白い雪飛越えて…

2004年3月6日
休みの日にしてはうんと早く起き、用意をしながら窓の外を見てびっくり。

…横殴りに雪が降っていた。

歩いて出て行くのも一苦労だけれど、これが今日一日続くとなったら自宅に戻るのも一苦労。
路面凍結等で自宅に戻ることが出来なければ、それこそ竜樹邸で泊まるいい口実が出来るけど、明日は随分前から金岡母との約束を入れてしまってるから這ってでも帰ってこなきゃならないし、竜樹邸訪問を延期する訳にもいかない。

どうしようと頭抱えてると、丁度よく(?)金岡父が勤務先の都合で出かけなければならない事態が起こり、それにくっついて車で最寄り駅まで送ってもらうことにした。

重装備で家を出て、駅に着いてみると雪どころか雨も降ってはいなかった(-_-;)
ホームに上がると、傘すら持ってないお客さんばかり。

自宅の近くの天気と平地の天気が違うことなんて別に今に始まったことじゃないけれど、あまりに下界との様子の違いに何だかなぁと思いながら、竜樹邸までの移動の旅に出る。

竜樹邸へ向かうバスに乗り、降りてみると雨が降ってきた。
コンビニに寄って買い込んだおにぎりを提げて竜樹邸まで歩き、門をくぐると見慣れない自転車が1台。
まだ介護士さんが竜樹邸にいらっしゃるらしい。
別に介護士さんがいようがいまいが呼び鈴鳴らして竜樹邸に入ればいいのだけど、何となくぐずぐずしてると竜樹邸から出てくる介護士さんと鉢合わせ。

「こんにちは、いつもお世話になります(*^-^*)」

にこやかに挨拶して竜樹邸に入ると、少ししんどそうにはしてるけれど体を起こしてあれこれしてる竜樹さん。

「あれ?早かってんなぁ」
「お父さんが用事で出かけるのにあわせて家を出たから…」
「雪が降ってたから大変やったんちゃうん?」
「いえ、車で駅まで送ってもらったから」
「あぁ、それで早くこっち来れたんかぁ」

竜樹さんが食べていたお昼ご飯を少し分けて貰い、2階にあがって話を始める。
洗濯物を片付けたり細々とした作業をしたりしながら、取り留めなく会話する。

そのうち、竜樹さんの機嫌が悪くなってくる。
「どうしたのかな?」と思って聞いてみると、外に出たいのに体調が悪くて出られないことにイライラするのだと。

車の免許を持ってない私は竜樹さんがしんどくない状態でいられる形で外に連れ出してあげれる訳ではない。
せいぜい竜樹邸界隈を散歩するのにお付き合いし、調子が悪くなったらフォローするくらいの対処しかできない。
タクシーを使って出かける方法も考えたけれど、竜樹さんが行きたいと思う場所を提示しない限り、手配すらできない。
それを遠まわしに伝えると、またぶつっとむくれる竜樹さん。

「こんな時、誰かさんがいたら…」と嫌な記憶がふつふつ頭の中に蘇ってくる。
外に出たいからという理由だけで、私が嫌がってる誰かさんに連絡をするような真似はさすがにもうなさらないけれど、あの記憶はちっとやそっとで消えるものではないから、たとえ今竜樹さんがその方のことを持ち出さないとしても決して気分がいい訳はない。
外に出られさえしたら竜樹さんの機嫌がよくなるのだということは判っているけれど、現状その力を持たないものにとって、この状態が面白いはずはなくぶつっと黙り込む私。
勿論、私の頭の中で嫌な記憶が蘇ってることなど竜樹さんは知る由もないのだから、ますます不機嫌になるのは言うまでもなく…

互いにかつてのことを蒸し返してどかーんとやらかす前にひと呼吸入れ、ひとまず痛み止めを飲んでもらって様子を見て貰うことにする。
その間お風呂を沸かし、少しでも体の痛みが軽くなるようにあれこれ考えながら作業をする。
お風呂が沸いてから竜樹さんに入ってもらっている間、横になりながらぼんやりしていた。

お風呂から上がると多少しんどさは抜けていたようだけれど、それでも自分で車を出してどうこうというところまで至らない状態。
どうしたものかと困っていると、お願い口調で「おにぎりと取って来てくれる?」と竜樹さん。

コンビニ袋を取ってきて、しんどそうな表情で横になる竜樹さんにおにぎりの包装を剥いて渡すと、もしゃもしゃと食べ始める。
少し離れたところで別の作業をしてると、竜樹さんはおいでおいでして「やっぱり、何か腹に入れとかなきゃアカンなぁ。元気でぇへんもん」と食べかけのおにぎりをこちらに差し出す。

………………( ゜д゜)

「さっきまでの不機嫌は何さ!」と突っ込みたくなるけれど、竜樹さんは勝手に不機嫌を治め、次の行動に移行しようとしてる。
その姿に引っかかりはない訳ではないけれど、引っ張りつづけるのも馬鹿馬鹿しい。
私も片づけを始め、いつでも出かけられるように用意だけはする。

そうしてるうちに、どうにか外出できるコンディションに持ってけたらしく、車に乗って近場をドライブすることに。

竜樹邸からほど近いショッピングモールに出かけ、ちょっと買い物。
竜樹さんはお気に入りのアイテムを見つけたらしく、俄かに機嫌がよくなっていく。
そうしてまた車に乗って出かけ、行く先々で探し物をしたり買い物をしたりする。

最後に竜樹さんが一番行きたいと行ってた店に寄って、赤いシステム手帳を見つける。
私の持ってる財布や定期入と同じシリーズの手帳で、何かの折に同じラインのものを見つけると竜樹さんはそれを私にくれる。

自分でも欲しいと思ったけれど、私の誕生日の前後に結構散財させてしまってるので、これ以上散財はさせたくない。
自分で買えない額じゃないし買っても良かったのだけど、どうせお金を使うなら竜樹さんに役立つもののために使いたい。

ショーケースから出してもらったものの、それを買うのは見合わせようと思って店員さんに商品を返そうとすると…

「それ、貰います」と竜樹さん。

システム手帳を持ってレジまでどんどん進む竜樹さんを追いかけて「買わなくていいですって」と言うけれど、「これは出物だから」と引かない。
出物を手にすると本当に嬉しそうにする竜樹さんを見るのは嬉しいからそのまま黙って買うのを見てたけど、店を出るとぽんと買った手帳を手渡され慌てる。
「手帳代は自分で払うから!」としつこいくらいに言ってお金を渡そうとすると「そしたら給料日に返して♪」とにぱっと笑って車に乗り込む。

「ありがとう」と小さな声で言って、私も車に乗り込む。

帰りの車中、竜樹さんはあれこれ話をしてはにこにこと機嫌よさそうにしていた。
申し訳ないなと思いながら、機嫌よくしてる竜樹さんを見てるのは嬉しかった。

帰宅して時計を見ると、帰るまであと2時間しかなかったので慌てて夕飯を作る。
尤も、「どうしても食べたい」と竜樹さんが仰るので、ステーキを焼くだけの話だったのだけど(^^ゞ

夕飯を作る前に、体調を崩していらっしゃる竜樹母さんにお見舞いがてら買ってきたケーキを届けて喜ばれ、夕飯の味付けがよいと竜樹さんに喜ばれ、最後の最後は笑顔溢れる時間を過ごせた。

ただ、今朝の降雪の関係でおさわり時間を取れぬまま私が帰宅しなきゃならなかったことは竜樹さんにはご不満だったみたいだけど…

いろいろありはしたけれど、白い雪を飛び越えてここへ来たのは間違いではなかったみたい。

いいことだけがある1日ならそれに越したことはないけれど、いろいろあっても最後が笑顔で終えることが出来るなら、今はそれでいいやと思う。

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