まだ見ぬ場所へ…
2002年4月13日迷うことすら幸せなのだと、
へこむことすら幸せなのだと、今なら思える。
今まで迷うこともへこむことも煩わしくて仕方なかったのに…
不思議なもの。
それすら許されない風を目の前にして、
ネガな要素ですら、余裕の証しなのだと気付くなんて。
暖かな風も冷たい風も、
凪いではまた逆巻く。
それを越える過程が楽しいものでないと知っていても。
もしかしたら不毛な結果しか齎さないかも知れなくても。
…それでも諦めたくなければ、突き抜けてくしかないんだよ。
逆巻く風の前に「はい、そうですか」と下がれなかったからこそ、
ここまで歩いてきたんだから。
ここまでやってきたんだ。
あと何年繰り返しても、大差ないわさ。
持てるだけのものすべて引き連れて、
逆巻く風を突き抜けて、
まだ見ぬ場所を目指そう。
…そして、いつか。
まだ見ぬ場所で、笑顔の花を遺そう。
へこむことすら幸せなのだと、今なら思える。
今まで迷うこともへこむことも煩わしくて仕方なかったのに…
不思議なもの。
それすら許されない風を目の前にして、
ネガな要素ですら、余裕の証しなのだと気付くなんて。
暖かな風も冷たい風も、
凪いではまた逆巻く。
それを越える過程が楽しいものでないと知っていても。
もしかしたら不毛な結果しか齎さないかも知れなくても。
…それでも諦めたくなければ、突き抜けてくしかないんだよ。
逆巻く風の前に「はい、そうですか」と下がれなかったからこそ、
ここまで歩いてきたんだから。
ここまでやってきたんだ。
あと何年繰り返しても、大差ないわさ。
持てるだけのものすべて引き連れて、
逆巻く風を突き抜けて、
まだ見ぬ場所を目指そう。
…そして、いつか。
まだ見ぬ場所で、笑顔の花を遺そう。
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本当に欲しいもの
2002年4月12日「今週はやったら長かったなぁ…」
目が覚めて開口一番そう呟いていた。
竜樹さんと連絡が取れない1週間なんて今に始まったわけでなし、理由すら判らずに音信不通になったことも何年か前にはあったから、そういちいち気にすることもないのに。
そう言いながら、さすがに今朝はあまり落胆の色が見えない。
それは希望的観測があるからでも、竜樹さんの気持ちを信じてるからでもなく、ただの馴れなんだろうとは思いながら。
そんなニヒリスティックな気持ちを抱えて、部屋を出る。
金岡父は相変わらず具合が悪くて熱が下がらないよう。
「今日こそは病院に連れて行くのだ」と、母が気ぜわしくしている。
いつも私より先に出る、もしくは私と一緒に家を出る人が生気なくくたってる様子を見てると、何となく気もそぞろになるけれど。
ひとまず私は会社に行かないといけないから、仕方なくなく家を出た。
最近、訳のわからない質問や仕事が増えていて、正直辟易気味。
残業代が課長に申告して認められなければもらえなくなってる今、書類に理由が書けないようなあやふやな仕事が増えるのは、正直はた迷惑なだけ。
いらいらと仕事を片付け、たらたらと電話に出る(アカンやろ)
…金岡父、大丈夫かな?
仕事が少し切れたとき、珍しく自宅に電話を入れてみたい衝動に駆られた。
会社から自宅に連絡を入れるなんてことは余程の事がなかったらやらないし、かけようという発想すら起こらないのに。
ちょっと引っ掛かり気味の意識を無理矢理意識の片隅に押しやって、降り注ぐ仕事の山を蹴散らしにかかる。
…早く家に帰って、金岡父の診断結果を聞かないと。
意固地なまでにそんな風に思えたことが不思議だったけれど、心突き動かすまま仕事を片付けていく。
だけど、最後の最後に邪魔が入った/( ̄□ ̄)\ !
終業20分前のくそ忙しい時間帯に、親会社の社員がへろんとやってきた。
新年度開始の会議の時に、部署替えの挨拶なんて済んでただろうに、わざわざこんな時間にやってきて、応接室でのんべんだらりとご挨拶。
そこに立ち代り入れ替わり、うちの社員が出たり入ったり。
その度にお茶を淹れないといけない。
否応なく、本来するべき業務は止まる。
お客が帰る頃には、定時なんてとうに過ぎていた。
終始、いらいらと焦燥感と疲労感の三つ巴状態のまま、少しばかりのサービス残業を食らって、よろよろと社屋を後にする。
…このままずっと竜樹さんに放置かまされるなら、もういいや。
自分ひとりが歩く道のことを考えるなら、別にこの仕事に固執しないといけない理由なんてないんだ。
このご時世に会社を辞めて、次がすぐ決まるなんてありえないけれど、楽しみも何もない状態で疲れを溜めにだけ通ってるような仕事なら辞めてしまえばいい。
…こんな仕事、辞めたらぁヽ(`⌒´)ノ
思考は過激な方向へゆっくりと加速していく。
それを友達からのメールでようよう押さえられながら、帰宅した。
「お父さん、入院したわよ( -_-)」
玄関をあがって、リビングに入って金岡母から開口一番に飛び出したセリフがこれだ。
しかも、ちょっとばかりご立腹モード。
「だから、無理して会社に行かないで熱が出たときにさっさと休んで治しとけばよかったのよ!
人の言うことも聞かないで、肺炎起こすなんて何事よーーーっヽ(`⌒´)ノ」
…入院してる金岡父が気の毒なくらいの怒りよう((((((((^_^;)
「だって決算のまとめもせんなん忙しい時期やねんから、しゃあないやん?」という私に、
「身体を壊してまでする仕事がどこにあるのよ!?
体壊したって、会社は何もしてくれないのよーーーヽ(`⌒´)ノ」と金岡母。
…ダメだ、こりゃ(byいかりや長介)
しかも悪いことは続くもので。
金岡妹の旦那のおばあちゃんが亡くなったそう。
お江戸からは遠く離れたところでの葬儀の上にちょっとややこしい事情があって、お江戸の方からもどう対処すべきかの問い合わせの電話が鳴り響く。
金岡父の病室は個室の上に電話がついてるとはいえ、そうそう電話をして対応のお伺いを立ててるわけにもいかない。
ある程度の選択肢を絞り込む作業を手伝う。
一通り明日以降の対応の仕方のメドが立ったので、自室に戻る。
ぺたりとフローリングにへたり込んだ途端、部屋の電話が鳴った。
「…霄?どうしてる?」
竜樹さんからだった。
体調の悪い時の声のトーンの低さに、どこか弱さを感じられる。
だけど、竜樹さんの声を聞いて安心してしまったらしく、あろうことか金岡父の入院の話と金岡妹の旦那のおばあちゃんが亡くなった話をしてしまった。
暫く沈黙が走ったから、「言わなきゃよかった」と思った。
これ以上「私」の話はしたくなかった。
だから、竜樹さんが聞く最低限度のことに答えるに留めた
本当は次に電話がかかってきたら、自分の思ってたことを話すつもりだった。
本当はどんな状態でも逢えればそれでよかったのだと。
体調が悪くなったのが、暗に自分のせいだと言われたのが悲しかったのだと。
それより、何より。
ただ、あなたの傍で何かしたいと思っていたのだということを伝えたかった。
でも、やめた。
竜樹さんが何を話せばいいのか、模索してること。
想いを言葉に置き換える作業に苦しんでいること。
それは会話のない間の部分で、十分伝わってきたから。
今の私がするべきことは、自分の想いをまくし立てることじゃない。
…どうにかして、私に何かを伝えたいと必死になってる竜樹さんの想いのかけらを拾い集めること。
竜樹さんが自ら想うことを語ろうとすること自体がそうそうあることじゃない。
ましてや、具合の悪い状態が続いていて、もどかしさも不安も抱えた状態。
それでも何かを伝えたいと思うのなら。願うのなら。
何を置いてもそれを聞くのは当たり前のこと。
零れ落ちそうになる言葉にそっと鍵をかけて、ただ竜樹さんの言葉を待った。
早く話そうと焦る竜樹さんに、「出てくるまで待ってる。ゆっくり話してくれていいんだよ?」と繰り返す。
そうして竜樹さんがある程度想いを語り終えた時、
「明日、逢いにいくね?」
そう約束一つ残して、電話を切った。
ふと、大切なことを忘れていたことに気がついた。
あまりに大切なことをすこんと落っことしていたことに気付いて、涙が出そうになったけれど。
もしも、自分の幸福感だけが欲しくて、自分を満たしてくれるだけの恋が欲しいなら。
他所を当たればいい。
別に竜樹にしがみつくこたない。
お前が欲しかったものは何だ?
竜樹自身か?それとも人をもうらやむ幸せな恋か?
…そんなん、知れたことだよな?
私が本当に欲しいものは竜樹さん。
竜樹さんだから、欲しいと思ったんだよ?
竜樹さんでないなら、一緒にいられるだけの幸福感など知ることもなかった。
竜樹さんじゃない人から受ける幸福感などありはしないと思ってた。
…それは多分、きっとずっと、変わらない。
そういうものは確かにあるのかもしれない。
少なくとも、私の中にはあるのかもしれない。
シンプルに欲しいものだけを見据えることが必ずしもいいことだとは思わないけれど。
…互いの想いに触れた夜。
本当に欲しいものは、確かに見えたんだ。
目が覚めて開口一番そう呟いていた。
竜樹さんと連絡が取れない1週間なんて今に始まったわけでなし、理由すら判らずに音信不通になったことも何年か前にはあったから、そういちいち気にすることもないのに。
そう言いながら、さすがに今朝はあまり落胆の色が見えない。
それは希望的観測があるからでも、竜樹さんの気持ちを信じてるからでもなく、ただの馴れなんだろうとは思いながら。
そんなニヒリスティックな気持ちを抱えて、部屋を出る。
金岡父は相変わらず具合が悪くて熱が下がらないよう。
「今日こそは病院に連れて行くのだ」と、母が気ぜわしくしている。
いつも私より先に出る、もしくは私と一緒に家を出る人が生気なくくたってる様子を見てると、何となく気もそぞろになるけれど。
ひとまず私は会社に行かないといけないから、仕方なくなく家を出た。
最近、訳のわからない質問や仕事が増えていて、正直辟易気味。
残業代が課長に申告して認められなければもらえなくなってる今、書類に理由が書けないようなあやふやな仕事が増えるのは、正直はた迷惑なだけ。
いらいらと仕事を片付け、たらたらと電話に出る(アカンやろ)
…金岡父、大丈夫かな?
仕事が少し切れたとき、珍しく自宅に電話を入れてみたい衝動に駆られた。
会社から自宅に連絡を入れるなんてことは余程の事がなかったらやらないし、かけようという発想すら起こらないのに。
ちょっと引っ掛かり気味の意識を無理矢理意識の片隅に押しやって、降り注ぐ仕事の山を蹴散らしにかかる。
…早く家に帰って、金岡父の診断結果を聞かないと。
意固地なまでにそんな風に思えたことが不思議だったけれど、心突き動かすまま仕事を片付けていく。
だけど、最後の最後に邪魔が入った/( ̄□ ̄)\ !
終業20分前のくそ忙しい時間帯に、親会社の社員がへろんとやってきた。
新年度開始の会議の時に、部署替えの挨拶なんて済んでただろうに、わざわざこんな時間にやってきて、応接室でのんべんだらりとご挨拶。
そこに立ち代り入れ替わり、うちの社員が出たり入ったり。
その度にお茶を淹れないといけない。
否応なく、本来するべき業務は止まる。
お客が帰る頃には、定時なんてとうに過ぎていた。
終始、いらいらと焦燥感と疲労感の三つ巴状態のまま、少しばかりのサービス残業を食らって、よろよろと社屋を後にする。
…このままずっと竜樹さんに放置かまされるなら、もういいや。
自分ひとりが歩く道のことを考えるなら、別にこの仕事に固執しないといけない理由なんてないんだ。
このご時世に会社を辞めて、次がすぐ決まるなんてありえないけれど、楽しみも何もない状態で疲れを溜めにだけ通ってるような仕事なら辞めてしまえばいい。
…こんな仕事、辞めたらぁヽ(`⌒´)ノ
思考は過激な方向へゆっくりと加速していく。
それを友達からのメールでようよう押さえられながら、帰宅した。
「お父さん、入院したわよ( -_-)」
玄関をあがって、リビングに入って金岡母から開口一番に飛び出したセリフがこれだ。
しかも、ちょっとばかりご立腹モード。
「だから、無理して会社に行かないで熱が出たときにさっさと休んで治しとけばよかったのよ!
人の言うことも聞かないで、肺炎起こすなんて何事よーーーっヽ(`⌒´)ノ」
…入院してる金岡父が気の毒なくらいの怒りよう((((((((^_^;)
「だって決算のまとめもせんなん忙しい時期やねんから、しゃあないやん?」という私に、
「身体を壊してまでする仕事がどこにあるのよ!?
体壊したって、会社は何もしてくれないのよーーーヽ(`⌒´)ノ」と金岡母。
…ダメだ、こりゃ(byいかりや長介)
しかも悪いことは続くもので。
金岡妹の旦那のおばあちゃんが亡くなったそう。
お江戸からは遠く離れたところでの葬儀の上にちょっとややこしい事情があって、お江戸の方からもどう対処すべきかの問い合わせの電話が鳴り響く。
金岡父の病室は個室の上に電話がついてるとはいえ、そうそう電話をして対応のお伺いを立ててるわけにもいかない。
ある程度の選択肢を絞り込む作業を手伝う。
一通り明日以降の対応の仕方のメドが立ったので、自室に戻る。
ぺたりとフローリングにへたり込んだ途端、部屋の電話が鳴った。
「…霄?どうしてる?」
竜樹さんからだった。
体調の悪い時の声のトーンの低さに、どこか弱さを感じられる。
だけど、竜樹さんの声を聞いて安心してしまったらしく、あろうことか金岡父の入院の話と金岡妹の旦那のおばあちゃんが亡くなった話をしてしまった。
暫く沈黙が走ったから、「言わなきゃよかった」と思った。
これ以上「私」の話はしたくなかった。
だから、竜樹さんが聞く最低限度のことに答えるに留めた
本当は次に電話がかかってきたら、自分の思ってたことを話すつもりだった。
本当はどんな状態でも逢えればそれでよかったのだと。
体調が悪くなったのが、暗に自分のせいだと言われたのが悲しかったのだと。
それより、何より。
ただ、あなたの傍で何かしたいと思っていたのだということを伝えたかった。
でも、やめた。
竜樹さんが何を話せばいいのか、模索してること。
想いを言葉に置き換える作業に苦しんでいること。
それは会話のない間の部分で、十分伝わってきたから。
今の私がするべきことは、自分の想いをまくし立てることじゃない。
…どうにかして、私に何かを伝えたいと必死になってる竜樹さんの想いのかけらを拾い集めること。
竜樹さんが自ら想うことを語ろうとすること自体がそうそうあることじゃない。
ましてや、具合の悪い状態が続いていて、もどかしさも不安も抱えた状態。
それでも何かを伝えたいと思うのなら。願うのなら。
何を置いてもそれを聞くのは当たり前のこと。
零れ落ちそうになる言葉にそっと鍵をかけて、ただ竜樹さんの言葉を待った。
早く話そうと焦る竜樹さんに、「出てくるまで待ってる。ゆっくり話してくれていいんだよ?」と繰り返す。
そうして竜樹さんがある程度想いを語り終えた時、
「明日、逢いにいくね?」
そう約束一つ残して、電話を切った。
ふと、大切なことを忘れていたことに気がついた。
あまりに大切なことをすこんと落っことしていたことに気付いて、涙が出そうになったけれど。
もしも、自分の幸福感だけが欲しくて、自分を満たしてくれるだけの恋が欲しいなら。
他所を当たればいい。
別に竜樹にしがみつくこたない。
お前が欲しかったものは何だ?
竜樹自身か?それとも人をもうらやむ幸せな恋か?
…そんなん、知れたことだよな?
私が本当に欲しいものは竜樹さん。
竜樹さんだから、欲しいと思ったんだよ?
竜樹さんでないなら、一緒にいられるだけの幸福感など知ることもなかった。
竜樹さんじゃない人から受ける幸福感などありはしないと思ってた。
…それは多分、きっとずっと、変わらない。
そういうものは確かにあるのかもしれない。
少なくとも、私の中にはあるのかもしれない。
シンプルに欲しいものだけを見据えることが必ずしもいいことだとは思わないけれど。
…互いの想いに触れた夜。
本当に欲しいものは、確かに見えたんだ。
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楽しい時間をありがとう。
2002年4月7日今日は「天保十二年のシェイクスピア」の千秋楽+江戸前寿司食べ放題付寿司懐石ディナーデート。
4日に食べそこなった楽天食堂でのランチのリベンジのために、早く落ち合うこと約束をしていたのだけれど、夜中にメッセで捕獲されたり捕獲したりを繰り返してるうちに、朝を迎えてしまった。
このまま一睡もしないで行こうと思っていたけれど、どういう訳か眠ってしまっていた。
メールの着信音で目が覚めて青くなった。
…うわぁ、やってもたぁ /( ̄□ ̄)\!
どうやら友達も到着が遅れるという連絡だったのだが、どう考えても私が到着するほうが遅くなるのは判りきっている。
慌てて待ち合わせ場所を会場前に変えてもらって、用意をして金岡母に駅まで送ってもらう。
携帯から乗り換え案内を見ると、徒歩での移動距離の長い駅と駅との乗り換え待ち時間が9分しかない路線がある。
徒歩で10分近くかかる駅なのに…(ノ_<。)ビェェン
でもそれを逃すと、開演にすら間に合わない。
…何が何でも、行くのだ!p( ̄^ ̄)q
セリヌンティウスを待たせてるメロスよろしく(笑)、乗り換えの度にダッシュを繰り返す。
それが功を奏したのか、無事に開演10分前には友達と落ち合って席につくことが出来た。
今回は1階席の真ん中の方の列。
4日の席よりは格段にいいとはいえ、ゴージャスなお姉さまの愛する高橋ヨシロウ氏が舞台袖に引っ込むと見えない位置。
「ちゃんとヨシロウさん、見えるかなぁ?」
お姉さまには舞台云々ではなく、高橋ヨシロウ氏を拝めるかどうかだけが心配のよう。
(と言いながら、さり気に私もヨシロウ氏がちゃんと拝めるかどうか気にはしていたけれど…)
程なくして、大音響の中、舞台の幕があがる。
(あらすじは4日の本文中のリンク先参照)
今日は役者さんの表情から持っている小道具まで、割とはっきり見ることが出来る。
それでも、阿部サダヲと上川隆也のメイクがどんなふうに施されてるのかはわかりにくかったけれど…
千秋楽というと、役者さんに少々遊びが入ったりいつもと違うことをしてくれたりするのが楽しい。
影の義太夫さんたち以外は、どことなくハイテンションでアドリブも駄洒落も良く出る。
お姉さまに言わせると、「どれだけアドリブを出して、相手を引っ掛けるかに全力注いでる」という感じ。
台詞が詰まる人もいれば、思わぬ反応を返す人もいる。
(尾瀬の幕兵衛・国定忠治役の古田新太はことあるごとに、下っ端ちゃんに「デブ!」って捨て台詞吐かれてたけど、この日は「太っちょ侍」と言われて絶句してらした。
ようやっと吐き出したセリフが「…太っちょで誰かに迷惑かけたのか!?」。
そんな姿がちょっと情けなくて、なんだかツボにはまりましたが…)
オーバーアクションで目を引いたのは、沢口靖子と阿部サダヲのデュエットのシーン。
4日の公演の時も二人して音を外しまくってたけど、「もしかして、これはわざと?」って思うくらいの盛大なはずしっぷり。
(実際にCDを聞いてみると、4日の歌い方でさえわざと外してたんじゃないかって気もする。)
とどめは、すっ転ぶと「どうかなぁ?」と思うような場面で派手に飛び跳ねてすっ転んだ、同情の余地のない悪役三世次を演じる上川隆也。
でも、どっしょうもないところですっ転んでも笑いが出ないのは、その場面が押しも押した場面だったから。
その場面の沢口靖子もちょっと狂気じみてて、妙に迫力あるしo(^-^o)o(^-^)o(o^-^)o
4日の時もラストシーン(三世次が農民に取り囲まれる場面)の群集の迫力に、オチを知ってる状態にもかかわらずまたぞくんとくる。
上川くんが吊るし上げられて、背中を竹槍で突かれて血飛沫あげるというラストの演出は「過剰だよね?」とお姉さまとも話していたんだけれど、同情の余地もないくらい野心に身を焦がし、いろんな人を犠牲にして来たのだから、あれが相応な死に様なんだろうか?
4日と同じ言葉に心を小さく引っかかれた状態のまま、舞台は本当に終焉を迎えてしまった。
カーテンコールをスタンディングオベージョンで迎える観客。
「本日の公演は終了致しました〜」のアナウンスがかかっても、誰も動こうとせず拍手は鳴り止まない。
結局、オールスターキャストでのカーテンコールが2回。上川隆也と沢口靖子の2人のカーテンコールが3回。
計5回のカーテンコールが終了。
上川くんの深々とした挨拶がなんとも印象的だった。
ふと横を見ると、お姉さまは不満そう。
「…いつもやったら、テーマ曲をアンコールで演奏してくれるのに〜ヽ(`⌒´)ノ」
…そうでした。彼女はヨシロウさんの演奏見たさにやってきたんだった(^-^;
とっても不満げなお姉さまを連れて、会場を後にする。
…不満げとは言いながら、今回の公演の影の義太夫さん達が集まってやるライブを東京まで観に行くらしいけれど、ね(^-^;
また取り留めなく話しながら、大阪市内をてくてく歩く。
クリスタ長堀を散策して時間を潰していたけれど、姉さまの足が痛くなったので地上に上がってスタバで休憩。
また取り留めなく話して、電車に乗って移動。
電車を降り、たらりたらりと歩きながら、寿司懐石屋に入る。
今月は桜をテーマにした寿司懐石。
食前酒(グレープフルーツカクテル)に始まり、
・前菜(桜豆腐)
・オードブル鮨飾り盛り(真鯛の箱鮨・鯛味噌添え 鯛の子ゼリー、金盞花(キンセンカ)の手毬鮨、トルネードロール、車海老の海鮮サラダ仕立て)
・天むす(タラバガニの腹身とアスパラロール ホワイトソース)
・花細工寿司(真紅の薔薇 〜鮪仕立て〜)
・茶碗蒸
・創作寿司(伊豆下田漁港直送/金目鯛のソテー フカヒレソース仕立て)
・止椀
それと江戸前寿司食べ放題に、最後はアイスクリーム(カプチーノアイス)。
3日ほど前に逢ったにもかかわらず話は尽きなくて、彼女も私もあまり自分のことを語りたがらないけれど、何故か自分を取り巻く物事の話をぽつりぽつりと話し始めてる。
二人とも、互いが入っても大丈夫な領域とそうでない領域を何とはなしに判っているみたいで、心を縛ることなく、相手を拒絶することなく、心地いい状態で互いの想いを受け渡しあえる感じがする。
…だから、金欠だろうと何だろうと、「逢おっか?」ってお誘いがかかれば出て行くし、逢いたいなぁって思うんだろうね
涼やかな表情で話しながら、お腹いっぱい寿司を食べ(食べ放題の寿司は4貫入りのお皿5枚分食べました)、店を出ててくてくと駅の方に向かう。
地下街に入ると方向が判らなくなるというお姉さまを地下鉄の駅まで送り、そこでまた暫く話し込む。
…二人とも、また明日から出勤なのが嫌なだけなんだけれど
今日、あんなにひやひやするような大遅刻かまして、さぞや気を悪くしたかな?という思いが心を巡ったとき、
「懲りずにまた遊んでやってくださいませ♪」
そうお姉さまが言ってくれて、びっくり。
「何を仰いますやら。私こそ大寝坊小僧だけど、懲りずに遊んだってくださいな」
そう言って笑顔で別れた。
いろんなことがあった1週間。
しんどいことも悲しいこともあったけれど、次の1週間に向かう直前に笑顔でいられたことが嬉しい。
「楽しい時間をありがとう」
心から生まれたそんな言葉をそっと吐き出して。
きらびやかな舞台と楽しい時間が来週の糧となりますように…と祈りながら、家路についた。
4日に食べそこなった楽天食堂でのランチのリベンジのために、早く落ち合うこと約束をしていたのだけれど、夜中にメッセで捕獲されたり捕獲したりを繰り返してるうちに、朝を迎えてしまった。
このまま一睡もしないで行こうと思っていたけれど、どういう訳か眠ってしまっていた。
メールの着信音で目が覚めて青くなった。
…うわぁ、やってもたぁ /( ̄□ ̄)\!
どうやら友達も到着が遅れるという連絡だったのだが、どう考えても私が到着するほうが遅くなるのは判りきっている。
慌てて待ち合わせ場所を会場前に変えてもらって、用意をして金岡母に駅まで送ってもらう。
携帯から乗り換え案内を見ると、徒歩での移動距離の長い駅と駅との乗り換え待ち時間が9分しかない路線がある。
徒歩で10分近くかかる駅なのに…(ノ_<。)ビェェン
でもそれを逃すと、開演にすら間に合わない。
…何が何でも、行くのだ!p( ̄^ ̄)q
セリヌンティウスを待たせてるメロスよろしく(笑)、乗り換えの度にダッシュを繰り返す。
それが功を奏したのか、無事に開演10分前には友達と落ち合って席につくことが出来た。
今回は1階席の真ん中の方の列。
4日の席よりは格段にいいとはいえ、ゴージャスなお姉さまの愛する高橋ヨシロウ氏が舞台袖に引っ込むと見えない位置。
「ちゃんとヨシロウさん、見えるかなぁ?」
お姉さまには舞台云々ではなく、高橋ヨシロウ氏を拝めるかどうかだけが心配のよう。
(と言いながら、さり気に私もヨシロウ氏がちゃんと拝めるかどうか気にはしていたけれど…)
程なくして、大音響の中、舞台の幕があがる。
(あらすじは4日の本文中のリンク先参照)
今日は役者さんの表情から持っている小道具まで、割とはっきり見ることが出来る。
それでも、阿部サダヲと上川隆也のメイクがどんなふうに施されてるのかはわかりにくかったけれど…
千秋楽というと、役者さんに少々遊びが入ったりいつもと違うことをしてくれたりするのが楽しい。
影の義太夫さんたち以外は、どことなくハイテンションでアドリブも駄洒落も良く出る。
お姉さまに言わせると、「どれだけアドリブを出して、相手を引っ掛けるかに全力注いでる」という感じ。
台詞が詰まる人もいれば、思わぬ反応を返す人もいる。
(尾瀬の幕兵衛・国定忠治役の古田新太はことあるごとに、下っ端ちゃんに「デブ!」って捨て台詞吐かれてたけど、この日は「太っちょ侍」と言われて絶句してらした。
ようやっと吐き出したセリフが「…太っちょで誰かに迷惑かけたのか!?」。
そんな姿がちょっと情けなくて、なんだかツボにはまりましたが…)
オーバーアクションで目を引いたのは、沢口靖子と阿部サダヲのデュエットのシーン。
4日の公演の時も二人して音を外しまくってたけど、「もしかして、これはわざと?」って思うくらいの盛大なはずしっぷり。
(実際にCDを聞いてみると、4日の歌い方でさえわざと外してたんじゃないかって気もする。)
とどめは、すっ転ぶと「どうかなぁ?」と思うような場面で派手に飛び跳ねてすっ転んだ、同情の余地のない悪役三世次を演じる上川隆也。
でも、どっしょうもないところですっ転んでも笑いが出ないのは、その場面が押しも押した場面だったから。
その場面の沢口靖子もちょっと狂気じみてて、妙に迫力あるしo(^-^o)o(^-^)o(o^-^)o
4日の時もラストシーン(三世次が農民に取り囲まれる場面)の群集の迫力に、オチを知ってる状態にもかかわらずまたぞくんとくる。
上川くんが吊るし上げられて、背中を竹槍で突かれて血飛沫あげるというラストの演出は「過剰だよね?」とお姉さまとも話していたんだけれど、同情の余地もないくらい野心に身を焦がし、いろんな人を犠牲にして来たのだから、あれが相応な死に様なんだろうか?
4日と同じ言葉に心を小さく引っかかれた状態のまま、舞台は本当に終焉を迎えてしまった。
カーテンコールをスタンディングオベージョンで迎える観客。
「本日の公演は終了致しました〜」のアナウンスがかかっても、誰も動こうとせず拍手は鳴り止まない。
結局、オールスターキャストでのカーテンコールが2回。上川隆也と沢口靖子の2人のカーテンコールが3回。
計5回のカーテンコールが終了。
上川くんの深々とした挨拶がなんとも印象的だった。
ふと横を見ると、お姉さまは不満そう。
「…いつもやったら、テーマ曲をアンコールで演奏してくれるのに〜ヽ(`⌒´)ノ」
…そうでした。彼女はヨシロウさんの演奏見たさにやってきたんだった(^-^;
とっても不満げなお姉さまを連れて、会場を後にする。
…不満げとは言いながら、今回の公演の影の義太夫さん達が集まってやるライブを東京まで観に行くらしいけれど、ね(^-^;
また取り留めなく話しながら、大阪市内をてくてく歩く。
クリスタ長堀を散策して時間を潰していたけれど、姉さまの足が痛くなったので地上に上がってスタバで休憩。
また取り留めなく話して、電車に乗って移動。
電車を降り、たらりたらりと歩きながら、寿司懐石屋に入る。
今月は桜をテーマにした寿司懐石。
食前酒(グレープフルーツカクテル)に始まり、
・前菜(桜豆腐)
・オードブル鮨飾り盛り(真鯛の箱鮨・鯛味噌添え 鯛の子ゼリー、金盞花(キンセンカ)の手毬鮨、トルネードロール、車海老の海鮮サラダ仕立て)
・天むす(タラバガニの腹身とアスパラロール ホワイトソース)
・花細工寿司(真紅の薔薇 〜鮪仕立て〜)
・茶碗蒸
・創作寿司(伊豆下田漁港直送/金目鯛のソテー フカヒレソース仕立て)
・止椀
それと江戸前寿司食べ放題に、最後はアイスクリーム(カプチーノアイス)。
3日ほど前に逢ったにもかかわらず話は尽きなくて、彼女も私もあまり自分のことを語りたがらないけれど、何故か自分を取り巻く物事の話をぽつりぽつりと話し始めてる。
二人とも、互いが入っても大丈夫な領域とそうでない領域を何とはなしに判っているみたいで、心を縛ることなく、相手を拒絶することなく、心地いい状態で互いの想いを受け渡しあえる感じがする。
…だから、金欠だろうと何だろうと、「逢おっか?」ってお誘いがかかれば出て行くし、逢いたいなぁって思うんだろうね
涼やかな表情で話しながら、お腹いっぱい寿司を食べ(食べ放題の寿司は4貫入りのお皿5枚分食べました)、店を出ててくてくと駅の方に向かう。
地下街に入ると方向が判らなくなるというお姉さまを地下鉄の駅まで送り、そこでまた暫く話し込む。
…二人とも、また明日から出勤なのが嫌なだけなんだけれど
今日、あんなにひやひやするような大遅刻かまして、さぞや気を悪くしたかな?という思いが心を巡ったとき、
「懲りずにまた遊んでやってくださいませ♪」
そうお姉さまが言ってくれて、びっくり。
「何を仰いますやら。私こそ大寝坊小僧だけど、懲りずに遊んだってくださいな」
そう言って笑顔で別れた。
いろんなことがあった1週間。
しんどいことも悲しいこともあったけれど、次の1週間に向かう直前に笑顔でいられたことが嬉しい。
「楽しい時間をありがとう」
心から生まれたそんな言葉をそっと吐き出して。
きらびやかな舞台と楽しい時間が来週の糧となりますように…と祈りながら、家路についた。
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終わりの見えない自由時間
2002年4月6日新年度に入って最初の週末。
一日有給を取ったせいか、やけに短い1週間だった気がする。
今週は一度も竜樹さんに連絡が取れなくて随分気がかりだったけれど、今日はちゃんと逢えるんだ。
互いに多少の疲れはあっても、少しでも暖かなものを分けあえるだろう。
そう思って、いつもよりも少し早めに起きる。
けれど、どういう訳か疲れが取りきれてなくて、また眠り返してしまう。
気が付くと、出かけようと思ってた時間になってしまった。
慌てて竜樹さんに電話したら、やっとこ捕まった。
声は予想してるよりかは幾分マシだったけれど、今週の彼の体調は私が予想してた通りだった。
明日は、再びゴージャスなお姉さまとデートなので、早く出かけて早く帰るつもりだった。竜樹さんの調子が悪ければなおのこと、あまり長時間竜樹邸に居座ってるわけにもいかないと思うから、今日するべきことは一応昨日の晩には考えていたけれど。
「今週は休みにしよう」
竜樹さんからそう言い渡された。
彼の話をよくよく聞いてみると、調子が悪くなったのは先週の日曜日から。
先週の土曜日は元気だったから、どうやら私と逢った日を境にして体調が格段に悪くなったということになる。
案の定、体調が悪かった時は竜樹邸にあるもので食事を済ませ、殆ど横になりっぱなしでしないといけないことも出来ていない。
竜樹さんのご両親も別件で忙しくしてて、竜樹さんのことまで範疇に入れるとオーバーフロー寸前の状態。
「それやったらご飯を作るなり、買出ししたものを届けにだけ行きましょうか?」
何の意図もなく、自然に口から零れ落ちた言葉だけど。
それに対して返ってきた言葉に、一瞬耳を疑った。
「もしかしたら、霄が風邪を持ち込んだんちゃん?
ただでさえ抵抗力が落ちてるのに、風邪の菌を持ち込まれたら困ることくらい知ってたやろ?」
竜樹さんが闘病生活を始めてから抵抗力が落ちてきてたことは最初から判ってたし、その状態で風邪を引いたら普通の人とは違う苦しみ方することも判ってる。
だから、なるべく風邪はひかないように気はつけてたつもりだし、ひいたら薬を飲んで早く治す努力はしてきたつもりだった。
けれど、気をつけてたって引く時は引くし、本人が気づかなくても風邪の症状を持ち合わせてるときだってある。
風邪を貰うときはかなりきついものを貰いやすいという環境要因もある。
会社にいる人たちが外へ出て行くと、結構劣悪なる環境下での現場作業も入る。
数日現場を渡り歩いて戻ってくる頃には、けったいな風邪を引いていたなんてことはザラ。
…それじゃあ、何か?
けったいな風邪をもってそうな人が仕事を頼みにきたら、「寄るな、向こう行け〜」とでも言って蹴っ飛ばしてでも追っ払えばいいのか?
それとも、無菌室で実験の手伝いをするような会社に転職すりゃいいのか?
体調が悪くなった時に私のことにまで気が回らないことも、体調の悪いときに出てくる言葉が100の本音でないことも重々承知してるとは言え、決してやられて気分のいいものじゃない。
…何でも悪いことが起こったら、私のせいなんか?
ムカつく通り越して、悲しくなってきた。
そんな想いを他所に、竜樹さんはぽつりぽつりと話を続けている。
「この体調不良が風邪によるものなんか、何なのか医者に行ってもはっきりせぇへんねん。
だから原因がはっきりするまでは、取り敢えず今週は休憩しよう」
「判りました。そしたら、原因がはっきりするまでは逢わないでおきましょう。
今週でも来週でも再来週でも、元気になるまでは連絡しなくても結構ですから」
私から連絡しなかったら、余程のことがなければ竜樹さんから連絡してくることなんてないと知りながら。
しょうもない意地を張れば、「次」逢える機会を遠ざけるだけと知りながら。
それでも、なんだかやりきれなくて。
ただ、喉元のあたりで石のように固まってしまう言葉を吐き出す気になれなくて、そのまま「お大事に」と言って電話を切った。
子機を部屋の隅に投げつけて、そのまま布団に倒れこんだ。
…終わりのない自由時間が始まるねんなぁ。
そんな風に思うと、少しばかり涙が出そうになったけれど。
…少々ガタきてるのかもしれない。
ただ逢いたいと。逢えば元気が出るのだと。
逢って何かの役に立ちたいと、出来ることだけでも何かしたいのだと。
ただそう言えば、自由行動の期間は否応なく縮まるだろうものを、もう縮めるために喉元で固まりつづける言葉を噛み砕く気にすらならない。
…何かを繋ごうという気力の起こし方が判らなくなってしまってる。
週末に竜樹邸に行かなくて済むなら、他にも出掛けることも出来ればしないといけないことも出来るだけの時間が取れる。
それは歴然とした事実なのだから、その側面だけを受け止めて淡々と歩きつづければいいのに…
それでも、山積みの作業は少しも片付くこともなく、ただ無意味に時間だけが過ぎていく。
…啖呵を切らなかったらよかったのかな?
出てしまった結果をやるせなく思うほどに、竜樹さんの傍にいたかったんだなぁと確認する。
…ここまで言われて、「まだ一緒にいたいんです」って思うなんて、随分ヤキが回ったよなぁ
気軽な気持ちで自由行動を楽しめた頃の自分を知るだけに、その記憶までもが自分を責める気がしたけれど…
いずれにせよ、始まってしまったんだ。
自分の心がどんな状態であっても、希うものが何であるのかが毅然と判ってしまった状態であっても。
お構いなしに、それは始まってしまったんだ。
…いつ終わるとも知れない、期限の切られない自由行動の時間が。
一日有給を取ったせいか、やけに短い1週間だった気がする。
今週は一度も竜樹さんに連絡が取れなくて随分気がかりだったけれど、今日はちゃんと逢えるんだ。
互いに多少の疲れはあっても、少しでも暖かなものを分けあえるだろう。
そう思って、いつもよりも少し早めに起きる。
けれど、どういう訳か疲れが取りきれてなくて、また眠り返してしまう。
気が付くと、出かけようと思ってた時間になってしまった。
慌てて竜樹さんに電話したら、やっとこ捕まった。
声は予想してるよりかは幾分マシだったけれど、今週の彼の体調は私が予想してた通りだった。
明日は、再びゴージャスなお姉さまとデートなので、早く出かけて早く帰るつもりだった。竜樹さんの調子が悪ければなおのこと、あまり長時間竜樹邸に居座ってるわけにもいかないと思うから、今日するべきことは一応昨日の晩には考えていたけれど。
「今週は休みにしよう」
竜樹さんからそう言い渡された。
彼の話をよくよく聞いてみると、調子が悪くなったのは先週の日曜日から。
先週の土曜日は元気だったから、どうやら私と逢った日を境にして体調が格段に悪くなったということになる。
案の定、体調が悪かった時は竜樹邸にあるもので食事を済ませ、殆ど横になりっぱなしでしないといけないことも出来ていない。
竜樹さんのご両親も別件で忙しくしてて、竜樹さんのことまで範疇に入れるとオーバーフロー寸前の状態。
「それやったらご飯を作るなり、買出ししたものを届けにだけ行きましょうか?」
何の意図もなく、自然に口から零れ落ちた言葉だけど。
それに対して返ってきた言葉に、一瞬耳を疑った。
「もしかしたら、霄が風邪を持ち込んだんちゃん?
ただでさえ抵抗力が落ちてるのに、風邪の菌を持ち込まれたら困ることくらい知ってたやろ?」
竜樹さんが闘病生活を始めてから抵抗力が落ちてきてたことは最初から判ってたし、その状態で風邪を引いたら普通の人とは違う苦しみ方することも判ってる。
だから、なるべく風邪はひかないように気はつけてたつもりだし、ひいたら薬を飲んで早く治す努力はしてきたつもりだった。
けれど、気をつけてたって引く時は引くし、本人が気づかなくても風邪の症状を持ち合わせてるときだってある。
風邪を貰うときはかなりきついものを貰いやすいという環境要因もある。
会社にいる人たちが外へ出て行くと、結構劣悪なる環境下での現場作業も入る。
数日現場を渡り歩いて戻ってくる頃には、けったいな風邪を引いていたなんてことはザラ。
…それじゃあ、何か?
けったいな風邪をもってそうな人が仕事を頼みにきたら、「寄るな、向こう行け〜」とでも言って蹴っ飛ばしてでも追っ払えばいいのか?
それとも、無菌室で実験の手伝いをするような会社に転職すりゃいいのか?
体調が悪くなった時に私のことにまで気が回らないことも、体調の悪いときに出てくる言葉が100の本音でないことも重々承知してるとは言え、決してやられて気分のいいものじゃない。
…何でも悪いことが起こったら、私のせいなんか?
ムカつく通り越して、悲しくなってきた。
そんな想いを他所に、竜樹さんはぽつりぽつりと話を続けている。
「この体調不良が風邪によるものなんか、何なのか医者に行ってもはっきりせぇへんねん。
だから原因がはっきりするまでは、取り敢えず今週は休憩しよう」
「判りました。そしたら、原因がはっきりするまでは逢わないでおきましょう。
今週でも来週でも再来週でも、元気になるまでは連絡しなくても結構ですから」
私から連絡しなかったら、余程のことがなければ竜樹さんから連絡してくることなんてないと知りながら。
しょうもない意地を張れば、「次」逢える機会を遠ざけるだけと知りながら。
それでも、なんだかやりきれなくて。
ただ、喉元のあたりで石のように固まってしまう言葉を吐き出す気になれなくて、そのまま「お大事に」と言って電話を切った。
子機を部屋の隅に投げつけて、そのまま布団に倒れこんだ。
…終わりのない自由時間が始まるねんなぁ。
そんな風に思うと、少しばかり涙が出そうになったけれど。
…少々ガタきてるのかもしれない。
ただ逢いたいと。逢えば元気が出るのだと。
逢って何かの役に立ちたいと、出来ることだけでも何かしたいのだと。
ただそう言えば、自由行動の期間は否応なく縮まるだろうものを、もう縮めるために喉元で固まりつづける言葉を噛み砕く気にすらならない。
…何かを繋ごうという気力の起こし方が判らなくなってしまってる。
週末に竜樹邸に行かなくて済むなら、他にも出掛けることも出来ればしないといけないことも出来るだけの時間が取れる。
それは歴然とした事実なのだから、その側面だけを受け止めて淡々と歩きつづければいいのに…
それでも、山積みの作業は少しも片付くこともなく、ただ無意味に時間だけが過ぎていく。
…啖呵を切らなかったらよかったのかな?
出てしまった結果をやるせなく思うほどに、竜樹さんの傍にいたかったんだなぁと確認する。
…ここまで言われて、「まだ一緒にいたいんです」って思うなんて、随分ヤキが回ったよなぁ
気軽な気持ちで自由行動を楽しめた頃の自分を知るだけに、その記憶までもが自分を責める気がしたけれど…
いずれにせよ、始まってしまったんだ。
自分の心がどんな状態であっても、希うものが何であるのかが毅然と判ってしまった状態であっても。
お構いなしに、それは始まってしまったんだ。
…いつ終わるとも知れない、期限の切られない自由行動の時間が。
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靄を晴らす風
2002年4月4日今日は有給を取って、ゴージャスなお姉さまとデート。
劇団☆新感線の公演「天保十二年のシェイクスピア」を観に行ったあと、ディナーデートの予定。
本当は昼食も一緒にとる予定だったのだけれど、双方出足が遅かったために昼食会は断念。
今回の公演は4時間近い公演らしいので、お腹が鳴っても困るだろうと会場に近い珈琲館でクロックムッシュを食べ、会場に入る。
席につく前にプログラムとCDを買って、階段を上る。
今日の席は2階席の2列目。
この時間の公演は追加発売されたものだったので、比較的席はいい。
…しかし(/||| ̄▽)/ !
階段が急勾配で、降りるのが怖いくらい。
実際、私は派手に落っこちかけた(爆)
よろよろと危険極まりない移動を終え、席に座る。
ところが私の隣の席に座った4人組がどうも感じが悪い。
なんか何時までたってもがさがさして、とにかく落ち着きがない。
おまけに(席が狭いせいもあるのだけれど)、やたら私の方によりかかって座ってくる。
幕が上がるまでに機嫌が悪くなりそうだったけれど…
周囲が暗くなり、鐘の音がする。
そして、いきなり大音響の中、舞台は幕を開けた。
お姉さまは嬉しそう。
彼女が嬉しいのは、お気に入りのベーシスト、高橋ヨシロウ氏が舞台の前で演奏してるから。
彼女からはメタル系のバンドが舞台上で演奏するってことは聞いていたけれど、本当にライブみたいな形で演奏するとは思いもしなかった。
別の友人からは「新感線の音はやかましい」と聞いていたので、それ相応の覚悟で臨んでいたけれど、思ってた程に音は大きくなかった。
劇の中身は、シェイクスピアの作品の詰め合わせのような感じ。
(筋はこちらのサイトで書かれてるのが一番簡潔な気がします。http://www.nifty.ne.jp/forum/ftheater/topic/02-03/tenpou/story.htm )
舞台が2階建てのような形になってたり、床についてる蓋を開けると水槽があったりするのが面白い。
正直、ちょっと性的描写がえげつなかったりしつこい気はしたし、ちょっと詰め込みすぎって感じもしたけれど、よく練られたいい台本だったと思う。
東京公演中は、主人公の上川隆也とヒロインの沢口靖子がとんでもなく下手で、脇の阿部サダヲがとてもよかったと聞いていたけれど…
私とお姉さまは、揃って老婆役の熊谷真実がよかったということで意見が一致した。
(私は演技+彼女が持ってる小道具の入れ歯型手袋がツボはまりだったけれど…)
客演の人が多かったせいか、物足りない役回りになってしまった気はしたけれど、新感線のメンバーは歌えるし、演技も目を引く。
非常に面白い(*^_^*)
上川隆也はイメージ的にキツイなぁと思えてならなかったけれど、同情の余地のない程の悪役をよく演じたなぁとは思った。
阿部サダヲの役はハナからテンションが高い役だったせいで、すんごい印象に残って入るけれど、そのよさを実感するに至らず…(ファンの方ごめんなさい)
ただ、影の義太夫(バックバンド)のヴォーカルが何で決まったかは歌を聴いてて判った気はした。
(ヴォーカルのTAKIの歌声は、阿部サダヲの歌声にすんごい似てる。
阿部サダヲの歌の部分はTAKIとの掛け合いの形の歌だったから、違和感なく聞けたのはよかったと思う)
いつも劇を観る時は、登場人物の誰かに感情移入をするような形で全体像を眺めてしまうけれど、今回は登場人物の誰にも感情移入できなかった、というよりも感情移入するまもなくだだだだぁーっと話が進行していった気がする。
気が付くと、2時間近1幕が終わっていた。
私も彼女も席を立つ気がしなくて、じっと座ったまま話をしている。
時々、袖付近をうろうろするヨシロウ氏を見ては、きゃっきゃ言ってるお姉さま。
その姿に「かわええなぁ(*^_^*)」と思いつつ、一緒になってヨシロウ氏を追う私。
インターミッションも終わり、第2幕が始まる。
しかし、開始早々ブチ切れそうな事態が発生ヽ(`⌒´)ノ
私の隣に座っていたけったいな4人組。
よりにもよって、遅れて入ってきた。
挨拶もなしに、狭い座席前をずかずか通り抜けていった挙句に、デカい鞄で人の顔をばこんと叩きかけるし。
一瞬、スイッチがぱちんと入って、肘鉄かましそうになったけれど(爆)
駆け足のように過ぎていく舞台を逃すにはあまりにも惜しい気がして、ぐっと堪えた。
後半も前半に負けず劣らず、ばたばたばたと過ぎていく。
登場人物もばたばたばたと死んでいく。
「一体、何人死ぬねん」ってくらい。
途中、気になる台詞が心を掠めては、小さな爪あとを残すような感じが否めなかったけれど、お構いなしにラストまで引きずって走っていく。
クライマックスの演出については、「ここまでやらいでも…」ってくらいに激烈なるエンディングだったけれど。
あっと言う間の、4時間だった。
外に出ると、まだ日が高くて肌に感じる空気が心地いい。
今日の舞台の話やヨシロウ氏の話をしながら、たらたらと歩きつづける。
お昼もあまり食べていない上に、4時間も一生懸命舞台を観るとお腹もすくというもの(笑)
難波に向かって歩きながら、時折寄り道をして、何年か前に忘年会で使ったイタリアンレストランに行った。
お姉さまはここの「ムール貝の香草バター焼き」がお気に入り。
それと「真っ赤なオレンジジュース」もお気に入りで、即決で注文。
あと、アスパラとベーコンとニンニクのパスタを明日出勤日でありながらもチョイス。
それと「チーズの器に入ってきます」という触れ込みが気になった「きのこのリゾット」を注文した。
食欲魔人な二人なので、これで足りるとは到底思えなかったけれど、取り敢えず注文はここでおしまい。
…あ、リゾットが来る前にアーティチョークのフリットも頼んだわ(^^ゞ
再び舞台の話をしてるうちに、結構な勢いで注文した料理が飛んでくる。
それを焦るわけでもなく、涼しい顔して食べる女が二人。
ところが、そのうち周りがどっと沸いた。
「なんだろう?」と思って顔をあげてびっくり。
「きのこのリゾット」がきていた。
びっくりしたのは、その料理自体ではなく、その器。
チーズはチーズでも、丸太を立て半分に切ったようなパルメザンチーズの塊の上にちょこんとリゾットが乗っている。
「どないする気やねん?」
周囲の人の視線に小さくなりながら、その丸太のようなチーズを眺めていると…
店員さんはチーズの器をほじくって、リゾットと混ぜ合わせながら皿に注いでくれた。
「チーズが足りないようなら振りますから、言って下さいね」
そう満面の笑みで言う店員さんに、すかさず「もう少し振ってください」とはお姉さま。
…さりげなく引きつった笑顔に変わったのを、私は見逃さなかった(^m^*)エヘヘ
その後も、別の店でシナモンミルクティとパンプキンプリンを食べながら、チケット代等を精算。
舞台と同じくらいの時間、ゴージャスなお姉さまと食べては語った。
店が閉店にならなかったら、延々話し続けただろうけど…
別れるのがとても惜しかったけれど、構えずに話すことを許し、ありのままを受け止めようとしてくれた彼女と過ごせたことがとても嬉しくて、命の洗濯をしたみたいに晴れやかな気持ちで家路に着いた。
心にかかる靄を晴らす風のような時間を過ごせたことが嬉しかった。
劇団☆新感線の公演「天保十二年のシェイクスピア」を観に行ったあと、ディナーデートの予定。
本当は昼食も一緒にとる予定だったのだけれど、双方出足が遅かったために昼食会は断念。
今回の公演は4時間近い公演らしいので、お腹が鳴っても困るだろうと会場に近い珈琲館でクロックムッシュを食べ、会場に入る。
席につく前にプログラムとCDを買って、階段を上る。
今日の席は2階席の2列目。
この時間の公演は追加発売されたものだったので、比較的席はいい。
…しかし(/||| ̄▽)/ !
階段が急勾配で、降りるのが怖いくらい。
実際、私は派手に落っこちかけた(爆)
よろよろと危険極まりない移動を終え、席に座る。
ところが私の隣の席に座った4人組がどうも感じが悪い。
なんか何時までたってもがさがさして、とにかく落ち着きがない。
おまけに(席が狭いせいもあるのだけれど)、やたら私の方によりかかって座ってくる。
幕が上がるまでに機嫌が悪くなりそうだったけれど…
周囲が暗くなり、鐘の音がする。
そして、いきなり大音響の中、舞台は幕を開けた。
お姉さまは嬉しそう。
彼女が嬉しいのは、お気に入りのベーシスト、高橋ヨシロウ氏が舞台の前で演奏してるから。
彼女からはメタル系のバンドが舞台上で演奏するってことは聞いていたけれど、本当にライブみたいな形で演奏するとは思いもしなかった。
別の友人からは「新感線の音はやかましい」と聞いていたので、それ相応の覚悟で臨んでいたけれど、思ってた程に音は大きくなかった。
劇の中身は、シェイクスピアの作品の詰め合わせのような感じ。
(筋はこちらのサイトで書かれてるのが一番簡潔な気がします。http://www.nifty.ne.jp/forum/ftheater/topic/02-03/tenpou/story.htm )
舞台が2階建てのような形になってたり、床についてる蓋を開けると水槽があったりするのが面白い。
正直、ちょっと性的描写がえげつなかったりしつこい気はしたし、ちょっと詰め込みすぎって感じもしたけれど、よく練られたいい台本だったと思う。
東京公演中は、主人公の上川隆也とヒロインの沢口靖子がとんでもなく下手で、脇の阿部サダヲがとてもよかったと聞いていたけれど…
私とお姉さまは、揃って老婆役の熊谷真実がよかったということで意見が一致した。
(私は演技+彼女が持ってる小道具の入れ歯型手袋がツボはまりだったけれど…)
客演の人が多かったせいか、物足りない役回りになってしまった気はしたけれど、新感線のメンバーは歌えるし、演技も目を引く。
非常に面白い(*^_^*)
上川隆也はイメージ的にキツイなぁと思えてならなかったけれど、同情の余地のない程の悪役をよく演じたなぁとは思った。
阿部サダヲの役はハナからテンションが高い役だったせいで、すんごい印象に残って入るけれど、そのよさを実感するに至らず…(ファンの方ごめんなさい)
ただ、影の義太夫(バックバンド)のヴォーカルが何で決まったかは歌を聴いてて判った気はした。
(ヴォーカルのTAKIの歌声は、阿部サダヲの歌声にすんごい似てる。
阿部サダヲの歌の部分はTAKIとの掛け合いの形の歌だったから、違和感なく聞けたのはよかったと思う)
いつも劇を観る時は、登場人物の誰かに感情移入をするような形で全体像を眺めてしまうけれど、今回は登場人物の誰にも感情移入できなかった、というよりも感情移入するまもなくだだだだぁーっと話が進行していった気がする。
気が付くと、2時間近1幕が終わっていた。
私も彼女も席を立つ気がしなくて、じっと座ったまま話をしている。
時々、袖付近をうろうろするヨシロウ氏を見ては、きゃっきゃ言ってるお姉さま。
その姿に「かわええなぁ(*^_^*)」と思いつつ、一緒になってヨシロウ氏を追う私。
インターミッションも終わり、第2幕が始まる。
しかし、開始早々ブチ切れそうな事態が発生ヽ(`⌒´)ノ
私の隣に座っていたけったいな4人組。
よりにもよって、遅れて入ってきた。
挨拶もなしに、狭い座席前をずかずか通り抜けていった挙句に、デカい鞄で人の顔をばこんと叩きかけるし。
一瞬、スイッチがぱちんと入って、肘鉄かましそうになったけれど(爆)
駆け足のように過ぎていく舞台を逃すにはあまりにも惜しい気がして、ぐっと堪えた。
後半も前半に負けず劣らず、ばたばたばたと過ぎていく。
登場人物もばたばたばたと死んでいく。
「一体、何人死ぬねん」ってくらい。
途中、気になる台詞が心を掠めては、小さな爪あとを残すような感じが否めなかったけれど、お構いなしにラストまで引きずって走っていく。
クライマックスの演出については、「ここまでやらいでも…」ってくらいに激烈なるエンディングだったけれど。
あっと言う間の、4時間だった。
外に出ると、まだ日が高くて肌に感じる空気が心地いい。
今日の舞台の話やヨシロウ氏の話をしながら、たらたらと歩きつづける。
お昼もあまり食べていない上に、4時間も一生懸命舞台を観るとお腹もすくというもの(笑)
難波に向かって歩きながら、時折寄り道をして、何年か前に忘年会で使ったイタリアンレストランに行った。
お姉さまはここの「ムール貝の香草バター焼き」がお気に入り。
それと「真っ赤なオレンジジュース」もお気に入りで、即決で注文。
あと、アスパラとベーコンとニンニクのパスタを明日出勤日でありながらもチョイス。
それと「チーズの器に入ってきます」という触れ込みが気になった「きのこのリゾット」を注文した。
食欲魔人な二人なので、これで足りるとは到底思えなかったけれど、取り敢えず注文はここでおしまい。
…あ、リゾットが来る前にアーティチョークのフリットも頼んだわ(^^ゞ
再び舞台の話をしてるうちに、結構な勢いで注文した料理が飛んでくる。
それを焦るわけでもなく、涼しい顔して食べる女が二人。
ところが、そのうち周りがどっと沸いた。
「なんだろう?」と思って顔をあげてびっくり。
「きのこのリゾット」がきていた。
びっくりしたのは、その料理自体ではなく、その器。
チーズはチーズでも、丸太を立て半分に切ったようなパルメザンチーズの塊の上にちょこんとリゾットが乗っている。
「どないする気やねん?」
周囲の人の視線に小さくなりながら、その丸太のようなチーズを眺めていると…
店員さんはチーズの器をほじくって、リゾットと混ぜ合わせながら皿に注いでくれた。
「チーズが足りないようなら振りますから、言って下さいね」
そう満面の笑みで言う店員さんに、すかさず「もう少し振ってください」とはお姉さま。
…さりげなく引きつった笑顔に変わったのを、私は見逃さなかった(^m^*)エヘヘ
その後も、別の店でシナモンミルクティとパンプキンプリンを食べながら、チケット代等を精算。
舞台と同じくらいの時間、ゴージャスなお姉さまと食べては語った。
店が閉店にならなかったら、延々話し続けただろうけど…
別れるのがとても惜しかったけれど、構えずに話すことを許し、ありのままを受け止めようとしてくれた彼女と過ごせたことがとても嬉しくて、命の洗濯をしたみたいに晴れやかな気持ちで家路に着いた。
心にかかる靄を晴らす風のような時間を過ごせたことが嬉しかった。
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「このままの自分」を歩こう。
2002年3月31日昨日帰ってきてから、ちょっとばかりハイになっていたせいもあって、夜遅くまで起きていた。
時折、友達に捕獲されたり、捕獲したりしながら朝を迎えた。
カーテンの向こうが明るくなってきたのを見てびっくりして慌てて眠った。
次に起きたら、昼はとうに過ぎていた。
昨日、何の気なしに「明日(日曜日)はお花見に行きましょうか?」などと言っていたけれど。
こんな時間からでは却って翌日に疲れを残すだけだと、竜樹さんをお誘いすることもなくやめてしまった。
…なんだか、無駄な休みの過ごし方だよなぁ(ノ_<。)
自業自得たぁいえ、少々悲しい気分で階下に下りた。
リビングで両親と話をしててびっくり。
どうやら私が寝たくれてた間に、何度も雨が降ったらしい。
…これじゃあ、きっと竜樹さんは調子が悪いんだろうなぁ
昨日あれほど楽しい時間を過ごしたのだからいいじゃないかとは思うけれど、元気でいて欲しい気持ちに変わりはないから。
竜樹さんが身体を痛めていた時に、私は何も知らずにただ寝たくれてたんだなぁと、自分で自分が嫌になった。
自室に戻って、しないといけない作業をしようとするけれど。
心のどこかに何か引っかかるものがあって、なかなか進まない。
ふと朝方まで友達と話していたことを思い返した。
自分が発する言葉やこうして遺す言葉が取り立てて人目を引くとも思わないし、人の心を引き付けて離さないような何かを持ち得ているとも思えない。
そんなことは誰に言われなくても自分が一番良く知ってること。
きれいな言葉を持たない私が捻り出す、なけなしの言葉にあるのは自分の想いだけ。
大切な誰かに言葉をかける時もそう。
人の心に響く表現を持たない代わりに、精一杯の自分の想いを拙い言葉に託すだけ。
そんな風に言えば、ただの能無しだと笑う人もいるのだろうか?
何も持たない自分をよしとして生きてくつもりはない。
けれど、何も持たないものが持たないものの中の精一杯を送り出す。
今の自分から送り出せる最上級の言葉は、いつもそんな想いから生まれてる。
そんな風に言えば、「そんなん、へのつっぱりにもならねぇんだよ」と嘲る人もいるんだろうか?
ずっと前から気になっていたことを、竜樹さんにも心預けた友達にも話してしまった。
一人でそっと持ち出すつもりが、抱えきれなくなってへたりこんでしまった。
「霄は霄の出来ることをしてるやろ?
何で霄の話す言葉を受け入れてくれたり、霄のことを好きでいてくれる人がいるか判るか?
それは霄の言葉に精一杯の想いが込められてるんを知ってるからやろ?」
…それで十分やないか?
そう竜樹さんは言ってくれた。
予期せぬ言葉に心を痛めた私に、そのままでいいんだと教えてくれた友達もいる。
「それでいいじゃないか?」
そう思いたいけれど。
昔から、10の「好き」よりも1の「ウザい」ばかりをよく検知してしまう。
「勿体無いことを…」と言う友達のお言葉はもっともだと思うけれど、どうしたら好意だけを拾えるのか判らない。
判らないままてくてく歩いては、拾わなくていいものを拾い上げて心を痛める。
もう、こんな悠長なことをしてられるだけの余裕なんてありはしないのにね?
今の自分をすべて肯定して歩くことは、ある種暴力的な感じがして抵抗はあるんだけれど。
誰かが自分を疎んでも、私は私をやめるわけにはいかないから。
私が竜樹さんの傍を離れたって、竜樹さんはさほど困ることもなく歩いていかはるとは思うけれど。
私が竜樹さんに望まれてるうちは、竜樹さんの隣を歩きたいと願うから。
今は、もう少しだけ「このままの自分」を歩いていくよ。
マイナーチェンジは引き続き繰り返していくことになるとは思うけれど、そっくりすべてを変えられるもんでもないから。
自分のペースでところどころ補修したり改善したりして、ぼそぼそと歩いていくわさ。
居直りの心で見る空の色が決して綺麗なものだとは思わないけれど。
竜樹さんが迎える最後の大波を無事に乗り切るまでは、ご意見ご批判あるだろうがこのままのペースで歩かせてもらおう。
所詮あちらこちらに間借りしながら生きてるんだから、こんな言い草ないだろうたぁ思うけれど。
こんなつまらないことで蹴躓いてばかりいたんじゃ、本当に大切な人の支えになどなれよう筈もない。
竜樹さんの存在と秤に掛ければ、こんなん大した問題じゃない。
…誰が疎もうが、私は私だよ。
根拠レスな自信は鼻につくだけと思うけど、根拠レスな自己否定もきっと鼻につくだけなんだろう。
そんな少々暴力的な思考回路にスイッチが入り気味なのは怖いけれど。
もしも、そんな我儘が許されるというのなら。
竜樹さんが普通の日常を取り戻す日がくるまででいい。
…もう暫くこのまま歩かせて欲しいなぁと誰に願うわけでなくそう思った。
時折、友達に捕獲されたり、捕獲したりしながら朝を迎えた。
カーテンの向こうが明るくなってきたのを見てびっくりして慌てて眠った。
次に起きたら、昼はとうに過ぎていた。
昨日、何の気なしに「明日(日曜日)はお花見に行きましょうか?」などと言っていたけれど。
こんな時間からでは却って翌日に疲れを残すだけだと、竜樹さんをお誘いすることもなくやめてしまった。
…なんだか、無駄な休みの過ごし方だよなぁ(ノ_<。)
自業自得たぁいえ、少々悲しい気分で階下に下りた。
リビングで両親と話をしててびっくり。
どうやら私が寝たくれてた間に、何度も雨が降ったらしい。
…これじゃあ、きっと竜樹さんは調子が悪いんだろうなぁ
昨日あれほど楽しい時間を過ごしたのだからいいじゃないかとは思うけれど、元気でいて欲しい気持ちに変わりはないから。
竜樹さんが身体を痛めていた時に、私は何も知らずにただ寝たくれてたんだなぁと、自分で自分が嫌になった。
自室に戻って、しないといけない作業をしようとするけれど。
心のどこかに何か引っかかるものがあって、なかなか進まない。
ふと朝方まで友達と話していたことを思い返した。
自分が発する言葉やこうして遺す言葉が取り立てて人目を引くとも思わないし、人の心を引き付けて離さないような何かを持ち得ているとも思えない。
そんなことは誰に言われなくても自分が一番良く知ってること。
きれいな言葉を持たない私が捻り出す、なけなしの言葉にあるのは自分の想いだけ。
大切な誰かに言葉をかける時もそう。
人の心に響く表現を持たない代わりに、精一杯の自分の想いを拙い言葉に託すだけ。
そんな風に言えば、ただの能無しだと笑う人もいるのだろうか?
何も持たない自分をよしとして生きてくつもりはない。
けれど、何も持たないものが持たないものの中の精一杯を送り出す。
今の自分から送り出せる最上級の言葉は、いつもそんな想いから生まれてる。
そんな風に言えば、「そんなん、へのつっぱりにもならねぇんだよ」と嘲る人もいるんだろうか?
ずっと前から気になっていたことを、竜樹さんにも心預けた友達にも話してしまった。
一人でそっと持ち出すつもりが、抱えきれなくなってへたりこんでしまった。
「霄は霄の出来ることをしてるやろ?
何で霄の話す言葉を受け入れてくれたり、霄のことを好きでいてくれる人がいるか判るか?
それは霄の言葉に精一杯の想いが込められてるんを知ってるからやろ?」
…それで十分やないか?
そう竜樹さんは言ってくれた。
予期せぬ言葉に心を痛めた私に、そのままでいいんだと教えてくれた友達もいる。
「それでいいじゃないか?」
そう思いたいけれど。
昔から、10の「好き」よりも1の「ウザい」ばかりをよく検知してしまう。
「勿体無いことを…」と言う友達のお言葉はもっともだと思うけれど、どうしたら好意だけを拾えるのか判らない。
判らないままてくてく歩いては、拾わなくていいものを拾い上げて心を痛める。
もう、こんな悠長なことをしてられるだけの余裕なんてありはしないのにね?
今の自分をすべて肯定して歩くことは、ある種暴力的な感じがして抵抗はあるんだけれど。
誰かが自分を疎んでも、私は私をやめるわけにはいかないから。
私が竜樹さんの傍を離れたって、竜樹さんはさほど困ることもなく歩いていかはるとは思うけれど。
私が竜樹さんに望まれてるうちは、竜樹さんの隣を歩きたいと願うから。
今は、もう少しだけ「このままの自分」を歩いていくよ。
マイナーチェンジは引き続き繰り返していくことになるとは思うけれど、そっくりすべてを変えられるもんでもないから。
自分のペースでところどころ補修したり改善したりして、ぼそぼそと歩いていくわさ。
居直りの心で見る空の色が決して綺麗なものだとは思わないけれど。
竜樹さんが迎える最後の大波を無事に乗り切るまでは、ご意見ご批判あるだろうがこのままのペースで歩かせてもらおう。
所詮あちらこちらに間借りしながら生きてるんだから、こんな言い草ないだろうたぁ思うけれど。
こんなつまらないことで蹴躓いてばかりいたんじゃ、本当に大切な人の支えになどなれよう筈もない。
竜樹さんの存在と秤に掛ければ、こんなん大した問題じゃない。
…誰が疎もうが、私は私だよ。
根拠レスな自信は鼻につくだけと思うけど、根拠レスな自己否定もきっと鼻につくだけなんだろう。
そんな少々暴力的な思考回路にスイッチが入り気味なのは怖いけれど。
もしも、そんな我儘が許されるというのなら。
竜樹さんが普通の日常を取り戻す日がくるまででいい。
…もう暫くこのまま歩かせて欲しいなぁと誰に願うわけでなくそう思った。
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7回目は春の嵐
2002年3月29日竜樹さんと2人で並んで歩くようになってから、7回目の春が来た。
初めて竜樹さんと歩くようになった日の空は、確か薄いブルー。
期待と不安とが入り混じったような、新しい心の色。
どんな朝を迎えるだろうと思いながら眠ったのに…
春の嵐のような朝が待ち受けていた。
昨晩、竜樹さんには「会社が終わったら、そちらに行きますね?」と連絡を入れていた。
先週末からずっと竜樹さんの調子が悪いことは判っていたけれど、ただ7回目の記念日に少しの時間でいいから一緒にいたかった。
前の晩にハンバーグのたねも作っておいた。
「今日は遅くなるからね」と家族にも了解を取っていた。
あとは年度末最後の仕事が立て込まないことだけ。
…そして、この春の嵐が少しでも形を潜めてくれることをただ祈るだけ。
いくつもの下準備を済ませ、いくつかの小さな願いを抱えて家を出た。
会社に入ると、終始噛み付くように鳴り響く電話と、意味不明なる質問の対応に追われていた。
手取りが減ってる今、残業になるのはある意味ありがたいけれど、竜樹さんと過ごす時間は短くなる。
いくら少しの時間でいいとはいえ、なるべくなら長く一緒にいたいから、ひたすら投げ飛ばすように仕事を片付け続けた。
戦闘モード120%で仕事を片付けたお陰か、無事に定時に事務所を出たけれど。
外は相変わらず嵐のよう。
傘を片手によろよろと、自転車を飛ばす。
ずぶぬれ状態のまま電車に飛び乗り、いつものように最後の乗り換えの駅から竜樹さんの携帯にワンコール入れるけれど、竜樹さんからメールも何もやってこない。
…多分、この雨でそれどころじゃないんやなぁ
会社に届いたかさばる荷物と傘、そしてどういう訳か重くて仕方のない通勤鞄を持って、よろよろと電車を降り、雨と渋滞のせいで乗車人数の膨れ上がったバスに乗り込む。
竜樹さんの状態がベストじゃないからこそ笑顔を繰り出したいと思うけれど、私自身も雨に弱い上に会社で必要以上に神経も体力も使ってしまった挙句、いつも以上に辛い状態の移動。
笑顔の繰り出し方すら、見失いそうになるけれど。
逢ったところで、竜樹さんの体にのしかかる痛みも呼吸の苦しさも取り除けるわけでなくても、そこにある空気ひとつ変えられたなら、きっと7回目の春はそれだけで意味のあるものなのかもしれない。
根拠レスな想いを抱えて、よろよろとバスを降り竜樹邸に向かう。
竜樹邸に入ると、竜樹さんは相変わらず辛そうで、何も食べてはいらっしゃらない模様。
作ってきたハンバーグでも焼こうかと思ったけれど、もっと胃に優しいものが食べたいとのこと。
冷蔵庫を見ると、何もない。
今週初めから天候が悪かったせいで、買出しにもいけなかったとのこと。
竜樹さんのご実家からご飯だけでも頂こうと思ったけれど、生憎留守の模様。
竜樹さんの提案で、出来合いものを買いに出ることにした。
外はまだ雨が激しく降っている。
漆黒の空を睨みながら、てくてくと歩き始める。
何となく降り注ぐ雨粒と一緒に沈んでいきそうな感覚に捕われる。
…何で、こんなにバカみたいに降って来るんだよ!?
天気に八つ当たりしても仕方がないと知りながら、大切な人の身体の不調を齎す天候に腹立たしさを覚えずに入られなかった。
惣菜屋さんに行って、玉子丼と南蛮漬けのお弁当を買って、また激しい雨の中とぼとぼと歩く。
雨は降り止まない。
竜樹さんの背中の痛みも収まらない。
今日が何の日なのかなんてことを気にする余裕すらないことも判る。
別に、思い出してくれなくてもいい。
ただ、この春の嵐と不調の嵐の中、竜樹さんの心が暖かくなったと感じられる一瞬を作り出せたなら、今日という日の意味はそれひとつで十分なんだろう。
だから、竜樹邸に戻る時、少しばかりの元気な声と笑顔を忘れずにいよう。
そして竜樹さんの家を出るまで、なるべく笑っていよう。
竜樹邸に入って暫くすると、竜樹さんはようやっと身体を起こせるようになったようなので、一緒に買ってきたご飯を食べる。
身体の痛みがひどいのと、それに伴って息苦しさが増すからか、会話が弾むなんてことはないのだけれど。
竜樹さんが元気を捻り出すように、ぽつりぽつりと話し始める。
常に私の方が喋りなんだけれど、竜樹さんが捻り出す言葉を消してしまいたくなくて、それに沿うように言葉を返す。
静かに、静かに、会話が流れていく。
そうしてるうちにご飯を食べ終え、竜樹さんは横になり、私は台所を片付ける。
片付けが終わってから、竜樹さんの傍にちょこんと座る。
この調子だと自力で帰らないといけないだろうから、いられるとしてもあと30分ほど。
残りの時間、ただ竜樹さんの傍にいられたらよかった。
明日もまた会えるんだから、竜樹さんはちゃんと元気を取り戻せるようにゆっくり休んでくれたらそれでいい。
そう思って、ちょこんと座ってる。
そんな私に触れる竜樹さんの手にあまり力が入ってないことが気になった。
「…雨が降っててしんどいのに、無理言って来ちゃったね。ごめん…」
「霄が来てくれへんかったら、俺は今日も何も食べんと寝るしかなかってんで?
来てくれて助かったんやで?
せめて今日くらい晴れてくれたらよかったのになぁ…
今日が『始まりの日』やってんやろ?」
…言葉に詰まった。
あぁ、この人は判ってたんだね?
いつも「俺にとって本当に大事なのは、付き合い始めた日よりも『これからもずっと一緒に歩こう』って言った日の方やねんで」って言ってたのに、2人が最初に歩き始めた日のことをきちんと覚えててくれてた。
もう十分じゃないか?これひとつあれば。
春の嵐が来ようが、なんだろうが。
竜樹さんにとって今日が重要であろうがなかろうが。
ただ私がこの日を大切に思っていたことを覚えていてくれたこと。
何の役にも立たなくても、ここに来た気持ちだけをそっと受け取ってくれたこと。
それだけで十分なんだよ?
「明日は晴れるといいね。明日は背中の痛みがなかったらいいのにね」
「そやなぁ。でも明日は晴れるで?
今日こんだけ降ってんもん。明日は晴れるって」
重い表情にわずかばかりの微笑みひとつ、目の前を掠めていった。
その微笑に暫く意識を奪われたまま、そこに座り続ける。
我に返って時計を見ると、バスはもうない。
「俺が送っていくわ。十分休めたし、飯も食ったから」
そう言って、起き上がる竜樹さんを制止したけれど。
「今日せっかく来てくれてんし、先週は自力で帰ってもらってるから。
こんな雨やし荷物もあるみたいやから、ちゃんと送ってくで?」
結局、その言葉に甘えてしまった。
春の嵐は金岡邸に戻ってもなお、収まる様相は見せなかったけれど。
7年目の春は、嵐の中やってきたけれど。
2人の間にある空気は少なくとも暖かかったのだと。
春の嵐の中にでも暖かさは確かに存在するのだと、再確認できた、そんな7回目の春だった。
初めて竜樹さんと歩くようになった日の空は、確か薄いブルー。
期待と不安とが入り混じったような、新しい心の色。
どんな朝を迎えるだろうと思いながら眠ったのに…
春の嵐のような朝が待ち受けていた。
昨晩、竜樹さんには「会社が終わったら、そちらに行きますね?」と連絡を入れていた。
先週末からずっと竜樹さんの調子が悪いことは判っていたけれど、ただ7回目の記念日に少しの時間でいいから一緒にいたかった。
前の晩にハンバーグのたねも作っておいた。
「今日は遅くなるからね」と家族にも了解を取っていた。
あとは年度末最後の仕事が立て込まないことだけ。
…そして、この春の嵐が少しでも形を潜めてくれることをただ祈るだけ。
いくつもの下準備を済ませ、いくつかの小さな願いを抱えて家を出た。
会社に入ると、終始噛み付くように鳴り響く電話と、意味不明なる質問の対応に追われていた。
手取りが減ってる今、残業になるのはある意味ありがたいけれど、竜樹さんと過ごす時間は短くなる。
いくら少しの時間でいいとはいえ、なるべくなら長く一緒にいたいから、ひたすら投げ飛ばすように仕事を片付け続けた。
戦闘モード120%で仕事を片付けたお陰か、無事に定時に事務所を出たけれど。
外は相変わらず嵐のよう。
傘を片手によろよろと、自転車を飛ばす。
ずぶぬれ状態のまま電車に飛び乗り、いつものように最後の乗り換えの駅から竜樹さんの携帯にワンコール入れるけれど、竜樹さんからメールも何もやってこない。
…多分、この雨でそれどころじゃないんやなぁ
会社に届いたかさばる荷物と傘、そしてどういう訳か重くて仕方のない通勤鞄を持って、よろよろと電車を降り、雨と渋滞のせいで乗車人数の膨れ上がったバスに乗り込む。
竜樹さんの状態がベストじゃないからこそ笑顔を繰り出したいと思うけれど、私自身も雨に弱い上に会社で必要以上に神経も体力も使ってしまった挙句、いつも以上に辛い状態の移動。
笑顔の繰り出し方すら、見失いそうになるけれど。
逢ったところで、竜樹さんの体にのしかかる痛みも呼吸の苦しさも取り除けるわけでなくても、そこにある空気ひとつ変えられたなら、きっと7回目の春はそれだけで意味のあるものなのかもしれない。
根拠レスな想いを抱えて、よろよろとバスを降り竜樹邸に向かう。
竜樹邸に入ると、竜樹さんは相変わらず辛そうで、何も食べてはいらっしゃらない模様。
作ってきたハンバーグでも焼こうかと思ったけれど、もっと胃に優しいものが食べたいとのこと。
冷蔵庫を見ると、何もない。
今週初めから天候が悪かったせいで、買出しにもいけなかったとのこと。
竜樹さんのご実家からご飯だけでも頂こうと思ったけれど、生憎留守の模様。
竜樹さんの提案で、出来合いものを買いに出ることにした。
外はまだ雨が激しく降っている。
漆黒の空を睨みながら、てくてくと歩き始める。
何となく降り注ぐ雨粒と一緒に沈んでいきそうな感覚に捕われる。
…何で、こんなにバカみたいに降って来るんだよ!?
天気に八つ当たりしても仕方がないと知りながら、大切な人の身体の不調を齎す天候に腹立たしさを覚えずに入られなかった。
惣菜屋さんに行って、玉子丼と南蛮漬けのお弁当を買って、また激しい雨の中とぼとぼと歩く。
雨は降り止まない。
竜樹さんの背中の痛みも収まらない。
今日が何の日なのかなんてことを気にする余裕すらないことも判る。
別に、思い出してくれなくてもいい。
ただ、この春の嵐と不調の嵐の中、竜樹さんの心が暖かくなったと感じられる一瞬を作り出せたなら、今日という日の意味はそれひとつで十分なんだろう。
だから、竜樹邸に戻る時、少しばかりの元気な声と笑顔を忘れずにいよう。
そして竜樹さんの家を出るまで、なるべく笑っていよう。
竜樹邸に入って暫くすると、竜樹さんはようやっと身体を起こせるようになったようなので、一緒に買ってきたご飯を食べる。
身体の痛みがひどいのと、それに伴って息苦しさが増すからか、会話が弾むなんてことはないのだけれど。
竜樹さんが元気を捻り出すように、ぽつりぽつりと話し始める。
常に私の方が喋りなんだけれど、竜樹さんが捻り出す言葉を消してしまいたくなくて、それに沿うように言葉を返す。
静かに、静かに、会話が流れていく。
そうしてるうちにご飯を食べ終え、竜樹さんは横になり、私は台所を片付ける。
片付けが終わってから、竜樹さんの傍にちょこんと座る。
この調子だと自力で帰らないといけないだろうから、いられるとしてもあと30分ほど。
残りの時間、ただ竜樹さんの傍にいられたらよかった。
明日もまた会えるんだから、竜樹さんはちゃんと元気を取り戻せるようにゆっくり休んでくれたらそれでいい。
そう思って、ちょこんと座ってる。
そんな私に触れる竜樹さんの手にあまり力が入ってないことが気になった。
「…雨が降っててしんどいのに、無理言って来ちゃったね。ごめん…」
「霄が来てくれへんかったら、俺は今日も何も食べんと寝るしかなかってんで?
来てくれて助かったんやで?
せめて今日くらい晴れてくれたらよかったのになぁ…
今日が『始まりの日』やってんやろ?」
…言葉に詰まった。
あぁ、この人は判ってたんだね?
いつも「俺にとって本当に大事なのは、付き合い始めた日よりも『これからもずっと一緒に歩こう』って言った日の方やねんで」って言ってたのに、2人が最初に歩き始めた日のことをきちんと覚えててくれてた。
もう十分じゃないか?これひとつあれば。
春の嵐が来ようが、なんだろうが。
竜樹さんにとって今日が重要であろうがなかろうが。
ただ私がこの日を大切に思っていたことを覚えていてくれたこと。
何の役にも立たなくても、ここに来た気持ちだけをそっと受け取ってくれたこと。
それだけで十分なんだよ?
「明日は晴れるといいね。明日は背中の痛みがなかったらいいのにね」
「そやなぁ。でも明日は晴れるで?
今日こんだけ降ってんもん。明日は晴れるって」
重い表情にわずかばかりの微笑みひとつ、目の前を掠めていった。
その微笑に暫く意識を奪われたまま、そこに座り続ける。
我に返って時計を見ると、バスはもうない。
「俺が送っていくわ。十分休めたし、飯も食ったから」
そう言って、起き上がる竜樹さんを制止したけれど。
「今日せっかく来てくれてんし、先週は自力で帰ってもらってるから。
こんな雨やし荷物もあるみたいやから、ちゃんと送ってくで?」
結局、その言葉に甘えてしまった。
春の嵐は金岡邸に戻ってもなお、収まる様相は見せなかったけれど。
7年目の春は、嵐の中やってきたけれど。
2人の間にある空気は少なくとも暖かかったのだと。
春の嵐の中にでも暖かさは確かに存在するのだと、再確認できた、そんな7回目の春だった。
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猛烈暇暇デーだったので…
2002年3月28日勤務時間中に日記が2日分書けました(爆)
それ以前に書いたけれどあげれなかった日の日記も合わせてあげました。
28日から29日にかけて更新した日記は、21日・23日・24日の分です。
気が向くようなら、読んでみてください。
暇暇デーの話も別途するかもしれないので、この告知はあくまで時間限定のものです。
つまらないことに紙面を割きました。
失礼致しましたm(__)m
金岡 霄 拝
それ以前に書いたけれどあげれなかった日の日記も合わせてあげました。
28日から29日にかけて更新した日記は、21日・23日・24日の分です。
気が向くようなら、読んでみてください。
暇暇デーの話も別途するかもしれないので、この告知はあくまで時間限定のものです。
つまらないことに紙面を割きました。
失礼致しましたm(__)m
金岡 霄 拝
嬉しい贈り物
2002年3月26日昨晩、やるせない気持ちを払うようにお友達とメッセで語り倒して朝を迎えた。
暫しの睡眠の後、出社拒否気味の身体を無理やり起こして、家を出る。
空は薄いブルー。
本当はこんな空の色もまた好きなはずなのに、向かう先が向かう先なだけに憂鬱さだけを増長させる。
「おぞましい朝の歌」からなかなか抜け出せないまま、社屋に入って仕事を始める。
相変わらず、考え無しに行動しては「どうしよう!」と慌てる親会社の人々とうちの会社の人々。
その後始末の鉢がごろりごろりと回ってくる。
…もう勘弁してくれよぉヽ(`⌒´)ノ
昨日の今日で環境が変わるわけがないことくらい、入社した時から判ってたことじゃないか?
考え無しに動き回る人間に、理路整然と話してみたって無駄じゃないか?
「仕事なんだから…」と割り切ってかかれなくなってるあたりからして、既にこの「考え無しの精神」に浸かってしまってるんだろうなぁと思いながら。
今日もやってくるトラブルに思考回路を取られ気味状態で、時間だけが過ぎていく。
お昼ご飯を食べて暫くぼーっとして、また戦闘モードを露にしていく。
ちょろっと睡眠不足気味だったので、パソコンのディスプレイに頭を突っ込みそうになったり、風通しのいい階段の踊り場で眠りそうになったりしたけれど。
次から次へとやってくるトラブルに、意識をたたき起こされながら今日もよろよろと業務を終える。
電車の中で、よろよろと友達が送ってくるメールに返事を打つことでようよう意識を起こし、電車を乗り過ごすこともなく家に帰ってきた。
よたよたとカギを開けて玄関に入りふと見ると、靴箱の上にてろんと箱がひとつ置いてある。
…あ、
あることから興味を持ち、何とか自分で探そうとしていたものがあって。
探してる過程で、そんじょそこらにあるものではないことを知ってしょんぼりしてたところに「送ってあげましょう」と友達が申し出てくれた。
「竜樹さんとの7周年記念に…」という、素敵な言葉を添えて。
凝り性の私は、いずれは自分で探し出すつもりでいてて。
今は手取りが減ってるからそれは叶わないけれど、もう少し財布に余裕が出たらぷらりと探し物の旅に出てもいいなぁと思っていた。
…何となく、そのまま探すことが叶わないだろうなぁて気はしていたけれど。
それがあまりに早く、しかも7回目の春が来る前に届いたことにびっくりした。
玄関でぽかんとしてる私を、首をかしげて見てるプードルさん。
玄関まで迎えに来たプードルさんがなかなか戻ってこないのを不審に思って、リビングから出てくる金岡母。
「…あんた、今度は何をやったのよ?」
「大きな荷物と書留郵便は、霄が何かしでかした証」と金岡家ではまことしやかに語られてるらしく、「あぁ、またやったのね?」と呆れ顔の金岡母。
「…違うってば、贈り物なんだよ」
「贈り物って何よ?何のお祝い?」
「……………(^-^;」
今でこそ竜樹さんの話をしてもそう嫌な顔をしなくなってるとは言え。
「二人で一緒にい始めてから7年目のお祝いなの〜♪」などと言えば、また墓穴を掘りそうな気がしてただにこにこと笑い返したけれど。
「ヘンな子ねぇ」とばかりに、プードルさんを連れてリビングに帰る金岡母。
一人ぽつねんと残った私は、暫くお届け物を見てにこにこしてたけれど…
今まで自分のことをあまり人に語らないスタンスで歩いてきてたから。
私が竜樹さんとどれくらい一緒にいてるのか、いつから一緒にい始めてるのかなんて知る人の方が少ないのだけれど。
(時々、メールのやり取りや手紙のやり取りから思い出す友達もいて、びっくりすることもあるけれど)
こちらの陸地でもネットの海ででもごくごく少数の、気を許した人にしか語らなかったことを気にとめてくれてる人がいること自体が嬉しい。
「所詮、どこにいても私は一人だからねぇ」と冷えた気持ちを抱えてた昨日。
そう感じること自体に間違いもなければ、それは事実なんだとは思うけれど。
そっと心の傍にいてくれてる人はいるのだと。
祝福されるはずのない、二人が共にあるということを微笑みを以って見つめてくれる人がいるのだと。
届いた贈り物はそんな側面をも連れてきたのだなぁって思うと、とても嬉しかった。
「そんな風に気に留めてくれる人がいるんだよ?
早く元気になって、笑顔でお礼を言いたいね?
だから、頑張って次の大波も乗り越えようね」
竜樹さんにそう伝えたかったけれど。
昨日もキツイ薬を飲まないと痛みが治まらないという竜樹さんを思うと、気安く電話できなかった。
けれど。
7回目の春を迎えるその日。
自分たちだけじゃなくて、ちゃんと心に留めてくれてる人はいてくれてるんだということ。
そんな心が、新たな力も連れてくるんだということ。
私は笑顔で頑張るよ?ということ。
ちゃんと伝えたいと思う。
7回目の春を前に、嬉しい贈り物を届けてくれた大切な友達にありがとう。
いつか、嬉しい贈り物を私からも返せるくらい、笑顔いっぱいの場所に辿り着けますように…
暫しの睡眠の後、出社拒否気味の身体を無理やり起こして、家を出る。
空は薄いブルー。
本当はこんな空の色もまた好きなはずなのに、向かう先が向かう先なだけに憂鬱さだけを増長させる。
「おぞましい朝の歌」からなかなか抜け出せないまま、社屋に入って仕事を始める。
相変わらず、考え無しに行動しては「どうしよう!」と慌てる親会社の人々とうちの会社の人々。
その後始末の鉢がごろりごろりと回ってくる。
…もう勘弁してくれよぉヽ(`⌒´)ノ
昨日の今日で環境が変わるわけがないことくらい、入社した時から判ってたことじゃないか?
考え無しに動き回る人間に、理路整然と話してみたって無駄じゃないか?
「仕事なんだから…」と割り切ってかかれなくなってるあたりからして、既にこの「考え無しの精神」に浸かってしまってるんだろうなぁと思いながら。
今日もやってくるトラブルに思考回路を取られ気味状態で、時間だけが過ぎていく。
お昼ご飯を食べて暫くぼーっとして、また戦闘モードを露にしていく。
ちょろっと睡眠不足気味だったので、パソコンのディスプレイに頭を突っ込みそうになったり、風通しのいい階段の踊り場で眠りそうになったりしたけれど。
次から次へとやってくるトラブルに、意識をたたき起こされながら今日もよろよろと業務を終える。
電車の中で、よろよろと友達が送ってくるメールに返事を打つことでようよう意識を起こし、電車を乗り過ごすこともなく家に帰ってきた。
よたよたとカギを開けて玄関に入りふと見ると、靴箱の上にてろんと箱がひとつ置いてある。
…あ、
あることから興味を持ち、何とか自分で探そうとしていたものがあって。
探してる過程で、そんじょそこらにあるものではないことを知ってしょんぼりしてたところに「送ってあげましょう」と友達が申し出てくれた。
「竜樹さんとの7周年記念に…」という、素敵な言葉を添えて。
凝り性の私は、いずれは自分で探し出すつもりでいてて。
今は手取りが減ってるからそれは叶わないけれど、もう少し財布に余裕が出たらぷらりと探し物の旅に出てもいいなぁと思っていた。
…何となく、そのまま探すことが叶わないだろうなぁて気はしていたけれど。
それがあまりに早く、しかも7回目の春が来る前に届いたことにびっくりした。
玄関でぽかんとしてる私を、首をかしげて見てるプードルさん。
玄関まで迎えに来たプードルさんがなかなか戻ってこないのを不審に思って、リビングから出てくる金岡母。
「…あんた、今度は何をやったのよ?」
「大きな荷物と書留郵便は、霄が何かしでかした証」と金岡家ではまことしやかに語られてるらしく、「あぁ、またやったのね?」と呆れ顔の金岡母。
「…違うってば、贈り物なんだよ」
「贈り物って何よ?何のお祝い?」
「……………(^-^;」
今でこそ竜樹さんの話をしてもそう嫌な顔をしなくなってるとは言え。
「二人で一緒にい始めてから7年目のお祝いなの〜♪」などと言えば、また墓穴を掘りそうな気がしてただにこにこと笑い返したけれど。
「ヘンな子ねぇ」とばかりに、プードルさんを連れてリビングに帰る金岡母。
一人ぽつねんと残った私は、暫くお届け物を見てにこにこしてたけれど…
今まで自分のことをあまり人に語らないスタンスで歩いてきてたから。
私が竜樹さんとどれくらい一緒にいてるのか、いつから一緒にい始めてるのかなんて知る人の方が少ないのだけれど。
(時々、メールのやり取りや手紙のやり取りから思い出す友達もいて、びっくりすることもあるけれど)
こちらの陸地でもネットの海ででもごくごく少数の、気を許した人にしか語らなかったことを気にとめてくれてる人がいること自体が嬉しい。
「所詮、どこにいても私は一人だからねぇ」と冷えた気持ちを抱えてた昨日。
そう感じること自体に間違いもなければ、それは事実なんだとは思うけれど。
そっと心の傍にいてくれてる人はいるのだと。
祝福されるはずのない、二人が共にあるということを微笑みを以って見つめてくれる人がいるのだと。
届いた贈り物はそんな側面をも連れてきたのだなぁって思うと、とても嬉しかった。
「そんな風に気に留めてくれる人がいるんだよ?
早く元気になって、笑顔でお礼を言いたいね?
だから、頑張って次の大波も乗り越えようね」
竜樹さんにそう伝えたかったけれど。
昨日もキツイ薬を飲まないと痛みが治まらないという竜樹さんを思うと、気安く電話できなかった。
けれど。
7回目の春を迎えるその日。
自分たちだけじゃなくて、ちゃんと心に留めてくれてる人はいてくれてるんだということ。
そんな心が、新たな力も連れてくるんだということ。
私は笑顔で頑張るよ?ということ。
ちゃんと伝えたいと思う。
7回目の春を前に、嬉しい贈り物を届けてくれた大切な友達にありがとう。
いつか、嬉しい贈り物を私からも返せるくらい、笑顔いっぱいの場所に辿り着けますように…
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雨雲を蹴散らして…
2002年3月24日昨日の晩も何気なく上がったメッセで友達に捕まえられて、明け方まで話す。
その割に朝は早く目が覚めた。
部屋の外から聞こえるのは雨の音。
そしてひんやりとした空気。
何となくすぐに起き上がれなくて、布団に包まりながら手を伸ばすけれど。
手に触ったのは、読みかけの本が数冊。
暖かな人はそこにはいなかった。
…あ、帰って来てたんだっけ?私?
ここが竜樹邸でないことを改めて思い知る。
布団の外に脱ぎ散らかしたフリースを着て雨戸を開けると、またしても鈍色の空から大粒の雨が降り注いでいる。
…いつまで続くんだよ?この雨は?
毒づきながら、布団から抜け出した。
そして、そこにはいない竜樹さんの具合を思った。
熱が下がっていないなら、何かおなかに優しいものでも作りに行きたい。
飼ってるお魚にエサをあげるだけでもいい。
ただ、傍にいられたらそれでいい。
そう思ったけれど。
本当にしんどい時、竜樹さんは一人でないとちゃんと休めないこと。
そして、今日は家にいないといけないこと。
いろいろ思って、やめてしまった。
この部屋でしないといけないことは腐るほどあるけれど。
どれもこれも手につかない。
頭の中でしないといけないことの外形図を描いたり、心の中にあるものを言葉に置き換えようとしたりするけれど、どうにもこうにも空回りする。
雨は一向にやみそうにない。
ブルーな気分は加速する。
…やっぱり竜樹さんになんと言われても、もう一日竜樹邸に留まり続けたらよかったかな?
そんな気持ちで一杯になる。
傍にいたからといって何も出来やしないことは、おとつい昨日と実感したことのはずなのに。
それでも、傍にいれば何か出来たかもという、「If」に捕われ続ける。
竜樹さんが昨日貸してくれたフリースを着て、進むでもない作業に意識を向けようとした。
それが意味のないことと知りながら…
四六時中一緒にいなければ寂しくて寂しくていられないと言う程の寂しがりではない。
むしろ、ある程度一人の時間は欲しいと思ってる。
そういうところは竜樹さんとも一致してたからこそ、長い間一緒にいられたんだとは思うけれど。
竜樹さんが辛い思いをしてるだろうことは、天候一つとっても判る。
窓の外の温度や湿度の感じでも判る。
自分の知らないところで何かが起こってることも辛いかもしれないけれど、判りきってることをどうすることも出来ずにただ案じてるしかないってこと自体やるせなくて仕方ない。
身体の不調に苦しむ竜樹さんの目の前で、この2日間何が出来たのかを振り返れば、自分がいようといまいとあまり事態を劇的に変えるだけの力など持ち合わせてもいないことくらい判りきったことなのにね?
何故なんだろう?
無駄だと判っていても、近くにいたいと思うのは。
考えても仕方のないことにばかり意識を取られて、結局何一つしないといけないことは進まないまま。
また、おぞましい1週間が始まるんだね?
来週の終わりには、特別な日が待っている。
2人が歩き始めてから7回目の春がそっと待っているんだ。
去年は直前に大揉めに揉めた挙句、別れ話が待ち受けていた。
結局それは、桜の咲く風の強い午後に回避されたけれど…
今年はどんな風に2人は7回目の春を眺めるんだろう?
やるせない想いはいつになったら、終わりを迎えるのだろう?
あと何回春を迎えたら、二人が本当に笑える春を迎えられるんだろう?
毎年、2人が歩き始めた春に心の底から笑えることは少なかったんだ。
もしかしたら、私自身がそれを知っているからかもしれない。
2人が手放しで喜べる春など、来やしないだろうことを…
それを知りながら手を携えて歩いてきた。
傍から見たら、ただの道化かもしれない。
「金岡は男で蹴躓いたね?」
「金岡って、将来のこと何も考えてないわけ?」
そういう声がそこいらに転がってるのも事実。
それらに対して承服するつもりも、噛み付くつもりもなく、たらりたらりと受け流してきたけれど。
そういう声にめげることなく、心で小さく「見てろよ?」って思いながら顔をあげて歩いてきたのも、すべては竜樹さんの笑顔があったから。
竜樹さんが生きててくれたから。
けれど、竜樹さんの笑顔の素に私はなれてたのかな?
私のために無理に笑おうとしてたんじゃないのかな?
今はそんな疑問が私の周りを取り囲む。
雨雲のような思いに苛まれ続けるけれど…
いつかこの迷いを蹴散らして、竜樹さんが気負うことなく笑顔でいられるように。
身体の不調がある時に、「霄に悪いから」ではなく「霄にいて欲しい」と思ってもらえるように。
雨雲を蹴散らすだけの力が欲しいと思う。
「迷ってへこむこと自体、余裕があるってことだろ?
それは今までよりもはるかに恵まれた道を歩いてるってことだぜ?」
心の底から聞こえる小さな声に、すべてを預けて。
雨雲を蹴散らすように、迷う心を蹴散らそう。
出来ないことを出来ないことと諦めるよりも、出来ないことを出来ないからと嘆くよりも。
もっとシンプルに出来ることを。
迷いを蹴散らしながら、手に入れよう。
7度目の春に間に合わなくても、8度目でも9度目でもいい。
竜樹さんが生きて、その笑顔を私に向けてくれてるうちに。
雨雲蹴散らして、笑顔だけをそっと送り出そう。
その割に朝は早く目が覚めた。
部屋の外から聞こえるのは雨の音。
そしてひんやりとした空気。
何となくすぐに起き上がれなくて、布団に包まりながら手を伸ばすけれど。
手に触ったのは、読みかけの本が数冊。
暖かな人はそこにはいなかった。
…あ、帰って来てたんだっけ?私?
ここが竜樹邸でないことを改めて思い知る。
布団の外に脱ぎ散らかしたフリースを着て雨戸を開けると、またしても鈍色の空から大粒の雨が降り注いでいる。
…いつまで続くんだよ?この雨は?
毒づきながら、布団から抜け出した。
そして、そこにはいない竜樹さんの具合を思った。
熱が下がっていないなら、何かおなかに優しいものでも作りに行きたい。
飼ってるお魚にエサをあげるだけでもいい。
ただ、傍にいられたらそれでいい。
そう思ったけれど。
本当にしんどい時、竜樹さんは一人でないとちゃんと休めないこと。
そして、今日は家にいないといけないこと。
いろいろ思って、やめてしまった。
この部屋でしないといけないことは腐るほどあるけれど。
どれもこれも手につかない。
頭の中でしないといけないことの外形図を描いたり、心の中にあるものを言葉に置き換えようとしたりするけれど、どうにもこうにも空回りする。
雨は一向にやみそうにない。
ブルーな気分は加速する。
…やっぱり竜樹さんになんと言われても、もう一日竜樹邸に留まり続けたらよかったかな?
そんな気持ちで一杯になる。
傍にいたからといって何も出来やしないことは、おとつい昨日と実感したことのはずなのに。
それでも、傍にいれば何か出来たかもという、「If」に捕われ続ける。
竜樹さんが昨日貸してくれたフリースを着て、進むでもない作業に意識を向けようとした。
それが意味のないことと知りながら…
四六時中一緒にいなければ寂しくて寂しくていられないと言う程の寂しがりではない。
むしろ、ある程度一人の時間は欲しいと思ってる。
そういうところは竜樹さんとも一致してたからこそ、長い間一緒にいられたんだとは思うけれど。
竜樹さんが辛い思いをしてるだろうことは、天候一つとっても判る。
窓の外の温度や湿度の感じでも判る。
自分の知らないところで何かが起こってることも辛いかもしれないけれど、判りきってることをどうすることも出来ずにただ案じてるしかないってこと自体やるせなくて仕方ない。
身体の不調に苦しむ竜樹さんの目の前で、この2日間何が出来たのかを振り返れば、自分がいようといまいとあまり事態を劇的に変えるだけの力など持ち合わせてもいないことくらい判りきったことなのにね?
何故なんだろう?
無駄だと判っていても、近くにいたいと思うのは。
考えても仕方のないことにばかり意識を取られて、結局何一つしないといけないことは進まないまま。
また、おぞましい1週間が始まるんだね?
来週の終わりには、特別な日が待っている。
2人が歩き始めてから7回目の春がそっと待っているんだ。
去年は直前に大揉めに揉めた挙句、別れ話が待ち受けていた。
結局それは、桜の咲く風の強い午後に回避されたけれど…
今年はどんな風に2人は7回目の春を眺めるんだろう?
やるせない想いはいつになったら、終わりを迎えるのだろう?
あと何回春を迎えたら、二人が本当に笑える春を迎えられるんだろう?
毎年、2人が歩き始めた春に心の底から笑えることは少なかったんだ。
もしかしたら、私自身がそれを知っているからかもしれない。
2人が手放しで喜べる春など、来やしないだろうことを…
それを知りながら手を携えて歩いてきた。
傍から見たら、ただの道化かもしれない。
「金岡は男で蹴躓いたね?」
「金岡って、将来のこと何も考えてないわけ?」
そういう声がそこいらに転がってるのも事実。
それらに対して承服するつもりも、噛み付くつもりもなく、たらりたらりと受け流してきたけれど。
そういう声にめげることなく、心で小さく「見てろよ?」って思いながら顔をあげて歩いてきたのも、すべては竜樹さんの笑顔があったから。
竜樹さんが生きててくれたから。
けれど、竜樹さんの笑顔の素に私はなれてたのかな?
私のために無理に笑おうとしてたんじゃないのかな?
今はそんな疑問が私の周りを取り囲む。
雨雲のような思いに苛まれ続けるけれど…
いつかこの迷いを蹴散らして、竜樹さんが気負うことなく笑顔でいられるように。
身体の不調がある時に、「霄に悪いから」ではなく「霄にいて欲しい」と思ってもらえるように。
雨雲を蹴散らすだけの力が欲しいと思う。
「迷ってへこむこと自体、余裕があるってことだろ?
それは今までよりもはるかに恵まれた道を歩いてるってことだぜ?」
心の底から聞こえる小さな声に、すべてを預けて。
雨雲を蹴散らすように、迷う心を蹴散らそう。
出来ないことを出来ないことと諦めるよりも、出来ないことを出来ないからと嘆くよりも。
もっとシンプルに出来ることを。
迷いを蹴散らしながら、手に入れよう。
7度目の春に間に合わなくても、8度目でも9度目でもいい。
竜樹さんが生きて、その笑顔を私に向けてくれてるうちに。
雨雲蹴散らして、笑顔だけをそっと送り出そう。
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一緒にいられるという事実
2002年3月23日いつのまにか眠ってしまっていたらしい。
休みの日は早く目が覚めることはあまりないのに、目が覚めて時計を見るとまだ7時過ぎだった。
隣にふと目をやると、竜樹さんが眠っている。
痛みを忘れるために薬を飲んで眠る時とは違う、穏やかな寝顔。
それを暫くじっと眺めていた。
竜樹さんの寝顔を見て、何となくほっとしてる自分がいる。
…以前ならその寝顔を見ると、何故かやるせない気持ちになったのにね。
昔はキツめの鎮痛剤を飲んで、半ば痛みを紛らわせるために眠りについてる状態だったから。
その寝顔を見るたびに、竜樹さんの肩越しに小さな川を見ているような気がしていた。
その小さな川を垣間見るたびに、涙が落ちそうな感覚に陥っていたけれど。
自分の気持ちの移り変わりに意識をやりながら、一時のことを思えばこれでもいい状態に近づいているんだろうなという兆しだけを感じ取りながらまた意識が落ちていくのに任せる。
何回もそれを繰り返して目が覚めてびっくりする。
もうお昼を回っていた(-_-;)
台所から見える小さな空は、快晴の色。
台所から入り込んでくる空気は少しひんやりしてる気がしてなかなかお布団から抜け出すことは出来なかったけれど。
…せっかく朝から竜樹邸にいたんだから、早く起きて竜樹さんと散歩にでも出ればよかった(T^T)
心の中に後悔の色が差し込む前に布団を抜け出そうとすると、横になっていた竜樹さんは目を覚ましてる。
「…あれ?起きてたの?」
「うん」
「外はいい天気みたいだよ?ちょっと肌寒い気がするけれど、出かけるにはいいかもしんない」
「…なんかなぁ、昨日にもまして調子悪いねん(ノ_<。)」
竜樹さんのほっぺたに触ると、ちょっと熱っぽい。
こんな状態で外に無理やり連れ出すのが得策のようには思えない。
ひとまず遅いお昼ご飯を食べてから、様子を見ようということになる。
昨日温野菜のサラダを作るときにちぎりすぎた春キャベツと玉ねぎのスライスにひき肉を加えて炒めておいて、茹でたパスタとあわせ梅こぶ茶と少しの醤油で味付けしたものを作る。
それほど時間は経ってなかっただろうけれど、出来上がった頃には竜樹さんはまた眠っていた。
「できたよぉ」
「先に食べといて…」
仕方がないので一人で食べ、後片付けをして竜樹さんの寝てる部屋に戻る。
竜樹さんの寝顔を眺めてるうちに、また寝てしまった。
次に目が覚めたら、竜樹さんはじゃれっこモード入ってて、ちゃんとしたじゃれっこができない状態の私に触れてくる。
結果的に煽られたような形になった私がなんとなくすっきりしないまま時間が過ぎたけれど。
ささやかな、でも少々理不尽なふれあいが終わった後、また竜樹さんは眠りに還っていった。
このまま竜樹さんと一緒になって寝たくれるのもどうかと思ったので、2階にあがってベタと貝の赤ちゃんを見ていた。
水槽に顔を近づけると、「ご飯くれ!ご飯くれ!」とばかりに水面近くをちょろちょろするベタの赤ちゃんとベタ両親にご飯をあげ、また暫くのたりのたりと側面の苔を食べてる貝を見ていた。
そのうちまた冷えてきたので、1階に降り今度は冷蔵庫の上にいるアカヒレとペンギンテトラにご飯をあげ、竜樹さんの寝てる部屋に戻る。
すると、いつのまにか竜樹さんはご飯を食べ、薬を飲んでいらっしゃった。
そうして穏やかな寝顔を眺めてるうちに、また私も眠ってしまった。
次に起きたら、17時を回っていた(゜o゜)
慌てて飛び起きて、夕飯の支度を始める。
竜樹さんにご飯が食べれるかどうか聞いてみたら、あっさりしたものならと仰るので、
また冷蔵庫の掃除状態のメニューになる。
今日の夕飯は、豚しゃぶと春キャベツの温サラダ(ニンジン抜き)と小芋の煮付けの2品。
恐ろしく簡単に、恐ろしく淡々と料理は出来上がってしまった。
そこへ竜樹お父さんから内線が入り、炊きたてご飯を貰う。
そこへ外出先から戻った竜樹お母さんも加わり、暫く雑談大会。
その間も竜樹さんはずっと横になりつづけている。
雑談大会が終わった頃、やっとご飯が食べれるようにはなったようで、二人で夕飯を食べ始める。
何となく二人とも元気がなくて、随分暗い感じの夕飯ではあったけれど。
竜樹さんは出したものを残さずに食べてくれた。
それだけで十分だった。
どうにもこうにも調子がよくならない竜樹さん。
竜樹さんの様子を見てると、そのまま一人にして家に帰るのが躊躇われて、もう1泊しようかなと思ったけれど。
「お互いにちゃんと休んだ方がいいから」ということで、結局帰ることになる。
いつも無理をして家まで送ろうとしてくれるんだけれど、この状態で車を運転させる方が危険極まりない気がしたので、バスがあるうちに竜樹邸をあとにすることにした。
「外は冷え込んでるみたいだから…」と、竜樹さんは臙脂色のフリースを貸してくれた。
竜樹さんは起きるのも辛かったみたいなのに、家の門の外まで送ってくれた。
そして私が角を曲がるまで、ずっとそこにいてくれた。
一生懸命笑顔を探し出して、竜樹さんに見えるはずもないだろうに笑顔を向けた。
角を曲がってから、急に悲しくなった。
バス停でバスを待ちながら、思った以上に冷え込みがきついことを実感する。
竜樹さんが持たせてくれたフリースがやけに暖かかった。
…結局、私は竜樹邸に何をしに行ったんやろ?
「連休中、いつもと違うことがしたい」
そう言う竜樹さんと、いつもと違うことを一緒に出来るようにと思って行ったはずだったのに、結局ご飯を作ってただ一緒に寝たくれるだけだった。
竜樹さんの体調も悪かったんだし仕方がなかったのかも知れないけれど、結局「当事者」でないものは、何をしてあげることも出来ないんだなということだけをまた痛烈に思い知った気がする。
…「当事者」じゃないから、肝心なところで外野扱いされて締め出し食らうんだよなぁ。
辛気臭い思考は、穿り返さなくてもいい記憶の断片すら拾い集めに行こうとする。
…自分を責めるだけじゃ、何の解決にもならないのにね?
ただ「二人でいられる特別な時間」に対して甘えてるだけでいいんだろうか?
いろんな状況の中で私に出来ることも許されることもうんと少なくなってることも承知してるから、このままでいてていいはずはないと思うけれど。
「一緒にいられて嬉しい」って気持ちだけを抱きしめて、出来なかったことに対して何をすれば出来るのか。
もしくは、私の力では何も出来ないのか。
考えながら、歩きつづけるしかないんだろうね?
しんどい中でも私に対して出来る限り心を割いてくれた竜樹さんに出来る限り気持ちが割けるように、一緒にいられるという事実だけを柱にして歩きたい。
今はその事実が自分自身を責めていく思考を逸らすための要素に過ぎなくても。
ただ、その事実を大切にしていたいと、たまらなくそう思った。
休みの日は早く目が覚めることはあまりないのに、目が覚めて時計を見るとまだ7時過ぎだった。
隣にふと目をやると、竜樹さんが眠っている。
痛みを忘れるために薬を飲んで眠る時とは違う、穏やかな寝顔。
それを暫くじっと眺めていた。
竜樹さんの寝顔を見て、何となくほっとしてる自分がいる。
…以前ならその寝顔を見ると、何故かやるせない気持ちになったのにね。
昔はキツめの鎮痛剤を飲んで、半ば痛みを紛らわせるために眠りについてる状態だったから。
その寝顔を見るたびに、竜樹さんの肩越しに小さな川を見ているような気がしていた。
その小さな川を垣間見るたびに、涙が落ちそうな感覚に陥っていたけれど。
自分の気持ちの移り変わりに意識をやりながら、一時のことを思えばこれでもいい状態に近づいているんだろうなという兆しだけを感じ取りながらまた意識が落ちていくのに任せる。
何回もそれを繰り返して目が覚めてびっくりする。
もうお昼を回っていた(-_-;)
台所から見える小さな空は、快晴の色。
台所から入り込んでくる空気は少しひんやりしてる気がしてなかなかお布団から抜け出すことは出来なかったけれど。
…せっかく朝から竜樹邸にいたんだから、早く起きて竜樹さんと散歩にでも出ればよかった(T^T)
心の中に後悔の色が差し込む前に布団を抜け出そうとすると、横になっていた竜樹さんは目を覚ましてる。
「…あれ?起きてたの?」
「うん」
「外はいい天気みたいだよ?ちょっと肌寒い気がするけれど、出かけるにはいいかもしんない」
「…なんかなぁ、昨日にもまして調子悪いねん(ノ_<。)」
竜樹さんのほっぺたに触ると、ちょっと熱っぽい。
こんな状態で外に無理やり連れ出すのが得策のようには思えない。
ひとまず遅いお昼ご飯を食べてから、様子を見ようということになる。
昨日温野菜のサラダを作るときにちぎりすぎた春キャベツと玉ねぎのスライスにひき肉を加えて炒めておいて、茹でたパスタとあわせ梅こぶ茶と少しの醤油で味付けしたものを作る。
それほど時間は経ってなかっただろうけれど、出来上がった頃には竜樹さんはまた眠っていた。
「できたよぉ」
「先に食べといて…」
仕方がないので一人で食べ、後片付けをして竜樹さんの寝てる部屋に戻る。
竜樹さんの寝顔を眺めてるうちに、また寝てしまった。
次に目が覚めたら、竜樹さんはじゃれっこモード入ってて、ちゃんとしたじゃれっこができない状態の私に触れてくる。
結果的に煽られたような形になった私がなんとなくすっきりしないまま時間が過ぎたけれど。
ささやかな、でも少々理不尽なふれあいが終わった後、また竜樹さんは眠りに還っていった。
このまま竜樹さんと一緒になって寝たくれるのもどうかと思ったので、2階にあがってベタと貝の赤ちゃんを見ていた。
水槽に顔を近づけると、「ご飯くれ!ご飯くれ!」とばかりに水面近くをちょろちょろするベタの赤ちゃんとベタ両親にご飯をあげ、また暫くのたりのたりと側面の苔を食べてる貝を見ていた。
そのうちまた冷えてきたので、1階に降り今度は冷蔵庫の上にいるアカヒレとペンギンテトラにご飯をあげ、竜樹さんの寝てる部屋に戻る。
すると、いつのまにか竜樹さんはご飯を食べ、薬を飲んでいらっしゃった。
そうして穏やかな寝顔を眺めてるうちに、また私も眠ってしまった。
次に起きたら、17時を回っていた(゜o゜)
慌てて飛び起きて、夕飯の支度を始める。
竜樹さんにご飯が食べれるかどうか聞いてみたら、あっさりしたものならと仰るので、
また冷蔵庫の掃除状態のメニューになる。
今日の夕飯は、豚しゃぶと春キャベツの温サラダ(ニンジン抜き)と小芋の煮付けの2品。
恐ろしく簡単に、恐ろしく淡々と料理は出来上がってしまった。
そこへ竜樹お父さんから内線が入り、炊きたてご飯を貰う。
そこへ外出先から戻った竜樹お母さんも加わり、暫く雑談大会。
その間も竜樹さんはずっと横になりつづけている。
雑談大会が終わった頃、やっとご飯が食べれるようにはなったようで、二人で夕飯を食べ始める。
何となく二人とも元気がなくて、随分暗い感じの夕飯ではあったけれど。
竜樹さんは出したものを残さずに食べてくれた。
それだけで十分だった。
どうにもこうにも調子がよくならない竜樹さん。
竜樹さんの様子を見てると、そのまま一人にして家に帰るのが躊躇われて、もう1泊しようかなと思ったけれど。
「お互いにちゃんと休んだ方がいいから」ということで、結局帰ることになる。
いつも無理をして家まで送ろうとしてくれるんだけれど、この状態で車を運転させる方が危険極まりない気がしたので、バスがあるうちに竜樹邸をあとにすることにした。
「外は冷え込んでるみたいだから…」と、竜樹さんは臙脂色のフリースを貸してくれた。
竜樹さんは起きるのも辛かったみたいなのに、家の門の外まで送ってくれた。
そして私が角を曲がるまで、ずっとそこにいてくれた。
一生懸命笑顔を探し出して、竜樹さんに見えるはずもないだろうに笑顔を向けた。
角を曲がってから、急に悲しくなった。
バス停でバスを待ちながら、思った以上に冷え込みがきついことを実感する。
竜樹さんが持たせてくれたフリースがやけに暖かかった。
…結局、私は竜樹邸に何をしに行ったんやろ?
「連休中、いつもと違うことがしたい」
そう言う竜樹さんと、いつもと違うことを一緒に出来るようにと思って行ったはずだったのに、結局ご飯を作ってただ一緒に寝たくれるだけだった。
竜樹さんの体調も悪かったんだし仕方がなかったのかも知れないけれど、結局「当事者」でないものは、何をしてあげることも出来ないんだなということだけをまた痛烈に思い知った気がする。
…「当事者」じゃないから、肝心なところで外野扱いされて締め出し食らうんだよなぁ。
辛気臭い思考は、穿り返さなくてもいい記憶の断片すら拾い集めに行こうとする。
…自分を責めるだけじゃ、何の解決にもならないのにね?
ただ「二人でいられる特別な時間」に対して甘えてるだけでいいんだろうか?
いろんな状況の中で私に出来ることも許されることもうんと少なくなってることも承知してるから、このままでいてていいはずはないと思うけれど。
「一緒にいられて嬉しい」って気持ちだけを抱きしめて、出来なかったことに対して何をすれば出来るのか。
もしくは、私の力では何も出来ないのか。
考えながら、歩きつづけるしかないんだろうね?
しんどい中でも私に対して出来る限り心を割いてくれた竜樹さんに出来る限り気持ちが割けるように、一緒にいられるという事実だけを柱にして歩きたい。
今はその事実が自分自身を責めていく思考を逸らすための要素に過ぎなくても。
ただ、その事実を大切にしていたいと、たまらなくそう思った。
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隣にある暖かさ
2002年3月22日今日も外は雨が降っていた。
昨日も風が強い上に雨が降っていたから、竜樹邸に泊まりに行くのを延期してしまったけれど。
せっかく有給を取ったのに、今日も延期にするわけにはいかない。
金岡母にアリバイ工作(笑)をして、雨の中家を出る。
…きっと今日も体調悪いんだろうなぁ
ぽつりぽつりと鈍色の空から降ってくる雨粒を見つめて、ため息一つ。
「竜樹邸に泊まりに行く」という話をした時、「いつもとは違うことがしたいなぁ」と竜樹さんは言っていた。
週末はいつも私が遅くまで寝てるせいで、どうしてもスタートが遅れる。
その加減で竜樹さんが家で用事をしないといけない時間に私が竜樹邸に入ることになり、結果的にじゃれっこをしてご飯を作って食べて家に帰るというパターンが出来上がってしまってる。
竜樹さんにしてみると、一日中竜樹邸から出られないような状態になってしまう。
だから、私が家に帰る時間を気にしなくてよい日くらい、日の高いうちに出かけたり、夜遊びに出たりしたいなぁと思っていらっしゃるよう。
竜樹さんの体調さえよければ、これはまたとないチャンスだけど。
…雨なんて降られたら、竜樹さんの体調がいいはずがない。
どうしたものかなぁと考えながら、時折友達にメールを飛ばしながら移動を続けた。
竜樹邸に入ると、竜樹さんは横になってた。
相変わらず「朝から何も食べてない」とのことだったので、荷物を置いて卵うどんを作った。
それに冷蔵庫に残っていた惣菜を何品か温めなおして、食べてもらった。
「ちゃちゃっと作った割に、おいしいやん?うどん(*^_^*)」
しんどそうな中にも、笑顔が出たのが嬉しかった。
後片付けをしてから2階に移動。
2階の窓際にあるベタの水槽を眺めながら話をする。
赤ちゃんベタの水槽の中には大きな貝が1匹、のたのたと側面についた苔を食べている。
隣の親ベタの水槽をふと見ると、小さな虫のような貝のようなものがちょろちょろしてる。
「これって?」
「あ、これなぁ。どうやら貝が卵を産んだらしくてな、気が付いたら孵っててん」
確かによく見ると、ちゃんと貝殻をしょってる。
親の貝よりも機敏にちょろちょろしては側面の苔を食べてる模様。
「貝が卵から孵ったのなんて、はじめて見たよぉ」
「俺もはじめて見たわぁ」
なんともいい加減な飼い主の下で、魚やら貝やらが孵っては水槽を賑やかにしている。
不思議と長時間水槽を眺めてても退屈せず、気が付いたら竜樹さんは横になっていた(笑)
ちょっと寒そうにしてたからお布団にもぐりこんでくっついてると、じゃれっこモードが発動した模様(//^//)ゞ
そのまま互いを受け渡す行為にシフトしていく。
先週ヘンな形で受け渡しがブチ切れてしまったからなのか、体調が悪くて気持ちが不安定なのか。
竜樹さんの勢いがヘンに加速してる気がして戸惑ってしまう。
無意識に身体をこわばらせてしまうことに自分でも首を捻りながら、それを勢いで押し開いていくような竜樹さんに少し怖さすら覚えたけれど。
「霄は俺でないと、あかへんねんもんなぁ」
その言葉がいつもと同じ調子だからほっとしたのか、またすべてを明渡してしまう。
互いの熱を享受しあってくたってしまった私をそっと抱き締めたまま、2人は暫く眠ってしまった。
次に起きたら、世界フィギュアが始まるような時間になっていた。
慌てて、ごはんを作りはじめる。
今日の夕飯は豚の角煮と春キャベツとニンジンの温サラダの2品。
給料日前ということで、冷蔵庫掃除料理となった。
豚の角煮。
今回はいつも家で作るのと少しやり方を変えてみた(単に足りないものがあったからだけど)
豚バラ肉を2等分に切り分け、サラダ油を少し入れたフライパンで表面を焼き、油を落としておく。
圧力鍋に豚バラ肉を入れ、肉が被るほどの水を入れて10分ほど加熱する。
(本当はネギの青い部分と生姜を入れるのだけど、竜樹邸になかったので割愛)
その後、煮汁を捨て、水2カップと酒3分の1カップと砂糖・醤油各大さじ3を入れ、20分ほど加熱し、10分ほど蒸らして完成。
春キャベツとニンジンの温サラダ。
一口台の大きさにちぎったキャベツと5cmくらいの長さに細く切ったニンジンを湯通しして器に入れ、スライスして水に晒した玉ねぎを乗せて、和風ドレッシングで食べる。
圧力鍋(別名ちびそらちゃん)があるお陰で、テレビを見ながら料理が出来た。
丁度、竜樹さんのご実家からご飯が炊けたと連絡があったので、ご挨拶がてら頂きに上がり、少し喋って帰ってくる。
体調がまた優れないのと待ちくたびれたのとで少々くたってる竜樹さんに笑顔で謝ってから、「いただきます♪(*^人^*)」
やっぱりこの天候がたたってるのか、夕方少々無理をしたのか(爆)、いつものように笑顔は飛び出さないけれど。
残すことなくキレイに食べてくれたのが嬉しかった。
暫く2人でごろごろとした後、後片付けをして、寝る準備に入る。
食卓を壁際に移動させ、2階からもう一組のお布団を取りに行く。
2人でお布団を引き、何時の間にか沸かしてくれてたお風呂に入る。
十分に温まってあがってきて、竜樹さんもまたお風呂に入っていく。
竜樹さんが上がってくるのを、テレビを見ながらじっと待っていた。
竜樹さんがお風呂から上がってきて、着替えてるのを何気なく見つめてる私。
「何、じっと見てんねん?」
「いやぁ、だいぶ締まってきたなぁと思って」
「締まってきたってよか、痩せてきたんやろ?」
「そしたら、またリハビリかねて鍛えないとあかへんねぇ」
何気ない会話を続けながら、お布団の上で寄り添っている。
再びじゃれモードに入りかけたとき、違和感ひとつ。
…お客様がいらっしゃいました(T△T)
「ごめんね。やっぱりお薬飲んで調節しょうかなぁ(ノ_<。)」
「何言うてんねん。ちゃんと来た方がええやろ?
俺がいてちゃんと規則正しくいられるようにしてんねんから、薬で周期を変えるなんてしょうもないこと考えんな」
「でも、泊まりに来てるのに、役目果たせないやんかぁ…(意味不明)」
「そんなんで、がっかりするかぁ!しょうもないこと考えんなや」
用意を済ませてぐじぐじいってる私の頭をぐしゃぐしゃとして、「もぉ、寝ようや」と普通に言ってくれた竜樹さん。
…7回目の春には、ちゃんとお客様がお帰りになるよう努力するから(さらに意味不明)
そう心の底でそっと呟きながら、横になった。
時折、眠れずにぐずぐずしてる竜樹さんを抱き締めるためにごろごろとお隣の布団に転がっていったり、自分のお布団に戻ってからも何気に足を絡めてくる竜樹さんに足を差し出したりしているうちに、竜樹さんは何時の間にか眠ってしまっていた。
明日はいい天気に恵まれて、二人とも元気でありますように…
隣にある暖かさを感じながら、祈るように眠りについた。
昨日も風が強い上に雨が降っていたから、竜樹邸に泊まりに行くのを延期してしまったけれど。
せっかく有給を取ったのに、今日も延期にするわけにはいかない。
金岡母にアリバイ工作(笑)をして、雨の中家を出る。
…きっと今日も体調悪いんだろうなぁ
ぽつりぽつりと鈍色の空から降ってくる雨粒を見つめて、ため息一つ。
「竜樹邸に泊まりに行く」という話をした時、「いつもとは違うことがしたいなぁ」と竜樹さんは言っていた。
週末はいつも私が遅くまで寝てるせいで、どうしてもスタートが遅れる。
その加減で竜樹さんが家で用事をしないといけない時間に私が竜樹邸に入ることになり、結果的にじゃれっこをしてご飯を作って食べて家に帰るというパターンが出来上がってしまってる。
竜樹さんにしてみると、一日中竜樹邸から出られないような状態になってしまう。
だから、私が家に帰る時間を気にしなくてよい日くらい、日の高いうちに出かけたり、夜遊びに出たりしたいなぁと思っていらっしゃるよう。
竜樹さんの体調さえよければ、これはまたとないチャンスだけど。
…雨なんて降られたら、竜樹さんの体調がいいはずがない。
どうしたものかなぁと考えながら、時折友達にメールを飛ばしながら移動を続けた。
竜樹邸に入ると、竜樹さんは横になってた。
相変わらず「朝から何も食べてない」とのことだったので、荷物を置いて卵うどんを作った。
それに冷蔵庫に残っていた惣菜を何品か温めなおして、食べてもらった。
「ちゃちゃっと作った割に、おいしいやん?うどん(*^_^*)」
しんどそうな中にも、笑顔が出たのが嬉しかった。
後片付けをしてから2階に移動。
2階の窓際にあるベタの水槽を眺めながら話をする。
赤ちゃんベタの水槽の中には大きな貝が1匹、のたのたと側面についた苔を食べている。
隣の親ベタの水槽をふと見ると、小さな虫のような貝のようなものがちょろちょろしてる。
「これって?」
「あ、これなぁ。どうやら貝が卵を産んだらしくてな、気が付いたら孵っててん」
確かによく見ると、ちゃんと貝殻をしょってる。
親の貝よりも機敏にちょろちょろしては側面の苔を食べてる模様。
「貝が卵から孵ったのなんて、はじめて見たよぉ」
「俺もはじめて見たわぁ」
なんともいい加減な飼い主の下で、魚やら貝やらが孵っては水槽を賑やかにしている。
不思議と長時間水槽を眺めてても退屈せず、気が付いたら竜樹さんは横になっていた(笑)
ちょっと寒そうにしてたからお布団にもぐりこんでくっついてると、じゃれっこモードが発動した模様(//^//)ゞ
そのまま互いを受け渡す行為にシフトしていく。
先週ヘンな形で受け渡しがブチ切れてしまったからなのか、体調が悪くて気持ちが不安定なのか。
竜樹さんの勢いがヘンに加速してる気がして戸惑ってしまう。
無意識に身体をこわばらせてしまうことに自分でも首を捻りながら、それを勢いで押し開いていくような竜樹さんに少し怖さすら覚えたけれど。
「霄は俺でないと、あかへんねんもんなぁ」
その言葉がいつもと同じ調子だからほっとしたのか、またすべてを明渡してしまう。
互いの熱を享受しあってくたってしまった私をそっと抱き締めたまま、2人は暫く眠ってしまった。
次に起きたら、世界フィギュアが始まるような時間になっていた。
慌てて、ごはんを作りはじめる。
今日の夕飯は豚の角煮と春キャベツとニンジンの温サラダの2品。
給料日前ということで、冷蔵庫掃除料理となった。
豚の角煮。
今回はいつも家で作るのと少しやり方を変えてみた(単に足りないものがあったからだけど)
豚バラ肉を2等分に切り分け、サラダ油を少し入れたフライパンで表面を焼き、油を落としておく。
圧力鍋に豚バラ肉を入れ、肉が被るほどの水を入れて10分ほど加熱する。
(本当はネギの青い部分と生姜を入れるのだけど、竜樹邸になかったので割愛)
その後、煮汁を捨て、水2カップと酒3分の1カップと砂糖・醤油各大さじ3を入れ、20分ほど加熱し、10分ほど蒸らして完成。
春キャベツとニンジンの温サラダ。
一口台の大きさにちぎったキャベツと5cmくらいの長さに細く切ったニンジンを湯通しして器に入れ、スライスして水に晒した玉ねぎを乗せて、和風ドレッシングで食べる。
圧力鍋(別名ちびそらちゃん)があるお陰で、テレビを見ながら料理が出来た。
丁度、竜樹さんのご実家からご飯が炊けたと連絡があったので、ご挨拶がてら頂きに上がり、少し喋って帰ってくる。
体調がまた優れないのと待ちくたびれたのとで少々くたってる竜樹さんに笑顔で謝ってから、「いただきます♪(*^人^*)」
やっぱりこの天候がたたってるのか、夕方少々無理をしたのか(爆)、いつものように笑顔は飛び出さないけれど。
残すことなくキレイに食べてくれたのが嬉しかった。
暫く2人でごろごろとした後、後片付けをして、寝る準備に入る。
食卓を壁際に移動させ、2階からもう一組のお布団を取りに行く。
2人でお布団を引き、何時の間にか沸かしてくれてたお風呂に入る。
十分に温まってあがってきて、竜樹さんもまたお風呂に入っていく。
竜樹さんが上がってくるのを、テレビを見ながらじっと待っていた。
竜樹さんがお風呂から上がってきて、着替えてるのを何気なく見つめてる私。
「何、じっと見てんねん?」
「いやぁ、だいぶ締まってきたなぁと思って」
「締まってきたってよか、痩せてきたんやろ?」
「そしたら、またリハビリかねて鍛えないとあかへんねぇ」
何気ない会話を続けながら、お布団の上で寄り添っている。
再びじゃれモードに入りかけたとき、違和感ひとつ。
…お客様がいらっしゃいました(T△T)
「ごめんね。やっぱりお薬飲んで調節しょうかなぁ(ノ_<。)」
「何言うてんねん。ちゃんと来た方がええやろ?
俺がいてちゃんと規則正しくいられるようにしてんねんから、薬で周期を変えるなんてしょうもないこと考えんな」
「でも、泊まりに来てるのに、役目果たせないやんかぁ…(意味不明)」
「そんなんで、がっかりするかぁ!しょうもないこと考えんなや」
用意を済ませてぐじぐじいってる私の頭をぐしゃぐしゃとして、「もぉ、寝ようや」と普通に言ってくれた竜樹さん。
…7回目の春には、ちゃんとお客様がお帰りになるよう努力するから(さらに意味不明)
そう心の底でそっと呟きながら、横になった。
時折、眠れずにぐずぐずしてる竜樹さんを抱き締めるためにごろごろとお隣の布団に転がっていったり、自分のお布団に戻ってからも何気に足を絡めてくる竜樹さんに足を差し出したりしているうちに、竜樹さんは何時の間にか眠ってしまっていた。
明日はいい天気に恵まれて、二人とも元気でありますように…
隣にある暖かさを感じながら、祈るように眠りについた。
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お日様を味方につけて…
2002年3月21日昨晩、ふらりとメッセをあげてふらついていると、友達に捕獲された。
捕獲されたのが嬉しくて朝方まで話し込み、新聞屋のバイクの音に慌てふためいて眠った。
次に起きて雨戸を開けると、殆ど白に近い鈍色の空から雨が降っていた。
その白い空を見てるうちに、ひどく頭が痛み始める。
今日から竜樹邸に泊まりに行く予定なのに、頭痛はひどくなる一方。
薬を飲んで痛みが治まるまで横になっていた。
やっとこ頭痛が治まって竜樹さんに電話すると、彼もまた調子が悪いとか。
仕方なく、お泊り会は順延。
1日家にいることになった。
…せっかくの4連休初日なのに、なんで雨なんて降るかなぁ?
私の頭痛もひどかったし、竜樹さんの体調が悪いのも事実なんだけれど。
雨さえ降らなかったら互いの不調は少しはマシだったろうと思うから、この天気の悪さにかなり恨めしさを覚えた。
予定が狂ったなら狂ったなりに、家でもしないといけないことはいくつもあるんだけれど。
竜樹さんに逢えるって頭でハナからかかってたので、気抜けが著しく(これはいつものことという説もあるけれど)無駄に時間を過ごしてしまった気がする。
…強いていいことを探し出すとするなら、長野でやってるフィギュアスケートの大会をリアルタイムで見れた上に、ちゃんと録画できたことくらいか(笑)
ソルトレーク五輪の時に見そびれてしまった、アレクセイ・ヤグディンの「仮面の男」(フリープログラム)が見れたのが唯一よかったことのような…(^-^;
昔から割とフィギュアスケートは好きで、地上波で見れるものは殆ど見てきた気がする。
ヤグディンが出てくるまでは、フィリップ・キャンデロロ(長野五輪・銅メダリスト)がお気に入りだったんだけれど、ヤグディン様(笑)の演技にはハートぶち抜かれ状態(爆)
彼を見て初めて、「人間って美しいんだぁ」って思った。
オリンピック開催中に竜樹さんにそんな話をしたら、静かに笑っていらっしゃったっけ。
馬鹿にするわけでもなく、かといって過剰に頷く訳でもない。
そんなスタンスが今はとても居心地がいい。
スケートを見ながら、そんなことを思い返しては暫し満たされたような気分でいた。
それでも、ヤグディン様の演技が終わってしまうと、予定が狂ってしまったがっかり感に襲われて、またもやぽやんと過ごしてしまった。
明日・明後日と竜樹邸で忙しく過ごすのだろうから、これはこれでいい休養になったんだと思おう。
日付が変わる前に竜樹さんに電話をしたら、彼もまた逢えなかったことが多少なりとも残念だと思っててくれたらしい。
「明日は晴れるといいね?」
「そやなぁ。明日はどっか行きたいなぁ」
「晴れたら、お散歩にでも行こうね」
ほの暖かい会話を少しばかり交わして、電話を切った。
ちょろんとでも逢いたいと思ってくれてたことと、ささやかな明日の約束。
もしかしたら、ヤグディン様の演技を見れたこと以上に私にとってはそれが一番よかったのかもしれない。
身体も少しばかり休ませることが出来たしね?
たまには休養日もいいのかもしれない。
明日はどんな天気であったとしても、竜樹さんのところへ行くけどさ。
天気に体調を左右されてしまいがちな私たちには、やっぱりお日様を味方につけるに越したことはないんだ。
だから。
明日はいい天気でありますように。
お日様を味方につけて、2人で暖かい時間を過ごせますように。
捕獲されたのが嬉しくて朝方まで話し込み、新聞屋のバイクの音に慌てふためいて眠った。
次に起きて雨戸を開けると、殆ど白に近い鈍色の空から雨が降っていた。
その白い空を見てるうちに、ひどく頭が痛み始める。
今日から竜樹邸に泊まりに行く予定なのに、頭痛はひどくなる一方。
薬を飲んで痛みが治まるまで横になっていた。
やっとこ頭痛が治まって竜樹さんに電話すると、彼もまた調子が悪いとか。
仕方なく、お泊り会は順延。
1日家にいることになった。
…せっかくの4連休初日なのに、なんで雨なんて降るかなぁ?
私の頭痛もひどかったし、竜樹さんの体調が悪いのも事実なんだけれど。
雨さえ降らなかったら互いの不調は少しはマシだったろうと思うから、この天気の悪さにかなり恨めしさを覚えた。
予定が狂ったなら狂ったなりに、家でもしないといけないことはいくつもあるんだけれど。
竜樹さんに逢えるって頭でハナからかかってたので、気抜けが著しく(これはいつものことという説もあるけれど)無駄に時間を過ごしてしまった気がする。
…強いていいことを探し出すとするなら、長野でやってるフィギュアスケートの大会をリアルタイムで見れた上に、ちゃんと録画できたことくらいか(笑)
ソルトレーク五輪の時に見そびれてしまった、アレクセイ・ヤグディンの「仮面の男」(フリープログラム)が見れたのが唯一よかったことのような…(^-^;
昔から割とフィギュアスケートは好きで、地上波で見れるものは殆ど見てきた気がする。
ヤグディンが出てくるまでは、フィリップ・キャンデロロ(長野五輪・銅メダリスト)がお気に入りだったんだけれど、ヤグディン様(笑)の演技にはハートぶち抜かれ状態(爆)
彼を見て初めて、「人間って美しいんだぁ」って思った。
オリンピック開催中に竜樹さんにそんな話をしたら、静かに笑っていらっしゃったっけ。
馬鹿にするわけでもなく、かといって過剰に頷く訳でもない。
そんなスタンスが今はとても居心地がいい。
スケートを見ながら、そんなことを思い返しては暫し満たされたような気分でいた。
それでも、ヤグディン様の演技が終わってしまうと、予定が狂ってしまったがっかり感に襲われて、またもやぽやんと過ごしてしまった。
明日・明後日と竜樹邸で忙しく過ごすのだろうから、これはこれでいい休養になったんだと思おう。
日付が変わる前に竜樹さんに電話をしたら、彼もまた逢えなかったことが多少なりとも残念だと思っててくれたらしい。
「明日は晴れるといいね?」
「そやなぁ。明日はどっか行きたいなぁ」
「晴れたら、お散歩にでも行こうね」
ほの暖かい会話を少しばかり交わして、電話を切った。
ちょろんとでも逢いたいと思ってくれてたことと、ささやかな明日の約束。
もしかしたら、ヤグディン様の演技を見れたこと以上に私にとってはそれが一番よかったのかもしれない。
身体も少しばかり休ませることが出来たしね?
たまには休養日もいいのかもしれない。
明日はどんな天気であったとしても、竜樹さんのところへ行くけどさ。
天気に体調を左右されてしまいがちな私たちには、やっぱりお日様を味方につけるに越したことはないんだ。
だから。
明日はいい天気でありますように。
お日様を味方につけて、2人で暖かい時間を過ごせますように。
笑顔を迎えに行こう
2002年3月18日昨晩、メッセを漂っている立て続けに友達に捕まえてもらえたので調子に乗って話しすぎたのか、朝起きるのが辛かった。
「おっぞまし〜ぃ、朝が来たっ♪」の歌を口ずさむ元気すらなく、どろどろと用意をしだらだらと家を出る。
社屋に入ると、週明けの割には仕事の滑り出しがゆったりしていたのが救いだった。
帰り際にお客さんが来てばたばたしてしまった以外は、大した問題も起こることなく仕事は終わる。
先週、ボスのおやりになったことで丸1週間怒りモード炸裂しっぱなしだったけれど、滑り出しから尖ることなく対応は出来た(だろう)。
事実、話すボスの顔に笑顔が戻ってきていたから。
笑顔はどういう思惑やら状況があれ、笑顔を呼ぶものなのだなぁと思いながら、会社を後にした。
ふと、帰りの道すがら。
家に帰ってからしないといけないことを考えながら、思いを廻らす。
自発的に何かをしないとだめだなぁと感じてるのはいいけれど、それが強制になるのはどんなもんかなぁと思ったり。
まだ自縄自縛で済んでるうちはいいけれど、人のことを過剰に気にして萎縮するのはいかがなものかなぁと思ったり。
元々、いい意味でも悪い意味でも竜樹さんに言えない自分の想いをどこかに残しておきたくて始めたことが、気持ちの負担の原因になるのなら。
去年の今ごろ、「ネットなんてやめとけ」と言った竜樹さんの言葉を思い出しながら、一度いろんなものを整理してみたくなった。
これから私の行く手に待ち受けるのは、竜樹さんの再手術という名の茨の道。
前回の手術と違って、竜樹さんの生命に直接障るような大きな手術ではないとはいえ、きちんと回復するまでにどれ位の時間と痛みが伴うのかを何となく知っているから。
あまりお気楽な道程ではないんだろうなぁと思う。
もう一度、いろんな感情を選び分けて対応したり行動したりする必要があることも判りきっている。
だとしたら。
自分の心を縛りすぎたり、しようとすることで萎縮させてしまうものは、一度やめてみるのもいいのかもしれない。
そんな風に思ったんだ。
闘病ってのは、半ばゴールのないレースのようなもので。
テンション下げたり気力が尽きたりしたら、大負け喫するのは目に見えている。
だから、戦う本人もそれを支える周りの人も気力を切ってはならないよ?
かつての経験を基にして、時々思い出したように話すこともあったけれど…
竜樹さんや竜樹さんのご両親の気力が持続できるようにするために、ある程度の笑顔は維持する必要がある。
勿論、私を取り囲む人たちに無用の心配をかけたくないのもあるけれど…
「霄ちゃんの笑顔は無敵の笑顔」
かつてそう言われたことを柱にして、ある程度の線の笑顔は出せるようなところまで自分自身を戻しておきたい。
その結果、心を鎧うことを避けて通れなくなるとしても…
どうやら甘えを覚えると際限なく甘えてしまうのは悪い癖で、「程良い」甘え方というものを知らない。
だから、なるべく甘えないようにと思って心を鎧う自分がいる。
どうしても心を鎧で覆うようになると周りにいる人のことを全く見なくなるか、周りにいる人に対する配慮は維持しても自分のことは全く語らなくなる。
ただ、ここに来て心を預けることを覚えてしまった私がもう一度昔のようにできるかどうかは大きな疑問ではあるけれど。
…それでも必要なら、やるさぁねぇ
誰に相談するまでもなく、私の中では答は出てしまっているけれど。
なけなしの笑顔を以って再手術のことを暫し忘れさせてくれた竜樹さん。
いくら前回よりも軽いものとはいえ、その手術が終われば手放しですべてが終わるわけでないことくらい彼が一番よく判ってることだろう。
小さな不安を心の底に眠らせながら、それでも楽しい時間を作り出そうとしてくれた大切な人に、私から出来ることは何なのか?
本当は竜樹さんに聞いてみないといけないのかもしれないけれど。
ひとまず、私もまた彼がしてくれたように、彼に不必要な不安を与えないよう、安心してそこへ迎えるよう、私からもなけなしの笑顔を贈ろう。
それがたとえ心を鎧った末に生まれたものであっても…
すべてが終わりさえすれば、互いが互いの抱えるものを包み隠すことなく預けあえるようになるんだから。
そのために必要なことは、来るべき日が来る前にすべて済ませてしまおう。
そうして、これから心の底を探りながら自分の中の笑顔を迎えに行く作業を始めよう。
生まれた場所はどんな場所であっても、相手を想う心から生まれた笑顔は穢れたものでも嘘っぱちなものでもないと。
誰が認めようが認めまいが、自分の心の赴くままそれを推し進めてみよう。
私の笑顔の生まれた場所がどんな場所だったかを竜樹さんが知ることもなく、ただその笑顔を受け取ってくれたなら。
鎧うことですら悪くもないんだろうと、今は思う。
「おっぞまし〜ぃ、朝が来たっ♪」の歌を口ずさむ元気すらなく、どろどろと用意をしだらだらと家を出る。
社屋に入ると、週明けの割には仕事の滑り出しがゆったりしていたのが救いだった。
帰り際にお客さんが来てばたばたしてしまった以外は、大した問題も起こることなく仕事は終わる。
先週、ボスのおやりになったことで丸1週間怒りモード炸裂しっぱなしだったけれど、滑り出しから尖ることなく対応は出来た(だろう)。
事実、話すボスの顔に笑顔が戻ってきていたから。
笑顔はどういう思惑やら状況があれ、笑顔を呼ぶものなのだなぁと思いながら、会社を後にした。
ふと、帰りの道すがら。
家に帰ってからしないといけないことを考えながら、思いを廻らす。
自発的に何かをしないとだめだなぁと感じてるのはいいけれど、それが強制になるのはどんなもんかなぁと思ったり。
まだ自縄自縛で済んでるうちはいいけれど、人のことを過剰に気にして萎縮するのはいかがなものかなぁと思ったり。
元々、いい意味でも悪い意味でも竜樹さんに言えない自分の想いをどこかに残しておきたくて始めたことが、気持ちの負担の原因になるのなら。
去年の今ごろ、「ネットなんてやめとけ」と言った竜樹さんの言葉を思い出しながら、一度いろんなものを整理してみたくなった。
これから私の行く手に待ち受けるのは、竜樹さんの再手術という名の茨の道。
前回の手術と違って、竜樹さんの生命に直接障るような大きな手術ではないとはいえ、きちんと回復するまでにどれ位の時間と痛みが伴うのかを何となく知っているから。
あまりお気楽な道程ではないんだろうなぁと思う。
もう一度、いろんな感情を選び分けて対応したり行動したりする必要があることも判りきっている。
だとしたら。
自分の心を縛りすぎたり、しようとすることで萎縮させてしまうものは、一度やめてみるのもいいのかもしれない。
そんな風に思ったんだ。
闘病ってのは、半ばゴールのないレースのようなもので。
テンション下げたり気力が尽きたりしたら、大負け喫するのは目に見えている。
だから、戦う本人もそれを支える周りの人も気力を切ってはならないよ?
かつての経験を基にして、時々思い出したように話すこともあったけれど…
竜樹さんや竜樹さんのご両親の気力が持続できるようにするために、ある程度の笑顔は維持する必要がある。
勿論、私を取り囲む人たちに無用の心配をかけたくないのもあるけれど…
「霄ちゃんの笑顔は無敵の笑顔」
かつてそう言われたことを柱にして、ある程度の線の笑顔は出せるようなところまで自分自身を戻しておきたい。
その結果、心を鎧うことを避けて通れなくなるとしても…
どうやら甘えを覚えると際限なく甘えてしまうのは悪い癖で、「程良い」甘え方というものを知らない。
だから、なるべく甘えないようにと思って心を鎧う自分がいる。
どうしても心を鎧で覆うようになると周りにいる人のことを全く見なくなるか、周りにいる人に対する配慮は維持しても自分のことは全く語らなくなる。
ただ、ここに来て心を預けることを覚えてしまった私がもう一度昔のようにできるかどうかは大きな疑問ではあるけれど。
…それでも必要なら、やるさぁねぇ
誰に相談するまでもなく、私の中では答は出てしまっているけれど。
なけなしの笑顔を以って再手術のことを暫し忘れさせてくれた竜樹さん。
いくら前回よりも軽いものとはいえ、その手術が終われば手放しですべてが終わるわけでないことくらい彼が一番よく判ってることだろう。
小さな不安を心の底に眠らせながら、それでも楽しい時間を作り出そうとしてくれた大切な人に、私から出来ることは何なのか?
本当は竜樹さんに聞いてみないといけないのかもしれないけれど。
ひとまず、私もまた彼がしてくれたように、彼に不必要な不安を与えないよう、安心してそこへ迎えるよう、私からもなけなしの笑顔を贈ろう。
それがたとえ心を鎧った末に生まれたものであっても…
すべてが終わりさえすれば、互いが互いの抱えるものを包み隠すことなく預けあえるようになるんだから。
そのために必要なことは、来るべき日が来る前にすべて済ませてしまおう。
そうして、これから心の底を探りながら自分の中の笑顔を迎えに行く作業を始めよう。
生まれた場所はどんな場所であっても、相手を想う心から生まれた笑顔は穢れたものでも嘘っぱちなものでもないと。
誰が認めようが認めまいが、自分の心の赴くままそれを推し進めてみよう。
私の笑顔の生まれた場所がどんな場所だったかを竜樹さんが知ることもなく、ただその笑顔を受け取ってくれたなら。
鎧うことですら悪くもないんだろうと、今は思う。
あったかいね
2002年3月16日休みの日にしては早く目が覚めた。
あれこれとしてるうちにお昼近くになったので出かけることにした。
階下に降りると、車のワックスかけをするためのスポンジを取りに戻ってきた金岡母と鉢合わせ。
何となく自分だけ家の事を何もせずに出て行くのは気が引けてしまって、荷物を階段に放り投げて台所に立ち、竜樹さん直伝そば飯を作って家を出た。
夜はまだ冷え込むとはいえ、日中はとても暖かい。
これで、原因不明の体調不良がなければ言うことないのに。
竜樹さんの原因の判りきった体調不良がなければ言うことがないのに…
暖かい日差しと対照的にちょっと恨み言めいた思いを抱えて坂道を降りる。
電車に乗る前にふと地元のスーパーを覗いて行こうと思ったら、スーパーの近くにちっさな魚屋さんが出来ていた。
店先を見ると、アサリが樽に入れられて売られている。
「一盛り 250円」
…よぉし、買った♪(*^_^*)
アサリを二盛り買って、電車に乗る。
電車を乗り継ぎ、バス停前のスーパーで買い忘れていた厚揚げを買ってバスに乗ろうとしたら…
目の前で出てってしまった(T^T)
結局、竜樹邸に着いたのは予定よりも20分くらい遅れてしまった。
竜樹邸に入ると、2階から「来てくれたんかぁ?」と竜樹さんの声。
鍋に塩水を作って買ってきたアサリをぼとぼとと入れて2階にあがると、竜樹さんはご機嫌。
時折テレビを見ながら、他愛もない話をしつづける。
お互いに先週は体調不良で鬱屈としてたのに、明るい光の入る部屋では鬱屈とした気分も幾分かマシになるようで、柔らかな笑顔がこぼれる。
…これだから、しんどくてもここに来るのをやめようとは思わないんだよね?
取り留めない話は続くけれど、竜樹さんがまだ昼ご飯を食べてないとおっしゃるので階下に降りた。
ところが竜樹さんは降りた途端、じゃれっこモード発動。
気が済むまでじゃれて頂いた後、台所に立った。
昨日の夕飯の残りのだしの上にうどんだしを足し、玉ねぎのスライスを入れて少しばかり煮る。
冷凍庫にあったはずの牛肉を入れようと思ったらなかったので、仕方なくそのままうどんを放り込み、溶き卵でとじて完成。
名前の付けようのない卵とじうどんを竜樹さんは喜んで食べてくれた。
食べ終わってひと心地ついて、ちょっと横になって休むことにした。
2人でお布団の中でくっつきながら話をするけれど、私が起きていられなくてうつらうつら…
突然、「一人で眠れるか?」と竜樹さん。
竜樹さんは身体を休める時は一人でないと休まらない人なので、2階に上がると仰る。
ちょっとばかり寂しいけれど、それはそれで仕方がないから分かれて休むことにする。
「…適当な時間になったら起こしに行きますね?」
「いや、俺が起こしにくるわ。多分、眠ってる霄が襲われると思うけど?щ( ̄∀ ̄)ш」
「ふぁぁい。ご自由にぃ…」
そう言って私は眠りについた。
どれくらい時間が経ったか判らないけれど、竜樹さんに襲われて目を覚ました(//^//)ゞ
半分ねむねむな意識の中でじゃれあって、竜樹さんの熱で意識を起こしていく。
ようやっと意識が起きて、いろんなものの受け渡しが始まる中、いきなり内線が鳴る。
竜樹さんと私はびっくり。
竜樹さんはそのまま無視して続ける。
すると、今度は家のチャイムがけたたましく鳴る。
完全に2人のやりとりは続かなくなる。
不機嫌モード発動の竜樹さんがご実家の方に内線を入れると、「弟さんが帰ってきてるから、みんなで食事に行かないか?」とのこと。
竜樹さんは「外出するには身体が辛いから」とあっさり断わってしまった。
ただ、外食するのに車を使うから車の鍵を貸して欲しいとのことで、着替えた竜樹さんはご実家の方に鍵を渡しに帰った。
戻ってきた竜樹さんは不機嫌モード5割増状態。
こうなってしまうと手がつけられない。
私が悪いわけではないけれど、一生懸命宥めてみる。
「霄が悪いんちゃう。霄が来てると判ってるんやから、そっとしといてくれたらええのに…(`^´)」と更に不機嫌モードは加速する一方。
仕方がないので私も着替えて起き上がり、「美味しいものを作るから、それで機嫌直してね」と言うと、ちょっとばかり機嫌が悪いのは治まったようだけれど。
不機嫌モードが背中の痛みを連れてきたのか、また竜樹さんは2階に上がっていった。
タイミングの悪さを少しばかり恨みはしたけれど、これも仕方がないと思って、夕飯作りを始める。
今日の夕飯は、アサリと豚肉のにんにく蒸しと厚揚げとキャベツの梅醤油炒めの2品。
「アサリと豚肉のにんにく蒸し」(「カフェのごはん」に載ってたものに少し手を加えたもの)
器に豚ばら肉のスライスを一口大に切ったものを敷き詰め、にんにくのスライスを並べた後、小房に分けたシメジを敷き詰め、上に砂吐きをしてよく洗ったアサリを並べ、蒸し器で5分から7分ほど蒸し、出来上がりに醤油大さじ1杯半ほどまわしかけて完成。
「厚揚げとキャベツの梅醤油炒め」(これも料理の本に載ってたものに少し手を加えたもの)
8等分にした厚揚げと一口大に切ったキャベツをフライパンで炒め、焼き色がついたら、梅干2個をちぎったものを醤油をあわせたものを加え、炒め上げて完成。
先に炒め物を作り、アサリを蒸してる頃に竜樹さんが降りてきた。
蒸しあがったアサリを見て、「美味そうやなぁ(o^−^o)」と竜樹さん。
その表情からは不機嫌モードは消えていた。
食卓に出来上がった料理を並べ、席に着いて「いただきます♪(*^人^*)」
「やっぱりこれ美味いわ♪」
「アサリと豚肉のにんにく蒸し」は竜樹さんのお気に召したようで、ぱくぱくと食べておられる。
その表情を見てると、それまでのことなんてすっかり飛んでいってしまう。
ただ、ちょっと疲れが残ってるのか、私は先に箸を止めて休んだ。
暫くすると、竜樹さんもご飯を終え、私の隣にごろん。
また暖かい時間が流れる。
竜樹さんの隣で今日一日のことを思い出して。
いいことよりもタイミングの悪さばかりが際立って思い返されてしまったのは悲しかったけれど。
この暖かさがすべてを溶かしていくのだと思う。
「こんな風に穏やかでいられるのは、お互いが別々の家を持っててええところしか互いに見せてへんから、言えるんかも知れへんで?」
竜樹さんはそう言っていたけれど。
「嫌なところが見えたとしても、互いに折り合いをつける努力はしていけるでしょ?私たちは?」
「そやなぁ…」
昼間暖かかったこともあって暖房をつけていなかった部屋は寒かったけれど、くっついてるとたがいの温みが暖かさを生む。
「あったかいね」
何度も何度も帰り支度をするまで寄り添ってはそう呟いた。
そう言うたびに「そやなぁ」と答えてくれた竜樹さん。
いいことも悪いことも相応にあるけれど、2人が触れる空気が暖かいものであればいいと。
竜樹さんに寄り添いながらそう願った。
あれこれとしてるうちにお昼近くになったので出かけることにした。
階下に降りると、車のワックスかけをするためのスポンジを取りに戻ってきた金岡母と鉢合わせ。
何となく自分だけ家の事を何もせずに出て行くのは気が引けてしまって、荷物を階段に放り投げて台所に立ち、竜樹さん直伝そば飯を作って家を出た。
夜はまだ冷え込むとはいえ、日中はとても暖かい。
これで、原因不明の体調不良がなければ言うことないのに。
竜樹さんの原因の判りきった体調不良がなければ言うことがないのに…
暖かい日差しと対照的にちょっと恨み言めいた思いを抱えて坂道を降りる。
電車に乗る前にふと地元のスーパーを覗いて行こうと思ったら、スーパーの近くにちっさな魚屋さんが出来ていた。
店先を見ると、アサリが樽に入れられて売られている。
「一盛り 250円」
…よぉし、買った♪(*^_^*)
アサリを二盛り買って、電車に乗る。
電車を乗り継ぎ、バス停前のスーパーで買い忘れていた厚揚げを買ってバスに乗ろうとしたら…
目の前で出てってしまった(T^T)
結局、竜樹邸に着いたのは予定よりも20分くらい遅れてしまった。
竜樹邸に入ると、2階から「来てくれたんかぁ?」と竜樹さんの声。
鍋に塩水を作って買ってきたアサリをぼとぼとと入れて2階にあがると、竜樹さんはご機嫌。
時折テレビを見ながら、他愛もない話をしつづける。
お互いに先週は体調不良で鬱屈としてたのに、明るい光の入る部屋では鬱屈とした気分も幾分かマシになるようで、柔らかな笑顔がこぼれる。
…これだから、しんどくてもここに来るのをやめようとは思わないんだよね?
取り留めない話は続くけれど、竜樹さんがまだ昼ご飯を食べてないとおっしゃるので階下に降りた。
ところが竜樹さんは降りた途端、じゃれっこモード発動。
気が済むまでじゃれて頂いた後、台所に立った。
昨日の夕飯の残りのだしの上にうどんだしを足し、玉ねぎのスライスを入れて少しばかり煮る。
冷凍庫にあったはずの牛肉を入れようと思ったらなかったので、仕方なくそのままうどんを放り込み、溶き卵でとじて完成。
名前の付けようのない卵とじうどんを竜樹さんは喜んで食べてくれた。
食べ終わってひと心地ついて、ちょっと横になって休むことにした。
2人でお布団の中でくっつきながら話をするけれど、私が起きていられなくてうつらうつら…
突然、「一人で眠れるか?」と竜樹さん。
竜樹さんは身体を休める時は一人でないと休まらない人なので、2階に上がると仰る。
ちょっとばかり寂しいけれど、それはそれで仕方がないから分かれて休むことにする。
「…適当な時間になったら起こしに行きますね?」
「いや、俺が起こしにくるわ。多分、眠ってる霄が襲われると思うけど?щ( ̄∀ ̄)ш」
「ふぁぁい。ご自由にぃ…」
そう言って私は眠りについた。
どれくらい時間が経ったか判らないけれど、竜樹さんに襲われて目を覚ました(//^//)ゞ
半分ねむねむな意識の中でじゃれあって、竜樹さんの熱で意識を起こしていく。
ようやっと意識が起きて、いろんなものの受け渡しが始まる中、いきなり内線が鳴る。
竜樹さんと私はびっくり。
竜樹さんはそのまま無視して続ける。
すると、今度は家のチャイムがけたたましく鳴る。
完全に2人のやりとりは続かなくなる。
不機嫌モード発動の竜樹さんがご実家の方に内線を入れると、「弟さんが帰ってきてるから、みんなで食事に行かないか?」とのこと。
竜樹さんは「外出するには身体が辛いから」とあっさり断わってしまった。
ただ、外食するのに車を使うから車の鍵を貸して欲しいとのことで、着替えた竜樹さんはご実家の方に鍵を渡しに帰った。
戻ってきた竜樹さんは不機嫌モード5割増状態。
こうなってしまうと手がつけられない。
私が悪いわけではないけれど、一生懸命宥めてみる。
「霄が悪いんちゃう。霄が来てると判ってるんやから、そっとしといてくれたらええのに…(`^´)」と更に不機嫌モードは加速する一方。
仕方がないので私も着替えて起き上がり、「美味しいものを作るから、それで機嫌直してね」と言うと、ちょっとばかり機嫌が悪いのは治まったようだけれど。
不機嫌モードが背中の痛みを連れてきたのか、また竜樹さんは2階に上がっていった。
タイミングの悪さを少しばかり恨みはしたけれど、これも仕方がないと思って、夕飯作りを始める。
今日の夕飯は、アサリと豚肉のにんにく蒸しと厚揚げとキャベツの梅醤油炒めの2品。
「アサリと豚肉のにんにく蒸し」(「カフェのごはん」に載ってたものに少し手を加えたもの)
器に豚ばら肉のスライスを一口大に切ったものを敷き詰め、にんにくのスライスを並べた後、小房に分けたシメジを敷き詰め、上に砂吐きをしてよく洗ったアサリを並べ、蒸し器で5分から7分ほど蒸し、出来上がりに醤油大さじ1杯半ほどまわしかけて完成。
「厚揚げとキャベツの梅醤油炒め」(これも料理の本に載ってたものに少し手を加えたもの)
8等分にした厚揚げと一口大に切ったキャベツをフライパンで炒め、焼き色がついたら、梅干2個をちぎったものを醤油をあわせたものを加え、炒め上げて完成。
先に炒め物を作り、アサリを蒸してる頃に竜樹さんが降りてきた。
蒸しあがったアサリを見て、「美味そうやなぁ(o^−^o)」と竜樹さん。
その表情からは不機嫌モードは消えていた。
食卓に出来上がった料理を並べ、席に着いて「いただきます♪(*^人^*)」
「やっぱりこれ美味いわ♪」
「アサリと豚肉のにんにく蒸し」は竜樹さんのお気に召したようで、ぱくぱくと食べておられる。
その表情を見てると、それまでのことなんてすっかり飛んでいってしまう。
ただ、ちょっと疲れが残ってるのか、私は先に箸を止めて休んだ。
暫くすると、竜樹さんもご飯を終え、私の隣にごろん。
また暖かい時間が流れる。
竜樹さんの隣で今日一日のことを思い出して。
いいことよりもタイミングの悪さばかりが際立って思い返されてしまったのは悲しかったけれど。
この暖かさがすべてを溶かしていくのだと思う。
「こんな風に穏やかでいられるのは、お互いが別々の家を持っててええところしか互いに見せてへんから、言えるんかも知れへんで?」
竜樹さんはそう言っていたけれど。
「嫌なところが見えたとしても、互いに折り合いをつける努力はしていけるでしょ?私たちは?」
「そやなぁ…」
昼間暖かかったこともあって暖房をつけていなかった部屋は寒かったけれど、くっついてるとたがいの温みが暖かさを生む。
「あったかいね」
何度も何度も帰り支度をするまで寄り添ってはそう呟いた。
そう言うたびに「そやなぁ」と答えてくれた竜樹さん。
いいことも悪いことも相応にあるけれど、2人が触れる空気が暖かいものであればいいと。
竜樹さんに寄り添いながらそう願った。
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いつまで経っても…
2002年3月13日あなたの声が聞けて嬉しかった。
あなたはどうだったんだろう?
私がとても辛かった時、あなたの笑顔とその声を思い返しては、
記憶の残像ひとつにすべてを預けて元気を取り戻したけれど。
私はあなたの役に立てましたか?
私の判断が正しいかどうか。
あなたの目から見えるものを知りたかった。
あなたは確かにあなたの目に映るものをそのまま伝えてくれたけれど。
「今」それをやってもよかったんだろうか?
しんどいのに精一杯で答えてくれたのなら。
私だって精一杯の笑顔と包むような暖かさで、
あなたを受け止めるべきだったのに。
かつて何気なく歩いた風景が今は憧れてやまないものになるなんて、
笑うに笑えないよ。
いつまで経っても考えなしやね?
ごめんなさい…
あなたはどうだったんだろう?
私がとても辛かった時、あなたの笑顔とその声を思い返しては、
記憶の残像ひとつにすべてを預けて元気を取り戻したけれど。
私はあなたの役に立てましたか?
私の判断が正しいかどうか。
あなたの目から見えるものを知りたかった。
あなたは確かにあなたの目に映るものをそのまま伝えてくれたけれど。
「今」それをやってもよかったんだろうか?
しんどいのに精一杯で答えてくれたのなら。
私だって精一杯の笑顔と包むような暖かさで、
あなたを受け止めるべきだったのに。
かつて何気なく歩いた風景が今は憧れてやまないものになるなんて、
笑うに笑えないよ。
いつまで経っても考えなしやね?
ごめんなさい…
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小さな呪文
2002年3月12日体調が悪いまま、復調せぬまま。
仕事に臨んだはいいけれど。
得体の知れない理不尽に捕まる。
「努力は必ずしも報われるわけじゃないけれど、
案外人を裏切らないもんだよ?」
そう思って頑張ろうね?と教え続けた、
自らそう思って頑張ってきた。
なのに。
頑張ったって、その努力の成果をのんべんだらりとしてる人にくれてやるんだ?
その結果に辿り着くまでにどれほどその人が頑張ったか。
その結果を生み出すまでにどれほどの叱責を食らったか。
あなたが一番よく知ってるんじゃないのか?
なのに。
くれてやるんだ?
しんどいことの矢面にだけは立たせて。
自分のことじゃないのに、とても悔しかった。
何も信じられなくなりそうだった。
「頑張り続けてみ?絶対にいいことがあるから」
竜樹さんの小さな呪文が現実と戦い続ける。
ホントかな?
本当に投げずに続けることが、正しいの?
目の前の現実は間違いなく、それを打ち砕くものでしかないけれど。
傷む身体を引きずって、竜樹さんは一人で頑張ってきたじゃない?
その隣を歩くものは、それ以上の努力を以ってなさなきゃならないことがある。
それは唯一絶対の事実だよ。
だから。
小さな呪文を糧にして、もう少しだけ気力を繋ごう。
小さな呪文を心に抱いて、竜樹さん心の小さな花になろう。
目の前を吹く風は理不尽なくらい寒いけれど、
小さな呪文を持つものには、いつか春が訪れるのだと信じて…
仕事に臨んだはいいけれど。
得体の知れない理不尽に捕まる。
「努力は必ずしも報われるわけじゃないけれど、
案外人を裏切らないもんだよ?」
そう思って頑張ろうね?と教え続けた、
自らそう思って頑張ってきた。
なのに。
頑張ったって、その努力の成果をのんべんだらりとしてる人にくれてやるんだ?
その結果に辿り着くまでにどれほどその人が頑張ったか。
その結果を生み出すまでにどれほどの叱責を食らったか。
あなたが一番よく知ってるんじゃないのか?
なのに。
くれてやるんだ?
しんどいことの矢面にだけは立たせて。
自分のことじゃないのに、とても悔しかった。
何も信じられなくなりそうだった。
「頑張り続けてみ?絶対にいいことがあるから」
竜樹さんの小さな呪文が現実と戦い続ける。
ホントかな?
本当に投げずに続けることが、正しいの?
目の前の現実は間違いなく、それを打ち砕くものでしかないけれど。
傷む身体を引きずって、竜樹さんは一人で頑張ってきたじゃない?
その隣を歩くものは、それ以上の努力を以ってなさなきゃならないことがある。
それは唯一絶対の事実だよ。
だから。
小さな呪文を糧にして、もう少しだけ気力を繋ごう。
小さな呪文を心に抱いて、竜樹さん心の小さな花になろう。
目の前を吹く風は理不尽なくらい寒いけれど、
小さな呪文を持つものには、いつか春が訪れるのだと信じて…
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何処にいても…
2002年3月11日ヘンな時間に目が覚めた。
暫く起きてると寒気がする。
頭も痛い。
慌てて布団にもぐりこんでも、頭痛と寒気は抜けきらない。
あなたのことを考えた。
「昨日、眠れなんでなぁ」
そう言うあなたもこんな風にやり過ごすのかなぁ?
私はやがて眠りに意識を預けることが出来たけれど…
でも深い眠りじゃないから、意味があるようなないような夢が追いかけてくる。
でもね、不思議なんだ。
見る夢の何処にもあなたはいたんだ。
辛そうな表情もあったけれど、
最後はあなたの笑顔に出逢える。
笑顔が私の目覚めを連れてくる。
そうして何度か目覚めては眠るを繰り返すうちに、
寒気はキレイに抜けていた。
ありがとう。
あなたの笑顔が少し身体を楽にしてくれたみたい。
何処にいても、あなたの笑顔が欲しいと希う。
その願いが今の私を支えてる…
暫く起きてると寒気がする。
頭も痛い。
慌てて布団にもぐりこんでも、頭痛と寒気は抜けきらない。
あなたのことを考えた。
「昨日、眠れなんでなぁ」
そう言うあなたもこんな風にやり過ごすのかなぁ?
私はやがて眠りに意識を預けることが出来たけれど…
でも深い眠りじゃないから、意味があるようなないような夢が追いかけてくる。
でもね、不思議なんだ。
見る夢の何処にもあなたはいたんだ。
辛そうな表情もあったけれど、
最後はあなたの笑顔に出逢える。
笑顔が私の目覚めを連れてくる。
そうして何度か目覚めては眠るを繰り返すうちに、
寒気はキレイに抜けていた。
ありがとう。
あなたの笑顔が少し身体を楽にしてくれたみたい。
何処にいても、あなたの笑顔が欲しいと希う。
その願いが今の私を支えてる…
記憶の揺り返し
2002年3月7日記憶の底に眠るもの。
それは思い返すたびに心を暖めるような甘やかなものであれば、思い返すたびに心が痛くなったり切なくなるようなものもある。
いつでも甘やかな思い出だけを残していければいいのだろうけれど。
何故だろう?
いつも捕まるのは、切ない痛みを伴った思い出のかけら。
昨晩、苦心して書いたノートをあげようとして、へたれな日記のサーバーと格闘を展開。
決着をつけた途端、がくんと疲れて寝てしまった。
朝、いつもよりも早く目覚めたので、ちょろちょろといろんなことをして、出勤する。
ここ数日、切ない記憶のかけらに心を痛めてる友達と言葉を交わす機会が多くて。
また自分のなけなしの想いを稚拙な言葉に託そうとして、自分の中に眠る切ない記憶のかけらを見つけることもあって。
ふと思いを巡らせる。
忘れかけていた切ない思い出がある日突然ひょっこり顔を出して、心に少しばかりの雨を降らせる。
それを私は「記憶の揺り返し」という言葉で集約してるのだけれど。
…記憶の揺り返しを押さえ込む決定的な方法なんてあるんだろうか?
ふとそう思って、意識の中に自分を沈めていく。
ちょうど、私の外界で起こってる出来事はいつもと変わりないもので。
通常業務を維持できる程度の意識さえ残しておけばようよう乗り切れそうな感じだったから。
最低限度の仕事モードだけつけて、どぷんと沈んでいく。
記憶の揺り返しに苦しんでは、その出口を模索する。
だけど、必死になって出口を探せば探すほど、大きくうねる記憶の螺旋。
心曇らせるものでありながら、どこか暖かくて完全に嫌なものではない。
だから余計に心は痛むのかもしれない。
…私はどうやって大きなうねりから抜け出したんだろう?
いくつもの記憶の揺り返しは通り過ぎてきたし、多分今もその揺り返しの幾つかは食らってる筈で。
その経験則の中から、大切な友達の痛みが和らぐ術は見つからないだろうか?
意識の中を探し物をして歩く感じ。
…気が付くと、午前中の作業は終わっていた。
最低限度の仕事モードは目の前の書類をキレイに片付けていた(笑)
ぼそぼそと昼ご飯を食べながら、また意識の中に身を沈める。
私にとっての記憶の揺り返しの一番大きなもの。
多分、それは「あの人」とのこと。
離れてしまってから10年以上経つ今も、時折ふっと過ぎっては私の見据える前景を揺らしていく。
恐怖を以って意識の一部に君臨し続ける、最大級の記憶の闇。
だけど、その記憶の闇が自分に見せたものが必ずしも後ろ暗くて、吐き気がするほどの嫌なものでなく。
そのすべてが身動き一つ出来ないほどの恐怖だけに彩られたものでもない。
そんな事実を知ったのは、いつだったんだろうか?
気が付くと、また昼からの業務が始まっていた。
最小限の意識を仕事に預けて、また沈む。
「心の痛みなんてなぁ、時間が経つか新しいHAPPYに出逢えりゃなくなるさ」
そう言ってた人もいたような気がするけれど。
本当にそうなんだろうか?
自分の心が泣き出しそうなくらい痛むのは。
痛みの元はそれぞれ違えど、根っこにあるのは自分にとって大切な何かが絡んでいるから。
終わった恋の痛みが記憶を揺り返すのなら。
その原因は、至極シンプルなもの。
…それだけあなたにとって、その人が大切だったからに他ならないんだよ?
大切だったということが事実である以上、他のどんな人に出逢ったってどうにもならないやん。
たとえ、その人を超えるもっとSPECIALな人に出逢えたとしても。
誰も、その人のかわりになんてなれないんだから。
…だとしたら、永遠に。
その痛みからは逃れられないのか?
また振り出しに戻る。
記憶の揺り返しを避けるために、その出来事に纏わる嫌なことだけを強調して捉えようとするのもひとつの方法かもしれない。
きっと私はそれを実行することはないけれど、少しでも本人にとって心が健康な状態に戻るのなら、それがどんな方法であれその人には必要なんだろうと思うから。
それはそれでいいと思う。
「私はきっとやらないけれど」…?
じゃあ、お前はどうしたんだよ?
竜樹に出会って夢にあいつが出る頻度が減るようになるまでの間に、お前は何をどうしたってんだよ?
また少し考える。
私にとって「あの人」が大切だったのかもしれないと気が付いたのは。
自分の中の情熱が不完全燃焼を起こしかけてる時と、人中り起こした時。
弱る心に「あの人」が蘇ることで私の中に大きな漣は立ったけれど、漣が引いた後、ぽつりと「あの人」の何気ない言葉が残る。
それは、新しい解釈と新しい扉をひとつ残していく。
記憶の中の「あの人」と現実世界に息づく「あの人」は完全に一致することなどあるはずもなく。
長い歳月をかけて、私の中だけで「あの人」の像が育ったのに過ぎないのかもしれない。
それこそ連日私が「私の像をお仕着せられるのは嫌だ」と喚きながら、私の心の内に矛盾を抱えることを知った「あの人」が「お前こそお仕着せてんじゃねぇよ」と言ってくれそうな気がするけれど。
記憶の揺り返しの中で見せる風景は必ずしも嫌なものばかりでもないことを知ったから。
揺り返しが齎す痛みも甘さも享受し続けてしまったのかも知れない。
そこにたまたま10年近い歳月と竜樹さんや大切な人たちとの出会いがあったから。
揺り返しの切れ味が鈍くなったのかもしれない。
…それでも、私もまだその揺り返しにどきりとしたり心を痛め続けてるんだけれど、ね。
そういうスタンスで歩いていると。
私が「過去の出来事にばかり目を向けて前を向こうとしない女」だと言ってくれる方もいらっしゃる。
「…自分さぁ、私の何見てそれを言ってんのさ?」
吠え付きたくなる衝動も抱えたことがあったけれど。
揺り返しの中で突然見つかるいいことが、機嫌のいい明日の鍵になることもあると言うのなら。
私はもう暫く「記憶の揺り返し」を甘んじて受けることにしようと思うんだ。
痛む心と引き換えに手に入れられる新しい風景が自分の歩くために必要ななにかに変わるなら。
痛みすら捨てずに歩いて行ってやるよ?
「記憶の揺り返し」の対処法の答えは見つかることはなかったけれど。
私の歩き方はまたひとつ確かに出来たのかもしれない。
記憶が揺り返すものに臆することなく、痛みですら自分の力に変えられたらと。
何故だか、そう願わずにはいられなかった。
それは思い返すたびに心を暖めるような甘やかなものであれば、思い返すたびに心が痛くなったり切なくなるようなものもある。
いつでも甘やかな思い出だけを残していければいいのだろうけれど。
何故だろう?
いつも捕まるのは、切ない痛みを伴った思い出のかけら。
昨晩、苦心して書いたノートをあげようとして、へたれな日記のサーバーと格闘を展開。
決着をつけた途端、がくんと疲れて寝てしまった。
朝、いつもよりも早く目覚めたので、ちょろちょろといろんなことをして、出勤する。
ここ数日、切ない記憶のかけらに心を痛めてる友達と言葉を交わす機会が多くて。
また自分のなけなしの想いを稚拙な言葉に託そうとして、自分の中に眠る切ない記憶のかけらを見つけることもあって。
ふと思いを巡らせる。
忘れかけていた切ない思い出がある日突然ひょっこり顔を出して、心に少しばかりの雨を降らせる。
それを私は「記憶の揺り返し」という言葉で集約してるのだけれど。
…記憶の揺り返しを押さえ込む決定的な方法なんてあるんだろうか?
ふとそう思って、意識の中に自分を沈めていく。
ちょうど、私の外界で起こってる出来事はいつもと変わりないもので。
通常業務を維持できる程度の意識さえ残しておけばようよう乗り切れそうな感じだったから。
最低限度の仕事モードだけつけて、どぷんと沈んでいく。
記憶の揺り返しに苦しんでは、その出口を模索する。
だけど、必死になって出口を探せば探すほど、大きくうねる記憶の螺旋。
心曇らせるものでありながら、どこか暖かくて完全に嫌なものではない。
だから余計に心は痛むのかもしれない。
…私はどうやって大きなうねりから抜け出したんだろう?
いくつもの記憶の揺り返しは通り過ぎてきたし、多分今もその揺り返しの幾つかは食らってる筈で。
その経験則の中から、大切な友達の痛みが和らぐ術は見つからないだろうか?
意識の中を探し物をして歩く感じ。
…気が付くと、午前中の作業は終わっていた。
最低限度の仕事モードは目の前の書類をキレイに片付けていた(笑)
ぼそぼそと昼ご飯を食べながら、また意識の中に身を沈める。
私にとっての記憶の揺り返しの一番大きなもの。
多分、それは「あの人」とのこと。
離れてしまってから10年以上経つ今も、時折ふっと過ぎっては私の見据える前景を揺らしていく。
恐怖を以って意識の一部に君臨し続ける、最大級の記憶の闇。
だけど、その記憶の闇が自分に見せたものが必ずしも後ろ暗くて、吐き気がするほどの嫌なものでなく。
そのすべてが身動き一つ出来ないほどの恐怖だけに彩られたものでもない。
そんな事実を知ったのは、いつだったんだろうか?
気が付くと、また昼からの業務が始まっていた。
最小限の意識を仕事に預けて、また沈む。
「心の痛みなんてなぁ、時間が経つか新しいHAPPYに出逢えりゃなくなるさ」
そう言ってた人もいたような気がするけれど。
本当にそうなんだろうか?
自分の心が泣き出しそうなくらい痛むのは。
痛みの元はそれぞれ違えど、根っこにあるのは自分にとって大切な何かが絡んでいるから。
終わった恋の痛みが記憶を揺り返すのなら。
その原因は、至極シンプルなもの。
…それだけあなたにとって、その人が大切だったからに他ならないんだよ?
大切だったということが事実である以上、他のどんな人に出逢ったってどうにもならないやん。
たとえ、その人を超えるもっとSPECIALな人に出逢えたとしても。
誰も、その人のかわりになんてなれないんだから。
…だとしたら、永遠に。
その痛みからは逃れられないのか?
また振り出しに戻る。
記憶の揺り返しを避けるために、その出来事に纏わる嫌なことだけを強調して捉えようとするのもひとつの方法かもしれない。
きっと私はそれを実行することはないけれど、少しでも本人にとって心が健康な状態に戻るのなら、それがどんな方法であれその人には必要なんだろうと思うから。
それはそれでいいと思う。
「私はきっとやらないけれど」…?
じゃあ、お前はどうしたんだよ?
竜樹に出会って夢にあいつが出る頻度が減るようになるまでの間に、お前は何をどうしたってんだよ?
また少し考える。
私にとって「あの人」が大切だったのかもしれないと気が付いたのは。
自分の中の情熱が不完全燃焼を起こしかけてる時と、人中り起こした時。
弱る心に「あの人」が蘇ることで私の中に大きな漣は立ったけれど、漣が引いた後、ぽつりと「あの人」の何気ない言葉が残る。
それは、新しい解釈と新しい扉をひとつ残していく。
記憶の中の「あの人」と現実世界に息づく「あの人」は完全に一致することなどあるはずもなく。
長い歳月をかけて、私の中だけで「あの人」の像が育ったのに過ぎないのかもしれない。
それこそ連日私が「私の像をお仕着せられるのは嫌だ」と喚きながら、私の心の内に矛盾を抱えることを知った「あの人」が「お前こそお仕着せてんじゃねぇよ」と言ってくれそうな気がするけれど。
記憶の揺り返しの中で見せる風景は必ずしも嫌なものばかりでもないことを知ったから。
揺り返しが齎す痛みも甘さも享受し続けてしまったのかも知れない。
そこにたまたま10年近い歳月と竜樹さんや大切な人たちとの出会いがあったから。
揺り返しの切れ味が鈍くなったのかもしれない。
…それでも、私もまだその揺り返しにどきりとしたり心を痛め続けてるんだけれど、ね。
そういうスタンスで歩いていると。
私が「過去の出来事にばかり目を向けて前を向こうとしない女」だと言ってくれる方もいらっしゃる。
「…自分さぁ、私の何見てそれを言ってんのさ?」
吠え付きたくなる衝動も抱えたことがあったけれど。
揺り返しの中で突然見つかるいいことが、機嫌のいい明日の鍵になることもあると言うのなら。
私はもう暫く「記憶の揺り返し」を甘んじて受けることにしようと思うんだ。
痛む心と引き換えに手に入れられる新しい風景が自分の歩くために必要ななにかに変わるなら。
痛みすら捨てずに歩いて行ってやるよ?
「記憶の揺り返し」の対処法の答えは見つかることはなかったけれど。
私の歩き方はまたひとつ確かに出来たのかもしれない。
記憶が揺り返すものに臆することなく、痛みですら自分の力に変えられたらと。
何故だか、そう願わずにはいられなかった。
薔薇線
2002年3月6日元々、他人に対してある程度の線を引くようなところはある。
何事も常に自分の主は自分だと思っているから。
触れられたくない範疇の答は自分で出すものであって、外野がどうこう言うべきもんじゃない。
それは子供の頃から思ってた。
人嫌いなわけじゃないけれど、
人間には互いに触ってもいい領域と触ってはならない領域ってのがあって、触れてもいい範囲内に生息してるのが互いにとって一番いんだろうってことは子供の頃から知ってた。
それでも時々それを忘れて、うっかり相手の領域に踏み込みすぎてしまって、
その結果、疎まれて去られることもあって、やっぱり注意せんなんもんなんやろうなって痛感する。
けれど、そう思う後ろ側にあるもうひとつの事実。
「踏み込み過ぎたかな?」と思っても、心に触れることを許してくれる人がいる。
私の心に触れようとすることに対して、それが嬉しいものだと教えてくれた人もいる。
ちっさな配慮とたっくさんの暖かさ。
それが心で触れ合えることのよさを教え、薔薇線で心を仕切らなくてもいいと思わせてくれたんだ。
だけど、みんながみんなそう思ってる訳じゃないんだよね?
自分の中の正義や当たり前が、相手にとっても当然の正義や当たり前だと思うこと。
自分がしてることや見てることを自分と同じようにしないことをおかしいと思い、憤る。
そんな光景が心に石を投げ込んだ。
別に、私の像をあなたの中で決め付けるのはあなたの勝手だと思うよ。
あなたの心の中にある私の像の形について、けちをつける気はない。
「金岡霄」という人間に対してどんな像を抱こうがあなたの自由だ。
生身の私がその像とは異なるからといって、私自身に失望することですら、あなたの自由なんだと思うけど。
…だけど、自分の抱く像が生身の私と違うことに対して、どうこう言われる筋合いないよなぁ?
あなたの時間はあなたの時間。
私の時間は私の時間。
すべて自分の時系列と価値観だけで作り上げられた箱庭の中で話が進められなければ、ムカつくって言うんなら。
別に話し掛けてなんていらないし、関わろうとして頂かなくても結構だよ?
確かに、私はいてもいなくてもどうでもいいような人間だろうし、
そんな人間を自分の中で「特別」にしてやってるっていうなら、
それはある意味ありがたいことなんだろうけど。
「してやってる」と思われながら接して頂かれなきゃならないほど、私は人に飢えてるわけじゃない。
むしろ本質的な部分は一人で歩いてる方が向いてさえいるんだろうから。
困るはずなど無いじゃないか?
人の中にある私の像は、人の数だけあって。
どれも当てはまるかもしれないし、どれも当てはまらないかもしれない。
その真偽はどうあれ。
自分の中の「像」でしか私を捉えようとしない人に出会うと。
もう一度、薔薇線張ってみたくなるんだよ。
「ここから先は入らないで。痛い目に遭うよ?」
それを頑なに示すことでしか、判って貰えないというのなら。
それすら、仕方ないのかもね?
極論言うなら、竜樹以外の人が私をどう思おうと知ったことか!?
そう思えば、すべて機嫌よくいくのか?
心の靄は晴れるのか?
締め出すことばかりが能じゃないと知りながら、
もう一度薔薇線張りたくなる衝動がひとつ。
心の奥底に封印してた薔薇線ひとつ、引きずり出した人間がひとり。
そんな人間相手に1日すっきりしない私がひとり。
何事も常に自分の主は自分だと思っているから。
触れられたくない範疇の答は自分で出すものであって、外野がどうこう言うべきもんじゃない。
それは子供の頃から思ってた。
人嫌いなわけじゃないけれど、
人間には互いに触ってもいい領域と触ってはならない領域ってのがあって、触れてもいい範囲内に生息してるのが互いにとって一番いんだろうってことは子供の頃から知ってた。
それでも時々それを忘れて、うっかり相手の領域に踏み込みすぎてしまって、
その結果、疎まれて去られることもあって、やっぱり注意せんなんもんなんやろうなって痛感する。
けれど、そう思う後ろ側にあるもうひとつの事実。
「踏み込み過ぎたかな?」と思っても、心に触れることを許してくれる人がいる。
私の心に触れようとすることに対して、それが嬉しいものだと教えてくれた人もいる。
ちっさな配慮とたっくさんの暖かさ。
それが心で触れ合えることのよさを教え、薔薇線で心を仕切らなくてもいいと思わせてくれたんだ。
だけど、みんながみんなそう思ってる訳じゃないんだよね?
自分の中の正義や当たり前が、相手にとっても当然の正義や当たり前だと思うこと。
自分がしてることや見てることを自分と同じようにしないことをおかしいと思い、憤る。
そんな光景が心に石を投げ込んだ。
別に、私の像をあなたの中で決め付けるのはあなたの勝手だと思うよ。
あなたの心の中にある私の像の形について、けちをつける気はない。
「金岡霄」という人間に対してどんな像を抱こうがあなたの自由だ。
生身の私がその像とは異なるからといって、私自身に失望することですら、あなたの自由なんだと思うけど。
…だけど、自分の抱く像が生身の私と違うことに対して、どうこう言われる筋合いないよなぁ?
あなたの時間はあなたの時間。
私の時間は私の時間。
すべて自分の時系列と価値観だけで作り上げられた箱庭の中で話が進められなければ、ムカつくって言うんなら。
別に話し掛けてなんていらないし、関わろうとして頂かなくても結構だよ?
確かに、私はいてもいなくてもどうでもいいような人間だろうし、
そんな人間を自分の中で「特別」にしてやってるっていうなら、
それはある意味ありがたいことなんだろうけど。
「してやってる」と思われながら接して頂かれなきゃならないほど、私は人に飢えてるわけじゃない。
むしろ本質的な部分は一人で歩いてる方が向いてさえいるんだろうから。
困るはずなど無いじゃないか?
人の中にある私の像は、人の数だけあって。
どれも当てはまるかもしれないし、どれも当てはまらないかもしれない。
その真偽はどうあれ。
自分の中の「像」でしか私を捉えようとしない人に出会うと。
もう一度、薔薇線張ってみたくなるんだよ。
「ここから先は入らないで。痛い目に遭うよ?」
それを頑なに示すことでしか、判って貰えないというのなら。
それすら、仕方ないのかもね?
極論言うなら、竜樹以外の人が私をどう思おうと知ったことか!?
そう思えば、すべて機嫌よくいくのか?
心の靄は晴れるのか?
締め出すことばかりが能じゃないと知りながら、
もう一度薔薇線張りたくなる衝動がひとつ。
心の奥底に封印してた薔薇線ひとつ、引きずり出した人間がひとり。
そんな人間相手に1日すっきりしない私がひとり。
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