そのまま竜樹邸に戻ればよいものを、まだ余力があるからと近くのお店でショッピング。
互いに掘り出し物を見つけたと喜んで、今度こそ竜樹邸へ戻るだろうと思っていたら…

「霄ぁ、おなか空いたからどっか食べに行こう?」

食べたいものを聞いてみると、そのお店まで結構な距離がある。
まだ余力があるだろうと言っても、土曜日の道路は車で一杯。
店まで行って待たされて、食べて力尽きたじゃどうしようもない。
余力2割か3割残したところで引いとかないと、今の竜樹さんには具合が悪い。

「…竜樹さん。パスタくらい私が作るから、もう戻りましょう?」
「霄かってしんどいやろ?俺、頑張って運転するで?」
「…や、頑張って竜樹邸に辿り着く前にしんどくなったら困るでしょう?
あの店行くのに竜樹邸通過して更に向こうまで行かなきゃならないんだし。
外食なら夕飯の時でもいいでしょう?」
「そやなぁ」

途中でスーパーに寄ってもらって足りないものを数点買い揃え、そのまま竜樹邸に戻る。
竜樹さんにひと息入れてもらってる間に、パスタを茹で簡単なソースを作る。
パスタが茹で上がる頃、竜樹さんが台所にやってきてパスタをお皿に盛るのを手伝ってくれる。

「…美味しかった♪(*^-^*)
 やっぱり家で食べて正解やったなぁ。霄は大変やったと思うけど」
「ううん。この程度なら大したことないよ」
「ありがとうなぁ。夜はちゃんと食べに出られるようにするから」
「うん。ありがとうね(*^-^*)」

そんな話をしながら、結構多い目に作ったパスタはキレイになくなり、お茶を飲む。
ひと息つくと竜樹さんは眠気が差したらしくおやすみモード。

「夕飯時になったら起こしてなぁ。天気ええし、絶対もいっかい出かけるから」
「わかりました」

くすーっと眠る竜樹さんの隣で新聞を読んだりしていたけれど、いよいよ手持ち無沙汰になってきて、テレビをつけ小さな音にして見始める。

18時になったので声をかけたけれど「もちょっと寝かせて…」と言うので、出かけてる時には見られない鋼を見てるうちに鋼は終わり。
ニュースが始まったので声をかけたけれど、うにゃうにゃ言うだけでおきない上に座ってる私の膝に手を回して離さないので、そのままの姿勢でニュースを見続ける。
ニュースも終わり、今度はドリフ特番が始まったので声をかけたけれど、今度はうにゃとも言わない。

…よく頑張ったもんね?

そう思うと叩き起こす気にはなれず、特番を見ながら時折竜樹さんの手を退けお布団を抜け出しては後片付けをしたりお風呂を沸かしたりする。
そうしてるうちにドリフ特番も終わってしまった。

「竜樹さん。いい加減起きないとお店閉まっちゃいますよ?
とんかつ食べたかったんでしょ?」
「…うん、とんかつ食べに行くねん」
「そしたら起きないと。お風呂沸かしてあるから、入ってきたらすっきりするよ」
「…うん」

ひよこみたいな頭してぼそっと起き出し、そのままお風呂場に直行。
その間私はつけっぱなしのテレビを見ながら、出かける用意をする。

竜樹さんがお風呂から出てきたのは22時前。
いよいよとんかつ屋さんが開いてるかどうかきわめて微妙な時間になってきた。

「…ごめん、すんごい眠たくて寝てしもてた」
「パスタ多めに作ったから、私、あんまりおなか空いてないんだけどね」

そんな風に言いながら出かけてみたら、既にラストオーダーの時間は過ぎていた。
いろいろ考えて移動はしてみたけれど、動き始めが遅いもんだからそうそう食べれるお店がある訳でなく。
結局、昔よく通ってたラーメン屋さんに落ち着いた。

「霄はラーメンでよかったん?」
「うん、私ここのラーメン好きですよ。すぐに行けるとこにないから行かないだけで」
「そっか、それやったらええんやけど」

そう言ってラーメンセット食べて、竜樹邸に戻って今度は自宅へ戻る用意をしてたら…
竜樹さん、甘えたモード炸裂。

結局、完全無欠の午前様コース確定。

「…あー、やってもた」とは思ったけれど、少しでも長く竜樹さんと過ごす時間を確保したいと思っているのも事実だから、これはこれでいいことに…しておこう。

竜樹さんの甘えたモードが落ち着き、本当に竜樹邸を後にすることになる。

今日はひときわよく頑張った竜樹さん。
その反動で明日調子が悪くなったりしなければいいのだけど…

そんな小さな心配をかき消すような穏かな竜樹さんの様子にほっとしつつ、暫しの月夜のドライブ。
離れるのが嫌でならないけれど、自宅に着いてしまったので小声でお別れ。
そっと玄関の鍵を開け、静かに自宅へ入る。

自室に戻ってから、公園で手にした桜の花と花びらをそれぞれ空色の上に包みなおして、手帳の中にしまいこむ。

今年最後の桜を竜樹さんと眺められたこと。
竜樹さんと長い間一緒に過せたこと。
竜樹さんが1日元気でいられたこと。
そんな今日の出来事のすべてが今日の私の宝物。

それを糧にして、また新しい季節を目指して歩いていこう。
竜樹さんと一緒に歩いて行きたい。

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