今日から9月。

遅れてやってきた暑さが9月になればいきなり涼しくなるわけでもなく、9月になったからといって取り立てて何が変わる訳でもないのに、挨拶やメールの冠に「もう9月ですね」なんて書き添えてしまうのは、きっと刷り込みなんだよねと友達に指摘されて「なるほどな」と感じる。


9月になったからという訳ではないけれど、ほんの少しだけ心が揺れる。


金岡母が金岡家に戻り、少しばかり重責から解放されたからだろうか、疲れがどっと出たような気がする。
この3週間ばかり、夜型の私が世界陸上を殆どみることが出来ないまま倒れるように眠る毎日だったし、昨日も100×4リレーのあたりで力尽きてしまったはずなのに、自室に戻ってから妙に寝つきが悪い。


やっと意識が落ちたかなと思った頃、携帯の着信音。


竜樹さんからかかってくる電話やメールの着信音はここ2,3年ずっと変わってない。
電話は殆どの場合部屋の方にかかるので、携帯の方に連絡が入ることは少ない。
だからメールの着信音だけでもと、明るい曲にしてるのだけど…


届いたメールは文体こそ明るいけれど、その底に不安が見え隠れする。
多分週末弟さんが戻ってこられたことで、竜樹ファミリーの中でいろいろ話す機会があったのだろう。

それこそ、いいことも嫌なことも。

以前のように我慢して我慢して我慢したおして、最後にどかーんと不安を爆発させてたことを思うと今回のは軽症だったのかもしれないけれど、少しちゃらけたその文面を額面どおりには受け取ることが出来ない。
明るい文面だったからこそ、その不安はよりシンプルに伝わってきた気がする。

はっきり動かない頭で携帯を触り、ただシンプルに自分の想いを言葉に置き換える。
こんな時だから、推敲したおさない方がより自分が思うことをシンプルな言葉に託す方がいい気がしたから。


暫くして戻ってきた返事は、やっぱり少々ちゃらけた文章だったのだけど、安心して眠れそうだということだけがよく判った。
私が何を言ったところで根本的な問題が解消する訳でないし、その不安を掃うことができるのは直接的な働きでしかないのだろうとは思うけれど、とりあえずいたずらに不安に駆られて眠れずにいるよりかはマシなんだと思う。
そう思って、のこり僅かな時間眠りについた。


新学期が始まり、駅までの道程や移動の車内に学生の姿が増えて。
どことなく賑やかなのはいいけれど、蒸し暑い空気が人口密度が増えることによって余計に温度が上がるような感じがする。
長い休みの後の憂鬱さと少しばかり真新しい空気を思い、自分自身の記憶に刷り込まれたはじまりの時の気持ちが蘇る。


9月になったからといって、いきなり涼しくなる訳ではない。
9月になったからといって、今までの状況ががらりと変わる訳でもない。
だけど、心の中に吹く僅かばかりの新しい風に、不安に揺れる心は少しだけ前向きな方向に行き場を変える、そんな気がする。


今までもそれ相応にいろいろなことがあって、新しい年を迎えてからもさらに「これでもか」とばかりにいろんなことがあって。
それらすべてを打開するために敢えていろんな物事に制約を加えて、戦い抜くことただ一点に意識を傾けつづけて。
一点に意識を傾けることによって確かに楽になれた部分はあったのだけど、笑顔も少しだけ減った気がしてちょっと疲れもこんできてた感じは否めなくて。
物理的な物事は少しずつでも殺ぎ落としていけたような気はしてても、傍目から見ても自分自身から見てもきっと間違いなく余裕なんてなくて、それが竜樹さんを安心させるに足りない何かを生んだかもしれないという気もしてる。

自分がしたいと思うことは、いつでもそこそこ沢山あって、それをすべてこなすには身体も時間も足りないから、最優先にしなければならないこと以外の力を分け分けして日々を過ごし、それに疲れてどんどこ殺ぎ落としを繰り返してきた。
多分、そのやり方で間違ってはいなかったんだとは思うけれど…


物理的な不安材料を解消する力が未だ足りないのだということが事実であるのなら。
出来ないことを嘆いたり闇雲に壁を打ち破ろうと暴れたりする以外の方法に切り替えてみよう。

力を持たぬものは持たぬものなりの戦い方があるのは先刻承知。
物理的な不安材料をただ打ち破るだけが打開策とは限らないこともまた先刻承知。

諦めなきゃならないことも確かにあるけれど、今できることは可能な限りやってやろう。
いつ出来なくなるか、いつ終わりになるかを怖がってても不安はいたずらに増殖していくだけ。
私が今をそれなりに楽しめてると感じられれば、竜樹さんの中にある私に対する負い目なんてなくなるような気もするから…


自分がすることを過剰に評価して欲しい訳ではない。
ふたりでいるために必要なものを手に入れようと奔走することに負い目なんて感じて欲しくはない。
最大限今を楽しみ、好きなことも嫌なことも相応にやるべきことを全うして、その先に少しばかりの笑顔が勝つなら、その笑顔はきっと不安を小さくするんじゃないかと思うから。


それが、物理的に何を変える訳でないとしても、気持ちが軽くなることで動き出す何かもきっとあるはずだから。


9月になったからじゃないけれど、ちょっとだけ戦い方を変えてみよう。
「自分にはこれが足りないから…」と足りないことを恨まずにいられるように。
足りないことで負い目を感じさせずに済むように。
小さな笑顔が大きな不安をいつか鎮めていけるように。


ふたりでいることを掛け値なしに幸せだと喜べるように。


蒸し暑い9月最初の日に想う…



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