暖かな感情が消え失せてしまう前に…
2003年3月22日楽しい食事を終えて、後片付けをする。
後片付けを終えると、竜樹さんが横になってたベッドの隣に滑り込んで暫くくっついてる。
ただ竜樹さん、お疲れが出たのか、本気で少し眠りたいそう。
ベッドが狭いので、こそっと抜け出し、その隣のスペースにお布団を引いて私も休む。
時計を見ると、20時15分。
自力で帰るなら、あと30分ほどしたら竜樹邸を出ないといけない。
それでも、眠りモードに入りかけの竜樹さんは時折甘えたな感じで手を伸ばしてくる。
それを握り返してるうちに、2人とも眠ってしまってたらしい。
…次に目を覚ましたら、22時10分前だった。
竜樹邸から最寄駅へ行くバスはもうない。
竜樹さんの手は私の手を握りっぱなしのまま、依然竜樹さんは目を覚まさない。
手をそっと抜いて帰り支度をすればよかったのかもしれない。
けれど、いつも眠りが浅い竜樹さんがぐっすり眠ってるのを起こしてしまいたくはない。
そのまま手を握られ続けたまま、時計とつけっぱなしのテレビをにらめっこ。
ずるりずるりと時間は過ぎる。
そのうち、竜樹さんの手がするりと抜ける。
帰り支度をしようと起き上がると、立ちくらみがひどくてよろける。
暫くお布団の上で座り込んでいるけれど、一向に頭のぐらぐらが取れず、また横になる。
時間はどんどん過ぎていく。
自力で帰るつもりでいたけれど、ふと帰りたくなくなった。
自力で帰るには体調が思わしくなかったのもあるけれど、さりとて「何となく帰りたくないので、今日は家には帰りません」と連絡を入れることも躊躇われた。
ひとまず体調が落ち着いたら、家に帰ればいいやとそのまま連絡をせずに横になる。
気がかりを残したまま横になっているので、眠りが浅くて何度も目を覚ます。
その度に時計を見て、ますます帰りにくい時間になってることが気持ちを重くする。
そうしてまたその事実に目を背けるようにして眠るを繰り返す。
時折、竜樹さんが触れる手で目を覚ます。
竜樹さんの身体の不調も尋常ではなくて、私に触れることでしんどさを忘れたかったみたい。
とっくの昔に自宅に帰るべき時間など過ぎているにもかかわらず、思考のどこかで時間が気になって仕方がない部分がある。
少しばかりの気のそぞろが竜樹さんに伝わるのか、少し困った表情を見せられてはっとする。
そうして竜樹さんの痛みが薄れるようにと願いながら、ただ竜樹さんを抱き締め続けて朝を迎えた。
目を覚ますと、朝とお昼の中間くらいの時間。
竜樹さんの方が先に起きて何かごとごとされているのは知っていたけれど、頭痛が取れないので暫くじっとしていた。
ようやく頭痛も治まってきたので、竜樹さんと2人で簡単な朝食を作る。
金岡の家のことを何も考えずにいてると、気分的に随分落ち着くのだけれど、ちょっとしたことで思い返すとまた気持ちは沈んでいく気がする。
「結局、無断外泊してしまったのだから悩んだってしょうがないじゃないか」と居直る気にもなれず、されども自宅に跳んで帰る気にもなれず。
ぼんにゃりとご飯を食べて、後片付けをする。
「なぁ、霄。連絡入れなくてええんか」とは竜樹さんからも聞かれてはいたけれど、今の時点で電話したところで却って火の勢いが強まるような気がしてならなくてやめてしまった。
口論の矛先がどう動いていくかも目に見えていたから…
ちょっと鬱々しさが見えてきたのか。
「体調の加減で外には連れ出せないけれど…」と2階で遊ぼうと竜樹さん。
録画してあった「RIKA」というかんなり怖いドラマを竜樹さんにくっついて見ていた。
「作りもんの話やねんから、そこまで怖がらんでもええやろ?」
「…だって、かんなりありえそうな話でしょお(>_<)」
「そらちゃん、甘えたやなぁ(*^-^*)」
三角座りで竜樹さんの布団にしがみつくようにしてる私を抱きかかえてくれてる竜樹さん。
ようやっと怖いドラマが終わったら、今度はミニ射的(笑)
「こうしたら、ええねんで♪(*^-^*)」
打ち方を教えてくれるときもまたずっと抱きかかえるようにしてくれる竜樹さんの温度がとても優しくて、離れがたい。
「ずっと傍にいられたらいいなぁ」と思う気持ちの隅の方で、帰宅後の光景が目に浮かんでまた沈む。
ミニ射的やネット遊びを2人でくっついてした後、またしても簡単な夕飯を2人で作る。
そうしてまた暫くゆっくりして、時計を見ると本当に帰らなければ具合の悪い時間になった。
竜樹邸を出てから、なるべく自宅に着くのが遅ければいいのにと思っているのに、信号はずっと青。
竜樹邸から自宅までの通常の所要時間より早く着いてしまった。
竜樹さんとの別れが辛いけれど、一緒にいられて嬉しかった気持ちの方が強いから、笑顔を交わして車を降りる。
…自宅に戻ると、予想通り凄惨なバトルを展開する羽目になった。
最初はただひたすら謝っていたけれど、過去に触れられるとどうしても海衣がいたの時のことが頭を掠める。
そのままじっと耐えれば互いの傷口は広がらずに済むだろうと思っていたけれど、彼らの非難の矛先が私から竜樹さんに移行したのが自制心をブチ切った。
この家にいてるうちは、この家のルールに従うのは当たり前だと思う。
この家に給料の半分近くのお金を入れてるということがあろうがなかろうが、それはここにいてる間は飲まざるを得ないことかもしれない。
それでも、もういい加減放っておいて欲しいと思う部分もある。
「海衣の時は何をやっても結局は許しつづけたのに、私の時は何やっても締めりゃいいって思ってるわけ?」
そう口を突きかけて、言葉を飲んだ。
ただ竜樹さんに過度に向かっていく尖った言葉に対しては、冷たく制したけれど。
冷徹に制する言葉に対する返事は、「別れるか、出て行くか、どちらか選べ」
答は簡単、即答できるけれど、それを今口にするべきではないだろうという気もした。
思った通り答えるべきかどうか迷いながら、二人の様子を冷えた目で眺めている。
金岡母の言葉と金岡父の言葉の中の感情の温度が微妙に食い違ってるのをどこか複雑な感情で眺めながら、心の底に冷えた言葉が浮かんでくる。
「もうこの辺が潮時なのかもね」
距離が近すぎるが故に、私も彼らも無遠慮になりすぎてる部分があるのは間違いない。
この家にいてる間はこの家のルールに従えは間違いない正論だけど、その中に流れてるものを見つめる時、明らかに海衣の時の対応の差に対する理不尽さを思い返すことになる。
決して、金岡両親も海衣のことも嫌いではないけれど、このままだと本当に嫌いを通り越して暖かな感情など微塵も流れない状態になるかもしれない。
大嫌いになる前に一度距離を置きたい。
竜樹さんとのこともあれば金岡家の事情を私なりに考えて決断した結果、ここに長くいすぎる羽目になったのだけれど。
そろそろそれを終える日が来るのかもしれない。
両極にありながらも、私にとって両者共に大切な人にあるには違いないのだから、そのどちらかに対する暖かな感情が完全に失せてしまうのは私が嫌だから。
暖かな感情が消え失せてしまう前に、一度離れた方がいいのだろうと思う。
後片付けを終えると、竜樹さんが横になってたベッドの隣に滑り込んで暫くくっついてる。
ただ竜樹さん、お疲れが出たのか、本気で少し眠りたいそう。
ベッドが狭いので、こそっと抜け出し、その隣のスペースにお布団を引いて私も休む。
時計を見ると、20時15分。
自力で帰るなら、あと30分ほどしたら竜樹邸を出ないといけない。
それでも、眠りモードに入りかけの竜樹さんは時折甘えたな感じで手を伸ばしてくる。
それを握り返してるうちに、2人とも眠ってしまってたらしい。
…次に目を覚ましたら、22時10分前だった。
竜樹邸から最寄駅へ行くバスはもうない。
竜樹さんの手は私の手を握りっぱなしのまま、依然竜樹さんは目を覚まさない。
手をそっと抜いて帰り支度をすればよかったのかもしれない。
けれど、いつも眠りが浅い竜樹さんがぐっすり眠ってるのを起こしてしまいたくはない。
そのまま手を握られ続けたまま、時計とつけっぱなしのテレビをにらめっこ。
ずるりずるりと時間は過ぎる。
そのうち、竜樹さんの手がするりと抜ける。
帰り支度をしようと起き上がると、立ちくらみがひどくてよろける。
暫くお布団の上で座り込んでいるけれど、一向に頭のぐらぐらが取れず、また横になる。
時間はどんどん過ぎていく。
自力で帰るつもりでいたけれど、ふと帰りたくなくなった。
自力で帰るには体調が思わしくなかったのもあるけれど、さりとて「何となく帰りたくないので、今日は家には帰りません」と連絡を入れることも躊躇われた。
ひとまず体調が落ち着いたら、家に帰ればいいやとそのまま連絡をせずに横になる。
気がかりを残したまま横になっているので、眠りが浅くて何度も目を覚ます。
その度に時計を見て、ますます帰りにくい時間になってることが気持ちを重くする。
そうしてまたその事実に目を背けるようにして眠るを繰り返す。
時折、竜樹さんが触れる手で目を覚ます。
竜樹さんの身体の不調も尋常ではなくて、私に触れることでしんどさを忘れたかったみたい。
とっくの昔に自宅に帰るべき時間など過ぎているにもかかわらず、思考のどこかで時間が気になって仕方がない部分がある。
少しばかりの気のそぞろが竜樹さんに伝わるのか、少し困った表情を見せられてはっとする。
そうして竜樹さんの痛みが薄れるようにと願いながら、ただ竜樹さんを抱き締め続けて朝を迎えた。
目を覚ますと、朝とお昼の中間くらいの時間。
竜樹さんの方が先に起きて何かごとごとされているのは知っていたけれど、頭痛が取れないので暫くじっとしていた。
ようやく頭痛も治まってきたので、竜樹さんと2人で簡単な朝食を作る。
金岡の家のことを何も考えずにいてると、気分的に随分落ち着くのだけれど、ちょっとしたことで思い返すとまた気持ちは沈んでいく気がする。
「結局、無断外泊してしまったのだから悩んだってしょうがないじゃないか」と居直る気にもなれず、されども自宅に跳んで帰る気にもなれず。
ぼんにゃりとご飯を食べて、後片付けをする。
「なぁ、霄。連絡入れなくてええんか」とは竜樹さんからも聞かれてはいたけれど、今の時点で電話したところで却って火の勢いが強まるような気がしてならなくてやめてしまった。
口論の矛先がどう動いていくかも目に見えていたから…
ちょっと鬱々しさが見えてきたのか。
「体調の加減で外には連れ出せないけれど…」と2階で遊ぼうと竜樹さん。
録画してあった「RIKA」というかんなり怖いドラマを竜樹さんにくっついて見ていた。
「作りもんの話やねんから、そこまで怖がらんでもええやろ?」
「…だって、かんなりありえそうな話でしょお(>_<)」
「そらちゃん、甘えたやなぁ(*^-^*)」
三角座りで竜樹さんの布団にしがみつくようにしてる私を抱きかかえてくれてる竜樹さん。
ようやっと怖いドラマが終わったら、今度はミニ射的(笑)
「こうしたら、ええねんで♪(*^-^*)」
打ち方を教えてくれるときもまたずっと抱きかかえるようにしてくれる竜樹さんの温度がとても優しくて、離れがたい。
「ずっと傍にいられたらいいなぁ」と思う気持ちの隅の方で、帰宅後の光景が目に浮かんでまた沈む。
ミニ射的やネット遊びを2人でくっついてした後、またしても簡単な夕飯を2人で作る。
そうしてまた暫くゆっくりして、時計を見ると本当に帰らなければ具合の悪い時間になった。
竜樹邸を出てから、なるべく自宅に着くのが遅ければいいのにと思っているのに、信号はずっと青。
竜樹邸から自宅までの通常の所要時間より早く着いてしまった。
竜樹さんとの別れが辛いけれど、一緒にいられて嬉しかった気持ちの方が強いから、笑顔を交わして車を降りる。
…自宅に戻ると、予想通り凄惨なバトルを展開する羽目になった。
最初はただひたすら謝っていたけれど、過去に触れられるとどうしても海衣がいたの時のことが頭を掠める。
そのままじっと耐えれば互いの傷口は広がらずに済むだろうと思っていたけれど、彼らの非難の矛先が私から竜樹さんに移行したのが自制心をブチ切った。
この家にいてるうちは、この家のルールに従うのは当たり前だと思う。
この家に給料の半分近くのお金を入れてるということがあろうがなかろうが、それはここにいてる間は飲まざるを得ないことかもしれない。
それでも、もういい加減放っておいて欲しいと思う部分もある。
「海衣の時は何をやっても結局は許しつづけたのに、私の時は何やっても締めりゃいいって思ってるわけ?」
そう口を突きかけて、言葉を飲んだ。
ただ竜樹さんに過度に向かっていく尖った言葉に対しては、冷たく制したけれど。
冷徹に制する言葉に対する返事は、「別れるか、出て行くか、どちらか選べ」
答は簡単、即答できるけれど、それを今口にするべきではないだろうという気もした。
思った通り答えるべきかどうか迷いながら、二人の様子を冷えた目で眺めている。
金岡母の言葉と金岡父の言葉の中の感情の温度が微妙に食い違ってるのをどこか複雑な感情で眺めながら、心の底に冷えた言葉が浮かんでくる。
「もうこの辺が潮時なのかもね」
距離が近すぎるが故に、私も彼らも無遠慮になりすぎてる部分があるのは間違いない。
この家にいてる間はこの家のルールに従えは間違いない正論だけど、その中に流れてるものを見つめる時、明らかに海衣の時の対応の差に対する理不尽さを思い返すことになる。
決して、金岡両親も海衣のことも嫌いではないけれど、このままだと本当に嫌いを通り越して暖かな感情など微塵も流れない状態になるかもしれない。
大嫌いになる前に一度距離を置きたい。
竜樹さんとのこともあれば金岡家の事情を私なりに考えて決断した結果、ここに長くいすぎる羽目になったのだけれど。
そろそろそれを終える日が来るのかもしれない。
両極にありながらも、私にとって両者共に大切な人にあるには違いないのだから、そのどちらかに対する暖かな感情が完全に失せてしまうのは私が嫌だから。
暖かな感情が消え失せてしまう前に、一度離れた方がいいのだろうと思う。
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