本当に今日初めて会うなんて信じられない。

友達との電話を切ってからもずっとそう思ってた。
しかもそれはあと数時間足らずで現実のものとなる。
少しの実感も伴わないまま横になり、何時の間にか朝を迎えていた。

窓の外は雨。

晴れていることを前提として考えたコーディネートはどれもこれも使えなくて、結局普段魔境へ向かうのと何ら変わらないような格好で落ち着くあたりが憎らしい。
髪を洗って上がってくると、携帯に何度か着信が入っていた。
「何かあったんだったらどうしよう」と少しおろおろしていると、再び着信。
飛行機の都合で到着が1時間遅れるとのこと。
少し落ち着いて考えられるだろうと安心したのはいいけれど、ちょっと落ち着きすぎた。

慌てて雨の中、渡すお土産引っつかんで自宅を飛び出す。

待ち合わせ場所が近づいてきても、正直、まだ実感がない。
本当に会ったことなかったんだっけ?
それはネットやら電話やらでしょっちゅう話していたからかもしれない。
互いの声も顔も知ってる、でも会ったことはない。
その不思議な感覚に幾許か戸惑いながら、何時の間にかその場所まで来てしまった。

基本的にはよく喋る方だけれど、重度の上がり性&小心者のせいで対面して暫くは何を話していいのかパクパクしてる状態が多い。
けれど、迷うことなく携帯を取り出し、友達がどこにいるかを確認するのは忘れない。
電話がかかってあたりをきょろきょろしてると、遠くで手を振る人が。

…やっと逢えました。

「はじめまして」と挨拶するにはあまりにもそれまで互いの話をし過ぎてて、何だかヘンな感じが抜けない。
ひとまずお茶でもと、移動する。

空港周辺に土地鑑があるわけでは消してないけれど、いつか相棒と万博公園へ行く途中にスタバで昼ご飯を食べたことを思い出し、ひとまずそこへ行くことに。
まだどこか緊張感が抜けずにいてるとこに、お友達コーヒーをひっちゃける。
途端に私も少し素に戻って片付けを少し手伝って、座ってお話。

同性異性問わず、他意のあるなしに関わらず、体に触れられることが苦手な私だけれど。
不思議なことに彼女に手をにぎにぎされてもお尻触られても(爆)、嫌な感じはひとつもしない(笑)
取り留めなく広がる話題を引き連れて、移動することに。
とはいえ、彼女が来阪した目的があろうことか私に会うことというから、行きたい場所のリクエストなど取れよう筈もなく…
私自身がだいぶ長いこと行ってなかった、アランジアロンゾの本店に行くことにした。

途中、阪神百貨店の地下街のすぐ傍を通ると「イカ焼きが食べたい」と言うので、並んで卵入のイカ焼きを注文。
2人で対面するような形で食す。これがまた美味い。
デパ地下眺めてるとついいろいろと食べてみたい衝動に駆られるけれど、今日は16時から江戸前鮨食べ放題付鮨懐石が待っている。
ここはぐっと我慢の子で、またアランジ本店目指して移動を始める。

地下鉄乗り降りして、歩く歩道をちょろちょろ歩き、私の不慣れな道案内でようやっとアランジ本店へ。
平日ならいるという噂のワイヤーフォックステリアのてつがいなくてがっかり。
それでも、それぞれにお目当てのキャラもののアイテムを物色し、何点か購入。
ガチャガチャが不調に陥ってひと騒ぎしたり、念(?)を込めて挑んだガチャガチャからとんでもないものが出てきたといっては笑ってみたり。
地下鉄の駅へ戻る方角を間違えるおまけまで飛び出すほど、素ではしゃいでしまった。

実は逢ってから暫くは「緊張してない?」とふとした拍子に聞かれることが多かったのだけど、ここまでくると緊張も何もない、いつもの私になってる。
それでよかったかどうか判らないけれど、電子機器のファインダーを通しても通さなくても素の私でいられたことは良かったのだと思う。

それからまた梅田に戻り、鮨懐石屋の予約時間までの間またお茶して話し込む。
立ち寄ったカフェの室内席が一杯で外でコーヒーを飲んだのだけど、少し冷えた外気は温まった心にはどこか心地いい。
彼女の書く文章は表情豊かで、とても間口が広くて大きな人なんだろうなぁとまだ遠くからそっと見ていた頃から思っていたけれど、その印象は違ってなかったなって思う。
またよく人のことを見てる。
その人の表の面だけじゃなくて、底にある何気ない動きもよく捕まえるなぁとかなり感心してたりしたの、気づかれたかどうかは判らないけれど…

そんなことを考えながら言葉を交わしてるうちに、予約の時間が迫る。

(多分)今日のメインイベント、江戸前鮨食べ放題付鮨懐石に挑む。
日記には度々書くことがあったけれど、ネットで知り合った友達を連れて行くのは初めて。
そもそもこの鮨懐石屋には金岡母か姉さまと来るのが殆どで、構成するメンバーの共通項が「よく食べる連中」。
学生自体の友達との集まりに使った時、他の友達があまりに食べなかったために姉さまと私ふたりが後でやたらおなかを空かせて困ったなんてエピソードもある。
今日もこの後ごはんを食べなおさなきゃならなかったらどうしようなんて心配も少ししたけれど…

お互い腹八分目に、美味しいお鮨を堪能した。
(私はまだ余力があったということは、内緒にしておきましょう)

尤も、今回は鮨を楽しむよりも会話を楽しむ方がメイン。
お客さんが少なかったからどうにかなったけれど、ちょっと危ない話が走っていく様を眺めつつ「店員さんが聞き耳立ててなかったらいいな」なんて考えた小心者。
たとえ店員さんが聞き耳立ててたとしても、話を途切って黙々と食べるのは勿体無い。
なんせずっと逢いたいと思ってた人に逢えたのだもの…

お鮨を沢山食べ、喉が痛くなるかと思うほど話し込み、会計を済ませて駅に向かう。
友達は途中お土産にと蓬莱の豚まんを買って電車に乗る。
後は飛行機の券を獲得して、お見送りのはずが…

…満席で乗れないというオチ

もう一度空港から梅田へ逆戻り。
金岡家に来て貰えるよう何度も進言したけれど、マンガ喫茶で夜を明かすという。
いくらうちの両親が頑固でも、他所様のお嬢さんがマンガ喫茶で夜を明かすなんて言ったら「来て貰え!」と言っただろうにと思いつつ、一緒に夜を明かす場所を探す。

幸い何とか夜明かし先は見つかったので、また暫く話して別れた。
本当にこれでよかったのかな?とずっと考えてしまったけれど…

私に会うためだけに遠方から来てくれる友達がいてくれること。
取り立てて特別な何かを持つ訳でもないのに、「逢いたい」と思ってもらえることがとても嬉しい。

「どうか風邪だけはひきませんように…」

せっかく来てくれたのに、大阪で嫌な思いをしないでいてくれたらと思いながら、今日の出来事を反芻する。

「来てくれてありがとう」

1日に起こったことをすべて思い返して出てくる言葉の根っこにある想いを集約するとその言葉にしか行き着かない。

逢いたいと思ってくれてありがとう。
私に逢いに来てくれてありがとう。

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