ずっと変わらずに握り締めていたいもの
2003年3月23日三者の会話が会話として成立しないまま、決裂してしまい自室に戻ってきた。
久しぶりに自室でしなければならないことはそれなりにあるのだけど、何もする気になれず、ぼんやりと思いを巡らせていた。
ふと竜樹邸に滞在してた時に姉さまからメールが届いていたのに返事をし損ねてることに気づいて、お返事をこちこち打つ。
私や姉さまと同期で、ことあるごとに会うメンバーは他にもいるのだけど、どういう訳か他の同期には話さないことを姉さまには話してしまう。
他の同期のように少々の好奇心交じりの「話してくれて嬉しいよ♪」ではなく、ただ静かに受け止めてくれる懐の深さみたいなものに私自身が寄っかかってしまうのかもしれない。
休みの日に辛気臭い話なんてしたくないけれど、何とはなしにキーは自分の置かれてる現状と自分の想いをこちこちと打ち続ける。
レスが面倒なら放っておいてくれていいんだよと思いながらそっと夜空に言葉を飛ばした。
すぐに返事が返ってきた。
私が連絡を入れずに外泊したことはしっかり諭された。
それは世間体の問題ではなく、ただ純粋なる心配から怒ることは当たり前なんだよと。
海衣との区別もあるのは仕方がないと。
金岡は妹さんと違って不器用な性質だから、彼女以上に行く末を心配してるんだろうと。
姉さまの言葉は冷静さを連れてきてくれる。
ただ「うん、判るよ」とだけ言う訳でもなければ、他人の人生で日頃の鬱憤晴らすような配慮のない言葉を吐きまわる訳でもない。
彼女のスタンスや言葉の選び方は、今の自分にはありがたいものだ。
「金岡さんにとって『どんな暮らしをするよりも、竜樹さんと一緒にいて心豊かな生活する方が幸せ』って判ってくれたら、反対しはらへんと思うねんけど、甘いかなぁ」
同期の中でも桁外れに生活レベルの高い姉さまからみたら、明らかに私がやろうとしてることは無謀だと思えるだろうに、どういう訳か私のやることをバカみたいだとは言わない。
他の同期には結構キツイ言葉を何度か繰り出すことがあって横で見てて何度か目をむくこともあったけれど、基本的にキツイ言葉の中にもある種の優しさは見える人だから、同期の人間も彼女を信頼してる。
8年間ずっと私が何を必要としてじたばたしてるのかを知った上で、そっと傍で見守ってくれてる姉さまの言葉は、私の心に暖かさをくれる。
根拠レスな涙を落としながら、ただありがとうと伝えたくて、キーをこちこち。
ありがとうの言葉を夜空に放ち、ようやく眠りについた。
昨日は夜までは竜樹さんと一緒にいて、家に帰ってきてからは姉さまとのやり取りがあったにも関わらず、目覚めると頭痛と吐き気に苛まれる。
薬を飲もうにも、水を飲むことすら気持ち悪い。
「頭が痛い時は、ひたすら眠るに限る」がお約束なのに、頭痛がひどすぎて眠ることも出来ない。
眠ることも出来ず、体を起こすと頭痛と吐き気の二本立てですっかりまいってしまう。
何も口にすることが出来ないまま、ただじっと蹲り、時折ちょこちょこ場所を変えては蹲りを繰り返して夜が来る。
…もしかして、身体が痛むのがピークに来た時の竜樹さんもこんな感じなのかな?
そんな風に感じたのは、ふと枕元の携帯に手が触れたときだった。
しんどい時はメールも電話も出来る状態でないというのはお約束だけれど、尋常でなくしんどい時は夜中や朝方にでも電話がかかることがある。
それは通常のしんどいよりもはるかに状態が深刻だっていうのは、電話口から聞こえる弱い声で判るのだけれど。
どうやっても苦痛が取れなくて、しんどくてやるせなくてどうしようもなくて、声が聞きたくなるんだと、今更ながらに思い知る。
「ごめんなぁ、一緒にいてるのにしんどい表情ばかりして…」
そう言いながら、しんどいのがピークを越すと「来んといて」よりも「来て」が勝つ場面に何度も立ち会ってるから、その思いの複雑さは判ってたつもりだったけれど。
竜樹さんの前では元気な私でいたいと思いながらも、しんどいから傍にいて欲しい、何をして欲しいという訳でなくただ傍にいて欲しいって思う。
ただ傍にいて欲しい、声が聞きたい、そこにいるって空気が感じられたらいい。
そうは思ったけれど、電話に手をかけることは出来なかった。
今の私は、まだ竜樹さんには話すつもりのないことまで話してしまいかねないから。
一緒にいてる時、さんざん甘えたんだ。
だから、もう少し踏ん張れる。
…それでも、竜樹さんの傍にいたいという思いに変わりはないのだけど
頭痛と吐き気は日付が変わる頃までずっと続いたけれど。
いろんなことがあって身体にブレーキがかかったことで改めて見えたこと。
それを握り締めてまた歩き出そう。
9回目の春はすぐそこだし、それを越えてもずっと変わらずに握り締めていたいもの。
ただ、竜樹さんと一緒にいたいということ。
久しぶりに自室でしなければならないことはそれなりにあるのだけど、何もする気になれず、ぼんやりと思いを巡らせていた。
ふと竜樹邸に滞在してた時に姉さまからメールが届いていたのに返事をし損ねてることに気づいて、お返事をこちこち打つ。
私や姉さまと同期で、ことあるごとに会うメンバーは他にもいるのだけど、どういう訳か他の同期には話さないことを姉さまには話してしまう。
他の同期のように少々の好奇心交じりの「話してくれて嬉しいよ♪」ではなく、ただ静かに受け止めてくれる懐の深さみたいなものに私自身が寄っかかってしまうのかもしれない。
休みの日に辛気臭い話なんてしたくないけれど、何とはなしにキーは自分の置かれてる現状と自分の想いをこちこちと打ち続ける。
レスが面倒なら放っておいてくれていいんだよと思いながらそっと夜空に言葉を飛ばした。
すぐに返事が返ってきた。
私が連絡を入れずに外泊したことはしっかり諭された。
それは世間体の問題ではなく、ただ純粋なる心配から怒ることは当たり前なんだよと。
海衣との区別もあるのは仕方がないと。
金岡は妹さんと違って不器用な性質だから、彼女以上に行く末を心配してるんだろうと。
姉さまの言葉は冷静さを連れてきてくれる。
ただ「うん、判るよ」とだけ言う訳でもなければ、他人の人生で日頃の鬱憤晴らすような配慮のない言葉を吐きまわる訳でもない。
彼女のスタンスや言葉の選び方は、今の自分にはありがたいものだ。
「金岡さんにとって『どんな暮らしをするよりも、竜樹さんと一緒にいて心豊かな生活する方が幸せ』って判ってくれたら、反対しはらへんと思うねんけど、甘いかなぁ」
同期の中でも桁外れに生活レベルの高い姉さまからみたら、明らかに私がやろうとしてることは無謀だと思えるだろうに、どういう訳か私のやることをバカみたいだとは言わない。
他の同期には結構キツイ言葉を何度か繰り出すことがあって横で見てて何度か目をむくこともあったけれど、基本的にキツイ言葉の中にもある種の優しさは見える人だから、同期の人間も彼女を信頼してる。
8年間ずっと私が何を必要としてじたばたしてるのかを知った上で、そっと傍で見守ってくれてる姉さまの言葉は、私の心に暖かさをくれる。
根拠レスな涙を落としながら、ただありがとうと伝えたくて、キーをこちこち。
ありがとうの言葉を夜空に放ち、ようやく眠りについた。
昨日は夜までは竜樹さんと一緒にいて、家に帰ってきてからは姉さまとのやり取りがあったにも関わらず、目覚めると頭痛と吐き気に苛まれる。
薬を飲もうにも、水を飲むことすら気持ち悪い。
「頭が痛い時は、ひたすら眠るに限る」がお約束なのに、頭痛がひどすぎて眠ることも出来ない。
眠ることも出来ず、体を起こすと頭痛と吐き気の二本立てですっかりまいってしまう。
何も口にすることが出来ないまま、ただじっと蹲り、時折ちょこちょこ場所を変えては蹲りを繰り返して夜が来る。
…もしかして、身体が痛むのがピークに来た時の竜樹さんもこんな感じなのかな?
そんな風に感じたのは、ふと枕元の携帯に手が触れたときだった。
しんどい時はメールも電話も出来る状態でないというのはお約束だけれど、尋常でなくしんどい時は夜中や朝方にでも電話がかかることがある。
それは通常のしんどいよりもはるかに状態が深刻だっていうのは、電話口から聞こえる弱い声で判るのだけれど。
どうやっても苦痛が取れなくて、しんどくてやるせなくてどうしようもなくて、声が聞きたくなるんだと、今更ながらに思い知る。
「ごめんなぁ、一緒にいてるのにしんどい表情ばかりして…」
そう言いながら、しんどいのがピークを越すと「来んといて」よりも「来て」が勝つ場面に何度も立ち会ってるから、その思いの複雑さは判ってたつもりだったけれど。
竜樹さんの前では元気な私でいたいと思いながらも、しんどいから傍にいて欲しい、何をして欲しいという訳でなくただ傍にいて欲しいって思う。
ただ傍にいて欲しい、声が聞きたい、そこにいるって空気が感じられたらいい。
そうは思ったけれど、電話に手をかけることは出来なかった。
今の私は、まだ竜樹さんには話すつもりのないことまで話してしまいかねないから。
一緒にいてる時、さんざん甘えたんだ。
だから、もう少し踏ん張れる。
…それでも、竜樹さんの傍にいたいという思いに変わりはないのだけど
頭痛と吐き気は日付が変わる頃までずっと続いたけれど。
いろんなことがあって身体にブレーキがかかったことで改めて見えたこと。
それを握り締めてまた歩き出そう。
9回目の春はすぐそこだし、それを越えてもずっと変わらずに握り締めていたいもの。
ただ、竜樹さんと一緒にいたいということ。
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