ちょっと反芻

2003年4月17日
昨夜はどういう訳か、何もせずにぽてんと眠ってしまった。
眠ってしまった時間は私にしては随分早い時間だったはずなのに、目が覚めてから思わず二度寝しかかってしまった。
慌てて用意をするにもなんだかだるくて出かけること自体が嫌になってくるけれど、あと2日で愛しい週末が来るのだからと言い聞かせて家を出る。


いい天気で吹く風は心地いい。
花粉症の症状が微塵もなかった頃ならただそれだけを喜べたけれど、鼻がくすくすすることで今日は盛大に花粉が飛ぶような予感が掠める。


…それは見事に的中した(-_-;)


幸い仕事がそう立て込んでなかったからよかったけれど、鼻をかみながらの電話応対は結構辛かったりする。
電話ラッシュがひと段落し、通常フローもはけて、ちょっとぼーっとする間ができた時、ふとちょっと前に竜樹さんと話したことを思い出す。


「そらちゃんはなんだかんだ言っても、逞しくなったよなぁ」

「…身体は年々丈夫でなくなってきてますけど(^-^;」

「いや、俺が少々ひどいことを言ってもめげずについてきてくれるやんか?
あれはなかなか出来へんねんで」

「そうなんですか?」

「なんか、そらちゃん、ベタみたいやなぁって思うねん」

「…え?私、ベタやんですか?」

「だから、何でそうストレートなネーミングするんや?そらちゃんは…(^-^;」


ベタが誉める形容として適当かどうかは、人それぞれの解釈もあるからどうとも言えないけれど、竜樹さんにとっては誉め言葉らしい。
少々のことではへたばらず、ひらひらと泳ぎつづける様が竜樹さんにとってはお気に入りだそうだけど…


…それでも、グッピーとかって言われた方が女の子らしくてよかないですか?


竜樹さんがベタを気に入ってるのだからいいじゃないかとも思うけれど、「ベタねぇ…」とかって思う自分もいたりして、ちょっと複雑。


その話題が出てまた数日後、竜樹さん、今度はこんなことを言い始めた。


「ベタって強いから、ビニール袋に水と一緒にベタを入れて酸素詰めて売られてたりすんねん」

「あぁ、ベタやんのごはんを買いに行った時によく見ましたね」

「確かにあぁしててもベタは強いから死なへんねんけどな。
酸素が足りないとベタの色ってどんどん黒ずんでくるねん。
やっぱりちゃんと空気が取り込みやすい入れ物に入ってるベタの方が色がきれいねん」

「あんまり厳しくしてると、私も黒ずんできますよ」

「それが嫌やから、きつく言うのやめようと思ってんねん」

「でも、気がついたことは言ってくれはったらいいんですよ?」

「うん。けど、そらちゃんが黒ずんだらどないしょうって考えたら、俺が白髪だらけになるから。
厳しくいくのはやめやぁ」


甘やかされるばかりがいい訳じゃないから、気になることがあったら言ってくれたのがいいのだけれど、ほにゃんとした表情でそんなことをいわれると何だか嬉しかったりする。


…「ベタは手がかからなくていい」と仰ってた割には、マメに面倒見てはったもんね


そんな竜樹さんにかわいがられるのは嬉しいんだよ。


しかしなんでまた、こんな日に思い出すのだろう?
思い出してることは私にとってはふっくらしたエピソードなのに、今の私は人外魔境で鼻をかみかみ電話がかかってくることを少々げんなり受け止めてたりする。
その落差があまりに激しくて、我に返るとヘンな笑いが出そうになるけれど。


鼻をかみながら、目をこすりながら、仕事をする毎日。
どっしようもないところにいる私の周りには確かに竜樹さんとの暖かな時間のかけらが取り囲んでいて、それはすぐ手に取れるところにある。
それにいつでも浸ってられる訳ではないし、どかーんとくることも妙な鬱々にとっ捕まることもあるけれど。


竜樹さんの大好きな、逞しいけれど、優雅に泳ぐベタのように。
竜樹さんが望む、ポヨよ〜んとふくよかな私に。
そのすべてを手に入れて、竜樹さんの笑顔を手に入れて。
2人で幸せな時間の中で泳ぐように暮らしていけたらいいなぁと思う。


人外魔境で鼻をかみかみげんなりしながらも、強い風が花粉を連れてきたついでに届けてくれたような、数日前のあまやかな時間をちょっと反芻してみた。



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