
「いいことも悪いこともそれ相応にあって、いつもそれに対しては力は及ばないけれど自分の100で臨むようにしてきたつもり。
気持ちではやらないといけないことを模索しながら一人でばたばたともがいているけれど、
傍からはぼんにゃり過ごしていたようにしか見えてなかっただろう1年だったよ」
情けないたぁ思うけれど、今の時点ではそう答えるしかない。
次の1年に挑んでいくに当たって、もしも話さなければならないならば。
「『自分がなれるものの中での一番』をきちんと手に入れられるよに、足りないものが何かを考えてそれを補いながら、機嫌のいい結果を手に入れたい。
後は、能天気なようだけれど、日々の中で楽しめることをもっともっと増やしたいと思う」
こう彼女に答えて、彼女からどんなコメントが飛び出すか、楽しみなような怖いような…
時折、心に浮かぶ言葉を記憶に少しばかり留める努力をしつつ、業務に追われて午前中を終える。
昼休みに入っても、業務用の雑用と本当の雑用をしてるうちに昼休みの半分が消えてなくなっていた。
やっとのことでお昼ご飯を食べ始めたとき、机の上の携帯が踊る。
そこには、バースデイメールがまたひとつ(*^_^*)
…自分が生まれた日に自分のことを一瞬でも思い出してくれる誰かがいてくれるのって嬉しいね?
昨日の夜からずっとそう思っていた。
本当にありがたいことだ。
ご飯を食べて後片付けを済ませ、息抜きのために踊場に出る。
小さな窓から見える空は雪の降る頃の鈍色からパステルブルーに変わっていた。
いつもは辛い冬の寒さが、この時は何故か心地よかった。
少しばかり気分をよくして、また仕事に戻る。
…案の定、ヒステリックに仕事は舞い込むけれど(-_-;)
ボスが少しばかり元気を取り戻して、けったいなちゃちゃを入れられるところまで戻ってきてくれてはったのが唯一の救い。
+竜樹さんに貰ったものに囲まれてどうにか仕事をこなす。
外に出ると、吹く風は胸を刺すよう。
ほんの少しだけ、「竜樹さんに逢えるかも?」と思ってた部分もあったけれど、この寒さじゃ絶対無理。
しょぼーんとしながらよろよろ自転車をこぎ、久し振りに寄り道大会に出ることにした。
…路面凍結してしまったら、家に帰れなくなるかもしれないのに。
そう思わなかったわけじゃないけど、何となく寄り道したくなったから。
電車に乗って街に出て、CD屋で新譜を予約したり、DVDを眺めたり。
何をするわけでもなくただ散策しただけだったけれど、それはそれでいい気分転換になった。
…それでも、竜樹さんが隣にいてくれてたらなぁとは思ったけれど(しつこい)
さすがにこの年齢になって、バースデイケーキなんて用意されてないだろうと思ったので、自分でケーキを3つ購入。
電車に乗ってよろよろと家に帰る。
…そしたら、金岡母がケーキを買っていてくれた。
しかも、かわいらしい鞄も貰った(^ー^)v
それを喜んでる横で、金岡父が冷たい一言。
「あれ?今日、誕生日やったんか?」
…暖かいお言葉をありがとう、金岡父(ー_ーメ)
ケーキを食べ、自室に戻ると東京の友達から電話が入った。
向こうの電話機の調子が悪くて、本当に話し出すまでに何度かかかってきては切れかかってきては切れを繰り返したけれど…
久し振りにいい意味での昔に返れた気がして、心が安らいだ気がする。
…と言っても、近況報告と今後の予定と日常話をしただけなんだけどね(^-^;
それぞれの道に進んでいく中で忘れていくことも多いだろうし、忘れていく人も多いだろうと思うけれど。
この日に私が生まれたことを覚えていてくれて、ありがとう。
電話を切ってメールチェックをすると、これまた大好きな友達からメールがひとつ。
なんと日付が変わる1分前に受信してた\(◎o◎)/!
一日の終わる寸前に思い出してくれてありがとうm(__)m
結局、竜樹さんからは連絡はなかったし、私も敢えて連絡は入れなかったけれど。
それを寂しいと思わなかったわけではないけれど。
誕生日だから触れられる、大切な人の暖かさを改めて実感するにはこれでよかったのかもしんない。
真っ白い雪が舞い降りて始まった誕生日。
いろんなことに塗れていくうちにその白さは徐々に失われていくものだけれど。
せめて、素直に心暖められることに対して嬉しいと思えるだけの白い部分は残しておきたいなと思う。
ありがとう。
ただ生まれてきたことを喜んでくれて、ありがとう。
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新しい年齢を迎える前に…
2002年2月18日明日は誕生日。
去年の誕生日の前日は何をしてたのだろうと過去の日記を遡ってみると、この日の記述だけがキレイにない(-_-;)
確か去年の今日は日曜日で、翌日は会社を休んで竜樹さんとお誕生日デートをしたから。
多分この日は竜樹さんに会ってないんだと思う。
書き留めておくことが何もなかったのか、それとも書き留めるのが嫌でたまらなかったのか。
それともうっかり書き忘れてしまったのか。
全然、思い出せない。
去年の終わりくらいから長いトンネル状態に入ってしまってて、「日記を書くことを忘れるほどに幸せな日々を送れるなら、その方がずっといいや」とかって思っていたけれど。
いいことがあったのか、悪いことがあったのか。
その日自分が何を考えていたのか。
しょうもないことしか考えてない日ですら、自分の気持ちを書き留めておくってことは結構大事だったんだなぁって改めて思う。
ここで竜樹さんへの想いと日々の自分の気持ちを綴り始めて、もうすぐ2度目の誕生日を迎える。
最初は調子がよかった日記帳も最近では、メッセージのお返事はおろか、日記本文もストップかけてしまうほどくたっていた。
時々、過去の日記の下書きの残骸を見つけては、「この頃の方がよっぽど体力的にしんどかったのに、何で今よりいろんなことをこなしてたんだろう?」と首を捻ったりするけれど。
「こんな時もたまにはありなんだろう?」
今になって、やっとそんな風に思えるようになった気がする。
そう思うことを許してやるだけでも、見える景色はまた違ってくるのだろうと思うから。
来るべき時がきたら、きちんと動けるだけの力を蓄えながら…
心晴れやかになるような出来事を重ねながら、浮上の時を待とうかなと思う。
今日の会社はどこもかしこも空気が尖った感じがして、とても落ち着けるような状態ではなかった。
竜樹さんから貰ったものを身につけ、机の横には竜樹さんから貰ったポットを置いて、気分が滅入りそうになったら貰った水を飲んでいた。
それくらいがちがちに「竜樹さん」に守られなければ、仕事も進められない自分に少々情けなさは覚えるけれど。
本当に来年の今頃には、違うところにいられたらと思う。
そのために何が必要で、何をすればいいのかも考えなければならないのだろうけれど。
竜樹さんの体調が今よりよくなるかどうかで、この会社にいる期間もまた変わってくる。
竜樹さんの体調が不安定な状態が長く続けば、割と自由に休みが取れるこの会社に留まる必要がある
逆に、今よりよくなればここにしがみつかなければならない理由はぐっと少なくなる。
けれど、何よりも。
自分のことはともかく、竜樹さんの笑顔が増えることが私には一番大切だから。
竜樹さんの健康状態がよくなることを祈りながら、仕事を進める。
社内の雰囲気は終始ぴりぴりと尖ったままだったけれど、仕事はたったか進んでいった。
定時に会社を出て、家路を急ぐ。
家に帰ると、金岡母が嬉しそうにしてる。
聞いてみると、穴子の佃煮を作ったらとてもおいしかったのだそう。
金岡母は料理は嫌いだけれど、上手に出来ると喜ぶ人。
彼女の料理には失敗がないから、こちらとしてもとてもありがたい。
とっとと部屋着に着替えて、リビングに降りる。
そして金岡母の言うとおり、穴子の佃煮をご飯に乗せて食べてみる。
…おいしい♪(*^_^*)
最近、家でおいしい料理が飛び出すと、咄嗟に作り方を聞く私。
竜樹邸で出すことを承知で、金岡母もたったか説明してくれる。
意に染まぬことを続けているくせに、未だにこの家に留まっている私に対して、なるべく尖った空気を作らないようにしてくれてることがありがたい。
それが、つかの間のことであったとしても…
今までは、この家を出てしまったら二度とは戻らないつもりでいた。
妹のところとあまりに対応が違ったことが、どうしても許せなかったから。
この家を出て、次に帰ってくるのは誰かの葬式の時か、下手を打つと一生音信不通にしてしまおうかと思ってたことすらあるけれど。
安直に切り捨てたり、理解されないことに対して簡単に諦める必要なんてないのかもしれない。
道が開ける可能性があるうちは、出来ることをすべてやればいいのかもしれない。
非常に根拠レスだと自分で自分を笑いそうになったけれど。
それもそれでいいかと思った。
珍しく、しなやかな強さを見つけた心がそこにあるような気がした。
後片付けを済ませ、いつもよりゆっくり目にお風呂に入って、自室に戻る。
…今日は冷え込んでるから、きっと竜樹さんの調子、悪いんだろうなぁ
会社を出たとき、刺すような冷たい向かい風を受けた瞬間、竜樹さんの体調が悪いだろうと判ってはいたけれど、気がついたら携帯を握り締めていた。
何コールかしても竜樹さんは出ないから、そのまま切って眠気に任せてぼけっとしてる。
暫くして「せめて一日分でも日記を書いてしまいたい」と思って、リビングにコーヒーを取りにいって戻ってきた途端、部屋の電話が鳴った。
…あ、竜樹さんだぁ(*^_^*)
慌てて机の上にコーヒーを置いて電話に出ると、しんどそうではあるけれどなるべく明るく話そうとする竜樹さんがいた。
「しんどいのに付き合わせてしまって申し訳ないなぁ」と思いながら、それでも一生懸命話そうとしてくれる竜樹さんに甘える形になってしまった。
「これだけ冷え込んだら、背中、痛む…よね?」
「そうやねん。なんかいつもよりも鈍い痛みが取れへんねん…」
痛み止めの注射を打つ間隔が詰まってきてることは私も竜樹さんも承知していて。
それをあまり繰り返すと骨に影響が出ると知ってるから、何とか注射に頼らないで痛みを軽くする方法はないのだろうかとちっさな脳みそで一生懸命考える。
…ふと、思いつくまま言葉を漏らしていた。
「竜樹さん、3月入ったら温泉にでも行きましょうか?
安くて近間で探せば、負担も少ないだろうし。
竜樹さんお風呂好きだから、気分転換にもなるだろうし…」
「そうやなぁ。この季節に2人で温泉に行くの、ええなぁ。
前の車よりも大きくなったから、多少距離があっても車で移動できるし。
安くてええ宿は最近増えてるから、用事が一段楽したら行こっか?」
叶うかどうか判らない約束を交わして、電話を切った。
気がつくと、日付が変わっていた。
日曜日に散々誕生日のお祝いをしてもらったと言うのに、一番最初の「おめでとう」は竜樹さんから欲しかったよなぁなんてのは贅沢極まりないだろうけれど。
新しい年齢を迎える前の日に、いろんなことに思いを巡らせたことを引き連れて、新しい年齢を生きよう。
そして、次に新しい年齢を迎えるときに、今よりももっとずっと「なりたい自分」であれるように、
竜樹さんの隣に立つことが自然な形として、あるように。
頑張りたいなぁと思う。
去年の誕生日の前日は何をしてたのだろうと過去の日記を遡ってみると、この日の記述だけがキレイにない(-_-;)
確か去年の今日は日曜日で、翌日は会社を休んで竜樹さんとお誕生日デートをしたから。
多分この日は竜樹さんに会ってないんだと思う。
書き留めておくことが何もなかったのか、それとも書き留めるのが嫌でたまらなかったのか。
それともうっかり書き忘れてしまったのか。
全然、思い出せない。
去年の終わりくらいから長いトンネル状態に入ってしまってて、「日記を書くことを忘れるほどに幸せな日々を送れるなら、その方がずっといいや」とかって思っていたけれど。
いいことがあったのか、悪いことがあったのか。
その日自分が何を考えていたのか。
しょうもないことしか考えてない日ですら、自分の気持ちを書き留めておくってことは結構大事だったんだなぁって改めて思う。
ここで竜樹さんへの想いと日々の自分の気持ちを綴り始めて、もうすぐ2度目の誕生日を迎える。
最初は調子がよかった日記帳も最近では、メッセージのお返事はおろか、日記本文もストップかけてしまうほどくたっていた。
時々、過去の日記の下書きの残骸を見つけては、「この頃の方がよっぽど体力的にしんどかったのに、何で今よりいろんなことをこなしてたんだろう?」と首を捻ったりするけれど。
「こんな時もたまにはありなんだろう?」
今になって、やっとそんな風に思えるようになった気がする。
そう思うことを許してやるだけでも、見える景色はまた違ってくるのだろうと思うから。
来るべき時がきたら、きちんと動けるだけの力を蓄えながら…
心晴れやかになるような出来事を重ねながら、浮上の時を待とうかなと思う。
今日の会社はどこもかしこも空気が尖った感じがして、とても落ち着けるような状態ではなかった。
竜樹さんから貰ったものを身につけ、机の横には竜樹さんから貰ったポットを置いて、気分が滅入りそうになったら貰った水を飲んでいた。
それくらいがちがちに「竜樹さん」に守られなければ、仕事も進められない自分に少々情けなさは覚えるけれど。
本当に来年の今頃には、違うところにいられたらと思う。
そのために何が必要で、何をすればいいのかも考えなければならないのだろうけれど。
竜樹さんの体調が今よりよくなるかどうかで、この会社にいる期間もまた変わってくる。
竜樹さんの体調が不安定な状態が長く続けば、割と自由に休みが取れるこの会社に留まる必要がある
逆に、今よりよくなればここにしがみつかなければならない理由はぐっと少なくなる。
けれど、何よりも。
自分のことはともかく、竜樹さんの笑顔が増えることが私には一番大切だから。
竜樹さんの健康状態がよくなることを祈りながら、仕事を進める。
社内の雰囲気は終始ぴりぴりと尖ったままだったけれど、仕事はたったか進んでいった。
定時に会社を出て、家路を急ぐ。
家に帰ると、金岡母が嬉しそうにしてる。
聞いてみると、穴子の佃煮を作ったらとてもおいしかったのだそう。
金岡母は料理は嫌いだけれど、上手に出来ると喜ぶ人。
彼女の料理には失敗がないから、こちらとしてもとてもありがたい。
とっとと部屋着に着替えて、リビングに降りる。
そして金岡母の言うとおり、穴子の佃煮をご飯に乗せて食べてみる。
…おいしい♪(*^_^*)
最近、家でおいしい料理が飛び出すと、咄嗟に作り方を聞く私。
竜樹邸で出すことを承知で、金岡母もたったか説明してくれる。
意に染まぬことを続けているくせに、未だにこの家に留まっている私に対して、なるべく尖った空気を作らないようにしてくれてることがありがたい。
それが、つかの間のことであったとしても…
今までは、この家を出てしまったら二度とは戻らないつもりでいた。
妹のところとあまりに対応が違ったことが、どうしても許せなかったから。
この家を出て、次に帰ってくるのは誰かの葬式の時か、下手を打つと一生音信不通にしてしまおうかと思ってたことすらあるけれど。
安直に切り捨てたり、理解されないことに対して簡単に諦める必要なんてないのかもしれない。
道が開ける可能性があるうちは、出来ることをすべてやればいいのかもしれない。
非常に根拠レスだと自分で自分を笑いそうになったけれど。
それもそれでいいかと思った。
珍しく、しなやかな強さを見つけた心がそこにあるような気がした。
後片付けを済ませ、いつもよりゆっくり目にお風呂に入って、自室に戻る。
…今日は冷え込んでるから、きっと竜樹さんの調子、悪いんだろうなぁ
会社を出たとき、刺すような冷たい向かい風を受けた瞬間、竜樹さんの体調が悪いだろうと判ってはいたけれど、気がついたら携帯を握り締めていた。
何コールかしても竜樹さんは出ないから、そのまま切って眠気に任せてぼけっとしてる。
暫くして「せめて一日分でも日記を書いてしまいたい」と思って、リビングにコーヒーを取りにいって戻ってきた途端、部屋の電話が鳴った。
…あ、竜樹さんだぁ(*^_^*)
慌てて机の上にコーヒーを置いて電話に出ると、しんどそうではあるけれどなるべく明るく話そうとする竜樹さんがいた。
「しんどいのに付き合わせてしまって申し訳ないなぁ」と思いながら、それでも一生懸命話そうとしてくれる竜樹さんに甘える形になってしまった。
「これだけ冷え込んだら、背中、痛む…よね?」
「そうやねん。なんかいつもよりも鈍い痛みが取れへんねん…」
痛み止めの注射を打つ間隔が詰まってきてることは私も竜樹さんも承知していて。
それをあまり繰り返すと骨に影響が出ると知ってるから、何とか注射に頼らないで痛みを軽くする方法はないのだろうかとちっさな脳みそで一生懸命考える。
…ふと、思いつくまま言葉を漏らしていた。
「竜樹さん、3月入ったら温泉にでも行きましょうか?
安くて近間で探せば、負担も少ないだろうし。
竜樹さんお風呂好きだから、気分転換にもなるだろうし…」
「そうやなぁ。この季節に2人で温泉に行くの、ええなぁ。
前の車よりも大きくなったから、多少距離があっても車で移動できるし。
安くてええ宿は最近増えてるから、用事が一段楽したら行こっか?」
叶うかどうか判らない約束を交わして、電話を切った。
気がつくと、日付が変わっていた。
日曜日に散々誕生日のお祝いをしてもらったと言うのに、一番最初の「おめでとう」は竜樹さんから欲しかったよなぁなんてのは贅沢極まりないだろうけれど。
新しい年齢を迎える前の日に、いろんなことに思いを巡らせたことを引き連れて、新しい年齢を生きよう。
そして、次に新しい年齢を迎えるときに、今よりももっとずっと「なりたい自分」であれるように、
竜樹さんの隣に立つことが自然な形として、あるように。
頑張りたいなぁと思う。
想いが連れてきたもの
2002年2月17日休みの日にしては珍しく、いつもよりも早く起きた。
明日からまた出勤だから、今日は早く竜樹邸に行って早く帰ってこなきゃならない。
少し早めの昼食を食べて、昨日作った名無しケーキ(笑)に仕上げの生クリームをコーティングして、カットする。
箱に詰め切れなかったものを金岡母に献上。
「あっさりしてて、おいしいやん?(*^_^*)」
高くて倒れそうになったリコッタ君を連れて帰ってきてよかったなと思いながら家を出ると、雨が降っていた(T^T)
竜樹さんに差し入れする物品とケーキの箱を提げ、傘を差しながらよろよろと坂道を降り、電車に乗る。
竜樹邸に入る前に今日の夕食の食材も調達しようと思っていたので、竜樹さんに「必要なものがあれば、メールください」とだけ打って送信。
程なくお返事は返ってきたけれど、全部買うとかなり重くなりそう。
ちょっとばかり泣き入りそうだったけれど、いつものように竜樹邸に向かうバス停の近くのスーパーで買い物。
頼まれた食材の必要な個数が判らなくて、竜樹さんに電話すると「迎えに行く」とのこと。
慌てて食材をカゴに投げ込んで、レジで清算して店の外に飛び出すと、そこには竜樹さんの車が待っていた。
竜樹邸に着き、食材を片付けていると竜樹さんがおそばを茹でてくれた。
相変わらずだしの取り方が上手で、にこにこしながら食べ終える。
洗い物を片付けると、竜樹さんが隣の部屋で手招きするので、ちょこちょこと入っていくと。
「少し早い誕生日プレゼントやねんけど…」
と小さな袋をくれた。
袋を開けると、指輪が入っていた。
指輪の部分に細かい細工がしてあって、石を乗せてる台座にも細かい細工がしてある。
その中央にちょこんとルビーが乗っかっていた。
どうやら竜樹さんはルビーがお気に入りらしい。
初めて貰った指輪もルビー。
店にあるルビーの指輪をすべて出させて、自分で意思の色を確認して選んでくれた。
それから半年後、またルビーの指輪を貰った。
前の会社の中でちょっとした騒動があって竜樹さんが精神的に追い詰められてた時、
「いつか俺が結婚したいと思った女に渡そうと思ってずっと持っていた」という、(私がつけるにしては)大きなルビーの指輪を貰った。
彼にとって大切な場面でいつも託されるルビー。
いろんなことを思い出して、とても嬉しくなった。
ただ嬉しいことを伝えたくて、竜樹さんを抱き締める私。
そんな私に話し下手な竜樹さんは一生懸命指輪を選んだ時の話をしてくれた。
ひとしきり「嬉しい」って気持ちを受け渡して一段落したところで、いつものようにのんびりテレビを見る。
番組も一段落して、夕飯の下拵えでもしようかなと思って立ち上がろうとした時、
「霄ちゃ〜ん♪」と甘え声を出す竜樹さん。
…竜樹さん、ご飯よりもじゃれっこが先ですか?(*-_-*)
互いの気持ちを受け渡すのには、いい手段なんだろうけれど…
ごにょごにょと考えている間にも、竜樹さんは喜々としてごそごそしてはる。
そのうち思考が纏まらなくなってきたから、竜樹さんに意識ごと預けることにした。
普通にしてる時に熱に中てられることはないけれど、竜樹さんの熱には中り易いみたいで、すべての受け渡しが終わる頃には何がどうなってるのか判らなくなっていた。
そのまま意識は落ちていく。
多分、私がくたってる頃に竜樹さんは着替えて何かをしていたように思ったけれど、次に目を覚ましたときには隣で眠っていた。
ぼんやりとした意識の中ででも、やっぱりこの人の寝顔はかわいいなと思う。
暫くぼんやりと竜樹さんの寝顔を眺めて、ふと今何時なのかが気になった。
…( ̄○ ̄;)!
「サザエさん」の時間だった。
慌てて、でも竜樹さんを起こさないように気遣いながら起き上がり、着替えて台所に立つ。
あまり時間のかかる料理はできない。
仕方がないので、簡単メニューのプレートになってしまった。
今日の夕飯は、はすのハンバーグと、キャベツとリンゴとレーズンのサラダ、チーズの牛肉巻きトマトソース煮の3品。
はすのハンバーグは、持っていたカフェ系レシピの本に載ってた(と思われる)料理。
ハンバーグの種にれんこんの荒みじんを茹でたものとれんこんの摩り下ろしを混ぜ合わせ、普通のハンバーグと同じように焼き、ポン酢で頂く。
キャベツとリンゴとレーズンのサラダ(By金岡母)。
キャベツの千切りと乱切りにしたリンゴとレーズンをボウルに入れ、マヨネーズで和える。
暫く置くと、ヨーグルトで味をつけたような感じになる。
チーズの牛肉巻きトマトソース煮は、角切りにしたチーズをすき焼き用の牛肉で巻いた後、巻き目を下にして焼き、安定し始めたら周りに焼き色をつけ、赤ワインをかけアルコールを飛ばした後、トマトピューレを入れて暫く煮て完成。
料理をしてるうちに、竜樹さんも目を覚ましたのか、部屋の片付けを始めていた。
部屋の片付けが終わる頃、料理も出来上がっていた。
「…いただきます♪(*^_^*)」
ふと見ると、ワカサギのフライとワカサギの生姜醤油煮が並んでいた。
竜樹さんが「作った」と電話で話してたヤツだ。
食べてみると、揚げたてじゃないのにおいしい。
「これ、美味いわ!」「これ、おいしい!」
2人とも別のものを食べて同時にそんな言葉を発していたのがおかしくて、顔を見合わせて笑う。
いつもよりも早いペースで、食事は終わる。
終始、「おいしい!(*^_^*)」と言いながら、キレイに食べてくれたのが嬉しくて、気分良く後片付けを済ませた。
その後、やっとこ持ってきたバレンタイン用のケーキの試食。
「…美味いわぁ!これも!(*^_^*)」
竜樹さんの口にもあってくれたらしい。
それがとても嬉しい。
残りは例年通り、竜樹さんのご実家に献上。
ケーキを竜樹さんのお母さんに渡すと、「お誕生日のお祝い」を貰ってしまった(^^ゞ
いつもいつも大したこともしてないのに、気遣ってもらってばかりで申し訳ない気がするけれど…。
「貰っといたら、ええねんで?」とは竜樹さん。
「いつかこのご恩返しは必ず…m(__)m」と心の中でそっと呟いた。
帰る間際にちょっとした騒動があって、一瞬気まずい思いをするけれど、それも一段落。
いつもよりも早めに竜樹邸を後にする。
「しんどいやろけど、俺に尽くしてくれてたらいいことあるで?
霄の努力を俺の親父もお袋も認めてくれてるねんから…」
大層なことは何一つ出来てないのに、もしも竜樹さんのご両親が認めてくれていらっしゃるなら、それはとてもありがたいこと。
竜樹さんからのプレゼントも、竜樹さんのお母さんのお心遣いも嬉しかったけれど。
本当に嬉しいのはきっと、自分のしてる些細なことでも認めてもらえること。
竜樹さんを想う気持ちが連れてきたものを大切に。竜樹さんを想う気持ちを大切に。
またこれからも歩きたいなぁって思う。
明日からまた出勤だから、今日は早く竜樹邸に行って早く帰ってこなきゃならない。
少し早めの昼食を食べて、昨日作った名無しケーキ(笑)に仕上げの生クリームをコーティングして、カットする。
箱に詰め切れなかったものを金岡母に献上。
「あっさりしてて、おいしいやん?(*^_^*)」
高くて倒れそうになったリコッタ君を連れて帰ってきてよかったなと思いながら家を出ると、雨が降っていた(T^T)
竜樹さんに差し入れする物品とケーキの箱を提げ、傘を差しながらよろよろと坂道を降り、電車に乗る。
竜樹邸に入る前に今日の夕食の食材も調達しようと思っていたので、竜樹さんに「必要なものがあれば、メールください」とだけ打って送信。
程なくお返事は返ってきたけれど、全部買うとかなり重くなりそう。
ちょっとばかり泣き入りそうだったけれど、いつものように竜樹邸に向かうバス停の近くのスーパーで買い物。
頼まれた食材の必要な個数が判らなくて、竜樹さんに電話すると「迎えに行く」とのこと。
慌てて食材をカゴに投げ込んで、レジで清算して店の外に飛び出すと、そこには竜樹さんの車が待っていた。
竜樹邸に着き、食材を片付けていると竜樹さんがおそばを茹でてくれた。
相変わらずだしの取り方が上手で、にこにこしながら食べ終える。
洗い物を片付けると、竜樹さんが隣の部屋で手招きするので、ちょこちょこと入っていくと。
「少し早い誕生日プレゼントやねんけど…」
と小さな袋をくれた。
袋を開けると、指輪が入っていた。
指輪の部分に細かい細工がしてあって、石を乗せてる台座にも細かい細工がしてある。
その中央にちょこんとルビーが乗っかっていた。
どうやら竜樹さんはルビーがお気に入りらしい。
初めて貰った指輪もルビー。
店にあるルビーの指輪をすべて出させて、自分で意思の色を確認して選んでくれた。
それから半年後、またルビーの指輪を貰った。
前の会社の中でちょっとした騒動があって竜樹さんが精神的に追い詰められてた時、
「いつか俺が結婚したいと思った女に渡そうと思ってずっと持っていた」という、(私がつけるにしては)大きなルビーの指輪を貰った。
彼にとって大切な場面でいつも託されるルビー。
いろんなことを思い出して、とても嬉しくなった。
ただ嬉しいことを伝えたくて、竜樹さんを抱き締める私。
そんな私に話し下手な竜樹さんは一生懸命指輪を選んだ時の話をしてくれた。
ひとしきり「嬉しい」って気持ちを受け渡して一段落したところで、いつものようにのんびりテレビを見る。
番組も一段落して、夕飯の下拵えでもしようかなと思って立ち上がろうとした時、
「霄ちゃ〜ん♪」と甘え声を出す竜樹さん。
…竜樹さん、ご飯よりもじゃれっこが先ですか?(*-_-*)
互いの気持ちを受け渡すのには、いい手段なんだろうけれど…
ごにょごにょと考えている間にも、竜樹さんは喜々としてごそごそしてはる。
そのうち思考が纏まらなくなってきたから、竜樹さんに意識ごと預けることにした。
普通にしてる時に熱に中てられることはないけれど、竜樹さんの熱には中り易いみたいで、すべての受け渡しが終わる頃には何がどうなってるのか判らなくなっていた。
そのまま意識は落ちていく。
多分、私がくたってる頃に竜樹さんは着替えて何かをしていたように思ったけれど、次に目を覚ましたときには隣で眠っていた。
ぼんやりとした意識の中ででも、やっぱりこの人の寝顔はかわいいなと思う。
暫くぼんやりと竜樹さんの寝顔を眺めて、ふと今何時なのかが気になった。
…( ̄○ ̄;)!
「サザエさん」の時間だった。
慌てて、でも竜樹さんを起こさないように気遣いながら起き上がり、着替えて台所に立つ。
あまり時間のかかる料理はできない。
仕方がないので、簡単メニューのプレートになってしまった。
今日の夕飯は、はすのハンバーグと、キャベツとリンゴとレーズンのサラダ、チーズの牛肉巻きトマトソース煮の3品。
はすのハンバーグは、持っていたカフェ系レシピの本に載ってた(と思われる)料理。
ハンバーグの種にれんこんの荒みじんを茹でたものとれんこんの摩り下ろしを混ぜ合わせ、普通のハンバーグと同じように焼き、ポン酢で頂く。
キャベツとリンゴとレーズンのサラダ(By金岡母)。
キャベツの千切りと乱切りにしたリンゴとレーズンをボウルに入れ、マヨネーズで和える。
暫く置くと、ヨーグルトで味をつけたような感じになる。
チーズの牛肉巻きトマトソース煮は、角切りにしたチーズをすき焼き用の牛肉で巻いた後、巻き目を下にして焼き、安定し始めたら周りに焼き色をつけ、赤ワインをかけアルコールを飛ばした後、トマトピューレを入れて暫く煮て完成。
料理をしてるうちに、竜樹さんも目を覚ましたのか、部屋の片付けを始めていた。
部屋の片付けが終わる頃、料理も出来上がっていた。
「…いただきます♪(*^_^*)」
ふと見ると、ワカサギのフライとワカサギの生姜醤油煮が並んでいた。
竜樹さんが「作った」と電話で話してたヤツだ。
食べてみると、揚げたてじゃないのにおいしい。
「これ、美味いわ!」「これ、おいしい!」
2人とも別のものを食べて同時にそんな言葉を発していたのがおかしくて、顔を見合わせて笑う。
いつもよりも早いペースで、食事は終わる。
終始、「おいしい!(*^_^*)」と言いながら、キレイに食べてくれたのが嬉しくて、気分良く後片付けを済ませた。
その後、やっとこ持ってきたバレンタイン用のケーキの試食。
「…美味いわぁ!これも!(*^_^*)」
竜樹さんの口にもあってくれたらしい。
それがとても嬉しい。
残りは例年通り、竜樹さんのご実家に献上。
ケーキを竜樹さんのお母さんに渡すと、「お誕生日のお祝い」を貰ってしまった(^^ゞ
いつもいつも大したこともしてないのに、気遣ってもらってばかりで申し訳ない気がするけれど…。
「貰っといたら、ええねんで?」とは竜樹さん。
「いつかこのご恩返しは必ず…m(__)m」と心の中でそっと呟いた。
帰る間際にちょっとした騒動があって、一瞬気まずい思いをするけれど、それも一段落。
いつもよりも早めに竜樹邸を後にする。
「しんどいやろけど、俺に尽くしてくれてたらいいことあるで?
霄の努力を俺の親父もお袋も認めてくれてるねんから…」
大層なことは何一つ出来てないのに、もしも竜樹さんのご両親が認めてくれていらっしゃるなら、それはとてもありがたいこと。
竜樹さんからのプレゼントも、竜樹さんのお母さんのお心遣いも嬉しかったけれど。
本当に嬉しいのはきっと、自分のしてる些細なことでも認めてもらえること。
竜樹さんを想う気持ちが連れてきたものを大切に。竜樹さんを想う気持ちを大切に。
またこれからも歩きたいなぁって思う。
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笑顔の戻る場所
2002年2月14日昨晩ネット徘徊中に友達に捕獲され、調子に乗って話し込んで睡眠時間はまたもや3時間を切ってしまった。
完全に眠りモードの身体を無理矢理起こして、会社に行く。
今日、明日と同僚は彼氏とバレンタイン旅行に出てお休み。
寒いこの時期に竜樹さんに「旅行に出ましょう♪」とはさすがによう言わないけれど。
暖かくなったら、私も竜樹さんと遠出できたらって思ってた。
けれど。
暖かくなったら、竜樹さんは再手術を受けることになるってこと。
この時まですっかり忘れていた。
先月は竜樹さんに執刀医を紹介した彼女の騒動で右往左往、今月に入ってからは寒の戻りで竜樹さんは弱っているにもかかわらずあまあまモードを提供してくれてることでケロリ。
…何で、そんな重要なことを忘れるかなぁ?
自分で自分に嫌気がさしそうになるほど、反省した。
…でも、ふと気付いた。
私が再手術の件を忘れていられたのは、竜樹さんの精一杯の配慮だったのかもしれない。
2年前に手術をした時。
私や竜樹さんのご両親は勿論、竜樹さん自身ですら「この手術が終われば、闘病生活のすべてが終わる」と信じていた。
身体の何処にも障害は出なかった代わりに、時折訪れる激痛に苛まれることになる。
手術はすべてに引導を渡したわけではなかったんだ。
「再手術は今具合の悪いところの手直しのようなものになるから、前ほど大したことはないらしいで?」
そう竜樹さんは笑って言うけれど。
本当に病と闘うことに引導を渡すことができると決まったわけじゃない。
もう一度、最悪の事態をも含めて考慮した上で、自分自身を立て直し、竜樹さんと挑まねばならないことがある。
それは二人を強くもする代わりに、さらなる消耗戦になることをも孕んでいる。
「楽しめるうちは、楽しんだらええんや?」
そんな風に笑う竜樹さんを思うと、心の中にすっと降り立っていくものがあった。
…もう少ししたら、つまらないことで足踏みしてられない生活がまた始まるんだ。
ぼろぼろと落としてしまってるものを、もう一度付け直さなければならない。
事務所は課長と私の2人だけ。
なのに、電話は噛み付くように鳴り響く。
昨日も大概諦めつかない理不尽さには沢山出会ったけれど、今日もまた諦めつかない理不尽さを伴った出来事は続く。
この会社に入社したときから感じていたけれど、この空間にいるとどんどん笑顔が削がれていく気がする。
…いつか本当に笑えなくなる前に辞めてやる
昨日思ったことを復唱しながら、怒涛の午前中の業務は終わった。
ぐったりしたままお昼ご飯を食べ、友達にメールを送って一息つく。
今日はバレンタイン。
前倒しイベントは先の3連休で済ませてしまってるから、今日逢う予定はない。
でも前倒しの時は何もできなかったからと、昨日の夜作ろうと思ってて出来なかった差し入れを作る材料を持って出ていた。
恒例のバレンタインケーキを渡す前にと、小さなチョコレートも持ってきてた。
明日1日乗りきれば翌日は私の前倒し誕生会だというのに、わざわざ行く必要ないだろにたぁ思うけど。
何となくあの笑顔に触れると、明日も頑張れそうな気がするから。
そう思って、「バレンタイン特別出張サービス」というタイトルのメールをひとつ飛ばしてみた。
お返事がなかったら、まっすぐ家に帰ってハンバーグの差し入れを作ればいい。
そう思いながら、昼からの業務に挑む。
午後からも相変わらず諦めのつかない理不尽さには沢山出会ったけれど。
それでも何とか定時には仕事を終えた。
お弁当鞄の中の携帯に目をやると、メールがひとつ。
「迎えにいけないけど、ご用命あり。でも、無理せずに(^○^)」
とっとと着替えて、脱兎の如く会社を飛び出した。
少々寄り道して電車に乗る前に竜樹さんにメールを送ると一番早く着けそうなバスの時刻を知らせてくれた。
竜樹さん指定のバスに飛び乗り、竜樹邸に向かう。
竜樹邸に入ると、ほにゃとした笑顔の竜樹さんがいた。
その笑顔一つで、また明日1日頑張れると思った。
竜樹さんが入れてくれたコーヒーを飲み、ちっさなチョコレートを渡し、ハンバーグを作ろうと立ち上がると。
「霄ちゃんのためにご飯を作ってん(*^_^*)」
そう言って、蓋をしたフライパンからそば飯をついでくれた。
…相変わらず、おいしいんだ(*^_^*)
お腹も満たされたけど、心も満たされた。
一息ついて、今度こそハンバーグを作ろうと立ち上がると。
「ハンバーグ作ってくれるのも嬉しいねんけどさ…」
そう言って、隣の部屋に連れて行かれる。
…竜樹さん、じゃれっこしたかったんですね?(*-_-*)
そこにいる互いを抱き締めて、体温を分け合う。
ふと、竜樹さんの腰に手を添えた時、手術のことを思い出したけれど。
…放っておけばやがては生命が終わることすら越えられたのだから、きっと痛みも越えられる。
何故だか、そんな風に思えた。
そうこうするうちに竜樹さんの波に飲まれてしまったのか、少し眠ってしまった。
慌てて起きると、竜樹さんがいろいろと持って帰るものを準備してくれていた。
「…ハンバーグ、作らないと!」
そう言って起き上がろうとする私に、
「土曜日来て、俺が寝てしまってるときにでも作ってくれたらええよ」
またほにゃっとした笑顔でそう言ってくれた。
自分が会社で感じる「諦めのつかない理不尽」に中てられてしまって、明日1日頑張る力すら見いだせなくて。
竜樹さんの笑顔一つで明日も頑張れる気がするなんていう理由で竜樹邸に押しかけることこそ理不尽な我儘だとは思うけれど。
私には竜樹さんという、笑顔を取り戻す場所があるんだ。
私が竜樹さんに触れて笑顔を取り戻せるように、竜樹さんにとっても私がそうであればいいと。
来るべき日には、私が笑顔を渡せるように。不安を除く風になれるように。
竜樹さんの「笑顔の戻る場所」になりたい。
完全に眠りモードの身体を無理矢理起こして、会社に行く。
今日、明日と同僚は彼氏とバレンタイン旅行に出てお休み。
寒いこの時期に竜樹さんに「旅行に出ましょう♪」とはさすがによう言わないけれど。
暖かくなったら、私も竜樹さんと遠出できたらって思ってた。
けれど。
暖かくなったら、竜樹さんは再手術を受けることになるってこと。
この時まですっかり忘れていた。
先月は竜樹さんに執刀医を紹介した彼女の騒動で右往左往、今月に入ってからは寒の戻りで竜樹さんは弱っているにもかかわらずあまあまモードを提供してくれてることでケロリ。
…何で、そんな重要なことを忘れるかなぁ?
自分で自分に嫌気がさしそうになるほど、反省した。
…でも、ふと気付いた。
私が再手術の件を忘れていられたのは、竜樹さんの精一杯の配慮だったのかもしれない。
2年前に手術をした時。
私や竜樹さんのご両親は勿論、竜樹さん自身ですら「この手術が終われば、闘病生活のすべてが終わる」と信じていた。
身体の何処にも障害は出なかった代わりに、時折訪れる激痛に苛まれることになる。
手術はすべてに引導を渡したわけではなかったんだ。
「再手術は今具合の悪いところの手直しのようなものになるから、前ほど大したことはないらしいで?」
そう竜樹さんは笑って言うけれど。
本当に病と闘うことに引導を渡すことができると決まったわけじゃない。
もう一度、最悪の事態をも含めて考慮した上で、自分自身を立て直し、竜樹さんと挑まねばならないことがある。
それは二人を強くもする代わりに、さらなる消耗戦になることをも孕んでいる。
「楽しめるうちは、楽しんだらええんや?」
そんな風に笑う竜樹さんを思うと、心の中にすっと降り立っていくものがあった。
…もう少ししたら、つまらないことで足踏みしてられない生活がまた始まるんだ。
ぼろぼろと落としてしまってるものを、もう一度付け直さなければならない。
事務所は課長と私の2人だけ。
なのに、電話は噛み付くように鳴り響く。
昨日も大概諦めつかない理不尽さには沢山出会ったけれど、今日もまた諦めつかない理不尽さを伴った出来事は続く。
この会社に入社したときから感じていたけれど、この空間にいるとどんどん笑顔が削がれていく気がする。
…いつか本当に笑えなくなる前に辞めてやる
昨日思ったことを復唱しながら、怒涛の午前中の業務は終わった。
ぐったりしたままお昼ご飯を食べ、友達にメールを送って一息つく。
今日はバレンタイン。
前倒しイベントは先の3連休で済ませてしまってるから、今日逢う予定はない。
でも前倒しの時は何もできなかったからと、昨日の夜作ろうと思ってて出来なかった差し入れを作る材料を持って出ていた。
恒例のバレンタインケーキを渡す前にと、小さなチョコレートも持ってきてた。
明日1日乗りきれば翌日は私の前倒し誕生会だというのに、わざわざ行く必要ないだろにたぁ思うけど。
何となくあの笑顔に触れると、明日も頑張れそうな気がするから。
そう思って、「バレンタイン特別出張サービス」というタイトルのメールをひとつ飛ばしてみた。
お返事がなかったら、まっすぐ家に帰ってハンバーグの差し入れを作ればいい。
そう思いながら、昼からの業務に挑む。
午後からも相変わらず諦めのつかない理不尽さには沢山出会ったけれど。
それでも何とか定時には仕事を終えた。
お弁当鞄の中の携帯に目をやると、メールがひとつ。
「迎えにいけないけど、ご用命あり。でも、無理せずに(^○^)」
とっとと着替えて、脱兎の如く会社を飛び出した。
少々寄り道して電車に乗る前に竜樹さんにメールを送ると一番早く着けそうなバスの時刻を知らせてくれた。
竜樹さん指定のバスに飛び乗り、竜樹邸に向かう。
竜樹邸に入ると、ほにゃとした笑顔の竜樹さんがいた。
その笑顔一つで、また明日1日頑張れると思った。
竜樹さんが入れてくれたコーヒーを飲み、ちっさなチョコレートを渡し、ハンバーグを作ろうと立ち上がると。
「霄ちゃんのためにご飯を作ってん(*^_^*)」
そう言って、蓋をしたフライパンからそば飯をついでくれた。
…相変わらず、おいしいんだ(*^_^*)
お腹も満たされたけど、心も満たされた。
一息ついて、今度こそハンバーグを作ろうと立ち上がると。
「ハンバーグ作ってくれるのも嬉しいねんけどさ…」
そう言って、隣の部屋に連れて行かれる。
…竜樹さん、じゃれっこしたかったんですね?(*-_-*)
そこにいる互いを抱き締めて、体温を分け合う。
ふと、竜樹さんの腰に手を添えた時、手術のことを思い出したけれど。
…放っておけばやがては生命が終わることすら越えられたのだから、きっと痛みも越えられる。
何故だか、そんな風に思えた。
そうこうするうちに竜樹さんの波に飲まれてしまったのか、少し眠ってしまった。
慌てて起きると、竜樹さんがいろいろと持って帰るものを準備してくれていた。
「…ハンバーグ、作らないと!」
そう言って起き上がろうとする私に、
「土曜日来て、俺が寝てしまってるときにでも作ってくれたらええよ」
またほにゃっとした笑顔でそう言ってくれた。
自分が会社で感じる「諦めのつかない理不尽」に中てられてしまって、明日1日頑張る力すら見いだせなくて。
竜樹さんの笑顔一つで明日も頑張れる気がするなんていう理由で竜樹邸に押しかけることこそ理不尽な我儘だとは思うけれど。
私には竜樹さんという、笑顔を取り戻す場所があるんだ。
私が竜樹さんに触れて笑顔を取り戻せるように、竜樹さんにとっても私がそうであればいいと。
来るべき日には、私が笑顔を渡せるように。不安を除く風になれるように。
竜樹さんの「笑顔の戻る場所」になりたい。
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少しばかりの決意表明
2002年2月7日…そう書きつつも「叶えられなかったら、どうするねん?」って自分がいるのですが。
年が明けてからいろんなことがありすぎて、また自分の気持ちの中で幾重にもからまってしまった何かに囚われ続けて、ずっと日記を止めてしまう形になりました。
「穴埋めするぞ!」と吼えながら、日常に任せて放置を重ね続けました。
0に戻した方がいいかなとずっと思ってました。
私の心の中から捻り出した混ぜ物のない想いは、何時の間にか必要以上にキレイな像を人の中に作り上げてしまってたようだから。
正直、そのギャップに苦しむのを通り越して、半ばうんざりもしていました。
最近、やっと心の内にある迷路を抜け出せそうな気がしてきました。
思い込みではなく、本当に今はそんな気がします。
ここまで辿り着くまでに、私はいろんな私に出逢いました。
その中でなりふり構わない自分も、蹴っ飛ばしたくなるくらいうじうじした自分も。
そして「夜叉」を孕む自分も。
いつまでかかるか判らないけど。
今手にしてる暖かさを本当に自分のものにするために。
自分が歩いた足跡と、自分が見つめた想いと。
出逢ってしまった、いろんな「金岡霄」と。
そのすべてをこれまで通り、混ぜ物なしで残せたらと思います。
日常に負けてしまう時はあっさり負け続けるかもしれません。
決意表明は単なる狼少年の戯言になるかもしれません。
でも、自分の中の霧を晴らせるのは他でもない自分自身だから。
いつまでもいろんなものにがんじがらめになったみたいな状態を続けてたくないから。
少々、頑張ってみようかな?と思いました。
自分のペースで、自分の気の済むように。
やってみたいなと思ったのでした。
「私の言葉はあなたの心にはどんな風に映りますか?
実像以上にキレイであってもそうでなくても、
確かに「そこ」にいるのは私なのです」
年が明けてからいろんなことがありすぎて、また自分の気持ちの中で幾重にもからまってしまった何かに囚われ続けて、ずっと日記を止めてしまう形になりました。
「穴埋めするぞ!」と吼えながら、日常に任せて放置を重ね続けました。
0に戻した方がいいかなとずっと思ってました。
私の心の中から捻り出した混ぜ物のない想いは、何時の間にか必要以上にキレイな像を人の中に作り上げてしまってたようだから。
正直、そのギャップに苦しむのを通り越して、半ばうんざりもしていました。
最近、やっと心の内にある迷路を抜け出せそうな気がしてきました。
思い込みではなく、本当に今はそんな気がします。
ここまで辿り着くまでに、私はいろんな私に出逢いました。
その中でなりふり構わない自分も、蹴っ飛ばしたくなるくらいうじうじした自分も。
そして「夜叉」を孕む自分も。
いつまでかかるか判らないけど。
今手にしてる暖かさを本当に自分のものにするために。
自分が歩いた足跡と、自分が見つめた想いと。
出逢ってしまった、いろんな「金岡霄」と。
そのすべてをこれまで通り、混ぜ物なしで残せたらと思います。
日常に負けてしまう時はあっさり負け続けるかもしれません。
決意表明は単なる狼少年の戯言になるかもしれません。
でも、自分の中の霧を晴らせるのは他でもない自分自身だから。
いつまでもいろんなものにがんじがらめになったみたいな状態を続けてたくないから。
少々、頑張ってみようかな?と思いました。
自分のペースで、自分の気の済むように。
やってみたいなと思ったのでした。
「私の言葉はあなたの心にはどんな風に映りますか?
実像以上にキレイであってもそうでなくても、
確かに「そこ」にいるのは私なのです」
「…If」に預けられない明日
2002年2月6日「もし」や「たら」で物を話すのは好きじゃない。
在り得ないことを持ち出して話を進めることは、いまここにある何物も受け入れていないような気がするから。
だけど。
そのIfにすべてを預けられたなら、どれほど心の痛みは和らぐのだろうか?
そう考える瞬間も確かにあるんだ。
眠る前にふとしたことから、そんな風に感じてしまったせいだろうか?
身体はあまり眠りの恩恵を受けることの無いまま、朝を迎えてしまった。
心の中に小さな棘が刺さったまま家を出る。
朝方に知った友達の話に何か自分の言葉を返したくて、心のうちを探っていくけれど。
きちんとした形にならずに、焦れる自分がいる。
それでも、心に走る僅かな言葉を携帯メールに託して、いつもよりも少しばかり暖かな空に放った。
それが大切な人の心を癒すものになるとは思えなかったけれど、私の気持ちのかけらが届けばそれでよかった。
昨日1日休んでしまったから、会社についたらどれくらい仕事が溜まってるだろうかとびくびくしながら、事務所に入り机の上の書類を片付けるけれど。
「昨日1日、本当にこれだけしか仕事なかったの?」って首を捻るくらい、仕事がなかった。
幸か不幸か、今日の分の仕事の殆どが午前中には片付いてしまい、昼からは眠気と格闘することに専念する羽目になる(爆)
眠気と格闘しながらも、「もしも」で始まり「たら」で終わるセンテンスが頭の中を掠めていく。
「もしも」竜樹さんの病気がもっと軽いものだっ「たら」
「もしも」竜樹さんが病に倒れなかっ「たら」
「もしも」執刀医の先生を紹介したのが彼女じゃなかっ「たら」…
…すべての「もしも」と「たら」は、私と竜樹さんが歩く道程の上にはないものなんだよ?
「今」あるものを放り出して歩けるほどの余裕も遊びもないんだから、
「もしも」と「たら」に何かを預けるつもりなら、やめちまえよ?
在りもしないことに寄っかかりながら歩いていけるほど、2人のこれからは生易しい道程じゃないんだから。
いろんな出来事の中で、正直推し進める「強さ」を保つことに疲れていた時期があって、
あるはずもないことに明日を預けてみたくなったり、放り出してみたくなったりしたこともあったけれど。
一度崩れたかと思った竜樹さんと私の繋がりは、まだそこにあって。
竜樹さんは懸命にそれを繋ごうと努力してくれてる。
竜樹さんの言動に、彼の持つ空気の中に諦めない何かが見えてるうちは、私も投げ出したりはしないんだと。
そこにないものは、今あるものには勝てはしないのだと思えるところまで何とか這い上がれたのだということは自分自身で確認できたことが嬉しい。
眠気と格闘がてら自分への問いかけをしてるうちに、仕事がどかっとやってくる。
ちと油断しすぎたか、定時を20分ほど回ってから事務所を後にする。
ふとお弁当鞄の中の携帯を見ると、メールがひとつと、着信がひとつ。
どちらも竜樹さんからだった。
慌てて電話をかけなおすと、「今日は病院に行って調子がいいから晩ご飯を食べにおいで♪」とのこと。
慌てて会社を飛び出し、駅に向かう。
…どしたんだろう?竜樹さん?
このところ、ちょっと竜樹さんは妙な感じ(笑)
今まで「平日は会社があってばたばたしてるだろうから、週末ゆっくり逢ったらええやん」って言ってたのに、先週くらいから時々こんな風にお呼び出しがかかる。
しかも、今週末なんかは「泊まりにおいで」ってお誘い頂くし…
一連の騒動から、竜樹さんの言動が今までと少しずつ変わってきてる気がして、ちょっと面食らってる。
…それでも、嬉しいんだけどね(*^_^*)
乗り換えの駅から竜樹さんに到着時間をメールで飛ばし、慌てて電車に飛び乗る。
竜樹邸の最寄り駅に着くと、竜樹さんが迎えに来てくれてた。
車に乗り、いろいろと話しながら竜樹邸に向かう。
竜樹邸に入ると、カツオだしの匂いがした。
「今日はだしから自分でとってみてん♪」
そう言って、手際よく肉うどんを作ってくれた。
至れり尽せりのサービスにまたも面食らいながら、うどんを食べる。
…おいしい(*^_^*)
「これだけできるんやったら、もう私、料理しなくてもいいですよね?」
「それはそれ、これはこれやん」
そんなやりとりをしながら、ご飯を食べ終えテレビのある部屋に移る。
ニュースを見ながら他愛もない話をしてるうちに、竜樹さんが甘えたモードに入っていく。
…昨日雨が降って冷え込んだせいで、辛かったって言ってたもんなぁ
そんなことを思い返しながら、竜樹さんを抱き締める。
竜樹さんから暖かなキスをたくさん貰い、抱き締め返される。
そうして、想いを受け渡すようにそれは始まる。
「…ずっと傍にいるんやで?」
「ずっと傍にいてね?」
時折、どちらからともなくそんな言葉をかけては、想いを返す。
やりとりの中でそんな言葉の受け渡しをすること自体がなんだか久しぶりな気はするけれど。
言葉尻に思考を会わせようとする度に、竜樹さんに捕まって引きずり戻される。
それを延々繰り返してるうちに、私は眠ってしまったらしい。
「…霄?コーヒー、入ったで?」
竜樹さんのそんな声で目が覚めた。
「あんまり寝すぎたらまた夜寝られなくなるから、もう起きや?」
優しい声で起こしてくれた竜樹さんに何気ない、でもたっくさんの笑顔を返す。
また他愛もない話をし、暖かな時間は流れていく。
それでもあと2日会社があるから、家に帰ることになったんだけど(T_T)
竜樹さんの車の中で、また2人は他愛もない話を繰り返す。
「…あのさ、今週末泊まりに来た時にバレンタインを前倒しにするって言ってはったでしょ?
うちでアリバイ工作せんなんから、バレンタイン用のケーキ焼いて持ってこれませんよ?」
恐る恐る言うと、
「ケーキは次の週でもええねん、大事なんは一緒にいる時間やろ?
それを一番に考えようや?」
とてつもなく嬉しい言葉が返ってきた。
「もし」や「たら」のない現実は、私を苦しめる側面もあるけれど。
「もし」や「たら」のないところに竜樹さんの心はあるのだから。
「…If」に預けられない明日を大切に生きよう。
「…If」のない想いを2人で繋ごう。
在り得ないことを持ち出して話を進めることは、いまここにある何物も受け入れていないような気がするから。
だけど。
そのIfにすべてを預けられたなら、どれほど心の痛みは和らぐのだろうか?
そう考える瞬間も確かにあるんだ。
眠る前にふとしたことから、そんな風に感じてしまったせいだろうか?
身体はあまり眠りの恩恵を受けることの無いまま、朝を迎えてしまった。
心の中に小さな棘が刺さったまま家を出る。
朝方に知った友達の話に何か自分の言葉を返したくて、心のうちを探っていくけれど。
きちんとした形にならずに、焦れる自分がいる。
それでも、心に走る僅かな言葉を携帯メールに託して、いつもよりも少しばかり暖かな空に放った。
それが大切な人の心を癒すものになるとは思えなかったけれど、私の気持ちのかけらが届けばそれでよかった。
昨日1日休んでしまったから、会社についたらどれくらい仕事が溜まってるだろうかとびくびくしながら、事務所に入り机の上の書類を片付けるけれど。
「昨日1日、本当にこれだけしか仕事なかったの?」って首を捻るくらい、仕事がなかった。
幸か不幸か、今日の分の仕事の殆どが午前中には片付いてしまい、昼からは眠気と格闘することに専念する羽目になる(爆)
眠気と格闘しながらも、「もしも」で始まり「たら」で終わるセンテンスが頭の中を掠めていく。
「もしも」竜樹さんの病気がもっと軽いものだっ「たら」
「もしも」竜樹さんが病に倒れなかっ「たら」
「もしも」執刀医の先生を紹介したのが彼女じゃなかっ「たら」…
…すべての「もしも」と「たら」は、私と竜樹さんが歩く道程の上にはないものなんだよ?
「今」あるものを放り出して歩けるほどの余裕も遊びもないんだから、
「もしも」と「たら」に何かを預けるつもりなら、やめちまえよ?
在りもしないことに寄っかかりながら歩いていけるほど、2人のこれからは生易しい道程じゃないんだから。
いろんな出来事の中で、正直推し進める「強さ」を保つことに疲れていた時期があって、
あるはずもないことに明日を預けてみたくなったり、放り出してみたくなったりしたこともあったけれど。
一度崩れたかと思った竜樹さんと私の繋がりは、まだそこにあって。
竜樹さんは懸命にそれを繋ごうと努力してくれてる。
竜樹さんの言動に、彼の持つ空気の中に諦めない何かが見えてるうちは、私も投げ出したりはしないんだと。
そこにないものは、今あるものには勝てはしないのだと思えるところまで何とか這い上がれたのだということは自分自身で確認できたことが嬉しい。
眠気と格闘がてら自分への問いかけをしてるうちに、仕事がどかっとやってくる。
ちと油断しすぎたか、定時を20分ほど回ってから事務所を後にする。
ふとお弁当鞄の中の携帯を見ると、メールがひとつと、着信がひとつ。
どちらも竜樹さんからだった。
慌てて電話をかけなおすと、「今日は病院に行って調子がいいから晩ご飯を食べにおいで♪」とのこと。
慌てて会社を飛び出し、駅に向かう。
…どしたんだろう?竜樹さん?
このところ、ちょっと竜樹さんは妙な感じ(笑)
今まで「平日は会社があってばたばたしてるだろうから、週末ゆっくり逢ったらええやん」って言ってたのに、先週くらいから時々こんな風にお呼び出しがかかる。
しかも、今週末なんかは「泊まりにおいで」ってお誘い頂くし…
一連の騒動から、竜樹さんの言動が今までと少しずつ変わってきてる気がして、ちょっと面食らってる。
…それでも、嬉しいんだけどね(*^_^*)
乗り換えの駅から竜樹さんに到着時間をメールで飛ばし、慌てて電車に飛び乗る。
竜樹邸の最寄り駅に着くと、竜樹さんが迎えに来てくれてた。
車に乗り、いろいろと話しながら竜樹邸に向かう。
竜樹邸に入ると、カツオだしの匂いがした。
「今日はだしから自分でとってみてん♪」
そう言って、手際よく肉うどんを作ってくれた。
至れり尽せりのサービスにまたも面食らいながら、うどんを食べる。
…おいしい(*^_^*)
「これだけできるんやったら、もう私、料理しなくてもいいですよね?」
「それはそれ、これはこれやん」
そんなやりとりをしながら、ご飯を食べ終えテレビのある部屋に移る。
ニュースを見ながら他愛もない話をしてるうちに、竜樹さんが甘えたモードに入っていく。
…昨日雨が降って冷え込んだせいで、辛かったって言ってたもんなぁ
そんなことを思い返しながら、竜樹さんを抱き締める。
竜樹さんから暖かなキスをたくさん貰い、抱き締め返される。
そうして、想いを受け渡すようにそれは始まる。
「…ずっと傍にいるんやで?」
「ずっと傍にいてね?」
時折、どちらからともなくそんな言葉をかけては、想いを返す。
やりとりの中でそんな言葉の受け渡しをすること自体がなんだか久しぶりな気はするけれど。
言葉尻に思考を会わせようとする度に、竜樹さんに捕まって引きずり戻される。
それを延々繰り返してるうちに、私は眠ってしまったらしい。
「…霄?コーヒー、入ったで?」
竜樹さんのそんな声で目が覚めた。
「あんまり寝すぎたらまた夜寝られなくなるから、もう起きや?」
優しい声で起こしてくれた竜樹さんに何気ない、でもたっくさんの笑顔を返す。
また他愛もない話をし、暖かな時間は流れていく。
それでもあと2日会社があるから、家に帰ることになったんだけど(T_T)
竜樹さんの車の中で、また2人は他愛もない話を繰り返す。
「…あのさ、今週末泊まりに来た時にバレンタインを前倒しにするって言ってはったでしょ?
うちでアリバイ工作せんなんから、バレンタイン用のケーキ焼いて持ってこれませんよ?」
恐る恐る言うと、
「ケーキは次の週でもええねん、大事なんは一緒にいる時間やろ?
それを一番に考えようや?」
とてつもなく嬉しい言葉が返ってきた。
「もし」や「たら」のない現実は、私を苦しめる側面もあるけれど。
「もし」や「たら」のないところに竜樹さんの心はあるのだから。
「…If」に預けられない明日を大切に生きよう。
「…If」のない想いを2人で繋ごう。
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夜更けの電話(走り書き)
2002年2月4日何かをしようという気力も体力もないのに、なかなか寝付けずにいた。
そんな時、あなたから電話がひとつ。
「気が高ぶって、寝られへんねん」
私が何となく寝付けないときに、あなたも何となく寝付けずにいる、
そんな不思議に久しぶりに出逢った。
あなたの気が静まるまで、
気が済むまでお話を聞いたり話し掛けたりして、
やがてあなたは眠りについた。
私は結局眠れなかったけれど…
眠れない時に、心が静まらない時に、
私のことを思い出してくれたことが嬉しい。
眠れなくて身体はだるくても、
それひとつで、1日頑張れるよ?
ありがとう、行ってくるね。
そんな時、あなたから電話がひとつ。
「気が高ぶって、寝られへんねん」
私が何となく寝付けないときに、あなたも何となく寝付けずにいる、
そんな不思議に久しぶりに出逢った。
あなたの気が静まるまで、
気が済むまでお話を聞いたり話し掛けたりして、
やがてあなたは眠りについた。
私は結局眠れなかったけれど…
眠れない時に、心が静まらない時に、
私のことを思い出してくれたことが嬉しい。
眠れなくて身体はだるくても、
それひとつで、1日頑張れるよ?
ありがとう、行ってくるね。
心の目で見た風景
2002年1月25日昨日はいつもと比べればよく寝たはずなのに、朝起きたら頭が痛かった。
会社を休んでしまいたいけれど、今日1日乗り切れば済むことなんだからと自分に言い聞かせ、家を出る。
今日は運良く定時に出られたら、久しぶりに映画を観に行こうと思っていた。
去年の夏に金岡母が「千と千尋の神隠し」の招待券を当てていて、「竜樹氏と二人で行って来たら?」とチケットをくれていたのに、竜樹さんの体調がなかなかよくならずにのびのびになっていた。
何回か上映する劇場が変わったけれど、今日で本当におしまいになるみたい。
昨日の電話でその旨を伝えた時、「明日は行けそうにない」と言われてしまったけど、せっかく母から貰っておいて「行けませんでした」と言うのもどうかと思ったから、久しぶりに一人で映画を観に行くことにした。
昨日と同じ程度の仕事量なら、最終上映時間には間に合う。
…「どうか仕事が立て込みませんように」と願いながら、仕事を始める。
喜んでいいのだか悪いのだか判らないけれど、午前中も午後からも仕事はあまり多くはなく、願い通り(?)定時に会社を飛び出し、映画館を目指す。
最近は会社が終わった後、派手に寄り道することなんてなかったから、嬉しくなってCDショップに寄ったり、画材屋に寄ったりして。
最後にSUBWAYに寄って軽い夕食を調達し、劇場に入る。
「そんなに人もいないだろう」とタカを括っていると、通路には会場待ちの人がいっぱいいた。
…この映画って、だいぶ長いこと上映してたんじゃなかったっけ?(゜o゜)
自分のことはすっかり棚に上げて、人の多さに唖然としてしまった。
それでも劇場内に入ると、きちんと座れるだけの余裕はあったので、SUBWAYで買ったテリヤキチキンを食べながら始まるのを待つ。
…一人で映画を観に来るなんて何年ぶりだろう?
竜樹さんも映画が好きだから、手術をするまでは映画を観る時は殆どいつも隣に竜樹さんがいた。
何本観たか判らないくらい一緒に観に行った気がする。
けれど、手術後は長時間同じ姿勢のままでいることが難しくなってしまったために、殆ど観れなくなってしまった。
だから映画を観るというと、せいぜいがDVDかビデオを借りてきて観る程度になったけれど、家で一緒に観てると竜樹さんが横からちゃちゃを入れてきて、最後には映画どころの話でなくなる。
だから、最近ではとんとご無沙汰してた。
竜樹さんと出逢う前は友達と、そして一人でも映画を観に行った。
そのせいか、簡単なご飯と飲み物を持って一人で好き勝手に観ること自体に抵抗はなかった。
…それに。
知ってる人がいると泣けない私は、一人で観に行く方が都合がよかった。
そんな風に昔のことを振り返ってるうちに、映画は始まってしまった。
…あれ?
冷静に考えれば、どう考えてもここで涙が出るのは不自然なのに。
気が付くと、目から涙が落ちていた。
映画の中の水も空も花も、そして人物も。
どれを取っても、ちゃんと「生きてる」感じがした。
ただ「生きている」ということに涙が落ちたのかもしれない。
根拠レスな涙は勿論、涙を落とす理由が歴然とした形でそこにあっても。
涙を落とすこと自体に抵抗もあったし、抑制を掛けていた部分がある。
それは竜樹さんに出会ってからという訳ではなく、それまで置かれていた環境にも起因していて。
「涙を流すことは、罪のないこと」と、大切に思う人から何度となく教えてもらっても、習慣として植え付けてしまったものはなかなか抜けることはないけれど…
根拠レスな涙が流れても、それはそれでいいような気がした。
私の心を揺り動かすカギはそこいら中に落ちていたのかもしれない。
相変わらず不自然な場所で一人涙を落としていた。
「一度出逢ったものはよくよく思い出せば、必ず逢ったことを思い出せる」
確か、こんな感じの台詞があったような気がする。
それは拡大解釈すれば、「忘れてしまったものは必ず思い出せる」ということにも繋がるような気がしたんだ。
今年に入ってからいろいろなことがある度に、いちいち蹴躓いてずぶずぶと沈んでいくしか能がないみたいな状態が続いていて。
昔なら簡単に越えることが出来たのに、出来なくなってる自分が情けなくて仕方なかったけれど。
迷いなく乗り越えられた要素が何だったのかも、いつか思い出せるのかもしれない。
突拍子もない考え方のような気がしたけれど、それだけで少し心は上向きになったような気がする。
そして最後まで見終わったときに、心の底に澱のように残ったものは。
愛は傍にあるもの、見えないもの、不安になるもの。
そして、何かを起こす力になるもの。
自分なりの「愛」の解釈だった。
それが作者の意図と違ってたとしても、何かを忘れて右往左往してた私にはそんなことを受け取れただけで十分だったのかもしれない。
いつもならタイトルロールがあがり始めると、慌しく席を立つお客さんが多くて心の澱を見つめることすら許されないような雰囲気になるのだけれど。
珍しく、今日のお客さんは誰も席を立とうとはしなかった。
そんなこともまた妙に嬉しかったりする。
その時、鞄の中で何かが揺れた感じがした。
映画館を出て、鞄の中を覗くと、竜樹さんからメールがひとつ。
「千と千尋は、いかがでしたか?」
映画に入り込みながら、時々我に変える瞬間があって。
「いつもならこんな風な場面が出ると、竜樹さんはこうしてくれたよな?」とか「何気に涙を落としてると、そっと手を握り締めてくれたよな」とか思っては少しだけ寂しさを覚えたりしたけれど。
ごくごく近くに竜樹さんはいてくれたのだと思うと、それがとても嬉しかった。
「根拠レスなんだけど、理屈抜きに心が振れた映画でした。
スタッフロールが上がっても、誰も席を立とうとしない光景にも初めて出会いました。
一人で観てたから好き勝手に泣けたけど、隣に竜樹さんがいててくれはったらよかったなと思いました。」
最後の一文に思いを託して、寒い冬の空にメールを一つ飛ばした。
電車に乗り込みぼけっとしてると、携帯にメールがひとつ。
「私の泣き顔は、和太鼓の時だけで十分。心、洗われたんじゃない?」
一昨年の年末にライブと忘年会のはしごをした時の竜樹さんを思い出し、無性に竜樹さんと話がしたくなった。
急いで家に帰って、竜樹さんに電話した。
心の底に残った澱の話をして、「一緒に観たかった」ことを告げると、
「DVDが出たら、一緒に観ような?」って言ってくれた。
「一緒に観よう」って言葉がとても嬉しかった。
二人でこの映画を観た時、互いの心にはどんなものが映るのだろう。
同じ風景でなかったとしても、二人の心が見た景色を分け合うことを忘れずにいさえしたら。
それもまた「二人で生きた」ことの証しになるのかな?
久しぶりに観た映画はそんなことをそっと教えてくれた気がした。
会社を休んでしまいたいけれど、今日1日乗り切れば済むことなんだからと自分に言い聞かせ、家を出る。
今日は運良く定時に出られたら、久しぶりに映画を観に行こうと思っていた。
去年の夏に金岡母が「千と千尋の神隠し」の招待券を当てていて、「竜樹氏と二人で行って来たら?」とチケットをくれていたのに、竜樹さんの体調がなかなかよくならずにのびのびになっていた。
何回か上映する劇場が変わったけれど、今日で本当におしまいになるみたい。
昨日の電話でその旨を伝えた時、「明日は行けそうにない」と言われてしまったけど、せっかく母から貰っておいて「行けませんでした」と言うのもどうかと思ったから、久しぶりに一人で映画を観に行くことにした。
昨日と同じ程度の仕事量なら、最終上映時間には間に合う。
…「どうか仕事が立て込みませんように」と願いながら、仕事を始める。
喜んでいいのだか悪いのだか判らないけれど、午前中も午後からも仕事はあまり多くはなく、願い通り(?)定時に会社を飛び出し、映画館を目指す。
最近は会社が終わった後、派手に寄り道することなんてなかったから、嬉しくなってCDショップに寄ったり、画材屋に寄ったりして。
最後にSUBWAYに寄って軽い夕食を調達し、劇場に入る。
「そんなに人もいないだろう」とタカを括っていると、通路には会場待ちの人がいっぱいいた。
…この映画って、だいぶ長いこと上映してたんじゃなかったっけ?(゜o゜)
自分のことはすっかり棚に上げて、人の多さに唖然としてしまった。
それでも劇場内に入ると、きちんと座れるだけの余裕はあったので、SUBWAYで買ったテリヤキチキンを食べながら始まるのを待つ。
…一人で映画を観に来るなんて何年ぶりだろう?
竜樹さんも映画が好きだから、手術をするまでは映画を観る時は殆どいつも隣に竜樹さんがいた。
何本観たか判らないくらい一緒に観に行った気がする。
けれど、手術後は長時間同じ姿勢のままでいることが難しくなってしまったために、殆ど観れなくなってしまった。
だから映画を観るというと、せいぜいがDVDかビデオを借りてきて観る程度になったけれど、家で一緒に観てると竜樹さんが横からちゃちゃを入れてきて、最後には映画どころの話でなくなる。
だから、最近ではとんとご無沙汰してた。
竜樹さんと出逢う前は友達と、そして一人でも映画を観に行った。
そのせいか、簡単なご飯と飲み物を持って一人で好き勝手に観ること自体に抵抗はなかった。
…それに。
知ってる人がいると泣けない私は、一人で観に行く方が都合がよかった。
そんな風に昔のことを振り返ってるうちに、映画は始まってしまった。
…あれ?
冷静に考えれば、どう考えてもここで涙が出るのは不自然なのに。
気が付くと、目から涙が落ちていた。
映画の中の水も空も花も、そして人物も。
どれを取っても、ちゃんと「生きてる」感じがした。
ただ「生きている」ということに涙が落ちたのかもしれない。
根拠レスな涙は勿論、涙を落とす理由が歴然とした形でそこにあっても。
涙を落とすこと自体に抵抗もあったし、抑制を掛けていた部分がある。
それは竜樹さんに出会ってからという訳ではなく、それまで置かれていた環境にも起因していて。
「涙を流すことは、罪のないこと」と、大切に思う人から何度となく教えてもらっても、習慣として植え付けてしまったものはなかなか抜けることはないけれど…
根拠レスな涙が流れても、それはそれでいいような気がした。
私の心を揺り動かすカギはそこいら中に落ちていたのかもしれない。
相変わらず不自然な場所で一人涙を落としていた。
「一度出逢ったものはよくよく思い出せば、必ず逢ったことを思い出せる」
確か、こんな感じの台詞があったような気がする。
それは拡大解釈すれば、「忘れてしまったものは必ず思い出せる」ということにも繋がるような気がしたんだ。
今年に入ってからいろいろなことがある度に、いちいち蹴躓いてずぶずぶと沈んでいくしか能がないみたいな状態が続いていて。
昔なら簡単に越えることが出来たのに、出来なくなってる自分が情けなくて仕方なかったけれど。
迷いなく乗り越えられた要素が何だったのかも、いつか思い出せるのかもしれない。
突拍子もない考え方のような気がしたけれど、それだけで少し心は上向きになったような気がする。
そして最後まで見終わったときに、心の底に澱のように残ったものは。
愛は傍にあるもの、見えないもの、不安になるもの。
そして、何かを起こす力になるもの。
自分なりの「愛」の解釈だった。
それが作者の意図と違ってたとしても、何かを忘れて右往左往してた私にはそんなことを受け取れただけで十分だったのかもしれない。
いつもならタイトルロールがあがり始めると、慌しく席を立つお客さんが多くて心の澱を見つめることすら許されないような雰囲気になるのだけれど。
珍しく、今日のお客さんは誰も席を立とうとはしなかった。
そんなこともまた妙に嬉しかったりする。
その時、鞄の中で何かが揺れた感じがした。
映画館を出て、鞄の中を覗くと、竜樹さんからメールがひとつ。
「千と千尋は、いかがでしたか?」
映画に入り込みながら、時々我に変える瞬間があって。
「いつもならこんな風な場面が出ると、竜樹さんはこうしてくれたよな?」とか「何気に涙を落としてると、そっと手を握り締めてくれたよな」とか思っては少しだけ寂しさを覚えたりしたけれど。
ごくごく近くに竜樹さんはいてくれたのだと思うと、それがとても嬉しかった。
「根拠レスなんだけど、理屈抜きに心が振れた映画でした。
スタッフロールが上がっても、誰も席を立とうとしない光景にも初めて出会いました。
一人で観てたから好き勝手に泣けたけど、隣に竜樹さんがいててくれはったらよかったなと思いました。」
最後の一文に思いを託して、寒い冬の空にメールを一つ飛ばした。
電車に乗り込みぼけっとしてると、携帯にメールがひとつ。
「私の泣き顔は、和太鼓の時だけで十分。心、洗われたんじゃない?」
一昨年の年末にライブと忘年会のはしごをした時の竜樹さんを思い出し、無性に竜樹さんと話がしたくなった。
急いで家に帰って、竜樹さんに電話した。
心の底に残った澱の話をして、「一緒に観たかった」ことを告げると、
「DVDが出たら、一緒に観ような?」って言ってくれた。
「一緒に観よう」って言葉がとても嬉しかった。
二人でこの映画を観た時、互いの心にはどんなものが映るのだろう。
同じ風景でなかったとしても、二人の心が見た景色を分け合うことを忘れずにいさえしたら。
それもまた「二人で生きた」ことの証しになるのかな?
久しぶりに観た映画はそんなことをそっと教えてくれた気がした。
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心に触れられるうちは、きっと…
2002年1月24日竜樹さんと電話で話し終えてから、こてっと寝てしまったらしい。
起きたら、3時だった。
そこから日記を書こうと頑張ってみたけれど、結局最後まで書けずじまい。
もう一度寝直すかどうか迷いながらふと見ると、パソコンに差し込んでるLANカードが何故か壊れていた(-_-;)
完全に気力が削がれて、即二度寝確定。
…中途半端な寝方をしたせいか、すっきりしない目覚めだった。
いつものようにばたばたと家を出て電車に乗り、朝メールを飛ばす。
それで情緒不安定状態が改善される訳ではないけれど。
少しばかり思いを吐き出して、会社に入る。
仕事は、忙しいのか暇なのかよくわからない状態だけど。
ひとまず定時に会社を出られるように、黙々と仕事をする。
お昼休み、昼食を取って二度目のお茶を入れ、自分の席でぼけっとしてると。
机の上でマナーモードにしてる携帯が踊っていた。
見ると、竜樹さんからメールがひとつ。
「ぺこちゃん2代目が稚魚をプレゼントしてくれました。びっくりです!」
「ぺこちゃん」と言うのは、昔竜樹さんが飼っていたメスのベタの名前(笑)
最近ペットショップで、綺麗な色のメスのベタがいたから飼ったとは聞いていて、先週の土曜日にも見せてもらったのだけれど。
「ぺこちゃん2代目」という名前がついてるとは思わなかった(笑)
そのネーミングに笑いながら、つい先日見たばかりのメスのベタが卵を産んでいたことも、それが孵ったことも現実のものとしてぴんと来なくてちょっと不思議な感じがする。
いずれにしても、用事がなければ滅多に連絡してこない竜樹さんからメールが届いたことに思わず頬がゆるむ。
…昼からまた仕事、頑張ろっと(*^_^*)
竜樹さんの携帯メールに元気を貰い、午後からの仕事を始める。
幸か不幸か、午後からも仕事は多くなくて。
眠気がどんどん増してくる。
こくりこくりと、きっと傍目からははっきり眠りかけと判るようなリアクションをしてしまうのを必死で隠しながら、仕事を進める。
ふと横を見ると、お弁当鞄が揺れている。
そっと見ると、携帯にまたメールがひとつ。
「間食にハンバーグを食べました。とっても、とっても、うまいねー!(^○^)
また作ってね。プハー!」
これまた竜樹さんには似つかわしくない絵文字沢山のメール。
眠気と格闘して疲れきってるところに、また元気が宿る。
最近、いろいろあったから、きっと気を遣わせてるのだろうなと思うと申し訳ない気がするけれど。
それでも、何気なく「想い」を届けてくれる気持ちが嬉しかった。
…あと少しで仕事も終わるから、頑張ろう♪
何とか気力を繋いで仕事を終える。
定時に会社を飛び出して、自転車をかっ飛ばし、電車に乗る。
途中、手が冷たかったので、竜樹さんに貰った男物のごつい手袋をして自転車を飛ばす。
そうすると、いつもより手が冷たくなかったのが嬉しくて、私からもメールを飛ばす。
「役立ってます。手袋。
コートの袖口が細いから手袋しまい込めないのが難だけど、走行中の異常なる寒さを防いでくれてます。ありがとう♪
またハンバーグの差し入れ、持って行くね」
そうして電車に乗り、大型電気屋に向かう。
寝不足で身体は疲れてるからとっとと帰りたかったけれど、電気屋に入ると何故かあれもこれもと見てしまって、気が付くと結構時間が過ぎていた。
結局、LANカード以外にも少々余計なものを何点か買って店を出る。
…早く帰ろう。
そう思って足早に店を出ようとしたら、いきなりけたたましい警報音。
警備員がやってくる。
…何も盗ってないのに、何で鳴るかなぁ?(((((( ̄○ ̄;)!
不思議なもので、悪いことをしてなくてもいきなり警報音が鳴るとビビリ上がってしまうもので。
きょとんとしてるところに、警備員がやってきて一言言った。
「…あ、商品タグ取り忘れてますね」
そう言って、警報音を切って話し掛ける。
「これから他の電気屋とか行きますか?」
「いえ?もう帰るつもりですけど…」
「それならそのまま出てもらっても問題ないんですけどね、同じシステムを導入してる店に寄られるなら、このタグ外さないとよその店でも鳴りますよ」
…えーーーーーーーーっ( ̄○ ̄;)!
ただでさえ疲れてる上に、突然の警報音騒動が降ってわいたから疲れはピークを越えていた。
「…いえ。もうそのままでいいです。帰ります」
…もっと怒れよ!?金岡!?
いや、いつもなら店内に戻って商品タグを外させた上に、小言の一つ二つくらい言って帰るんだろうけれど。
すっかり疲れてしまって、店に戻ってお小言言う気にもなれず、そのまま店の外に出してもらい、よろよろと帰ってきた。
さりとて、こんな事態には滅多に陥るものではないなと思うとそれはそれで面白い気がして、友達に報告メールをばら撒いてみたりしたくらいだから、それほど疲れてもいなかったのかもしれないけれど(^^ゞ
家に帰ってこの話をしたら金岡母に「何でもっとちゃんと怒ってこないのよ?」と呆れられてしまったのだけど。
「疲れてるときは必要以上に怒りたおさない。余計に疲れるから」
その持論は決して間違ってはいないのだと勝手に信じ込んで自室に戻る。
自室に戻ると、友達からメールが届いていたのでこちこちとお返事を打ち返した。
送信し終えて、ふと携帯のディスプレイを見つめて思った。
…今日はずっと竜樹さんが傍にいてくれた感じだよなぁ
それがただ嬉しかったのだと伝えてみたくて、竜樹さんに電話をした。
夕方から冷え込んだから出てもらえるとは思っていなかったけれど、竜樹さんは出てくれた。
お魚の話をしたり、差し入れのハンバーグの話をしたり、今日の珍事件の話をしたり。
竜樹さんの体調が悪さげだったので、早めに会話を終えたけれど。
しんどくても、疲れてても二人から「嬉しい」という気持ちが受け渡しできたことがとても嬉しかった。
心に棘為すものはまだ消えてはくれていないけれど。
それでも、心はいつも近くにあること。
それを二人が特別なもののように思い、それを愛しく思っていられるうちは。
まだ大丈夫なのかもしれない。
心に触れられるうちは、きっと…
「二人の心が近くにあることを少しでも多く感じられる日が増えますように」と祈りながら、意識が落ちるのに任せて眠りについた。
起きたら、3時だった。
そこから日記を書こうと頑張ってみたけれど、結局最後まで書けずじまい。
もう一度寝直すかどうか迷いながらふと見ると、パソコンに差し込んでるLANカードが何故か壊れていた(-_-;)
完全に気力が削がれて、即二度寝確定。
…中途半端な寝方をしたせいか、すっきりしない目覚めだった。
いつものようにばたばたと家を出て電車に乗り、朝メールを飛ばす。
それで情緒不安定状態が改善される訳ではないけれど。
少しばかり思いを吐き出して、会社に入る。
仕事は、忙しいのか暇なのかよくわからない状態だけど。
ひとまず定時に会社を出られるように、黙々と仕事をする。
お昼休み、昼食を取って二度目のお茶を入れ、自分の席でぼけっとしてると。
机の上でマナーモードにしてる携帯が踊っていた。
見ると、竜樹さんからメールがひとつ。
「ぺこちゃん2代目が稚魚をプレゼントしてくれました。びっくりです!」
「ぺこちゃん」と言うのは、昔竜樹さんが飼っていたメスのベタの名前(笑)
最近ペットショップで、綺麗な色のメスのベタがいたから飼ったとは聞いていて、先週の土曜日にも見せてもらったのだけれど。
「ぺこちゃん2代目」という名前がついてるとは思わなかった(笑)
そのネーミングに笑いながら、つい先日見たばかりのメスのベタが卵を産んでいたことも、それが孵ったことも現実のものとしてぴんと来なくてちょっと不思議な感じがする。
いずれにしても、用事がなければ滅多に連絡してこない竜樹さんからメールが届いたことに思わず頬がゆるむ。
…昼からまた仕事、頑張ろっと(*^_^*)
竜樹さんの携帯メールに元気を貰い、午後からの仕事を始める。
幸か不幸か、午後からも仕事は多くなくて。
眠気がどんどん増してくる。
こくりこくりと、きっと傍目からははっきり眠りかけと判るようなリアクションをしてしまうのを必死で隠しながら、仕事を進める。
ふと横を見ると、お弁当鞄が揺れている。
そっと見ると、携帯にまたメールがひとつ。
「間食にハンバーグを食べました。とっても、とっても、うまいねー!(^○^)
また作ってね。プハー!」
これまた竜樹さんには似つかわしくない絵文字沢山のメール。
眠気と格闘して疲れきってるところに、また元気が宿る。
最近、いろいろあったから、きっと気を遣わせてるのだろうなと思うと申し訳ない気がするけれど。
それでも、何気なく「想い」を届けてくれる気持ちが嬉しかった。
…あと少しで仕事も終わるから、頑張ろう♪
何とか気力を繋いで仕事を終える。
定時に会社を飛び出して、自転車をかっ飛ばし、電車に乗る。
途中、手が冷たかったので、竜樹さんに貰った男物のごつい手袋をして自転車を飛ばす。
そうすると、いつもより手が冷たくなかったのが嬉しくて、私からもメールを飛ばす。
「役立ってます。手袋。
コートの袖口が細いから手袋しまい込めないのが難だけど、走行中の異常なる寒さを防いでくれてます。ありがとう♪
またハンバーグの差し入れ、持って行くね」
そうして電車に乗り、大型電気屋に向かう。
寝不足で身体は疲れてるからとっとと帰りたかったけれど、電気屋に入ると何故かあれもこれもと見てしまって、気が付くと結構時間が過ぎていた。
結局、LANカード以外にも少々余計なものを何点か買って店を出る。
…早く帰ろう。
そう思って足早に店を出ようとしたら、いきなりけたたましい警報音。
警備員がやってくる。
…何も盗ってないのに、何で鳴るかなぁ?(((((( ̄○ ̄;)!
不思議なもので、悪いことをしてなくてもいきなり警報音が鳴るとビビリ上がってしまうもので。
きょとんとしてるところに、警備員がやってきて一言言った。
「…あ、商品タグ取り忘れてますね」
そう言って、警報音を切って話し掛ける。
「これから他の電気屋とか行きますか?」
「いえ?もう帰るつもりですけど…」
「それならそのまま出てもらっても問題ないんですけどね、同じシステムを導入してる店に寄られるなら、このタグ外さないとよその店でも鳴りますよ」
…えーーーーーーーーっ( ̄○ ̄;)!
ただでさえ疲れてる上に、突然の警報音騒動が降ってわいたから疲れはピークを越えていた。
「…いえ。もうそのままでいいです。帰ります」
…もっと怒れよ!?金岡!?
いや、いつもなら店内に戻って商品タグを外させた上に、小言の一つ二つくらい言って帰るんだろうけれど。
すっかり疲れてしまって、店に戻ってお小言言う気にもなれず、そのまま店の外に出してもらい、よろよろと帰ってきた。
さりとて、こんな事態には滅多に陥るものではないなと思うとそれはそれで面白い気がして、友達に報告メールをばら撒いてみたりしたくらいだから、それほど疲れてもいなかったのかもしれないけれど(^^ゞ
家に帰ってこの話をしたら金岡母に「何でもっとちゃんと怒ってこないのよ?」と呆れられてしまったのだけど。
「疲れてるときは必要以上に怒りたおさない。余計に疲れるから」
その持論は決して間違ってはいないのだと勝手に信じ込んで自室に戻る。
自室に戻ると、友達からメールが届いていたのでこちこちとお返事を打ち返した。
送信し終えて、ふと携帯のディスプレイを見つめて思った。
…今日はずっと竜樹さんが傍にいてくれた感じだよなぁ
それがただ嬉しかったのだと伝えてみたくて、竜樹さんに電話をした。
夕方から冷え込んだから出てもらえるとは思っていなかったけれど、竜樹さんは出てくれた。
お魚の話をしたり、差し入れのハンバーグの話をしたり、今日の珍事件の話をしたり。
竜樹さんの体調が悪さげだったので、早めに会話を終えたけれど。
しんどくても、疲れてても二人から「嬉しい」という気持ちが受け渡しできたことがとても嬉しかった。
心に棘為すものはまだ消えてはくれていないけれど。
それでも、心はいつも近くにあること。
それを二人が特別なもののように思い、それを愛しく思っていられるうちは。
まだ大丈夫なのかもしれない。
心に触れられるうちは、きっと…
「二人の心が近くにあることを少しでも多く感じられる日が増えますように」と祈りながら、意識が落ちるのに任せて眠りについた。
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一日が始まる前に…(覚え書き)
2002年1月23日気付いてくれてありがとう。
心の傍にいてくれてありがとう。
怒ってくれてありがとう。
共に悲しんでくれてありがとう。
背中を押してくれてありがとう。
あと3日頑張って、ちゃんと向き合ってくるから。
二人でちゃんと折り合いつけながら、
歩き続けられるところまで歩いてみるから。
何もせず我慢し続けることで、
辛い想いだけ預けるようなマネはもうしないから。
そこにいてくれてありがとう。
竜樹さんが大好きな私を認めてくれてありがとう。
心の傍にいてくれてありがとう。
怒ってくれてありがとう。
共に悲しんでくれてありがとう。
背中を押してくれてありがとう。
あと3日頑張って、ちゃんと向き合ってくるから。
二人でちゃんと折り合いつけながら、
歩き続けられるところまで歩いてみるから。
何もせず我慢し続けることで、
辛い想いだけ預けるようなマネはもうしないから。
そこにいてくれてありがとう。
竜樹さんが大好きな私を認めてくれてありがとう。
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背中あわせな想いと痛み
2002年1月17日今日であの大きな地震が起こってから7年目を迎える。
あの地震がなかったら、今とは違う道を歩いていたことを。
最後に自分の気持ちを取り戻した結果、大切な人に出逢えたことを。
生命が大きく揺れ動き、私にとってはすべての始まりとなった7年前に想いを馳せる。
朝、また重い身体を起こして出勤。
私が眠っている間に携帯にメールがたくさん届いていた。
一生懸命心の中から生まれ来る何かを文字に託してるメールに言葉が詰まった。
想いが痛みと背中あわせであることを、思い知った気がした。
自分にとって大切な人の「特別」になりたいと希う。
それはきっとごく自然なこと。
自分が大切に想う人の「特別」になりたいと思うから、認めて欲しいと願うから、独り占めしたいと思い、大切な時間を共有したいと思い、我儘を受け入れて欲しいと願う。
大切な人の存在は心を暖めるけれど、それと同時に大きな痛みもまた連れてくる。
時にその痛さに耐えかねて、離れて歩いていくことを選ぶこともある。
それですら、間違いだとは思わない。
それで「逃げてしまった」と自分を責める必要も、第三者に責められる筋合いもない。
…だって、痛いものは痛いもの。
我慢できない痛みは確かに存在するのだから。
友達はずっと苦しんでいた。
心の底に大きく広がる想いから生まれた痛みが、ずっとずっと消えないままで。
「どうしたら、その痛さは和らぐのだろう?」と思いながら、その痛みがそう簡単には癒えることのないものだということもまた、十分すぎるくらい判っていた。
その痛みは想いが強ければ強いほど加速していくものだから。
痛みの迷宮から逃れるには、心に蓋をするしかない。
だって、痛みは溢れるばかりの想いと正比例するものだから。
その痛みを味わいたくなければ、誰かを大切にしたいと想う気持ち自体を抑えないといけない。
そんな気がするから。
相互理解をしようと努力をすれば、確かに痛みは小さくはなるかもしれない。
相手のことをお互いが思い遣れば、そんな痛みを感じなくて済むのかもしれない。
でも、自分の望みを相手がすべて叶えられるかって言えば、正直「どうなのかな?」って思う部分がある。
誰かを大切に想う気持ちは自分の中から生まれてくるものだから。
それが「自分」寄りの想いであっても、ある程度は仕方がない気がしてる。
相手のことを優先して考えられるならそれはベターではあるだろうけれど、「相手を一番」にすることは自動的に「自分を一番より下」に持っていくしかないから。
両方が曲げない状態で「お互いがお互いを一番」なんて成立するのかな?
この先はどうか判らないけれど、今までそんな人にはお目にかかったことがないから。
根拠レスに「できるよ」って言われても、正直今は信じる気がしない。
だから、「相手を尊重する」って気持ちを持ちながら、痛みが伴うことを覚悟で想うしかないのかもしれない。
心から生まれる暖かな感情に蓋をするなんて、不自然極まりないよって思うんだ。
それが想いの種類を異にしてるとは言え、「大切」や「好き」を並立させてることについてもそれはそれで構わない気がする。
それを不誠実だって思わないし、本人以外の誰かが断ずる筋合いなんてないって思う。
あなたはあなたの想いを大切にすればいい。
あなたの想いが不誠実なものでないことは、私が承知してるから。
それが取るに足りない根拠でも、いつかは暖かな想いをくれる誰かと歩いて欲しいと思う。
出来るだけ、心が痛まない愛を手に入れて欲しいと願うけれど。
心の痛みは想いと背中あわせの部分をもつから、0になるとは思えない。
だけど、痛みを引き換えにしてでも欲しい想いを見つけたら。
心に蓋をせず、その想いを守り通して欲しい。
痛みから逃れるために心に蓋をすることは、思いを大切にすることと引き換えについてくる痛み以上の傷を残すような気がするんだ。
そうやって心閉ざす姿は、「私」が見たくないから。
こんな発言ですら、きっとあなたには傲慢極まりないのかもしれないけれど。
いつかそんな誰かと出逢えた時には、今よりも自分を責めないあなたに出会いたいなと思ってるんだ。
蹲りたい時は蹲ってていいんだ。
誰かを好きになりたい時は、その気持ちに正直に生きていいんだ。
諦めたくないなら諦めなくていい。
よっぽどの迷惑をかけるのなら、ダッシュかます前にちょっくら止めに入るかもしれないけれど。
基本的に私は止めない。
ただ、これだけは覚えておいて。
想いと痛みは背中あわせであって、切り離すことのできるものではないのだということ。
付き纏う痛み以上の思いに出逢えたら。
その時は、怯まずまっすぐ進めばいいんだよ?
そう友達にお返事をしようと思いながら、連日の寝不足がたたって乗り物に乗るとグー。
ご飯を食べ終わってもグー、湯船の中でもグー。
「細切れ寝太郎」状態で「始まりの日」を終えてしまうことになりそうだけど…
友達の言葉に想いと痛みの相関図を思い描き、私と竜樹さんのいる地図の上にそっと乗せてみる。
連日、心を痛めていたこともまた、「想い」の証しであったことを実感する。
7年前。
「人を想う気持ち」とちゃんと向き合えない私は、ちゃんと私を見てくれただろう人を真正面から見ることができなかった。
ただ「傷つく」ことも「傷つける」ことも嫌で、何となく一緒にい続けてしまった。
「それでもいいか」と半ば投げやりな気持ちのまま自分の気持ちに蓋をしたまま、新しい年を迎え…
「あの日」はやってきた。
身近なところでも生命が揺れ動く中に立って、そのままい続けることが「違う」と気付いた。
相手が自分を想ってくれる気持ちにちゃんと応えられないまま「家族」として生きることは出来ない。
たとえこの先ずっと一人になっても、私は応えられない人とは向き合えない。
形ばかり応えることは、決別する以上に相手を傷つけ、自分を傷つける。
だから。
最初から最後まで傷つけて、別れた。
自分の不誠実さに歯がゆさと嫌悪感を覚えて、心を閉ざす蓋をどんどん強固なものにしていった。
そんな中、竜樹に出逢った。
職場の中ではなく、職場の外で。
考える余地もなく竜樹に引っ張られ、その中で「大切な想い」を見つけた。
形ばかりの幸せにはもう出逢えそうにないけれど。
いつか、痛みも想いもすべて抱き締めて、笑顔溢れる自分に出逢えるように。
いつか、心と身体の痛みを越えたところで、笑顔溢れる竜樹に出逢えるように。
痛みも想いもちゃんと抱えて歩きたい。
竜樹を想う自分の気持ちに触れて、始まりの日に想う。
痛みを伴っても、想いが痛みに勝ち続けている間は竜樹さんの傍にいよう。
あの地震がなかったら、今とは違う道を歩いていたことを。
最後に自分の気持ちを取り戻した結果、大切な人に出逢えたことを。
生命が大きく揺れ動き、私にとってはすべての始まりとなった7年前に想いを馳せる。
朝、また重い身体を起こして出勤。
私が眠っている間に携帯にメールがたくさん届いていた。
一生懸命心の中から生まれ来る何かを文字に託してるメールに言葉が詰まった。
想いが痛みと背中あわせであることを、思い知った気がした。
自分にとって大切な人の「特別」になりたいと希う。
それはきっとごく自然なこと。
自分が大切に想う人の「特別」になりたいと思うから、認めて欲しいと願うから、独り占めしたいと思い、大切な時間を共有したいと思い、我儘を受け入れて欲しいと願う。
大切な人の存在は心を暖めるけれど、それと同時に大きな痛みもまた連れてくる。
時にその痛さに耐えかねて、離れて歩いていくことを選ぶこともある。
それですら、間違いだとは思わない。
それで「逃げてしまった」と自分を責める必要も、第三者に責められる筋合いもない。
…だって、痛いものは痛いもの。
我慢できない痛みは確かに存在するのだから。
友達はずっと苦しんでいた。
心の底に大きく広がる想いから生まれた痛みが、ずっとずっと消えないままで。
「どうしたら、その痛さは和らぐのだろう?」と思いながら、その痛みがそう簡単には癒えることのないものだということもまた、十分すぎるくらい判っていた。
その痛みは想いが強ければ強いほど加速していくものだから。
痛みの迷宮から逃れるには、心に蓋をするしかない。
だって、痛みは溢れるばかりの想いと正比例するものだから。
その痛みを味わいたくなければ、誰かを大切にしたいと想う気持ち自体を抑えないといけない。
そんな気がするから。
相互理解をしようと努力をすれば、確かに痛みは小さくはなるかもしれない。
相手のことをお互いが思い遣れば、そんな痛みを感じなくて済むのかもしれない。
でも、自分の望みを相手がすべて叶えられるかって言えば、正直「どうなのかな?」って思う部分がある。
誰かを大切に想う気持ちは自分の中から生まれてくるものだから。
それが「自分」寄りの想いであっても、ある程度は仕方がない気がしてる。
相手のことを優先して考えられるならそれはベターではあるだろうけれど、「相手を一番」にすることは自動的に「自分を一番より下」に持っていくしかないから。
両方が曲げない状態で「お互いがお互いを一番」なんて成立するのかな?
この先はどうか判らないけれど、今までそんな人にはお目にかかったことがないから。
根拠レスに「できるよ」って言われても、正直今は信じる気がしない。
だから、「相手を尊重する」って気持ちを持ちながら、痛みが伴うことを覚悟で想うしかないのかもしれない。
心から生まれる暖かな感情に蓋をするなんて、不自然極まりないよって思うんだ。
それが想いの種類を異にしてるとは言え、「大切」や「好き」を並立させてることについてもそれはそれで構わない気がする。
それを不誠実だって思わないし、本人以外の誰かが断ずる筋合いなんてないって思う。
あなたはあなたの想いを大切にすればいい。
あなたの想いが不誠実なものでないことは、私が承知してるから。
それが取るに足りない根拠でも、いつかは暖かな想いをくれる誰かと歩いて欲しいと思う。
出来るだけ、心が痛まない愛を手に入れて欲しいと願うけれど。
心の痛みは想いと背中あわせの部分をもつから、0になるとは思えない。
だけど、痛みを引き換えにしてでも欲しい想いを見つけたら。
心に蓋をせず、その想いを守り通して欲しい。
痛みから逃れるために心に蓋をすることは、思いを大切にすることと引き換えについてくる痛み以上の傷を残すような気がするんだ。
そうやって心閉ざす姿は、「私」が見たくないから。
こんな発言ですら、きっとあなたには傲慢極まりないのかもしれないけれど。
いつかそんな誰かと出逢えた時には、今よりも自分を責めないあなたに出会いたいなと思ってるんだ。
蹲りたい時は蹲ってていいんだ。
誰かを好きになりたい時は、その気持ちに正直に生きていいんだ。
諦めたくないなら諦めなくていい。
よっぽどの迷惑をかけるのなら、ダッシュかます前にちょっくら止めに入るかもしれないけれど。
基本的に私は止めない。
ただ、これだけは覚えておいて。
想いと痛みは背中あわせであって、切り離すことのできるものではないのだということ。
付き纏う痛み以上の思いに出逢えたら。
その時は、怯まずまっすぐ進めばいいんだよ?
そう友達にお返事をしようと思いながら、連日の寝不足がたたって乗り物に乗るとグー。
ご飯を食べ終わってもグー、湯船の中でもグー。
「細切れ寝太郎」状態で「始まりの日」を終えてしまうことになりそうだけど…
友達の言葉に想いと痛みの相関図を思い描き、私と竜樹さんのいる地図の上にそっと乗せてみる。
連日、心を痛めていたこともまた、「想い」の証しであったことを実感する。
7年前。
「人を想う気持ち」とちゃんと向き合えない私は、ちゃんと私を見てくれただろう人を真正面から見ることができなかった。
ただ「傷つく」ことも「傷つける」ことも嫌で、何となく一緒にい続けてしまった。
「それでもいいか」と半ば投げやりな気持ちのまま自分の気持ちに蓋をしたまま、新しい年を迎え…
「あの日」はやってきた。
身近なところでも生命が揺れ動く中に立って、そのままい続けることが「違う」と気付いた。
相手が自分を想ってくれる気持ちにちゃんと応えられないまま「家族」として生きることは出来ない。
たとえこの先ずっと一人になっても、私は応えられない人とは向き合えない。
形ばかり応えることは、決別する以上に相手を傷つけ、自分を傷つける。
だから。
最初から最後まで傷つけて、別れた。
自分の不誠実さに歯がゆさと嫌悪感を覚えて、心を閉ざす蓋をどんどん強固なものにしていった。
そんな中、竜樹に出逢った。
職場の中ではなく、職場の外で。
考える余地もなく竜樹に引っ張られ、その中で「大切な想い」を見つけた。
形ばかりの幸せにはもう出逢えそうにないけれど。
いつか、痛みも想いもすべて抱き締めて、笑顔溢れる自分に出逢えるように。
いつか、心と身体の痛みを越えたところで、笑顔溢れる竜樹に出逢えるように。
痛みも想いもちゃんと抱えて歩きたい。
竜樹を想う自分の気持ちに触れて、始まりの日に想う。
痛みを伴っても、想いが痛みに勝ち続けている間は竜樹さんの傍にいよう。
誕生日特別出張サービス
2002年1月16日今日は竜樹さんのお誕生日。
土曜日に逢った時、「会社帰りだとゆっくりできないから、ゆっくりできる時にしよう」って言われてしまったから、会えるとは思っていなかった。
外は雨が降っている。
元々、雨の日は体調自体が優れないけれど、連日3時間ちょっとの睡眠で身体を動かしてるせいか足許にきたみたいで、危うく外の玄関の階段から転げ落ちるところだった。
別にそんなしょうもないドジを踏みそうになったからだけじゃないけれど。
やっぱり雨は嫌い。
雨降りと寒い日には決まって体調を崩す竜樹さんを思うと、ため息が出る。
竜樹さんを思うと、連日頭を痛めてる件が頭を擡げて、またため息が出る。
雨とため息の無限ループ。
何とかそれを払拭したくて、早朝にメールをくれた友達にお返事を飛ばす。
何時間持つか判らない、小さな決意を文字に託して電車を降りる。
会社に着いて、仕事を始める。
午前中、噛み付かんばかりに鳴り響く電話の対応に追われて、昼休みはぐったりしていた。
昨日・今日とボスが不在で静か過ぎてつまらないけれど、茶々を入れられることもなくゆっくり昼寝できるのが救いだった(笑)
昼寝を終え、少しばかり時間があったので竜樹さんにメールを飛ばす。
「雨が降って少しばかり冷える気がするけど、体調悪くなりすぎてない?
お誕生日なんだから、もう少し暖かくなってくれるといいのにね。
お見舞いが必要なら、いつでもお声かけ下さい。
誕生日特別出張サービス実施中です♪」
お返事が来るとは思えないけれど。
いろいろあっても気持ちだけは傍にあれたらいいとそう思ってメールを飛ばした。
そうしてまた昼寝に戻り、午後の始業時間を迎える。
何気なく、お弁当鞄が揺れた気がして覗き込む。
すると、携帯にメールが一つ。
「昨日の注射で、マシです。だけど、落胆ぎみです。出張サービス、たのもかなぁー?又、連絡下さい。」
一連のことに自分の中で決着がついていない状態で、敢えて竜樹さんに逢いに行くのはどうかと思わなかった訳じゃない。
彼の命の根幹を守った彼女のことを甘く見すぎたこと、竜樹さんが私の気持ちを酌もうとしないこと、私の中でいろんなものが壊れてしまったこと。
それはもうどうにもならないこと。
この先の私の位置付けを決めるのも、彼女の位置付けを決めるのも、竜樹さんでしかなくて。
竜樹さんの中での彼女の立場が私のそれよりも優位であることは、もう崩れることはないのかもしれない。
それでも。
私が竜樹さんといることで幸せであり続けるなら。
私は私の心の中の靄に決着をつけられるかもしれない。
彼女の持ってるポジションとは違う、私だけのポジションを見つけられるなら、この件について決してチャラにはならなくても、「私の幸せ」は確立できるのかもしれない。
それが叶うのかどうか、彼に逢って確かめてみたかった。
そう思うと、俄然、仕事のペースはあがった。
短い時間でもいい、彼と一緒にいる時間が自分にとってどんなものであるのか?
そこからどんな感情が生まれるのか、知りたかった。
定時に会社を飛び出し、竜樹さんにメールを飛ばす。
いつものように電車に乗り込んだ時、竜樹さんから電話が入った。
「迎えに行くから、次の駅で降りて」という指示に従って途中下車して、竜樹さんを待つ。
それほど待たずして、竜樹さんと出逢えた。
「こっちの駅で待ち合わせする方が、いつもの場所で待ち合わせするよりも早く来れるねん♪」
注射を打ったというだけあって、元気そうでよかった。
途中、コンビニに寄って少し足りないものを調達して、竜樹邸に入る。
本当はスーパーにでも寄って足りない食材を足したかったけれど。
「今日はゆっくりしてられへんねんし、霄がこないだお土産に持って来てくれたハンバーグ、焼こうや?」
竜樹さんのその一言で、夕飯は即決。
早速、夕食の準備に取り掛かる。
ハンバーグを焼き、とろみのついた醤油ベースのソースをかけ、ネギのみじん切りを添え、
白菜と玉ねぎとエビを中華スープと薄口醤油で味付けしたものを付け合せにした。
「お誕生日、おめでとうございます♪(*^人^*)」
「いただきます♪」の掛け声の変わりに、お祝いの言葉で食事を始める。
竜樹さんはハンバーグがあまり好きではないけれど、どうやら私が作ったものはお気に召すらしく、すごい勢いで食べていらっしゃる。
「霄のハンバーグうまいから、冷凍して置いといてもらうと助かるねん♪」
そんな言葉に気をよくしながらふと竜樹さんの方を見ると、白菜の付け合せもなくなっていた。
お腹が一杯になると、相変わらずごろりと横になる。
ハモネプを見ながら、お布団の中でだっこしあう。
「誕生日特別出張サービスっていう言葉、ツボにはまってん。
慌しいのイヤやから逢わなくてもいいかって思ってたけど、逢えてよかったわ」
「ちゃんとお祝いしてくれる彼女がいてくれてよかったでしょ?」
「うん♪そやなぁ…(*^_^*)」
交わすキスはどこか会話のような感じで、仕草一つが想いを語るようでドキドキしながら。
何を話すわけでもないのに、何かを受け渡してるような気持ちになるのを不思議に思いながら。
会話からまた余計なことを言いそうになった私を制するように、ゆっくりとやりとりにもつれ込まそうとした竜樹さん。
「SAY YES」が聞こえた途端、がばっと起き上がってしまった。
それですっかりリビングモードに戻ってしまう。
あとから竜樹さんは「タイミングを逸した」と悔しそうだったけれど。
家に帰る時間が迫り、二人で竜樹邸を後にする。
一緒にいる時間があまりに暖かかったから、離れるとまたつまらない物思いに捕まりそうで離れたくはなかったけれど、帰らない訳にはいかないから…
運転中にはあまり話をしない竜樹さんがぼそっと言った。
「俺はな、売り言葉に買い言葉的に言ってしまった言葉は後に残さない性質やねん」
「…?」
「こないだ言ったことは、売り言葉に買い言葉やってん。だから、本気で言ったんじゃないから」
そこから先、お互いに言葉を発することが出来なかったけれど。
だけど二人を包む空気は尖ったものではなかった。
「出張サービス、ありがとうな♪楽しかった」
私を家の前で降ろし、そう言って別れた竜樹さん。
思うことはまだいろいろあったとしても、お互いの想いをつめる作業を怠らないようにさえすれば。
やがては笑える話として流せるようになるのだろうか
今まで以上にもっともっと二人は信じあって歩けるのだろうか?
それはまだ判らないけれど。
冷静に自分の心を見つめなおして、竜樹さんの隣を歩こう。
土曜日に逢った時、「会社帰りだとゆっくりできないから、ゆっくりできる時にしよう」って言われてしまったから、会えるとは思っていなかった。
外は雨が降っている。
元々、雨の日は体調自体が優れないけれど、連日3時間ちょっとの睡眠で身体を動かしてるせいか足許にきたみたいで、危うく外の玄関の階段から転げ落ちるところだった。
別にそんなしょうもないドジを踏みそうになったからだけじゃないけれど。
やっぱり雨は嫌い。
雨降りと寒い日には決まって体調を崩す竜樹さんを思うと、ため息が出る。
竜樹さんを思うと、連日頭を痛めてる件が頭を擡げて、またため息が出る。
雨とため息の無限ループ。
何とかそれを払拭したくて、早朝にメールをくれた友達にお返事を飛ばす。
何時間持つか判らない、小さな決意を文字に託して電車を降りる。
会社に着いて、仕事を始める。
午前中、噛み付かんばかりに鳴り響く電話の対応に追われて、昼休みはぐったりしていた。
昨日・今日とボスが不在で静か過ぎてつまらないけれど、茶々を入れられることもなくゆっくり昼寝できるのが救いだった(笑)
昼寝を終え、少しばかり時間があったので竜樹さんにメールを飛ばす。
「雨が降って少しばかり冷える気がするけど、体調悪くなりすぎてない?
お誕生日なんだから、もう少し暖かくなってくれるといいのにね。
お見舞いが必要なら、いつでもお声かけ下さい。
誕生日特別出張サービス実施中です♪」
お返事が来るとは思えないけれど。
いろいろあっても気持ちだけは傍にあれたらいいとそう思ってメールを飛ばした。
そうしてまた昼寝に戻り、午後の始業時間を迎える。
何気なく、お弁当鞄が揺れた気がして覗き込む。
すると、携帯にメールが一つ。
「昨日の注射で、マシです。だけど、落胆ぎみです。出張サービス、たのもかなぁー?又、連絡下さい。」
一連のことに自分の中で決着がついていない状態で、敢えて竜樹さんに逢いに行くのはどうかと思わなかった訳じゃない。
彼の命の根幹を守った彼女のことを甘く見すぎたこと、竜樹さんが私の気持ちを酌もうとしないこと、私の中でいろんなものが壊れてしまったこと。
それはもうどうにもならないこと。
この先の私の位置付けを決めるのも、彼女の位置付けを決めるのも、竜樹さんでしかなくて。
竜樹さんの中での彼女の立場が私のそれよりも優位であることは、もう崩れることはないのかもしれない。
それでも。
私が竜樹さんといることで幸せであり続けるなら。
私は私の心の中の靄に決着をつけられるかもしれない。
彼女の持ってるポジションとは違う、私だけのポジションを見つけられるなら、この件について決してチャラにはならなくても、「私の幸せ」は確立できるのかもしれない。
それが叶うのかどうか、彼に逢って確かめてみたかった。
そう思うと、俄然、仕事のペースはあがった。
短い時間でもいい、彼と一緒にいる時間が自分にとってどんなものであるのか?
そこからどんな感情が生まれるのか、知りたかった。
定時に会社を飛び出し、竜樹さんにメールを飛ばす。
いつものように電車に乗り込んだ時、竜樹さんから電話が入った。
「迎えに行くから、次の駅で降りて」という指示に従って途中下車して、竜樹さんを待つ。
それほど待たずして、竜樹さんと出逢えた。
「こっちの駅で待ち合わせする方が、いつもの場所で待ち合わせするよりも早く来れるねん♪」
注射を打ったというだけあって、元気そうでよかった。
途中、コンビニに寄って少し足りないものを調達して、竜樹邸に入る。
本当はスーパーにでも寄って足りない食材を足したかったけれど。
「今日はゆっくりしてられへんねんし、霄がこないだお土産に持って来てくれたハンバーグ、焼こうや?」
竜樹さんのその一言で、夕飯は即決。
早速、夕食の準備に取り掛かる。
ハンバーグを焼き、とろみのついた醤油ベースのソースをかけ、ネギのみじん切りを添え、
白菜と玉ねぎとエビを中華スープと薄口醤油で味付けしたものを付け合せにした。
「お誕生日、おめでとうございます♪(*^人^*)」
「いただきます♪」の掛け声の変わりに、お祝いの言葉で食事を始める。
竜樹さんはハンバーグがあまり好きではないけれど、どうやら私が作ったものはお気に召すらしく、すごい勢いで食べていらっしゃる。
「霄のハンバーグうまいから、冷凍して置いといてもらうと助かるねん♪」
そんな言葉に気をよくしながらふと竜樹さんの方を見ると、白菜の付け合せもなくなっていた。
お腹が一杯になると、相変わらずごろりと横になる。
ハモネプを見ながら、お布団の中でだっこしあう。
「誕生日特別出張サービスっていう言葉、ツボにはまってん。
慌しいのイヤやから逢わなくてもいいかって思ってたけど、逢えてよかったわ」
「ちゃんとお祝いしてくれる彼女がいてくれてよかったでしょ?」
「うん♪そやなぁ…(*^_^*)」
交わすキスはどこか会話のような感じで、仕草一つが想いを語るようでドキドキしながら。
何を話すわけでもないのに、何かを受け渡してるような気持ちになるのを不思議に思いながら。
会話からまた余計なことを言いそうになった私を制するように、ゆっくりとやりとりにもつれ込まそうとした竜樹さん。
「SAY YES」が聞こえた途端、がばっと起き上がってしまった。
それですっかりリビングモードに戻ってしまう。
あとから竜樹さんは「タイミングを逸した」と悔しそうだったけれど。
家に帰る時間が迫り、二人で竜樹邸を後にする。
一緒にいる時間があまりに暖かかったから、離れるとまたつまらない物思いに捕まりそうで離れたくはなかったけれど、帰らない訳にはいかないから…
運転中にはあまり話をしない竜樹さんがぼそっと言った。
「俺はな、売り言葉に買い言葉的に言ってしまった言葉は後に残さない性質やねん」
「…?」
「こないだ言ったことは、売り言葉に買い言葉やってん。だから、本気で言ったんじゃないから」
そこから先、お互いに言葉を発することが出来なかったけれど。
だけど二人を包む空気は尖ったものではなかった。
「出張サービス、ありがとうな♪楽しかった」
私を家の前で降ろし、そう言って別れた竜樹さん。
思うことはまだいろいろあったとしても、お互いの想いをつめる作業を怠らないようにさえすれば。
やがては笑える話として流せるようになるのだろうか
今まで以上にもっともっと二人は信じあって歩けるのだろうか?
それはまだ判らないけれど。
冷静に自分の心を見つめなおして、竜樹さんの隣を歩こう。
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