届くはずのない手紙、届けるつもりのない手紙
2003年11月22日ずっと長いこと好きだった。
自分の夢だけを追っていてもよかった頃にあなたと出会ってからずっと。
あなたの声に心を握り締められたような気持ちのなったあの夜からずっと、あなたの生み出す音と紡ぎだす言の葉のすべてが私の中にあり続けた。
そんな状態がもう何年続いただろう?
多分ずっと続くと思っていた。
嬉しい時も悲しい時も、辛い時も震えるように闇の中を歩いていた時もずっと。
あなたの声と言の葉が私を支え続けたから。
終わりが来る日などありえないと思っていた。
あなたに会える時は何を置いても会いに行った。
すべての予定を空けて会いに行った。
そうすることで勝手に強くなれるような気がしたから。
勝手に指針を見出す力を分けてもらえるような気がしてたから。
でも、今年は会いに行かない。
「会いに行けない」ではなく、「会いに行かない」。
今でもあなたが紡ぎだすものに心酔する部分はあるけれど、
あなたに会いに行くことと引き換えにすごく嫌な気分になることも数年前から気になってて、
現状ではそれに目を瞑っても会いに行きたいという気持ちにはなれなかった。
会いに行きたいと思う気持ちと会いに行きたくないと思う気持ちがずっと綱引きをしてたけれど…
数日前、不思議なくらい絶妙なタイミングであなたに会いに行くチャンスは廻ってきた。
「今年は行かないんだ」って言いながら、すんごい迷ったんだ。
「私、行きます」って言いたかった私は間違いなくいたんだ。
あなたの紡ぐもののすべては今でも大好きだけど。
あなたに会いに行く以上に私の心の中で重要なことがあるんだ。
あなたは私を待ちはしないけれど、
私が来るのをずっと待ってる人がいるんだ。
その人のために私が使える可能な限りの時間を使いたいと、今の私は思うから。
今私がいてる家庭や会社の事情があれば、彼が私の手を必要としててもすぐに飛んでいけないことだってあるのだから、3連休初日の3時間くらいあなたに会いに行ったって問題ないだろうって思う部分はあるよ?
自らの夢が苦しみの中で屈したのだと初めて認めたあなたの声を、あなたの胸の内を聞いてみたいとも思うけれど…
…でもね、約束してしまったんだ。
「この3連休は可能な限り、あなたの傍にいるからね」
あなたの紡ぎだすものを支えにしながら、生命の灯火消えるまで共に歩き続けたいと願ったたった一人に約束してしまったから。
彼との約束は違えない。
いや、これからも違えるつもりはないんだ。
思うことを綴ってみたところで誰に届く訳でない。
あなたに届く訳でもない。
届けるつもりもない。
敢えて言うなら、何をおいてもあなたの許へ行くことを最優先に考えていられた在りし日の自分に、暫く別れを告げるために。
竜樹さんが元気になれる日まで。
竜樹さんが屈託なく「大丈夫やし、行っといで」と送り出してくれる日まで…
今日はあなたがこちらにいる時間、私はいっちゃん大切な人の傍にいます。
ご盛会を願いながら、大切な人の傍にいます。
これが今の私が選んだ、私なりの答です。
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