先週の日曜以来、連絡が取れない竜樹さんに電話してみたけれど、出てくれない。

…竜樹さんの体調、相当悪いんだ。どうしよう?

そう思いながらかけた何度目かの電話でやっと出てくれた竜樹さんは相当しんどそうで。
竜樹さんちに行くか行かないか迷ったけれど、

「とりあえず、ご飯を作りに行くね?顔を見たら安心できるから」

そう言って電話を切り、用意をして出かける。


今日は今年最後の花火大会があるというので、「見に行きたいね」とお互い言っていたけれど。
電話の様子じゃ、それどころじゃない。
ただ、竜樹さんの顔を見て安心したい一心で家を飛び出した。


電車を乗り継ぎ、バスに乗る前にスーパーで買い物を済ませ、重たい荷物を提げてバスに乗る。

竜樹さんちに入ると、竜樹さんはお布団の上でばたっと倒れていた。
食材も片付けずに、竜樹さんの傍にちょこなんと座る。


「…暑い中、よぉ来てくれたなぁ」

そう声をかけてくれる竜樹さんの声がとても弱っていて、どうしようかと思ったけれど。
竜樹さんは連絡が取れなかった間の近況を話してくれる。

私も思い切って、昨日ネットの友達とあった話をしてみたら…
「よかったなぁ。そんな風に楽しい時間が過ごせるような友達やったらええやんか?(*^_^*)」
私の話を一生懸命聞いてくれた上で、そんな風に言ってくれたのがとても嬉しかったんだ。


竜樹さんは、日曜日にプールに行った後、ずっと調子が悪かったみたいで、病院にも行けなかったみたい。
確かに、竜樹さんの身体はどことなく熱っぽい感じがするし、動きたくても動けなかったことが見て取れる。

きっと不安そうな顔して覗き込んだ私に、手を伸ばす竜樹さん。
頬に触れ、髪に触れ…
何気なく触れることで、安心できる何かが生まれるのか。
少しずつ硬かった竜樹さんの表情が和らいでいく感じがする。
それひとつ拝めただけで、私がいる意味もあったのかな?と嬉しくなる。
互いが互いに触れ合って過ごし、少ししてから夕飯作りを始める。


今日のメニューは豆腐のカニ・エビあんかけとキャベツとベーコンの酢の物、いんげんとエビのチリソース炒め。

「豆腐のカニ・エビあんかけ」

さやいんげんは色よく茹でて斜め切りにし、柔らかくなるまで水で戻した干し椎茸薄切りに。
カニの身はほぐして、むきエビは湯通しして解凍。
干し椎茸の戻し汁に少し水を足し、ダシとほんの少しの鶏がらスープ、しょうゆを加えたものに椎茸を入れ、煮立ってきたらアクを掬い取り、身をほぐしたカニと湯通ししたエビを入れる。
そのあと、1:1の比率で溶いた水溶き片栗粉を入れ、いんげんを入れて混ぜ合わせてあんは完了。

豆腐は、鍋に水と昆布(羅臼昆布はおいしいダシが出ます)を入れて加熱し、水が温まってきたら豆腐を加え、煮立てないように弱火でゆっくり温め、食べやすい大きさに玉じゃくしですくって器に盛り、温めたあんをまわしかけて出来上がり。

「キャベツとベーコンの酢の物」
ざく切りにしたキャベツを煮て柔らかくしてから、ザルに上げ、湯通しして余分な油を抜いたベーコンを混ぜ込んで、三杯酢で食べる。

いんげんとエビのチリソースは、余った食材の有効利用(笑)
いんげんを色よく茹でて半分に切り、むきエビと一緒に塩と少々のガーリックで炒め、市販の瓶詰めチリソースで炒めて出来上がり。


思ったより早く出来上がり、少し休んでからご飯を食べることに。
私がご飯を食べれるようになる頃には、竜樹さんもご飯を食べれるようになったみたいで。
いつものように、二人向かい合って食卓に座る。

「いただきます♪(*^人^*)」


「美味い!これ(*^_^*)」

竜樹さんの一番のお気に入りは、豆腐のカニ・エビあんかけ。
「さっきまで、体調不良で寝てた人なん?」と首をかしげるような勢いで、食べていらっしゃる。
キャベツとベーコンの酢の物も、竜樹さん食べたことがなかったみたいで。
「こんな風にして食べたら、たくさん食べれるなぁ」と言って、ぱかぱか食べてた。
いんげんとエビのチリソース炒めは、思ったよりチリソースが辛くて、唐辛子辛いのが苦手な竜樹さんにはキツイ料理だったかな?と食べてから思ったけれど、「この辛さなら、ご飯が進む」と言って、2膳目のご飯をついで食べていた。


「よく食べれるね」とびっくり顔の私に、
「霄がご飯を作ってくれると、何でか食が進むねん。いつもこんなに食べられへんねんで?(*^_^*)」とにこにこ顔の竜樹さん。

「私のご飯だとよく食べれるのかぁ(*^_^*)」とご機嫌さんな私に、
「自分で作らないと食が進むもんやなぁ」と言う竜樹さん。
「…それやったら、お母さんに作ってもらったらいいじゃない?」とやり返すと、
「いやぁ、霄が作るご飯がおいしいからやって(*^_^*)」と返す竜樹さん。


…ちっしょー、上手くごまかしたなぁぁぁぁぁっヽ(`⌒´)ノ


そう思ったりもしたけれど。
ぱくぱくと出した料理を平らげ、まだ3膳目のご飯をつぐかどうかを真剣に迷ってる竜樹さんを見てると、それは確かなことなのかなという気もした。


食事が終わり、二人で横になる。
なんだか、食事をとり始めてからずっと体中が痒かったから、服を脱いでみると…
水ぶくれのようなぶつぶつが体中に出ていた(゜o゜)

「霄、カニアレルギーなん?」と聞く竜樹さん。
「ううん?アレルギーが出る食べ物は基本的にないよ?私」と困る私。
牡蠣を食べると吐き倒す以外に、食べ物がらみのアレルギーはないから原因が判らない。
原因不明の痒みに困ってる私のために、竜樹さんは塗り薬を探し出してきて、塗ってくれた。


「身体の中のバランスがおかしいねんなぁ?ストレスからきてるんやろうなぁ?」


心配そうな顔して、体中に薬を塗ってくれる竜樹さんがすんごい愛しく思えるのと同時に、私の何気ない兆候の後に潜むものにまで目を向けさせてしまって申し訳ない気持ちで一杯にもなった。


薬を塗り終わり、二人でまた触れ合って暖かく優しい時間を重ねるけれど。
気が付くと、また23時まわってる。
竜樹さんの体調が悪いからタクシーを拾うことにしたけれど、タクシーはなかなか拾えず。
結局、竜樹さんが無理して送ってくれることになった。
嬉しいんだけど、申し訳ない気持ちで一杯になった。


竜樹さんのためにできることってなんだろう?

こうして元気の素になるご飯を作って喜んでもらうこと。
傍にいて安心させてあげること。

それにプラスすることがあるとしたら。

竜樹さんがしんどい時にあまり手を煩わせないようにすること。

そして、

私の身体から表情から伺えるものの後に竜樹さんの想いが向かないように。

その後にあるもので竜樹さんが傷負わないように。


…もう少しだけ強くなりたい、そう思ったんだ。


今日は有給を取って、友達に会う。
しかも、初めて会うお友達。
電話ではお話をしたことはあるけれど、会うのは初めて。
たまたま大阪に出てくることになって、私の方も(ボスの気まぐれで)たまたま休みが取れたので会えることになった。
本当に偶然が連れてきた「現実」

ただ、昨日から「月1の試練」で身体の状態がよくなかったから、何かやらかすかもとは思っていたけれど…
寝つきが悪かったのも気になっていたけれど…


…いきなり、やらかした(>_<)


起きたら、待ち合わせしてる時間の15分前(゜o゜)
慌てて、友達の携帯に電話を入れ、謝りのメールも入れて、シャワーを浴びる。
あがってきて今日着ようと思っていた服を探すけど、見当たらない。
嫌な予感がして、階下に降りると…
着ようとしてたサマーセーターは洗濯機行きだった(T^T)
クローゼット勢いよく開けて、目に飛び込んだ黒のワンピースとラベンダー色のジャケット片手に、母にお願いして駅まで送ってもらう。


途中、何度もメールを入れながら移動して、待ち合わせしてる梅田に到着。
電話をして、最初に待ち合わせして場所に行くけれど、会ったことがないのにどなたがお友達なのか判るわけもなくて。
携帯から電話を入れると、友達がこちらに歩いて来た。


…すんごいかわいい人で、思わず穴を掘って逃げるか、ダッシュして帰りそうになってしまった(←何でだ?)


でも土地鑑ないところで、私のことを1時間半も待ってくれた人を目の前にして逃亡はないだろうと思い直し、頑張って(笑)お話を始める。


お昼時が近かったので、いつも行列ができてるお好み焼き屋さんへ行く。


メニューを睨み、私はスジねぎ焼き、彼女は天つゆで食べるお好み焼きを注文。
店員さんが焼き具合をちょくちょくチェックしてる時以外は、ずっとおしゃべりに花が咲く。


不思議なもので。


彼女は「生身」の私が書いてる日記をずっと眺めてくれてて、些細なことでもよく覚えてくれてて、お話しててもすっと入っていける感じがして、すんごい安心しながら話してたんだ。
そんな感覚が嬉しかったのか、思いっきり「アウトゴーイング」な面が飛び出してしまって、抱いてたイメージ崩れちゃっただろうな?と気になったけれど、終始「そらさんって面白〜い」と笑っててくれて、それがすんごい嬉しかったんだ。

食べてるお好み焼きが冷めるほど長い間お話して、次に彼女のリクエストで戎橋に行くことに。


地下鉄で難波まで出て、商店街を歩く。
途中、大きなゲーセンに寄って、スロットで景品を取るためにやたら熱くなって、けらけら笑いながら興じてた。

…景品は結局、取れなかったんだけどね(T_T)


それから、戎橋の手前で彼女が喜ぶのは…

…どうやら、彼女は「ずぼらや」のフグちょうちんがお気に入りのようなのだ(笑)


かに道楽やずぼらやの店先でお土産を物色。
結局、彼女お気にの「ずぼらや」フグのキーホルダーとストラップをゲット。
ずぼらやの店先に吊ってるでっかいフグちょうちんと食い倒れ人形の写真を撮って、また移動。
戎橋の上から見える「グリコ」の看板も撮って(笑)、また心斎橋方面に歩いていく。


私は梅田はそこそこ知ってるけど、ミナミはさっぱりなので案内のしようがなくて。
私が知ってて連れて行って上げられる場所といえば、ビックステップか三角公園ぐらいだから(爆)
お茶休憩を目指して、歩き始める。


ビッグステップに着き、螺旋階段状のエスカレーターに乗って階上にあがっていく。
以前、竜樹さんとここに来たとき行列ができてて入り損ねたカフェに飛び込む。
カフェの店先のメニューサンプルの模型を見てて、二人が気になったメニューがあって。


( ^ー^) にやっ!


そのメニューの名は「アラスカ ロワ風」。


プリンの上にジェラートが乗ってる土台めがけてホイップで「これでもか!」ってくらいコーティングされたもの。


そこにはコーヒーをコーラで割った飲み物も置いてあって、飲んだことがない好奇心小僧金岡はそれをチョイス。
彼女は氷コーヒーを頼んだ。


…やってきた、「アラスカ ロワ風」見て、そのボリュームに二人で爆笑(^○^)


本当に笑えるいでたちだったんだもん。画像でお見せしたいくらい。

思わず、彼女を煽って(爆)、デジカメで写真を撮ってもらう。
食べてみたら、(私にとっては)見た目ほど甘ったるくなかった。
その時も、「崩れるー」とか騒ぎながら、食べてた。


そこからもまたお話大会。
恋話、人生話、仕事話。
不思議とね、話が合うからどこまでも話し続けていられそうで、すんごい楽しい。
今まで話したことがないような話もしてしまったし。

…ついでに、「新企画ネタ」随分ばらしちゃった気もしたけれど

彼女が次のお約束の待ち合わせ時間に近くなるまでお話し続けた。


地下鉄の駅まで移動する前に、久しぶりに「アランジ・アロンゾ」の店に寄ってみたくなって、彼女を引っ張り込んで物色。

…そう言えば、彼女にお土産持って来てなかったなぁ

彼女がお土産で買ってたアイテムから、気に入りそうなキャラを推測して、廃番間近の商品とダメ元で聞いて在庫があった携帯ストラップと混ぜてラッピングしてもらって、渡した。

喜んでくれたら、いいな(*^_^*)


またお話しながら駅に向かい、彼女の次の待ち合わせ場所の最寄り駅まで送っていくことにした。


もう少し話してたかったなぁって気がして、ちょっと別れるのが惜しかったけど。

「次はお江戸で!!」を合言葉に、改札で別れる。


本当にすごい楽しい「現実」だった。


帰る道すがら、何故か竜樹さんにとても逢いたくなった。
今日の出来事、すぐに話したかった。

「『生身』」の私を受け入れてくれる人がいるんだよ?
それがね、すんごい嬉しかったんだぁ」

とても伝えたかったんだ。
泣きそうになるくらい、一番最初に伝えたかったんだ。


本当は何ヶ月か前に、別のお友達と先に会おうって話があったけれど。
計画も首尾も隆々でボスの有給許可さえ降りれば叶ったことが、その時期何故か叶わなくて、見送りになってしまって随分落ち込んだんだけど…

その時、叶ってたらもっと早く竜樹さんにも「ネットの友達」のことを認知してもらい易かったのかもしれないけれど。


今回、偶然が重なってやってきた「現実」の話。
明日、竜樹さんに逢ってどう伝えよう?
どんな風に話そう?


素敵な「現実」の風をありがとう。
私に楽しい時間をくれた、友達にありがとう。



「生身」でいること

2001年8月23日
昨晩も寝つきが悪く、ネットをふらふら彷徨って、友達のお庭で意味不明なることを書き散らして無理やり眠る。
おかげで、相変わらずねむねむなる朝だった。


服を着替えててびっくり。
体中にぶつぶつがたくさん出てる(>_<)
月に一度の試練の時期(苦笑)
更に憂鬱さに拍車はかかったけれど、明日は友達と会うために会社を休むから。
人より1日早く休めるんだから、もうそれでよしにしよう。
気をひとつ吐き出して、家を飛び出した。


今日の会社は、ある意味救いのない環境。
愛すべきボスがいないから(笑)
大クレーム発生で、ボス自らが動かざるを得なくなったのだ。
仕事が忙しい時に容赦なく話し掛けてきたり、冷房より冷たいツンドラギャグを吐きまくったりするのに、いちいち対応しなくてもいいとはいえ。

…非常につまらないじゃないかぁぁぁぁぁぁっヽ(`⌒´)ノ

機嫌はますます悪くなる(←勝手もん)


昨日の夜あたりから、ちょっとしたことに捕まってしまって、ずっと気持ちが沈みがち。

自分の嫌な部分に捕まるのも、大概辛いけど。
何となく嫌な方向に進みそうと思ったことが、ストレートに起こってしまうとすんごい辛い。

見えてさえいなければ、起こってから初めて騒げば済むことだけど、前兆が見えるとずっと意識の中にあるから、困りもので。
考えてみたところで、足掻いてみたところで、避けられないことくらい判りきってるのに。
「起こったら起こったで、しゃあないやろ」とは考えられない。
で、起こってしまったら「見えてたのに…」って回避できないことを嘆くしか能がなくて。


…いっそ、何にも見えてない方が楽なんじゃないかって思ったりするんだ


予見してることがひとつ的中する程度なら、それはそれとして対処できるんだけど、そんな時に限って、あっちこっちで火種がドカン。
その一つ一つが前から「見えてる」から、辛いんだ。

それは、ネットだろうがリアルだろうが変わることのないけど、違いがあるとしたら、より「生身」の私が出てるネットの方が「見える」ものが深い気がする。


今でこそ竜樹さんは、私が日記や宙でお話してる人の話をぽつりぽつりと話しても、ちゃんと聞いてくれるけれど。
ネットのお友達に対してある種の嫌悪感抱いてた時期に、ぽそっと問い掛けられたことがあって。


「…なぁ、霄ぁ?どうしてもお前は、『人』と毎日話してんとアカンのか?」


それがどういう意味だったのか、その時は判らなかったけれど。
何気なく母に言われたことで、判ってしまったんだ。


「あんたさぁ、毎日、パソコン相手に『人』と話してるけれど、それがストレスの素になることだってあるんじゃないの?」


…あ、そう言えば。


竜樹さんが入院してた頃に、毎週週末に片道2時間以上かけてお見舞いに行って。
病院で竜樹さんと時間が許す限り、一緒にいてたけれど。

いつだったか、オフの友達同士がのっぴきならないいくらいもめて。
友達それぞれから何となくシグナルが出てたような気がしたのに、かなり意識的に見過ごしてしまったせいで、結果的に二人は決裂してしまって。
一人は、本当は揉めてた子と友達やめたくなかったのに、もう一人がものすごい意地になってしまって、それっきり逢えなくなってしまった。

そのことが頭を離れないまま病院に行って、竜樹さんに向ける笑顔ががくんと減ってしまって。
しんどい竜樹さんにその話を聞いてもらったときに、言われたんだ。


「霄は何でも抱え込みすぎるねん。友達同士がどうなろうと、それはお前のせいじゃない。
もう必要以上に他人のことに首を突っ込むな。
そんな余力があるんやったら、俺のことをちゃんと見てぇや」


誰にも甘えたことを言わない竜樹さんにそんな台詞を言わせてしまったと、随分落ち込みもしたけれど。
竜樹さんの気持ちが判ったから。
それっきりその手の話は竜樹さんにしなくなったけれど。


竜樹さんの中に、金岡母の中に。
私が他人との距離のとり方や自分の感覚との付き合い方がへたくそだってことが見えていて。
自分の要領の悪さに嘆いたり責めたりするしか能がない私のことを心配してくれてるとよく判るんだけど。

私にとって、「見えないものはないもの」だけど、見えるものは、もう既に私の中での現実だから。

いつまでも、おんなじようなことで嘆いたり落ち込んだりしてしまうんだ。


別に、私の意識を苛むのは「ネットの人間関係」だけではないんだけど。

ふと。

ここにいる「金岡 霄」を捨ててしまっても、別に何にも変わらへんやんなぁ?

そしたら…

迷走する思考が辿り着いた先に、どきりとしたけれど。


私の大好きなお友達のお庭で、時々「ネットとリアル」の話が話題にのぼる。
「ネットは嘘もつけるけれど、自分に正直にいられる場所でもある」って話。
そのお友達には本当にいつも力づけてもらっているんだけど。


基本的に、自分がいることで他人の何かが変わるなんて思いもしないから。
究極、物を見えなくする方法があるとしたら、一度すべて切り離せばいいと思ったりするんだ。
それこそ「ネット」の特権で、ある朝突然「金岡 霄」は消え、気が向いたらまた別の名前で歩けばいい。
別の名前でなに食わない顔して歩く私を「あれは霄ちゃんだ」と見つけられる人なんているわけないやんかとも思う。


…ネット離れたら、昔と同じ生活に還るだけやん?


竜樹さんと目に見える私を知る友達と。
何食わぬ顔してやってけばいい。
どっちみち、目に見える私とお友達でいてる人たちのことはまた「見えて」しまうんだから、しんどいのは同じだけど。
それでも「生身」で当たる比率が少ないから、軽症で済むかも知れへん。


…そしたら、竜樹さんは安心する?
竜樹さんのことだけ見てて、竜樹さんだけのことを考えて生きていれば、竜樹さんは幸せ?


そんなことを考えながら、仕事を片付け、家に帰る。

けれど。

家に帰って自室に戻って、最初にするのはパソコンの電源を入れること。
宙のお友達に「ただいま」の挨拶をして、お友達の日記を眺めて、大切なお友達のお庭を訪ね歩く。
確かに見えてはならない「何か」が見えることはあるけれど、暖かな言葉や想いが待ってることの方が多くて、すんごい嬉しくなるんだ。


嫌なことが見えてしまうこの能力は、「生身」に近ければ近いほど強く作用するから、このままい続けるといつかもっと辛いことに出逢うのかもしれないけれど。


ここにいる「生身」に近い私が、暖かな気持ちを持つ大切な人たちと向き合って。
そこで受け取った何かを持って、竜樹さんに安心感や笑顔を差し出せたならいいなって思うから。


…もう少し、様子を見てみようかなぁ?
もう少しだけ「生身」に近い私でいても、いいかなぁ?


青空が帰ってきた

2001年8月22日
強い風は昨日の夜遅くまで吹いていたけれど。
朝起きて窓を開けると、窓の外は一面光る雲の海。
雲間から見える青空と光が差し込んできてる様を見てると、これから晴れてくれるんだろうなって予感はする。

…こんな風に私の心にも晴れ間が来ますように

心にそっと願いをかけて、家を飛び出した。


相変わらず、電車に乗ってても眠くて仕方がないけれど。
何となく、心は少しだけ軽くなってる気がする。
月曜・火曜と竜樹さんとは話せていないけれど。
週末になったら逢えるんだし、竜樹さんの背中が痛んで動けないなら、私が竜樹さんちに行けば済むこと。
心の中に、少しだけ雲の切れ間が見つかった気がした。


会社でもねむねむなのは相変わらずだけど、何だか妙にいらいらしない。
それは単に金曜日に会社休んで遊びに行くからからかもしれないけれど…

今日は何故か、会社の人々も終始ご機嫌さんだった気がする。
一人一人の電話の内容や上司との会話を聞いてると、それぞれにクレームだのトラブルだの抱えてはいるんだけど。
いらいらすると受話器を投げたり、どんどんバンバン音をたてながら仕事をする人たちが、無駄に大きな音を立てないでいてくれてる。
それが機嫌よさを加速させていく。


階段を使って階下に降りるとき。
いつも踊り場でとぐろを巻いてるような蒸し暑さがなくて、とても居心地がいいのに気がつく。

…もしかしたら、今日は竜樹さんの体調もマシなのかな?

理由もなく、そう思った。

竜樹さんの背中の痛みは、雨の降る前と湿気が多いときに酷くなるみたいだけど、台風が去ってそのいずれもがなくなってるんだから、きっと調子がいいだろうって気がしたんだ。

…でも、竜樹さんのことだから、きっとあれこれ仕事を増やして、ぶっ倒れてそうな気がする(-_-;)

一生懸命仕事をして、ばったりと布団の上で横たわってる竜樹さんが想像できて、笑っていいのやら悪いのやら(^^ゞ

頭をひとつ振って、仕事に戻る。


事務所では相変わらずボスが絶口調で(笑)、そのお天気さ加減が妙に和やかな雰囲気を醸し出してる。
中でも、皆が妙に盛り上がった話題があったんだ。

…それは「給料日前のご飯」の話。

「給料日前の夕飯のおかずの寂しいこと寂しいこと〜(T_T)」とお嘆きのボスに、
「そうなんですよぉ〜。うちは昨日、秋刀魚と豆腐とご飯でしたよ〜」と笑って語る課長。
「なにぃ?秋刀魚なんて今からが旬の食べ物やないか?給料日前にリッチやないかぁ( ^ー^) にやっ!」と返すボスに、
「…いやぁ、1匹100円の秋刀魚ですよぉ(^^ゞ)」と課長。

「でも1匹まるまま出てくるんやろ?」と問い掛けるボスに、
「そりゃそうですよぉ」と課長。

それを聞いてた私は、首を捻った。


…え?秋刀魚って1匹まるまま出てくるのが当たり前じゃないのん?


「何や?どうした?金ちゃん?」そう聞くボスに、躊躇うことなく言ってしまった。

「秋刀魚って1匹まるまま食べる以外にどうやって食べるんですか?」


…ボスと社長が同時に笑った

「金ちゃんはええとこの子やなぁ。わしらんとこは1匹を2人で食べるんや( ^ー^) にやっ!」

「…ですから、どんな風に食卓に出てくるんですか?」と聞き返した私にボスは一言。


「1匹を頭と尻尾の間で切って、二人で分けるんや」

…\(◎o◎)/!

びっくり目の私を尻目に、社長も「そうそう、俺んとこもそうやった」と笑顔で答える。

…知らないって怖い(-_-;)

そう思ったけれど。
食事の話題一つで、皆が笑顔でそこにいる。

…勤務中にこんな話してる会社って、ダメダメちゃん?

そうも思ったけれど。
珍しく、会社の中にいてる時に機嫌がよくなったんだからよしとしよう?
そう思い直したんだ。


そんな風に何気に出てきた食事の話で、ふと思いを馳せるのは。

…今週末、竜樹さんに何を食べさせよう?


竜樹さん見てると、野菜と魚介類が不足してる気がして。
実家の隣に住んでるんだから、お母さんが足りないものは補ってくれそうだけど。
私は私でできることはしたいって思う。
唯一(?)、竜樹さんが「これは霄の方が上手」って認めてくれる分野は料理だけなんだから(爆)
できることはちゃんとしたいって思うんだ。

…さりとて、竜樹さんちのちっさなコンロ一つで魚を焼いたら、料理してる私も傍で見てる竜樹さんも燻製になる(>_<)
フライにしてもいいけど、カロリーが気になるし(笑)

「…何にしたらええねやろぉ?」

会社を出て、電気屋に向かってる間も。
電気屋で用事を済ませて、家路を急ぐ間も。
ずっと竜樹さんに食べてもらうご飯のことを考えていた。

なかなかレシピが思いつかずに、部屋で転げ回ってると遠くでどーんという音がする。
窓を開けると、花火が上がってる。
年に1度、市内であるお祭りの花火だ。

…この花火は竜樹さんのところからも見えるのかな?

そう思って電話をしたけれど、竜樹さんは出てくれない。

…やっぱり、しんどいのかなぁ?

心配にはなったけれど。
きっと、週末になったらまた連絡も取れるだろうし、逢う時間も割いてくれるだろう。
竜樹さんちで逢った時に、竜樹さんから笑顔が飛び出すようなご飯が作れたらいいな。

…ご飯よりも前に、今シーズンラストの花火を見に行くことを考えるだろうけどね、竜樹さんのことだから(^^ゞ


そうやって竜樹さんの行動が予測できたり、竜樹さんの姿が手にとるように判ったりする様がおかしくて。
一人で笑ってしまった。


どうやら、昨日横殴りの雨を連れてきた台風は、私の心の中のすっきりしない物事の多くを吹き飛ばしていったみたいで。
心の中には青空が見え始めてる気がする。
心の中に戻ってきた青空は私の笑顔の素になり、やがて私の笑顔が竜樹さんの笑顔の素になって、竜樹さんに笑顔が増える。
竜樹さんの笑顔で私の笑顔が増えて、やがて笑顔のキャッチボールが始まる。

それが長く続くことで、愛しい時間が増えていくのだと何となく思った。

強い風に吹かれ、強い雨に洗い流された心は、まだ澄み切ってるってところまではいかないにしても。
徐々に青空が戻ってきてる感じがする。


やがて晴れ渡った青空のような心から、竜樹さんに笑顔一つ送り出せたらいいな。
そうして、二人で笑顔の贈りあいっこができたらいいな。


逆境の中で願うこと

2001年8月21日
相変わらず朝もねむねむ。
外は雨が降っている。
理由もなく、機嫌が悪くなる。


会社に入ると眠気はピークで、コーヒーばかり飲んでいた。
頭の中で、どこか起死回生図りたい自分がいてるけど。
台風が近づいてて気圧がおかしくなってるからか、異常に増えてる湿気が原因なのか。
何となく投げやりな感じ。
仕事をしてても、何か頭の上を滑っていくようで。
かろうじて業務の流れを止めずには済んだけれど、やっぱり虚脱感が抜けない。


それに気がついていたのか、いないのかは判らないけれど。
ボスがやたらお軽くお寒いギャグを飛ばしたり、突然歌いだしたりする(笑)
かろうじて、ボスのやることに笑いながら突っ込みを入れられるだけの余力はあったようで。
顔をあげると、にぱっと笑うボス。
ボスとのやりとりで何とか一日繋いだ感じがした。


定時に会社を脱出できたから。
電気屋に行って買い足さないといけないものを買おうと、意気込んでチャリをかっ飛ばしたけれど。
駅に着いて、ふと柱を見ると張り紙ひとつ。

「台風の影響で電車が運休する可能性がございます。ご了承ください」

大阪くんだりまで出かけて、帰り台風のおかげで家に帰るのに随分時間がかかったり、帰れなくなって友達の家に厄介になったことを思い出し、仕方なく直帰。

出るのは、ため息ばかり。


意味もなく弱ってくると、胸の奥に押し込めてるものは一気にぶちあがってくる感じがして。
また、情緒不安定に陥りそうになる。
そのまま家に帰りたくなくて、バスに乗る前に本屋によって本を眺めてから帰ることに。

本屋を出て、移動してた時。
強い風が私の目の前を吹き抜ける。
その感じに、ふと頭を掠めたことに気を取られてしまった。
そして、何気に思う。

「…あ、だいぶ『左側』強く出てきてるな」

それは少し厄介なこと。
なぜなら、「弱ってますよ」っていうシグナルの一つだから。
弱ってくると頭を擡げること。
それは小さな予見。
その予見が意識の大半を占めてくると、非常にヤバい。


…竜樹さんとのことを否定的な側面からしか見られなくなるから


すし詰め状態のバスを降り、よろよろ家に帰ってのろのろ夕飯を取る。
つけっぱなしのテレビをボーっと眺めていると、「プロジェクトX」の総集編が始まる。

…この番組、好きなんだよね?

時間や家族の見たい番組との折り合いがついたときだけ見てるのだけど。

今日のテーマは「逆境を越えて」
いろんな人がいろんな困難を越えていく中で口にした言葉の総集編。
何とはなしに見ていた。

見ているうちに泣きそうになった。


小さな予見の大基は、私と竜樹さんの置かれている状況とそこから推し量られること。
私も竜樹氏も一緒にいるための未来のために自分にできることを精一杯やってるつもりだけど。

…ごめん、本当は。

常に現状の変化の度合いやその先のことに目を向けては、時々ひとり小さなため息をついている。
それができるのか、できないのかを見通して、ため息をついている。
情けない話なんだけど…

そんな私を竜樹さんは知らない。
竜樹さんの前で笑顔しか見せてないんだから、知らなくて当たり前。


だから、弱る私を支えるために「左側」がフォローに回る。

「誰がどう言おうとどう思おうと関係ねぇだろ?自分が走りたいように走りゃいいんだよ」

「誰が自分を好きでいようが嫌いでいようがどうでもいいことだろ?
本当に大事なのは竜樹氏だろ?一番大事なものを見落として歩いてんじゃないよ!」

「変えようとする意思のないヤツに、変えられる未来なんざ与えられるわけはないんだよ」


強い調子で心の内から飛び出す言葉に身を委ねてるけれど。
それを「本当に」自分のものに出来てないような感じがして、しっくりこない。


ぼけっと番組を眺めている私の耳に、こんな言葉が飛び込んできた。

「できるかできないかは考えない  ただやるだけだ」


…あ、そっか。


足りないもの少し、見えた気がしたんだ。


最近の私は、私なりの一生懸命で向き合ってるつもりでも、どこかで「できる、できない」を無意識に選び取り、そこからルートを探してる。
基本的に「負けると判ってる勝負はしない」と公言して生きてきた私が何とはなしに身につけてたやり方だったけど。
竜樹さんと出逢ってから暫くはそのやり方は使わないようにしてた。
正確には、使うことを忘れていたんだけど。


竜樹さんと一緒にいることで生じた家族との軋轢も、前の会社でのことも。
竜樹さんの闘病生活のことも、すべて。

「できる、できない」だけで振り分けてたのでは、乗り越えられないことばかりだったから。
「できる、できない」以上に「竜樹さんと一緒にいたい」って気持ちを優先させてたから。
「未来の可能性」を予見するところまで意識がまわらなかったんだ。


…無我夢中でやること、どこかに忘れてきてやしないか?


そんな風に思いながら、ずっと番組を見てた。
たくさんの逆境を越えた人たちの言葉を少しずつゆっくり飲み込んでいった。


「逆境の中でやり遂げる執念が必要だ」


うん。そうだね?そうかもしれない。
共に在るといっても一緒にい続けることは「現実」だから、絵空事だけでやってけることだけでないことは十分判ってる。
けど、もう一度思い出しながら取り返しながら、歩いていかないといけない気がする。


自分が決めたことを叶えるための執念を取り戻そう。
実現するために自分の中に小さな嵐を呼び起こそう。


窓の外の強い風に煽られるようにそう思ったんだ。


「金岡は台風のようなヤツだよな?
台風の中心は晴れて割に穏やかだけど、一歩外に出るとすんごい勢いがあるやろ?
お前を見てるとな、何となくダメなもんでも勢い一つでひっくり返せるような気がするんだ」

かつて「あの人」が私にそう言ったことをふと思い出す。
「あの人」と一緒にいた頃は、誰のことも容れることなく自分の目指すもののためだけにその力を行使してたけど。
竜樹さんと一緒にいてから、少なくとも5年近くの間は、ただひたすらに一緒にいるためだけに頑張ってた気がする。
得られる結果よりも、傍にいる事実を大事に守ろうとしてたんだ。
ただ、それだけでよかったんだ。


今もまだ私の中に、そんな台風のような勢いはあるのだろうか?
今一度、自分自身と話してみよう?
こんな私を誰が好くとか嫌うとか、今は考えないでおこう。


ただ、「竜樹を好きな霄」としての自分自身のあり方だけを見つめよう。

逆境の中で、それでもなお手に入れたいと希うものを手に入れたいって気持ちだけに従ってみたいと思ったんだ。


些細な言葉の威力 

2001年8月20日
今日から本格的に仕事が再開する。
朝から眠くて、なかなか起きれない。
朝恒例の「おはようリレー」もままならないまま、家を飛び出す。


相変わらず、朝になると憂鬱になる心。
投げ出したくなる気持ち。


土曜日のご飯と日曜日のプールデートのことを思い返す。

「この週末はたくさん竜樹さんに逢えたやんか?
次に逢えたらまたたくさんの愛しい時間が過ごせるように、5日間頑張ろう?」

楽しい時間のかけらを抱き締めて、空元気ひとつ連れて社屋に入る。


朝からでんわはちゃんちゃん、仕事場ばたばた。
課員さんはみんなお盆休み明けのクレーム続きで爆裂寸前。
空気に触れてるだけで、気持ちが尖っていく感じがする。

そんな中、ボス一人が絶口調で(笑)
一人でツンドラギャグをすっ飛ばし、突然ええ声で歌いだす(^^ゞ
そんなボスのおかげで、他の課員さんのようにどたんばたん音を立てながら仕事をせずに済んだのは幸いだったけれど。

…今日は、定時に上がってとっとと帰ろう

それひとつ固く誓って(笑)、仕事を進める。


幸い、定時に会社を脱出できた。


本当は大阪に出て、電気屋で買い足したいものがあるけれど。
人の空気に触れて疲れてるときに、さらに人の空気に触れて疲れたくはなかったから、まっすぐ家に向かって帰る。


家に帰って夕飯を取って、ひと息ついて自室に戻る。
金曜日に買ったケントブロックを開けて、思いつくまま描き始める。


ここ1年、ばたばたしてて絵を描く時間なんてろくろく取れなかったし、今年なんて、家族の分の年賀状を作るのに精一杯で、自分の描きたいものを描けてなかったから、なかなか線が固まらなくて、ちょこっともどかしかったけれど。
ただ、描いてるだけで楽しくて、絵を描いてさえいれば満足できた頃の気持ちを思い出したような気がして、それが嬉しかったんだ。

そう言えば。

一昨年の夏。
竜樹さんが一旦、退院して実家に戻ってた時、「暑中見舞いを出したいから、カットを描いてプリントゴッコで葉書をつくってくれへんか?」って言ってくれて。

でも、時間があまり取れないから、竜樹さんの家にわずかばかりの画材を持っていって、版下を作るところまで竜樹さんの目の前でやったんだ。


リクエストは、手塚治虫記念館で買ったブラックジャックのテレカのイラスト。

一回も描いたことのないタイプの絵を自分流になおしなおし描いて、ペンを入れて、トーンも貼って。
トレス台もないのに、色版分けるところまで、必死になって作った。


それを見てた竜樹さんが、すんごい誉めてくれたのが嬉しかったんだ。

「毎年、年賀状で霄の描いてたイラスト見てたけど、こうやって作っててんなぁ。
短い時間でこれだけのこと、ようやるなぁ(*^_^*)」


同じ絵を描いてる人から見たら、きっと大したことのない絵なんだろうけれど。
竜樹さんがそう言ってくれるだけで、すんごい嬉しくてすんごい頑張った気がする。

家に帰ってから、版を焼いて、インクこねて色を作って印刷して。
後日、出来上がった葉書を見て、とても竜樹さんが喜んでくれたから、その笑顔ひとつで
家に帰って殆ど自分の時間が取れない状態で作ってたことが無駄じゃなかったんだと思えて満足してたんだ。


…まるで、今の私が竜樹さんが誉めるのをいいことに、週末になると出張おさんどんに励むのに似てる気がするけれど(-_-;)


夢中になるのも頑張るのも、ほんの些細な一言から。
何気ない一言って本当に思わぬ効果があるもので、いろんなことを頑張りぬくだけの力になることもあれば、奈落の底に叩き落されることもある。
そんな力を持つのは、きっと竜樹さんの言葉だけじゃなくて、周りにいる大切な人たちから貰う言葉もそうなんだろうって思うけど。


竜樹さんが学校に通いだすようになるまでは、殆ど叱責の連続だったから、何をするのも萎縮してしまってたけれど。
竜樹さんの心に少し余裕が戻ってきて、何気ない言葉ひとつで頑張れる私にまたちらほら出逢えるようになって。
些細な言葉の威力に驚くことの多い今日この頃。


まだまだ、足りないことはあるんだろうけど。
竜樹さんの言葉を糧にして、いろんなことを頑張っていけたらいいな。
大切な人たちの嬉しい言葉も糧にして、機嫌よく生きていけたらいいな。


そんなことを考えながら描いたイラストの表情が、気のせいか少しだけ穏やかに見えたのは気のせいだろうか?

久しぶりに絵を描く感覚を思い出したこと。
私が機嫌よく歩いていける言葉や出来事を思い出したことが、何気に生きてるのか。
筆致は今ひとつだけど、久しぶりに描いた割にはいい表情してんじゃないか?


…色をつけたらどうなるか、判んないけどね(^^ゞ


今回はボーナスで買ったソフトを使って色をつけたかったから、自分の手で描くのはここでおしまい。
何となく、自分の手で最後まで色をつけた方が上手くいく上に時間がかからないで済むような気がするけれど。
新しいことをはじめて、そこからまた竜樹さんに提供できる話題を増やして。
些細な言葉で調子付きながら(笑)、二人で共有できる時間を増やしたいと願ってる。


…また、あの驚いたような笑顔から力が湧いてくるような言葉をもらえたらいいな(*^_^*)


描きあげたイラストを見て一昨年の夏のことを思い出して。
今日の疲れが少し飛んだ気がする。


明日はどんな一日だろう?
私自身の中から頑張ろうって気持ちを引き出してくれるような、ささやかな言葉に出会えますように。
そんな誰かに出逢えますように。


暖かな心を受け取って、機嫌よく歩いていく私に出逢えますように。


またしても起きたのは11時ごろ。
いつもみたいに部屋が蒸し暑くならないので、すやすや眠ってしまってた。

「今日、本当にプールになんて行くのかな?」

今日、台風がこちらの地方を直撃するとあちらこちらで聞いているから。

…きっと叶わないんだろうねぇ

そう思って、窓を開けて空を見上げると…

どういう訳か、天気がいい(゜o゜)

慌てて竜樹さんに電話をするけれど、竜樹さんは出なかったから。

「…これは中止ってだよね?」

そう思って、落雷食らってモデムが壊れたへっぽこVAIOくんを病院に送り出す準備を始める。

それでも、竜樹さんが帰りの車の中で「プール、プール」と連呼していたことが気になって、暫くするとまた電話する。
すると出てきた竜樹さん。

「台風来るとか言う割には、よう晴れてるなぁ。
何処に行くかは全然考えてないけど、プールの用意をしてこっちにおいで?」

…(*^_^*)!

電話を切って慌てて用意を始める。

そんな私に両親は「…あんた、また出かけるの?」と呆れ顔。
それを尻目に、大急ぎで家を飛び出した。


歩きながら竜樹さんに電話すると、竜樹さんの家に行く途中の駅で待ってるとのこと。

多分、移動しなおす時間がもったいないからだろう。
はりきって、坂道を駆け降りる。
勢いよく走りすぎたせいか、右足の指に大きな靴擦れを作ってしまった(T_T)
それでも、念願の(?)プールデートが嬉しくて、ホームに滑り込んできた電車に飛び乗った。


待ち合わせの駅で降りて、駅の近くの本屋さんに入る。

「本屋さんにいてます」

そうメールを送って暫くすると、携帯が鳴る。
外に出ると、元気そうな竜樹さんがいた。


車に乗って、駐車場で何処のプールに行くか話し合う。
去年行ったプールでとてもいいところがあったけれど、ちょっと行くのにひと苦労な場所。
時計を見ると、14時をまわっている。
諦めて、遊園地のプールに行く。

…さりとて、その遊園地のプールですら行くルートを覚えていなくて、地図と格闘。
なんとか遊園地のプールに辿り着いた。

けれど。

このプールの営業は17時で終了。
辿り着いたのは15時ちょっと過ぎ。

「…え?苦労してやってきて、2時間しか泳げへんの?」

二人して唖然としたけれど。
迷ってる時間はない。
兼ねてより「行こうね(*^_^*)」と話し合ってきた、プールは目の前にあるのだから。
迷うことなく、プールに入る。
あと2時間しかいられないということで、入場料が安くなってたのは救いだったけれど…(^^ゞ


ロッカールームの前で別れて、着替えに入る。
思ったよりも込んでいなかったのか、着替えに苦労することはなかった。
白地にブルーの熱帯植物のプリントの入ったセパレーツの水着+ロングパレオ。

「とりあえず、買った水着が無駄にならなくてよかった」

そう思って、竜樹さんの待つところに行くと。
竜樹さんは私のことをじっと見てる。

「俺の好きなタイプの柄やぁ。よう似合ってる(*^_^*)」

やっと出てきた言葉に、嬉しいよりも先にうつむいてしまった。


台風が接近してるというだけあって風は強いけれど、雲の少ない青空からは太陽の日差しが照りつける。

「…ちょっと暑いし、泳ごっか?」

サンダルやタオルを置いて、竜樹さんに手を引かれてプールに入る。

…\(◎o◎)/!

びっくりするほど、水温が低い。

「何でこんなに冷たいん?こんな時間やのに〜!」
「気温も思ったより高くないから、水温も上がらへんかってんわ」

そう言いながら、どんどん深いところまで連れて行かれる。

「やぁぁぁぁん、冷たすぎる〜〜〜\(◎o◎)/!」
「でも、このままあがったら風も強いし、もっと寒いでぇ?」

…観念して、水の中に身を浸した。


暫く、水の中を歩いたり、泳いだりする。
そのうち、プールの向こうから大きな波が送り出されてきて、波にあわせて飛んだり、波が出てくるほうに向かって二人で移動したりしてた。

ふいに。

「…霄ぁ、背中痛ぁい」

そう言って、よっかかかってくる竜樹さん。

すると。

どういう訳か、私が竜樹さんを「お姫様抱っこ」する羽目になってしまった(^^ゞ

「『お姫様抱っこ』は普通、竜樹さんが私にしてくれるもんとちゃうのん?」
「…何言ってんねん?俺はちゃんと運転して連れてきてんから、それくらいせぇやぁ(笑)」

…まさか遊園地のプールで、マミちゃんのようなことをする羽目になるとは思いもしなかった(笑)

「おんなじ『お姫様抱っこ』するなら、もっと可愛い女の子の方がいいよぉ…」

そう言ったら、きっと逆に抱き上げられていきなり水の中に落とされることになるのは目に見えていたから、言わないでおいたけれど…(笑)

ブーイングした甲斐あって、私もしてもらえたんだ。「お姫様抱っこ」(*^_^*)


ロッカールームはそう込み合ってなかったけれど、プールの中はそれなりにたくさんの人がいて。
特に子供さんが多いから、注意してないとまともに泳いでくる子供さんに身体を蹴られる羽目になる。
そんな子供さんを避け避け移動していると、竜樹さんとはぐれてしまったりするけれど。
不思議と、慌ててあたりを見渡してる私を決まって竜樹さんが見つけてくれるのが嬉しかった。

竜樹さんのゴーグル借りて、○年ぶりに真剣に泳いでみたけれど。
昔割と綺麗なフォームで泳げていたはずのクロールは息継ぎの時にバランスを崩してしまうのが、ちとショックだった(笑)

水温は低い、子供さんは多い、いられる時間は短い。

今ひとつな条件は重なったけれど、私たちの許にすべりこんできたつかの間の夏休みは、
とても楽しいものだった。


プールを出たあと、竜樹さんの地元に戻り、パスタを食べたあと喫茶店でお話して今日は解散。
本当は、プールの後竜樹さんちでご飯を作ってもよかったし、もう少し一緒にいたかった気もしたけれど。
私は明日から出勤。竜樹さんは竜樹さんでしないといけないこと目白押しだし。

「…これはこれで仕方ないかぁ」

竜樹さんと別れて、ホームにすべりこんできた電車に乗る。


もう今年はやってこないだろうと思っていた、二人の夏休み。
楽しみにしていたこと、一つ叶ってよかったね。竜樹さん。
お外に出かけるばかりが能じゃないけれど。
何処にいても、二人で楽しい時間をたくさん持てたらいいね。


昨日寝るのが遅くなったせいか、目が覚めたら11時。
慌てて飛び起きてリビングに降りると、母と話し込んでしまって、時計を見たら12時(゜o゜)
慌てて竜樹さんに電話すると、竜樹さんは食事中だったようで。

「今日はまだ体調が万全じゃないから、プールは明日にしよっか?家を出る前にもう一度、電話して」

あっけなく会話は終わる。
そうして出かける用意を始めるけれど。
母に「あんた、また出かけるん?」と言われて、何となく「何もしないまま家を出るのはいけないかな?」と思って、昼食を作ってから出ることに。
ちょっと手をかけた冷麺を作り、シャワーを浴びてはっと時計を見ると14時半(>_<)
慌てて家を飛び出した。


…今日の夕飯は何にしようかな?

確か、ナスがあと5本残ってたはず。
ピーマンも2袋、キャベツも丸まま1個残ってたはず。
そういや…

考え出すときりがない。
とりあえず電車に乗る前にスーパーに寄って、木しゃもじとペットボトルのお茶を購入。
あとは移動中の時間に考えることにする。


竜樹さんちの最寄の駅で降り、スーパーで食材を購入して、発車間際のバスに飛び乗る。
今日の夕飯像は頭の中にあるけれど、何となく纏まらない。
バスを降りて、竜樹さんに電話一つ入れて、竜樹さんちに入る。

「暑い中をようこそ(*^_^*)」

竜樹さんは満面の笑みで迎えてくれた。
竜樹さんちにあがると、(流し場を除いて)部屋中がキレイに片付いていてびっくり。

「徹夜で頑張って片付けたらなぁ、気分がよくなったみたいで今日はちょっと体調がマシやねん(*^_^*)」

満面の笑みを持って言う竜樹さんの顔をびっくり目(多分)で見つめる私。
更に、竜樹さんは続ける。

「1階が暑すぎるから、クーラー買ってんやん?で、18時に工事屋が来るねん(*^_^*)」


…はぁぁぁぁぁぁ?(゜o゜)


「それじゃあ、工事屋さんが帰るまで夕飯作れへんやんか?」
「そうやなぁ。工事屋帰るまでゆっくり休んでたらええやん?(*^_^*)」


…そんなことは、もっと早く言ってよねぇぇぇぇぇぇぇっヽ(`⌒´)ノ

「そうしたら、あまり時間のかからなさげなメニューを考えたってば。
だいたい、何でいつも間際になるまで黙ってるのさ?竜樹さん?」

そんな言葉は舌の先まで出かかっていたけれど。

…こんなん、別に今に始まったこっちゃないわ(-_-;)

諦めてがっくりこっくりきてる私を尻目に、竜樹さんは「2階で涼もう(*^_^*)」と私を強制連行。


2階でとりとめのない話をしていたけれど。
昨日の会社の愚痴を竜樹さんに溢してしまった。
さすがに申し訳なく思って、「ごめんね。嫌な話をして…」と謝ったら、竜樹さん、にっこり笑って。

「(霄に)触らせてくれたら、許したるわ(*^_^*)」

何気なくじゃれあう時間が始まる。
今日のじゃれあいっこはどこかちょっといじめっ子入ってて、かなり戸惑ったけれど。
いじめっ子入る中に微妙に色を挿す暖かさにいろんなものを預けてしまううちに、嵐の様な時間は過ぎた。


程なく、工事屋さんはやってきた。
工事屋さんと竜樹さんが1階をちょろちょろしてる間、私は流しで洗い物をする。
山のようにあった洗い物を片付けて乾燥機に放り込むのを繰り返したあと、うろうろする工事屋さんと竜樹さんの目まぐるしい動きを見てると疲れてしまって、2階に避難した。
そこで1時間ほど休憩してたけれど、工事屋さんはちっとも帰る気配を見せない。

…こんな調子でぼけっとしてたら、確実に「午前様」街道まっしぐらやんかぁぁぁぁっヽ(`⌒´)ノ

痺れを切らして1階に降り、お構いなしに夕飯作りを始める。


今日のメニューは、お友達から教えてもらったナスといんげんの味噌和え(byチャイさん)と「目指せ!タコと夏野菜の煮込み地中海風(爆)」と豆腐サラダ。

「ナスといんげんの味噌和え」は、炒めたナスと茹でたいんげんを甘味噌で炒ったら完成。
手早くできて、とても美味しい。お酒にもあいそう(*^_^*)

「タコと夏野菜の煮込み地中海風」。

これは、金岡創作料理のはしくれ(笑)
「冷凍のタコが残ってるけれど使い道に困ってる」と言う竜樹さんの言葉を受けて、金岡なりに頭を捻って考えたもの(←かなり大袈裟)

にんじんとタマネギ、ズッキーニとナスとピーマン、そしてタコを塩、こしょう、ガーリックをふって炒めたものを鍋に入れ、ホールトマトの缶詰と少々の水、鶏がらスープ(コンソメがなかったから(^^ゞ)で煮るというもの。

豆腐サラダは、レタスと角切りにした豆腐とくし型に切ったトマトを盛り付け、大根おろしを入れたノンオイル中華ドレッシングをかけたもの。

工事屋さんが来てばたばたしてる割には早くできたと思うけれど、心なしか疲れてしまった。


工事屋さんが帰って、「さぁ、ご飯を食べようか」っていう段になって、竜樹さんのご両親がやってきて「夕食を食べに行かない?」とお誘いが(゜o゜)
しかも、私が来る前にそんな話をしてたというのに、またもや竜樹さん黙ってた(-_-メ)

「霄が作ってくれたから、俺、家で食べるし」

竜樹さんはそう言うけれど、ご両親、食べずに工事屋さんが帰るのを待ってたそう(>_<)

…竜樹さん、いい加減に直前まで黙ってるのはよしにしませんか?

またもや舌の先まで出かかった言葉を飲み込んだ。


そうしてご飯を食べ始めたけれど。
「霄、美味いで!」とぱくぱく食べる竜樹さんを尻目に、食欲の出ない私。

「疲れてんねんなぁ。ちょっと横になり?」

そう言われて、隣の部屋で横になるけれど、クーラーが効き過ぎてるせいか何となく身体が落ち着かない。

「…霄、身体が冷えてるし、風呂に入っといで」

傍に来て、何気に身体に触れた竜樹さんに言われるまま、お風呂に入って身体を温める。
身体が温まって少し涼んでると、竜樹さんがじゃれついてくる。
変則的にまたじゃれあいが始まる。
延々と互いが互いを分け合う時間が続いていく。


今日はどことなく落ち着きのない一日のような気がする。

「…なぁんか、地図を持たずに旅をしてるみたいな一日やなぁ」

安堵の中に戻ってきた時、ふとそう思ったんだ。


人生を旅にたとえるってのは月並みっぽい気はするけれど。
私たち二人の道行きはいつでも平坦ではなくて。
予定してることが横道にそれたり、いきなり道が途絶えたり。
まともにまっすぐ歩けた時なんてあったんだろうか?
一日単位で見れば穏やかな時もあるけれど、グロスで眺めると紆余曲折の宝庫。

…昔は大嫌いだったんだけどね。こういうイレギュラー続きの人生は


慌しい一日の中で見えたこと。
二人が一緒に出る「旅」には地図がないのかもしれない。
地図のない旅のような毎日を繰り広げて、一体どんなところに辿り着けるのか?


二人で確かめられたらいいね。
二人で地図のない旅を続けられたらいいね。


涙が還る場所

2001年8月16日
涙が止まらない。

竜樹さんに背を向けてそろっと鼻をかんでると、「…霄ぁ、どうしたんやぁ?」って竜樹さんは頬をなでて問い掛けてくれたけど。
「いやぁ、疲れ目で涙止まらなくてさ、鼻にもきたみたい」って答えると、「そっかぁ…」と言って、竜樹さんはまた眠りに戻る。


涙の訳は何となく判っていたけれど。
何となくでも「判っていた」から、そっと竜樹さんから離れて起き上がり、彼が目を覚まさないことを確認して、食卓にある食器を1階の流しに持って降ろす。
そのまま、洗い物を片付け始める。


竜樹さんの深い眠りを見るのは、本当に久しぶり。
眠りが浅い竜樹さんは、旅に出たときや背中が酷く痛む時は薬を使って眠る。
だから、薬を飲んでいない状態で深く眠っているのを見るのは本当に久しぶりのこと
お薬を使わないで眠るということは、彼にとっていいことだって思ってる。
ちゃんと眠れてるってこと自体に感謝してるし、彼の寝顔も大好き。


だけど。


彼の深い眠りが私の中にある記憶を揺さぶり続ける。
そして、小さな予見を持つ私の心を揺さぶり続ける。


涙は留まるところを知らない。


…しょうもない感傷に浸ってられるほど、余裕あんのかよ?


心の底から小さな声がする。
それはやばいくらいしんどい時にだけ、自分を維持するために表に出す強気の霄の声。
常に私の「左側」にいる私。

一番大変だった時期に私自身を支え続けていた自分自身の言葉が、今の私の心には痛い。
それは正しいことだから。
今の私に客観的な意味を持たない涙を流してられるだけの余裕なんてあるはずもないんだってことは判りきってる。


けれど。


私の心に眠っているかつての記憶を竜樹さんは覚えているだろうか?
竜樹さんの体調が今以上に悪かった頃の竜樹さんの言動や二人を取り巻いていた状況。
そして、私自身が竜樹さんの肩越しに見つめてしまった小さな川があったことを。
竜樹さんは覚えていたり、気付いていたりするんだろうか?
今もなお私の見せる笑顔の裏側に、小さな予見に抗うことも従うこともできずに蹲ってしまいそうな気持ちを隠し持っていることを竜樹さんは知っているのだろうか?

そのすべてを知っていてもらいたいような気がしてた時もあったけれど。
でも絶対に覚えていてもらいたくないし、知ってもらいたくもないこと。

だから。

また笑顔の裏に封印するんだ。
不意に顔を出す、小さな予見と忘れることのない記憶に苛まれて流す涙を。
竜樹さんに知られないように。
そんな鈍色の予見と記憶の産物に私自身が押し潰されないように。


「せめて、竜樹氏の前では笑おうぜ?
ヤツは涙に過剰に反応すんねんから」


「左側」が最後に囁いた言葉を口に出した時には、涙は止まっていた。
私の心から落ちた涙は何処へ還っていったんだろう?
「左側」が引き受けてくれたんだろうか?
それともただ物理的に瞳から溢すだけの水分が尽きたのか?
よく判らないけれど。


こうして、長い間竜樹さんと歩いていくとき何気に弱る私を支えてきた強気な私。
また私は「強気の霄」に涙一つ押し付けて、何食わぬ顔して歩いていくんだ。
竜樹さんと一緒に歩いていくんだ。


いつか涙を強気の部分に預けなくても済むくらいに、自分で自分をコントロールできたなら。
竜樹さんが頼るに足りるだけの人間になれるんだろうか?
肝心なところで何の役にも立たない私が、ちょっとは役に立てる日が来るんだろうか?

「…他力に頼るってなぁ、私らしくないね」

すべての洗い物を乾燥機に放り込む頃には、自然とそんな言葉が飛び出した。


涙は自分自身に還っていったんだと確認できた。


片付け物が済んで目の赤みが引いた頃、そっと2階に上がる。
竜樹さんの近くでこそっと服を着替え、ちょこんと座って竜樹さんの寝顔を眺める。


「…霄ぁ、今、何時ぃ?」
「もう23時まわったよ」
「…そろそろ送っていかなアカンなぁ」

そう言って竜樹さんは用意を始める。
1階に降りたり戻ってきたりを繰り返して、竜樹さんも用意を済ませる。


「俺が寝てる間に、片付けてくれてんなぁ。ありがとな(*^_^*)」

まだ頭がひよこみたいな状態でほにゃっと笑いかけてくれる竜樹さんが愛しくて。

「お疲れぇ〜」

そう言って、竜樹さんを軽く抱き締める。

「霄もお疲れぇ〜」

そう言って竜樹さんも抱き締め返してくれる。
互いにちょっと見つめあって、軽いキス。
なんかそれだけで気持ちが安らいだ気がした。


送ってもらう車の中でも、ちょこちょこと話をするけれど。
どことなく空気が暖かくてほっとする。
その空気は私の中に眠る鈍色の記憶と予見を包んでいくような気がして。
本当に安心できた気がしたんだ。


「連休中ずっと竜樹さんちに泊まる段取り組んで、6日間毎度毎度ご飯を作り続けてもよかったね。
…あ、でも6日間べったり一緒やったらどっかで大ゲンカ繰り広げてたかなぁ」

そう言う私に。

「…いやぁ、6日間ずっと一緒におってもケンカにはならへんって思うけどさ。
毎食毎食、あの暑い台所でご飯を作り続けてたら霄が倒れてまうで。
もっと涼しくなってからにするか、どっかでかけるときに一緒におったらええんちゃうか?」

と竜樹さん。

竜樹さんから飛び出す言葉が建設的で、それ一つでまた嬉しくなる。
やがて暖かな時は終わりを迎えるけれど。
ヘンに泣きそうになったり、寂しい思いをしたりせずに笑顔で別れられたんだ。


…逢いたくなったら、また逢いに行けばいいんだから。
傍にいたければ、傍に行けばいいんだから。

不思議とそんな気持ちになれたんだ。


嫌な感情と立ち向かわないといけない現実。
そのすべてを、自分の中に眠るもう一人の自分に預けるのはどうかと思うけれど。
後ろ暗いものを引き受けて、歩く力に変えていくのもまた他でもない私自身だから。
涙の還り行く場所は他でもない「私自身」なんだから。


けれど、いつか。

私の中の涙が還り行く場所に、還す涙が減りますように。
還す涙が減った分だけ、竜樹さんに偽りない笑顔を送り出せるように。
竜樹さん自身の笑顔を守れる力を持てますように。


何に祈るわけでもなく、そう思ったんだ。


昨日何故か寝つきが悪くて、目が覚めると11時近かった。
慌てて飛び起きて、竜樹さんに電話をした。
出てきた竜樹さんはちょっとしんどそうだけれど、はっきりした口調で話し掛けてくれた。
よくよく話を聞いてると、なんか昨日は一日片付けものでばたばたしてたみたい。
言いたいことはあったけれど…

「じゃぁ、これから行くね」
「うん。出れる時間に出てきてくれたらいいからな」

そう言って、電話を切った。


外は相変わらず暑くて、倒れそう。
おまけに今日は竜樹さんの家に行くまでにいくつか用事を済ませないといけないことがあって、電車に乗る前にも奔走。電車を降りても奔走。
「ナス消化メニュー」に足りない食材の買出しに行く頃にはちょっと疲れてきてたみたいで。
食材を選ぶのにも迷ってしまって、いつもよりも時間がかかった。

バスに乗り、竜樹さんの家に着いたのは17時少し前だった。
竜樹さんはすでによれっとしていた(-_-;)


何でも片付けを始めたのは2階から1階に寝室を変えようと思ったからだそうで。
2階は、1階と違ってクーラーがあって確かに過ごしやすいけれど、背中が本当に痛くなって動けなくなると、すべてのものが1階にある今の状態では非常に不便だということになって、「荷物大移動大会」を繰り広げたのだとか(>_<)

「…何で、昨日言ってくれなかったんですか?ヽ(`⌒´)ノ」
そう言ってむくれる私に、
「昨日、やり始めたのが夕方やったから出てきてもらうのは悪かったし、来てもらってもすぐに帰らへんかったらまたおうちの人が『午前様、午前様』って言うやろ?」
と竜樹さん。

…そりゃ、そうなんだけどさヽ(`⌒´)ノ

事実は事実として受け入れはするけどさ、ちったあ頼りにしてくれたってええんちゃうのん?

出かかった言葉をまた一つ飲み込んだ。
家から持ってきたTシャツに着替えてご飯を作りを始める。


今日のメニューは麻婆茄子と豆腐サラダ。

麻婆茄子はニンジンとピーマンとナスを炒めて一度器に移し変え、ひき肉を炒めて色が変わったら炒めた野菜をフライパンに移し変え、あわせておいた調味料を回しかけてなじませて完成。
非常に簡単なメニュー。
ついでに、豆腐サラダもまた簡単だった。

あまりに手が凝ってないものだから、「手抜きでごめんね(>人<)」と謝り倒したんだけど(笑)
竜樹さんは既に出来上がりの匂いだけで、機嫌がよかった。


やっぱり熱気漂う(笑)1階で夕食を取るのはキツいということで、クーラーのある2階へ夕飯を持って移動。


二人とも熱気負けしたのか、暫く涼まないと夕飯が食べられない状態だった。
1階から敷布団を持って上がってきて、ぐでっと横になる竜樹さんと私。
そのうち竜樹さんはむくっと起き上がって食卓のある隣の部屋に移り、
「ご飯食べるわなぁ」とひと声かけて、ご飯を食べ始める。
私も何となく起き上がってご飯を食べ始めた。


随分、手抜き料理だったにもかかわらず、竜樹さんは「今日のも美味しい(*^_^*)」と言って、喜んで食べてくれた。
私はその笑顔を見て、ほっとする。
暫くすると、「ご飯が足りない」と言って、2膳目のご飯を食べ始める。
「今日のもよく食が進むねん(*^_^*)」と言って、2膳目のご飯を食べ終え、3度目のご飯をつぐかどうか迷ってる。

「これ以上食べたら動けなくなるの、わかってんねんけどなぁ…」

にこにこ迷い迷いそう言う竜樹さんに私の食べてる2膳目のお茶碗を差し出すと、ひと口分だけご飯を食べ、麻婆茄子も豆腐サラダもキレイに食べ終えた。
ついでに、箸休めのかつお梅とアサリのしぐれ煮もキレイに食べてあった(゜o゜)

…まぁ、こんだけ食べてくれたら、夏バテの進行は食い止められるだろう

本当にあんまり一度にたくさん食べられない竜樹さんの異様なる(笑)食べっぷりに唖然としながらも、ほっとした。


暫くすると、いつものように横になる竜樹さん。
傍で、ちょこなんと座ってる私。
いつものように触れる竜樹さん。
だけど、いつもと違うのは…

…竜樹さん、そのまま熟睡モードに入ってしまったのだ(^^ゞ


「…そう言えば、徹夜で片付けしたって言ってたもんなぁ」


暫く、竜樹さんの隣で私も横になっていた。
繋いでる手が時々痺れてきて身体を動かすと、私の身体が竜樹さんの身体に当たって彼が目を覚ます。
それを何度か繰り返し、「悪いなぁ…」と思ってそぉっと手を離してみると、いつもならそれだけで目を覚ます竜樹さんはそのまま眠り続けてる。
静かな寝息を立てる竜樹さんの寝顔を見つめ続ける。


…いつまでも、こんな風に竜樹さんの寝顔を見つめていられたらいいな


…こんな風に幸せそうな眠りを、私から竜樹さんに送り届けてあげれたらいいな


そんな風に思って竜樹さんの寝顔を眺めていた。
悲しい気持ちはそこには微塵もなかったはずなのに。
愛しい気持ちだけがそこにあったはずなのに。


…何故だか、涙が出てきた


******************************************************


字数内で最後まで書けそうにありませんので、16日の日記に続きます。



ちょっとした発見

2001年8月14日
今日も部屋の蒸し暑さで目が覚める。

…今日はどうするのかな?

昨日、竜樹さんちの冷蔵庫の中を見てたとき、ナスの在庫が多かったことに気付いたから、できたら今日はナスを消化できたらと思っていた。
けれど、何度電話しても竜樹さんは電話に出ないので、今日は諦めることにした。


…連日来られても疲れるだろうしね、竜樹さんも(^^ゞ


そう思ったので、相変わらずパソコンをいじったりゲームをしたり、昼食を作ったりして過ごした。


…そう言えば、ナスの料理って何があったかな?


麻婆茄子や田楽、揚げびたしやベーコン茄子のパスタに夏野菜カレー。
茄子を使った料理は結構思いつくけれど。
「たまには違った食べ方がないかなぁ」と、ネット散歩のついでにレシピを探してみたりする。
探してみるとナスのメニューはいろいろあるけれど、いざとなるとやれオーブンがない、あれがないと調理器具の不足で見送るメニューが多いことに気付く。


…竜樹さんちと私の家とじゃ勝手だって違うもんなぁ(-_-;)


竜樹さんは一人暮らしだし、料理にばかり力を入れてるわけじゃないから、コンロは一つしかない。
電子レンジはあるけれど、オーブンはついていないし(>_<)
炒め物するときでも、私は木しゃもじ愛好家(笑)だけど、竜樹さんはフライ返しで片付けるし。
環境も違えば、やり方が違うのも当たり前。


…とりあえず、竜樹さんちに入ったら竜樹さんちにあるもので片付けることを考えよう


そう思って目新しい料理を探すのをやめ、竜樹さんちで作れる料理を考えることにした。
あーだこーだ考えてるうちに、夕方になり夜になる。
気がつくと、済ませなければならない作業なんて少しも片付いていない(>_<)


…何やってんだろう?無駄な時間の過ごし方をして…

いつもならそう思うんだけれど。
少なくとも、竜樹さんの喜ぶ姿を思って何かを考えることは私自身の機嫌を少しばかりかよくするので。
「それはそれでいいのかな?」って思ってる。
今までの自分を振り返ってみてもそんなことは一度もなかったので、そんな女の子らしい考え方をする自分がいるなんて思いもしなかったんだ。


連休が始まって、初めて竜樹さんちにご飯を作りに行ってからずっと。
この連休が終わるまで、ずっと竜樹さんの家にいてご飯を作り続けようかと考えていた。
私は竜樹さんが本当にしんどくなった時には何の役にも立たないけれど、傍にいさえすれば簡単な雑用は手伝えるから。

連休前に段取りつけて、竜樹さんの傍にいられるようにすればよかったなって思う。


…今頃気がついてそう思ってみても仕方がないことはよく判ってるんだけどね。


連休が始まる前は私のご飯作りが竜樹さんに喜んでもらえるものだとは思っていなかったから、自分からそれを切り出さなかったし、竜樹さんも何も言わなかった。
それに私自身、しないといけないことが山積だったから、竜樹さんのご飯作りのために彼の家にずっと滞在することは考えないようにしてた。
けれど。
あんな風に喜んでくれる竜樹さんを見ると「頑張ろう」っていう気にもなるし、いろいろしてあげられたらって気持ちにもなる。

そんな自分自身を眺めていると、もしかして家庭的なことにそれほど抵抗はなかったのかな?なんてヘンな気分になったりする。


それまで、自分がやりたいと思うことがあって、それ以外のことはすべて煩わしいものだと思ってたみたいなところがあるから、こんな気分になる自分に少し戸惑ったりはするんだけど。
いろんなことを振り返って考えても、やっぱり今は竜樹さんに喜んでもらえることをしたいって自分だけがひょこっと顔を出してる感じがする。


…意外と私は料理をしたり、片付けをしたりするのは嫌いじゃなかったのかな?


こんなことを考えるのは、たまにしか家事をしないからなのか、それともこの異常なる暑さで頭をやられてしまったからなのか、よく判らないけれど…(笑)


「明日の夕飯はナスの消化メニューを考えて、できるだけ竜樹さんに喜んでもらえるように頑張ろう!!」

そう思って、シャワーを浴びて眠る用意をする。


…明日も、竜樹さんが喜んでくれるような食事が作れますように


小さく祈りながら、横になる。


竜樹さんと出逢って、それまでの自分からは想像もつかないくらい長い時間二人で歩いてきて。
「見知らぬ自分」にたくさん出逢えた気がする。
そんな小さな発見の機会を与えてくれたのは竜樹さん。
「見知らぬ自分」に出逢える機会を作ってくれた竜樹さんが少しでも喜んでくれるなら、いろいろ頑張ってみようっていう気になるんだ。


本当はまだ私の心には厚い雲が立ち込めていて、理由もなく落ち込んだり人を見て僻んだり、壁と戦いたい衝動に駆られたりするけれど。


私の中から新しい私を連れてきてくれる竜樹さんに。
私の心の底に眠る、ささやかなる暖かな気持ちで何かをしてあげれたら。
彼自身を包んであげれたら。
竜樹さんは幸せな気分で満たされてくれるだろうか?
彼の身の回りや心の底に潜む大きな後ろ暗さに捕まらないでいてくれるだろうか?
そして私自身もまた、竜樹さんの笑顔一つ受け取って、幸せな気分で充たされていくのだろうか?
あらゆる後ろぐらい感情や現実と上手に付き合っていけるのだろうか?

それはまだ判らないけれど。


笑顔溢れる「明日」でありますように。

笑顔溢れる二人でいられますように。


昨日の夕方頃から、原因不明の背中痛に襲われた。
横になっているのも辛かったけれど、身体を起こしているのはもっと辛かったから、横になって背中の痛みと格闘してるうちに寝入ってしまい、たくさんの寝汗で目が覚めた。

「…今日はどうしようかなぁ?」

私自身が本調子じゃないので迷い迷い電話をすると、電話に出た竜樹さんもまたとても調子が悪そう。
それでも、帰省していた弟さんを空港へ送った後なら逢えるからおいでという言葉を受けて用意を始める。
いざ出かけようとしたとき、父から飛んできた言葉にカチンとくる。

…確かに、午前様続きじゃご近所さんにカッコ悪いってなぁわかるけどね

ムッとした気持ち一つ抱えて、家を飛び出した。


家を出て暫くすると、スコールのような雨。
傘を持っていない私は、濡れながら駅を目指した。
突発的にやってきた強い雨は、電車に乗る頃にはあがっていた。

電車を乗り継ぎ、竜樹さん家に向かうバスに乗る前に、またもや夕飯の買い物をする。
相変わらず、頭の中でメニューを繰り出しながら、食材をカゴに放り込む。

…今日も、竜樹さんが喜んで食べてくれるといいな(*^_^*)

レジを済ませて外に出ると、殆ど待たずにバスに乗れた。


竜樹さんの家に入ると、家の中は静まり返っていた。
竜樹さんの様子が気になって2階に上がると、竜樹さんはとても苦しそうにしてた(T_T)

「これから病院に行って、注射打ってこなアカンねんけどな…。車を運転するのもしんどいねん」

免許を持っていない私は、竜樹さんが一番しんどい時に役に立たない。

「…タクシー、呼ぼっか?」

恐る恐る聞く私に、竜樹さんは暫く何も答えることができない。

「…もう少しだけ、横になって様子見るわ…」

そう言って、竜樹さんは寝返りを打った。
何となく居たたまれない気持ちになって1階に降りた。


買った食材を片付け、流しに目をやると片付けが済んでいない食器がたくさん積んであった。
割とちゃんちゃん片付ける竜樹さんがここまでほりっ放しにしてることから、竜樹さんの調子がとても悪いことが判る。
もくもくと洗い物を始め、洗いあがった食器を食器乾燥機に押し込み2階に上がると、竜樹さんは起き上がって着替えていた。

「…これから頑張って医者に行ってくるわ。霄は家で待っててくれるかなぁ?」

竜樹さんが出かけるのを玄関まで見送り、夕飯の準備に取り掛かる。


今日のメニューは…タイトルがありません(笑)
金岡家で何度か出てきた、多分金岡母の創作料理。
ニンジンと白菜とタマネギを塩コショウで軽く炒め、むきエビを塩コショウで炒めたところに先に炒めてあった野菜をもどして一緒に炒めなおし、少しの水と鶏ガラスープの素で煮る。
最後に水溶き片栗で軽くとろみを付けて完成。

それと豆腐サラダ。
ドレッシングはおとつい買って来た中華ドレッシングに小口切りにした万能ねぎとみじん切りにしてカリっとする手前まで炒めたベーコンを放り込んだもの(笑)

作っている間に竜樹さんが戻ってきて、台所の隣の部屋で横になりながら私が料理をしてるのを見ていた。
じっと見られるのって恥ずかしいものだけど、作るのに夢中で見られてることを忘れていた(^^ゞ


よく冷えた2階にご飯をを持って上がる。
二人とも、動き回った後だったからすぐに食べることができず、暫くぼーっと涼んでいた。
そうしてるうちに夕飯は、ネコ舌な竜樹さんには丁度いい温度になっていた。

「いただきます(^人^)」

二人向かい合ってご飯を食べ出した。

「美味い!!上手にできてんなぁ、霄(*^_^*)」

竜樹さんのそんな笑顔が嬉しい。
こないだの簡単メニューの時も随分お褒め頂いたけれど、今日はさらに竜樹さんの機嫌がいい。

「冷めても美味いのは、ホンマに美味いってことやねんで?」
「豆腐サラダのドレッシングも美味い!!」

いつも一度にたくさんの量を食べられない竜樹さんが珍しく2膳目のご飯を食べ、山のようにあった中華風野菜シチュー(竜樹さん命名)はキレイになくなっていた。

…ご飯を作りに来てよかったぁ(*^_^*)

親に小言を言われても雨に降られても、それだけで満足できた。


いつものように、食事の後竜樹さんの部屋で横になる。
竜樹さんはやさしいけれど、少し強めに私を抱き締めてくれる。
長めのキスと優しく抱き締めてくれる腕だけで、幸せな気持ちになったけれど。
どこからともなく、何気なく。
二人はまたやりとりを始める。

…竜樹さん、大丈夫なのかな?

優しさの中に見える小さな激しさに戸惑いながら、そんなことを思ったりするけれど。
竜樹さんの起こす大きな波に飲み込まれては、もがき続ける。
そんな中にある小さな安心を受け取って、そんな時間に幕は下りる。


「…霄、ゆっくり休んだらええからな」

髪をなでる竜樹さんはそう言ってくれたけれど。
このままだと寝入ってしまって、再び午前様コースになってしまう。
それを繰り返してしまえば、本当に今度こそ両親とバトることになるのは目に見えてるから、身体を起こして意識を覚まそうとする。

「…今日、午前様やったらアカンねんもん。このままやったら寝ちゃうもん」

ダダっ子みたいな口調でぶつぶつ言ってる私を竜樹さんは優しく抱き締めてくれる。

「俺がちゃんと送ってってやるから、ちょっと休んどき?心配せんでええから」


その言葉をありがたく思いながら、竜樹さんの隣で少しだけ横になっていた。


…やっぱり竜樹さんの傍がいいよぉ

そんな風に思いながら、竜樹さんの傍でくっついていた。


やがて、帰る時間になり、車に乗る。
車の中で交わす会話の中にすら、垣間見られたのは。
私の気持ちの中の予見と竜樹さんの実際とにずれがあったとしても。
竜樹さんが私を大切に想ってくれてるだろうってこと。
もしかしたら、それが今日一番の収穫だったのかもしれない。


家に着き、私が家の中に入るのを確認するまで車を出そうとしない竜樹さんを愛しく思いながら、実感したこと。


「他に何もいらない 本当はわかっていたこと
             信じられる誰かの笑顔ひとつだけあれば」


いろんな困難を乗り越えてなお、竜樹さんの気持ちと自分自身の気持ちを疑わずにいられた理由があるとしたら。
本当にそんなシンプルな理由だったのかもしれない。

互いが互いの笑顔ひとつを必要として、何かを目指していった先に。
本人同士が、そのついでに周りが納得する「結果」を手に入れられたなら。
それがとてつもない幸せなのかもしれない。

…そんな風に思ったんだ。


新しい家族

2001年8月12日
今日も朝から蒸し暑かった。
昨日午前様やらかしてるし、竜樹さんも疲れてそうだったので、今日は一日オフ。


…買ったっきりほりっ放しにしてたソフトをインストールしたり、実際に動かしてみよう。

いろいろ「やります、やります」と掛け声の勢いだけはいいけど、実際に何もできてない有様だし、竜樹さんがいない時間も無駄なく過ごせるようにはなっておきたいから。
ソフトの箱を開けてはインストール開けてはインストールを繰り返し、タブレットを繋いだり設定したりして、過ごした。

パソコンの前での作業は熱地獄(>_<)
これだけで十分痩せられそうな感じ(笑)
それでも、いろいろやろうと悪戦苦闘するけれど。
使いこなすには時間がかかりそう。


熱地獄でへろへろになって息抜きにリビングにコーヒーを飲みに降りると、両親が出かける準備をしている。

「…どっかお出かけすんのん?」
「これから、犬を見に行こうと思ってるんだけど、霄も行く?」

以前から、「犬を飼いたい犬を飼いたい」と金岡両親は口にしていたけれど、父も母も私も飼いたい犬種がバラバラで、なかなか決まらなかった。
竜樹さんと出かけたとき、何軒かペットショップに寄ったことがあるから、道案内役として連れて行かれることになった(笑)


お盆休みのペットショップは、家族連れやカップルでいっぱい。


…以前、竜樹さんと来た時「犬を飼いたい」って言ったら、「二人で一緒に出かけられなくなるからなぁ…」とあまりいい返事もらえなかったなぁ

そんなことを思い返しながら、犬を眺めている。
父とは母めいめい気に入った犬の前に立って、じっと見つめているけれど。
いろんなことの折り合いがつかなくて、結局次の店に行くことになる。


2軒目の店にはバーニーズマウンテンドッグがいるというので、皆期待が募る。
実は行きつけの花屋さんの店先にバーニーズがいて、金岡ファミリーのお気に入りだったのだ。

…うちに来るのはバーニーズで決まりなのかなぁ?

そう思いながら店内に入りバーニーズの前に立つと…

店にいたバーニーズくんは暴れ回っていた(゜o゜)

この勢いで部屋中を遊びまわられたら家具が傷むどころか、既に飼っている4匹の猫がストレスでハゲてしまう(@_@;)

3人は顔を見合わせ、店を出ようとしたとき、

「どんな犬をお探しですか?」

と店員さんが声をかけてきた。
惑う父と私よりも先に金岡母、

「大きいプードルはいますか?」

と聞いていた。

…そんなん絶対おらへんやろう(^-^;

誰もがそう思っていたら、店員さんは一言。

「いますよ(*^_^*)」


…い゛ぃぃぃぃぃぃぃっ!?( ̄□ ̄;)!!


店員さんはさっさか店の奥に消え、黒っぽいグレーの大きいプードルの仔犬を抱えて戻ってきた。


おとなしくて可愛いプードルさんなんだけど、トリミングされてないせいで「本当にプードルさん?」って感じで、一瞬引いてしまった。
何でも犬がたくさん集まると咳が出るらしく、お医者さんに通って酸素吸入をしてるらしい。
だから、治療が済むまでは渡してはもらえないらしい。

「抱っこさせてもらえませんか?」

母がそう言って抱っこすると、ちょっと震えてはいるけれど抵抗もせず抱っこされてる。
母の肩越しにプードルさんごご対面。
顔を近づけると、鼻を近づけてご挨拶してくれるプードルさん。
プードルさん越しに見える父の顔は、満面の笑み。
母の姿は言うに及ばず(^-^;

…こりゃあ、飼うことになりそうだよなぁ


結果はその通りになった(≧▽≦)
咳が収まるまでペットショップに滞在となるけれど、金岡家にやってくるときにはワクチンを打って、ちゃんとトリミングもされてくるそう。

母は何度も店員さんにいろんなことを確認し、名残惜しそうにショップを後にした。
その後も大変。
やれしつけはどうするとか、名前はどうするとか。
金岡両親のはしゃぎようを見てると何処となく微笑ましく思うけれど。


…今度やってくる犬の一生を私は見届けることはないんだろうな

そんな風に思って両親を眺めていた。


多分、この家を出たらこの家には殆ど戻ってこないと思う。
妹と違って相当数のわだかまりを残したまま、この家を後にするだろうから。
多分、私が寄り付かない方が互いにとって都合がいいはずだから。

家を出てまで、竜樹さんとのことをがたがた言われたくもないし、妹一家の関係のことまで我慢し続けたくもないから。

そんなつまらないことで、互いの環境を不穏にする必要すらないだろうって思うから。
多分、この家を出たら家族とは疎遠になるだろうって思う。


…そんなふうにしたくはなかったけどね


あと1,2年でここを出ることになるということで今、話を進めているけれど。
私のつまらない意地が建設的な方向で崩れていくなら、それはそれでいいなとは思ってる。
けれど。
それは「赦す」ということの本質を知り、自分の中で体現できるかどうかにかかってる。


…「赦す」ということ。
両親とのこと、妹とのこと。そして、竜樹さんと出会ってから起こった様々な出来事やそれに纏わる人たちに対して。
そのすべてを「赦す」ということが、この家にいてる間に果たしてできることなんだろうか?
今はまだ判らないけれど。


これから新しい家族を迎え、残り少ない時間を過ごし。
つまらない意地を放棄するに足りるだけの度量を身につけ、周りの人たちと折り合いをつけ。
そして、「赦す」ということを体現できたなら。
私が「新しい家族」を連れて、この家に戻ってくることもできるのかもしれない。


…その「新しい家族」が竜樹さんであった時、あの人たちはどんな顔をすんねやろ?


昔ほどの抵抗はないだろうけれど、いい顔をされるわけでもないことは判りきってる。
その予見すら「赦せる」のだろうか?


新しい家族になるプードルさんと向き合って。
それまでいてる4匹の猫と両親と向き合って。
「赦す」ということを自分なりに身につけられるかどうか。


自分がしょってる課題を思うと頭が痛いけれど、今は純粋に新しい家族を迎えることを楽しみにしていよう。


…そこから始まる「何か」を楽しみにしていよう。



今日も朝から蒸し暑くて目が覚める。
アイスコーヒーを飲んで、一息ついて書き散らしっぱなしの日記の更新を済ませた。


今日から、ささやかなる夏休み。
いろいろとしないといけないことは山積だけど、できるなら竜樹さんと一杯逢えたらいいな(*^_^*)

そう思って、竜樹さんに電話をしたけれど、竜樹さんは出ない。

…これだけ暑い日が続けば、ばてるのも無理ないわ

そう思うと、さしてへこむこともなく用事に取り掛かれた。
暑さに負けてリビングで涼みながらペディキュアを塗り、乾くのを待つ間アンジェに取り掛かる(笑)


2時間ほどゲームをしてから、竜樹さんに電話した。
竜樹さんはこれからご両親と一緒にお墓参りに行くのだと言う。

…それやったら仕方ないなぁ。逢うのは明日やねぇ(-△-;)

そう思っていたら。

「17時頃には家に戻ってるから、17時目指してうちに来て」

また両親に怒られる路線だよなぁと思いながら、二つ返事で快諾。
夏休み中にしないといけない作業を片付けながら、用意を始める。

…今日はちょっと早めに家を出て食材買って、夕飯をご馳走するかぁ(*^_^*)


そう思うと俄かに元気が出てきて、「何を作ろうかなぁ?」とぶつぶつ考え始める。

「あまり手間がかからず美味しく食べてもらえるものって何かなぁ?」


おなかがすくと、早く食べたがる竜樹さんの様子を思い返しながら、ずっと考えていた。
いつものように、スーパーに飛び込んでから食材見て考えるか。
計画性のあるようでない私は行き当たりばったりメニューで料理を進めることにした。

…さぁて、どうなることやら(^^ゞ


シャワーを浴びて、着替えて家を出る。
夕方になってもまだ何処となく暑いけれど、先週買っていって好評だったシュークリームを片手に電車に乗る。


竜樹さんの最寄り駅に着き、餃子と豚饅を買って、バス停近くのスーパーに飛び込む。

…竜樹さんのことだから、夕飯を作る時間が長いともたないから、簡単に作れて美味しいものってないかな?


頭の中で献立をぶつぶつ繰り出しながら、食材をカゴに放り込んでいく。
両手に荷物をたくさん抱えて、バスに飛び乗る。
竜樹さんの家の近所のバス停で降りて、竜樹さんちに向かう。


家に入ると、あまりの静けさにちょっとびっくり。
食材を冷蔵庫に納め、2階に上がると竜樹さんが横になっていた。

「…暑い中、墓参りに行くのはきつかったわぁ」

起きにくそうにしてる竜樹さんの隣にちょこなんと座り話を聞く。
そのうち竜樹さんの甘えたモードに入って、ふたりでじゃれあっていたけれど。

「…霄ぁ、おなかすいたぁ」

そう言う竜樹さんに豚饅とシュークリームを渡したら、喜んで両方とも食べてしまった(゜o゜)
暫しの休憩のあと、台所の調理器具の在り処を教えてもらって夕飯作りに取り掛かった。


今日の夕飯は、豚しゃぶと買ってきた餃子。

本当はナスの煮びたしとか卵料理を入れて4品くらい作りたかったけれど、豚饅とシュークリーム各1個では足りなさそうにしてる竜樹さんを待たせるわけにはいかないから、とりあえずその2品で様子を見ることにした。

このところ二人で夕飯を作ってて密かに野菜不足な気がしてたから、レタスを皿の上に敷いてゆでた豚肉をのせ、トマトをくし型に切って盛り付ける。
豚しゃぶはあっさり食べたかったからノンオイルの中華ドレッシングに万能ねぎを刻んだものを放り込んだものをかけることにした。
所要時間は20分足らず。
おなかをすかした竜樹さんを待たせることなく、料理を作り終えた。

その間、竜樹さんはお茶の準備をしたり、2階の食卓を片付けたりしてたみたいで、すんなり夕飯を食べ始めることができた。

あまりたくさん食べられない竜樹さんにはこれくらいの量でちょうどよかったみたい。
簡単すぎる料理で申し訳なかったけれど、とても喜んで食べてもらえたのが嬉しかった。
冗談めかして、「これで竜樹さんが私の何処に惚れたの?って傍から聞かれても、『とりあえず食に不自由をさせられないから』って答えられるネタができたね?」と笑いかけると、
「俺はそんなひどい言い方、せぇへんでぇ」と笑い返してくれた。
竜樹さんの笑顔を見ると、しんどくても作った甲斐があったなぁと満足。


「…ちょっと横になるわぁ」

食べ終わって暫く話し込んだあと、竜樹さんは隣の部屋で横になった。
私は竜樹さんの近くにちょこなんと座る。

「…霄ぁ、おいで」

手を差し伸べてくれる竜樹さんの傍に寄ると、竜樹さんは抱き締めてくれた。
抱き締めてくれる腕の力加減が妙に心地いい感じがする。
長めのキスと抱き締め方に少し頭がぼーっしてくる。
いつもよりもゆっくりとそれが始まる。


互いが互いのすべてを分け合って。
そうすれば、すべての行き違いや上手くいかないことが埋め合わせられるわけではないけれど。
気持ちの中にあるどす黒い凶悪なる何かは治まっていくような気がする。

それ以前に。

一人でいると苛まれる不安や僻みや理由のない悲しさ自体から、開放されるような気がして。
戸惑いや言いようのない気持ちをどこかに置いていくのと引き換えに、竜樹さんから分け与えてもらったものをゆっくりと受け止める。

そんな風に、二人はやりとりを続けた。

竜樹さんの中にある、やり場のない気持ちは私から受け取ったなにかで少しは軽くなったんだろうか?
そう思ってるうちに、崩落と安堵の波に飲まれていった。

…気がついたら、眠ってしまっていた


目を覚ますと、隣には竜樹さんがいなくて。
ぼーっとする頭を一つ振って、隣の部屋を見に行ったけれどそこにも竜樹さんはいなくて。
少しばかりの不安に苛まれたけれど、階下から聞こえる物音で竜樹さんの存在が確認できた気がして。
意味もなく安心して、また眠ってしまった。

次に起きたら、0時15分前。
一気に気持ちが沈んでしまった。
家に電話をしてひとしきり謝り、ため息一つつく私を竜樹さんは家まで送ってくれた。
どこかまだ寝ぼけていて、言っていいことと悪いことの判断がつかないまま思い浮かぶ言葉を吐くだけの私を、竜樹さんはしんどいはずなのに、そのまま受け止めてくれた。

申し訳なく思う反面、そんな竜樹さんが暖かくて、とても愛しかった。


家に辿り着き、気持ちをたくさん残しながら泣く泣く降りて帰る私を、竜樹さんは私が家の中に入るまで見届けてくれた。

…ありがとう、竜樹さん

家に帰って、また怒られたけれど。
それでも、また私は懲りもせず竜樹さんのところに行くんだろうな。


いつかは、誰に咎められることなく竜樹さんと共にいられますように。

いつかは、竜樹さんとの暖かな時間を「ずっと」続くものにできますように。

何処に天井があるか判らない、漆黒の空に向かって小さく祈った。


昨晩、カードH〃のテストがてら久しぶりにメッセにあがってみた。
大好きなお友達がいたので、何となく話し掛けてしまった。
友達も予定がおしててその準備で大変だったと思われるのに、つまらない私の話に付き合ってくれた。

電波状態が悪くてぶつぶつ切れまくってたから、お友達にはすんごい失礼なことをしたのかもしれないけれど。
話を聞いてもらって、アドバイス貰ってすっきりしたのか、日記を中途半端に書き散らしたまま眠ってしまっていた。


相変わらず、ねむねむの朝だったけれど…
こころもちすっきりした気持ちで家を飛び出した。
今日一日乗り越えたら、少し長めの休暇。
とりあえず一日頑張ろうって思った。


とても暖かな週末を過ごしたあとの1週間は、どうしようもなく沈みきった時間だった気がする。

私は基本的に沈んでも立ち直りが早いから、こんなに辛気臭い状態を引きずってること自体が異例のことで。
竜樹さんにひと月逢えなかった時のへこみ方とあわせて、何故これほど長い間落ち込みを引きずってるのか、その理由をずっと考えていた。
もしも、空いてる日の日記の穴埋めをしたら多分重複する表現が飛び出すのだろうと思うけれど…

いつの頃からか具体的には覚えていないけれど。
自分の中で起こったことについて、すべてが終わるまで人に話さないようにしてて。
何を話すのもすべて「結果」がでてから、その結果を話すついでに過程を話すようにしてた。
それは確か学生の時、あまりまわりに心配をかけるわけにいかない立場だったから、何気なく身に付けた癖のような気がする。
家でもくだらない愚痴は言うけれど、自分の中で深刻になればなるほど口を閉ざすみたいなところがあって。
竜樹さんの話題は人に聞かれない限り、自分から話すことはなかった。


大切な人に出逢って、この場所にやってきて。
時々(最近は殆ど更新してないという噂はあるけれど)、リアルタイムに思うことを書き散らして。
大人気ない表現で、人に散々心配かけて。
語ってみたからといって、重荷が取れるわけでない上に情けなさすら感じる有様で。
書けども書けどもすっきりしない自分がいてて、正直言ってその部分で捕まってしまった気がしてる。

「書いたって何が変わるわけでなし、もうこんなしょうもないことやめにしようぜ」

一番しんどい時期を支えてきた、「左側」はブーイングの嵐。

「…そんなん、わかっとうわ!!」

気長で忍耐強いはずの「右側」もひどくイラついてて、一日終わる頃にはすんごい疲れてる状態が続いた。
こんな精神状態で、体調がよくなるはずもなく、引きずられるように体調も優れなかった。
どっしょうもない1週間だった。


「結果が出るまで、もう何も話すのやめようか?」

正直、そう思っていた。
竜樹さんに対する気持ちが変わったわけじゃない。
どんな「結果」が待ち受けてても、最終的に竜樹さんの心の傍に私がいられるなら。
それはわたしにとっては、とてつもなく嬉しいことだから。
その安心感を得て、その立場が自分の中できちんと確立するまで。
もう心の部分の詳細を話すのは止めようと思っていた。

「今日は、会社で仕事が大変でした。けれど、先輩からトンベリのぬいぐるみを貰いました。嬉しかったです。
家に帰って来たら、ご飯を食べた後、1時間ばかりアンジェをやりました。
今日はクラヴィス様にコクったら受け入れてもらえました。嬉しかったです。
竜樹さんと少しもお話できなかったのは残念だけど、明日になったらきっと話せるでしょう。頑張るぞ」

小学生の絵日記並の文章を並べて、誤魔化してみることも考えた。
ここでまで、それをやるとオフの友達にやってることと同じやんか?と思わないわけではなかったけれど。
その方がいいのかなって思っていた。


…けれど。

「日記なんだから、書きたいように書けばいいよ。
気楽にやったらいいよ」

そう言ってもらえて、どことなくがちがちに固まった思考がすっと流れていくような感じがしたんだ。
昔のように、立場上「穴のない鉄壁な霄」でいる必要はないのかなって少しだけ思えたんだ。


そして久しぶりに日記に戻ってきてみて、友達の日記を眺めて。
まだ何処となくへこむ部分もあれば、自分の中で一種僻みっぽい部分も見え隠れして、また更新を見送ろうとする自分がいるけれど。
それ以上に、私の言葉に対していろんな言葉を返してくれる友達や、気持ちを返してくれる友達の言葉に癒される気がして。
本当にありがたい気がして。
続けることで「何か」を返せたらいいなって思ったんだ。

…そう思う部分の方が大きかったから、もう少しだけ続けてみるのもいいのかなって思ったんだ。


「As If…」 Words : Mari Hamada


憧れが遠くても 優しい日もある
そんなふうに毎日を過ごせたらいいね

 見守るだけならば たやすい時代に
 行くえ知れずの涙が 渇かぬうちに

   夢が夢であるために 心を放ちたい
   思いがけない場所に 真実はあるもの

未来を変えることを 恐れたりしない
新しいお互いで 愛し合えたらいいね

 恋する人の心も いつか色褪せて
 気の向くまま吹く風に ゆだねたくなる

   人が人であるために 忘れないでいたい
   あらゆるものに初めて 出会った瞬間のこと

     幸せが哀しくて
     明日が曇っていく
     世界中の憂鬱を背負ったみたいに wow

もしも天使に逢えたなら 問いかけてみよう
約束された場所に 未来などないこと
 まるで天使になったように 忘れないでいたい
 幼い夢が初めて 叶った瞬間のこと
          As If…


「一匹狼」でいれば、確かに怖いものはないけれど。
それでも、まだ完全に一人に戻らないでいたいと思うんだ。
そうして、大切な人たちと共にありながら、いつか何らかの「結果」に辿り着けたとき。
いろんな想いを持って、私に言葉をかけてくれた友達に。
ささやかでも花束を贈りたいなって思う。
私の心から、暖かな気持ちを持つすべての「あなた」の心に。
小さくても暖かな、そんな花束を贈れたらって思う。


…いつも見守っていてくれてありがとう。
どっしょうもない私の心の傍にいてくれてありがとう。


暖かな気持ちを持つ、すべての「あなた」に。


                      金岡 霄


一日の終わりに…

2001年8月8日

「今日こそ日記を更新しよう」と思ったけれど。

何となく最後まできちんと書き上げることができない。


それは連日仕事場がばたついてるせいなのか、不安定なる体調と気持ちの部分のせいなのか、よく判らない。

もしかしたら、週が明けてから一度も竜樹さんと話せていないからかもしれない。

突然、雷を伴って激しく降ってきた雨のせいかもしれない。


明日になったら、今日書いた日記の内容が少し変わっているかもしれないけれど。
もしかしたら、このままかもしれないけれど。


明日まで、この鬱屈した気持ちを引きずりませんように。


眠りに着く前に、シャワーを浴びる。


気分転換にシャンプーを変えてみた。
あがってから竜樹さんの好きな香水を纏ってみた。


ちょっとだけ、元気が出た気がする。
いつまで続くか判らない空元気かもしれないけれど。


…もう一度、自分のペース取り戻せますように。


今はただそう願ってる。

夏の熱病

2001年8月5日
今日は平日よりも早く目が覚めた。
部屋が暑くなっていたのもあったけれど、身体が久しぶりにきちんと充電された感じ。

窓を開けると、外は快晴。
ついでに気温も高い(>_<)
でも外のプールに行くのなら、ちょうどいいかもしれない。

…買った水着が報われますように(-人-)


11時になって、竜樹さんに電話を入れる。
出てきた竜樹さんはねむねむ声だった。

「今日はどうしましょう?」
「…霄が出て来れる時間にこっち来てくれたらええよぉ…」

消え入りそうなねむねむ声を聞いてると、長話するのも申し訳ない気がして、すぐに電話を切って、出かける用意をする。


今日は(予定では)プールに行く。
竜樹さんのねむねむ声はただのねむねむから来てるのか、やっぱり体調が不安定なのか。
少しの心配はあったけれど、鞄に水着を詰め込んでリビングに降りた。
出かけてくると言おうと思ったら、昼食が出てきたので思わず食べてしまった(笑)
こないだの「午前様騒動」があったから、あまり大きな顔して「出かけてくる」といえないでいるのは、小心者のなせる業か(笑)
後片付けをしてから、家を飛び出す。


…暑い。
けれど、行き着く先に竜樹さんが待っているならそれだけで十分だった。
本当にそれだけで十分だった。

途中、いつも大盛況でなかなか買えないシュークリーム屋さんが空いていたので、竜樹さんと金岡家のお土産にと2箱買い込み、竜樹さんちを目指す。
電車に乗り、バスに乗り、よろよろと竜樹さんの家に入ると…


…そこには竜樹さんのお母さんもいらっしゃった(゜o゜)


竜樹さんのお母さんにお会いするのは本当に久しぶりだったので、とても喜んでくださって。
思わず二人して玄関先で話しこんでしまったら、竜樹さんが「はよ、あがっといで」と声をかけてくれた。

竜樹さんは昼食を作ってる最中だった。
フライパンで卵焼きを作っているんだけど、横からお母さんがちゃちゃを入れるので集中してできないらしい。
だんだんイライラが入ってくる竜樹さん。
「私、やりますよー」と声をかけて、コンロの前に立つ私。
竜樹さんがやりかけてたものが中途半端な形だったので悪戦苦闘したけれど、何とか形にして食べやすい大きさに切ってお皿に乗せて食卓へ。

竜樹さんが喜んで食べてくれる姿を見て、満足した。


昼食が一段楽するまで、私とお母さんは2階の部屋で涼むことに。
その時、初めて知ったのだ。

…竜樹さんは昨日から熱を出して寝込んでいたって


「…それじゃあ、プールなんて無理やんか!?」って気持ちよりも、「何で昨日、教えてくれなかったん?」って気持ちの方が強くて言葉が出ない。
買った水着が報われるかどうかよりも、肝心なことを話してもらえなかったことの方がショックだった。
幸い、お母さんの話はあちらこちらに飛んでいくので、それにあわせているうちにへこまずに済んだんだけど…
その話の輪に竜樹さんも加わり、暫く話していた。
やがてお母さんは自宅の用事を済ませるために帰ってしまったけれど…


「出かけなアカンねんけどなぁ…、出かけたいねんけどなぁ…」
そう言いながら起きれずにいる竜樹さんは、いつものように私に触れ始める。

「…何で、熱が出てること話してくれなかったんですか?」食って掛かる私。
「熱が出てきた時は、しんどくて電話できへんかったし……」

続きが出ないということは、誤魔化されモードに入ってきてるってことなのか…ヽ(`⌒´)ノ
じたばた暴れてみるけれど、竜樹さんには敵わなくて…
当たり前のようにそれは始まる。


竜樹さんとのやりとりがいつもとまた違うようなのは気のせいなのか。
私の応え方が違うのもまた気のせいなのか。
どこかいつもと違う竜樹さんに戸惑い半分、いつもと違う私に戸惑い半分。
戸惑う私を置き去りにしていくように、崩落と安堵はとめどなくやってくる。

だんだん思考回路が落ちてきて、長い長い波に身を任せてしまった。


抱きしめてくれる竜樹さんの中で、薄れ行く意識の中で。
頭の中をよぎった言葉。

…ジャングル・フィーバー

それって確か、スパイク・リーの映画のタイトルだったよね?
あれってどんな結末だったっけ?
救いのないエンディングだったっけ?


…私と竜樹さんの想いもまた「ただの熱病」?…


ぎくりとして身体を動かすと、「どしたん?」と竜樹さん。
「…何でもないですぅ」抱き締める私。
不安定な思考から出た薄ら寒い疑問に蓋をしたくて、竜樹さんを抱き締めた。
そうしてまたやりとりを繰り返す。

しばらく互いが互いを抱き締めあう時間は続いた。


そうしてるうちに、竜樹さんの実家から電話が入り、夕飯を差し入れしてもらうことになった。
せっかく久しぶりにお母さんとも顔をあわせたのだから、4人で食事に出てもよかったのになと思いながら。
竜樹さんの体調が不安定なのに、無理もさせられないかと竜樹さんのご両親の好意に甘えてしまった。


二人で楽しく夕飯を食べ、またじゃれあいっこして、お風呂に入る。
熱いお湯は迷いの思考すら汗に変えてしまったようで。
あがってきた時にはすっきりしていた。
竜樹さんは飼っている魚の面倒を見ながら、私に冷たいお茶をくれた。
そうして涼みながら時間を過ごす。
自分の事をしながらも、どこか私のことを機にかけてくれる様子を見てると、どことなく大事にされてるのかな?って気にはなるけれど。
私のことはいいから、もちっと自分のことも厭ってくださいと思う。

…竜樹さんに気を遣わせたくないなら、自分でちゃっちゃと動けばいいのに

また、思考は後ろ暗い方に走っていくけれど、竜樹さんの笑顔がそれを上手く引き上げてくれた。


…ありがとうね。竜樹さん(*^_^*)


2階に上がり、帰る用意をする。
本当はこのまま帰りたくない気もするけれど、明日からまた1週間出勤しないといけないし。
次の週末からお盆休みに入るから、今週はちゃんと働かないと。


竜樹さんの熱はいつの間にか下がっていたようで、送ってもらえることになった。
本当は寝ていてもらった方が安心できるのだけど、明日病院に行くから大丈夫っていう竜樹さんの言葉を信じることにした。

…また数十分、竜樹さんと一緒にいられる(*^_^*)

それだけでとても気持ちが安らいだ気がした。


たとえ、私たちが共にいることがただの「熱病」であったとしても。
熱病の底にある気持ちはただの流行り病ではないと信じていたい。
竜樹さんがそう思ってくれてるのかどうかは私には判らないけれど。
互いが互いを求める気持ちが熱病なんかじゃないと思っていたい。
誰に判られなくても、二人がそう思えるのならそれが真実なのだと。
いつか傍からも判るような形にできたなら、


…この想いが夏の熱病でないと証明できるのかもしれない。


今日は午前中、NTTの人が私の部屋の固定電話の回線の修理に来るというので、明け方まで部屋の片付けをしていた。
そしてようやっと眠ったものの、部屋が暑くなって目が覚める。


本の整理の続きを済ませ、昨日買ってきたカードH〃を使って、モデムが壊れたと思われるパソコンの動作チェック(?)をした。

…やったぁ(*^_^*)

壊れていたと思われていたパソコンは、落雷の被害を免れていた(のかな?)
あとは午前中にNTTさんが回線を直してくれれば、ネット環境は元通り。

…これで心置きなく竜樹さんとも出かけられるし、また友達と話もできるんだぁ(*^_^*)

パソコンが壊れていなかったことが、とてもありがたかった。


11時頃まで雑用をして、竜樹さんに電話した。
電話に出た竜樹さんはとても元気そう(*^_^*)
今日は二人でプールに行こうと言っていたから、元気なのはとても嬉しい。
けれど、午前中に来ると言っていたNTTさんはまだ来ない。
どうしたらいいか、対応に困っていると、

「霄に明日予定がないんなら、明日行かへんか?プール。
固定電話を直してしまう方が先やで?
回線の修理が済んだら、電話しといで。それから何をするか決めよう」

そう言って会話を終えた。

待ち時間が手持ち無沙汰だったのもあったけれど、今日からまた日記当復活できるよってことを心配かけた友達に報告したくて日記に暫定の「お知らせ」を出した。


…けれど、まだNTTさんはこない(T_T)

…お昼ご飯を食べてもまだ来ない(T^T)


あまりに手持ち無沙汰になってきたので、買ってからほりっ放しにしてた、メモリーボードを増設しようと決意。
ドライバー片手に始める。
だけど、暑気負け金岡、取説もろくろく見ずにはじめたものだから、何がなんだかよくわからない。
上手くいかない上にネジ一つ行方不明にさせて、半泣き状態"(ノ_・、)"
(ネジは無事見つかりました)

…結局、金岡父の力を少しばかり借りて、増設を終える。


これで、しようと思ってる企画にはとりあえず十分なる環境が揃った。
あとはボーナスでぼそぼそ買ったソフトをインストールすればいい。
少しばかり機嫌はいいのだけれど、気になるのは竜樹さんのこと。
NTTさんが来なければ、竜樹さんに逢いには行けない(T_T)
私と一緒に(何故か)NTTさんを待ってる金岡母もちょっとご機嫌斜め。
金岡父ひとりがSNOOD(パソコンのゲーム。落ちゲーの部類?)をやって遊んでる。


…早く、来いよ!NTT!!ヽ(`⌒´)ノ


だんだん私も不機嫌になってきた。
気を取り直して、日記を書き始める。
時々、両親と話したりして待っているけれど、NTTさんは来る様子がない。

「…もう来ないんじゃないの?今日は?」

そんな声があがったのは15時前。
竜樹さんに電話して今日どうするか相談したけれど、この時間から動いても何ができるわけでもないし、明日一緒にプールに行くのだから今日は休養日にしようということで落ち着いてしまった。

…NTTさんが早く来てくれていたら、今日も明日も会えたのに

何だか急に身体の力が抜けたみたいになって、どっと疲れてしまった。
考えたら今日は3時間ほどしか眠っていない。
おまけに外は快晴の上、すんごい暑い。
体力は消耗する一方(>_<)

「今日みたいな日に外のプールに行っても、日焼け通り越して火傷になるで。やめとこう」

竜樹さんがそう言ったことを思い出して、ため息一つ。
青い空を睨んでるうちに、眠ってしまっていた。


「霄!起きなさい!電話屋さんが来はったよ!!」

金岡母の声に慌てて飛び起きたら、電話屋さんが玄関に来ていた。
たんたんと作業をし始めたNTTさん。
どうも故障してたのは電話と回線を繋いでいたアダプターだったようだ。
回線チェックを済ませ、以上がないことを確認して早々に引き上げていった。

確かに、受話器を上げたらすぐに「ツー」って音がする。

…これで大丈夫だ(*^_^*)

そう思って、ダイアルアップのテストをしたらモデムは電話をかけようとしてるのに繋がらない。

…やっぱり、パソコンのモデムだけが壊れてるんじゃないだろうか?(゜o゜)

パソコンに入ってる、メーカーのテスト用のチェックプログラムをかけてみるけれど、そこでもモデムは「異常なし」と出る。
昨日買ってきたカードH〃だとちゃんとネットにあがることができるし…


…一体何がおかしいねぇぇぇぇぇぇんヽ(`⌒´)ノ


結局、何が何だかよく判らないことに振り回された一日だった。


さて、どうしようか?
とりあえず、パソコン本体はちゃんと動いてるし、しようと思ってる作業はできる。
カードH〃を使えばネットにもあがれる(電話代は気になるけれど)
ひとまず様子を見て、メーカーに問い合わせてみようか?
引き取られて故障が見つかれば、すんごい金額取られるのだろうけれど…(>_<)
来月のADSLの工事に間に合うように、調整が必要ならしよう。


…しかし。
この一連の出来事のおかげで、それほど嫌いでなかった雷も夕立も大嫌いになってしまった。
雷なんかは怖くはないけれど、無駄な出費が痛すぎる(T_T)


…朝、家を出る時はパソコンのプラグと電話線を引き抜いておくのはお約束になりそうだ(笑)


いずれにしても、この1件でもまた友達に心配をかけてしまったから。
ここを借りて、心配してくれたお友達に。


「心配をかけてごめんなさい。
 ネットにあがるのが少々不自由な以外は、問題はないですのでご安心ください。
暖かな言葉をかけてくれてありがとう」


…明日は、楽しい(?)「竜樹さん日記」が書けますように(-人-)

明日は焦げない程度にいい天気でありますように。


竜樹さんが泳ぎにいけるだけの元気を持っていてくれますように…


******************************************************

遊上 炯さん:メッセージありがとうございます。
パソコンのモデムの方はまだ機嫌が悪いようですが、何とかよろよろ日記はあげれそうな状態になりました。
よろよろでも更新したいと思いますので、宜しくお願いします。
遊上さんの日記、楽しみにしています。


お知らせ

2001年8月2日
こんばんは。

実は今日の夕方、こちらで落雷がありました。
私の部屋の固定電話の回線と私のパソコンのモデムが壊れました。

今、父のパソコンから書いてるのですが、きちんとした更新環境が出来るのがいつになるのか、現状では見当もつきません。

なるべく自宅の回線等が使える時間帯に更新できるよう努力しますが、今まで以上に更新頻度が落ちることも予想されます。

メールの返事や宙のレス等も、遅れてしまうことをお許しくださいm(__)m


…まさか買ったところのパソコンが壊れるとは思ってなかったのですんごいショックです。


ひとまず今はこの辺で。


金岡 霄 拝


ひとまず、この日の日記を更新するまでの間、私信だけで申し訳ないのですが…


***************************************************

遊上 炯さん:暖かなメッセージありがとうございます。
ご挨拶が遅れましたm(__)m
はじめまして。金岡 霄(かなおか そら)と申します。
「交換ノート」が見て頂けない状態なので、表で失礼します。

遊上さんの掲示板にもご挨拶を書きましたので、そこで書いたことはここでは割愛しようかと思いますが…

「やさしい日記」と誉めて頂いてすぐに、こんなくそ意地悪い内容の日記(←29日の日記のことです)で申し訳ありませんm(__)m

どちらかと言えば、遊上さんが仰ってる「やさしくなりたい」と常に希ってる状態です。
なかなか、すべてに優しくおおらかにはなれませんが(爆)、大切な人と一緒に「なりたい自分」を手に入れられたらと思っています。

遊上さんの日記を半年近く読みながら、心が揺れたり励まされたりしてここにいてます。
躁鬱激しいポンコツ日記なんてとんでもないですよ。
これからもいろんな想いを綴ってくださいね。
毎日、楽しみにして拝読させて頂こうと思っています(←もうしてますが(^^ゞ)
こちらこそ毒にも薬にもならない長文ゴミ日記ですが、気が向いたときに読んでいただけたら幸いです。
宜しくお願い致します。


< 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 >

 

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

この日記について

日記内を検索