力のかけらを生み出す時間
2002年12月23日今年最後の連休最終日。
冷え込みはするけれど、天気はまずまず。
いつもよりもこころもち早めに家を出る。
何かの折につけ贈物を届けてくれる友達がいて、何か返そうと思いながらぴんと来るものに出会えずにぐずぐずとしていたのだけれど、クリスマスも近いし何か掘り出し物がありそうな気がして竜樹邸に行く前に少し寄り道を企てることにした。
連休最終日だからという以前に、明日・明後日がクリスマスだからか、ショッピングモールはどこも込み合っている。
お目当ての店も人でごった返してる。
人ごみをかき分けて「これがいいかな」と思うものを見つけ、他にいいのがないかとその一角を1周して戻ってきたら、さっき見つけたアイテムは姿を消していた。
……………(ノ゜ο゜)ノ オオオオォォォォォォ-
アイテムそのものは他にもごまんとあるのだけれど、色も形もそれ以上にいいと思えるものがない。
忙しくてばたばたしている店員さんには申し訳ないとは思ったけれど、在庫があるならそれでいいのだからと店員さんを捕まえて在庫の確認をしてもらった。
幸い全数在庫があったので、それをプレゼント用に包装してもらって送ってもらうことにした。
送り状に友達の住所を書いてると、「メッセージカード書かれますか?」と店員さん。
咄嗟に「はい」と言ったものの、メッセージなんて準備できてない。
ふと横を見ると、レジはめちゃ混み。
頭の中は真っ白、メッセージは出てこない。
あぁでもないこうでもないと焦る姿は、したたか酔ってるところにいきなりスピーチのマイクを回された間抜けなおっさんとよく似てる気が…
焦れば焦るほど言葉が出てこなくなる。
「一足先に食卓に春が来ますように」
なんだかすっとぼけたことをちっさなカードに書いて、店員さんに返す。
「もっといい言葉はないのかよ?」と自分に問い返したけれど、それ以上混んでるレジをつかえさせるのもどうかと思ったから諦めた。
頭の回転が鈍い上に、肝心な時にばかり上がり性が出るなぁと思いながら、駅まで移動して電車に乗る。
電車の中にいる人も、気のせいかどことなくクリスマスに向けて華やいでる感じがする。
本当は明日も休みにして竜樹邸で過ごそうかと思っていたのだけど、連休明けは仕事の量が尋常じゃないので休むとどえらいことになる。
それが怖かったので、放課後竜樹邸に寄ってひととき一緒に過ごすということにして、今日は明日の夕飯の下拵えをメインに進める予定。
竜樹邸に向かうバスの乗り場の駅まで行き、いつものスーパーで食材を買い込んでよろよろとバスに乗る。
寒くても日差しが暖かいと不思議と気持ちが和らぐのは気のせいなのだろうか。
別に今日は出かけられなくてもいいけれど、せめて竜樹さんが元気でいてくれればと思いながら、車窓を流れる景色をぼんやりと眺めていた。
竜樹邸の鍵を開けて中に入ると、竜樹さんはどこか調子悪そうにしておられた。
こちらに向ける表情は決して尖ったものではないけれど、明らかに体の具合の悪いのが判る感じ。
竜樹さんとくっついて横になりながら少し話をして、また竜樹さんは眠りにつく。
竜樹さんの傍にいたいけれど、眠りが浅いのか落ち着きなくしておられる様子。
…あ、一人になりたいのかな?
一人が好きというよりも一人でいないと落ち着かないことも彼にはあるようなので、鞄を持ってそっと2階に上がる。
竜樹さんが眠っている間、友達から借りて見れずじまいで放っていたビデオを見る。
1時間半ばかりぼんやりとテレビの画面を眺めていたけれど、階下で眠る竜樹さんのことが気がかり。
…あともう少し見たら、竜樹さんの様子を見に行ってみようか?
「…霄、ヒーターくらいつけや?風邪ひくで?」
まだちょっと眠そうな竜樹さんが2階まで探しに来てくれた。
「ちゃんと眠れました?」
「うん、霄が一人にしてくれてたからちゃんと眠れたわ」
そのままビデオを見つづけてると終わるまで寒い部屋に竜樹さんも残っていそうなので、ビデオを止めて一緒に階下に降りる。
どことなく甘えたそうにしてる竜樹さんをお布団の上で抱き締めて、そのまま抱き枕兼湯たんぽ代わりの状態に入る。
ただくっついてると安心するのか、ちょっと落ち着いてこられたので夕飯の下拵えに入ることにする。
明日はチキンを焼くだけにしたいので、今日はチキンにかけるソースとスープ、サラダを作る。
その結果、今日のメインが竜樹邸の冷蔵庫の掃除料理になりそうなのは難だけれど(-_-;)
スープは鍋でベーコンを炒め、ミックスベジタブルを投入の後、お湯を入れて煮立ってきたらコンソメキューブとカットトマトの缶詰を投入しておしまい。
サラダは、色とりどりのマカロニを茹で、お湯をきった後器に入れ、角切りにしたブロッコリー、トマト、ゆで卵を混ぜ、マヨネーズで味付けして完成。
大量にできたスープとサラダ、そして竜樹邸の冷蔵庫に細々残っている惣菜をあわせると結構な量になる。
竜樹さんがご飯を食べれそうな状態になるまで、再び抱き枕兼湯たんぽ代わりになり、竜樹さんが食事を摂れる体勢になってようやく夕食。
「これ、美味しいわ♪(*^_^*)」
簡単そうに見える、クリスマス仕様のサラダが竜樹さんのお気に召したらしい。
あと、カットトマトがスープに入っていたのもご機嫌だった気がする。
「これは沢山あるから、明日チキンと一緒にもう一回食べることになりますよ」
「そうか、それはよかった」
竜樹さんの表情からしんどそうな色よりも柔らかな感じが強く出てるのにほっとしながら、明日は竜樹さんの体調がいいといいなと思う。
ご飯を食べて後片付けして、またじゃれっこしそうになるけれど、明日は会社なのでいつもよりは早めに撤収することに。
…本当はもう少し一緒にいたいんだけどね
明日のことを考えずに、仕事のことを考えずに、ただいたいだけいられたらどれほどいいかと思うけれど、自分たちの立地基盤を確立するのは普段の生活なのだからと自分に言い聞かせて、買える用意をして竜樹邸をあとにする。
「では、また明日」
「おー、楽しみにしてるなぁ」
2人でいる時間を日常のサイクルが別ってしまうのはやるせなくてならないけれど、明日は8年目にして初めて迎える2人だけのクリスマスイブ。
竜樹さんからのクリスマスプレゼントは既に貰ってしまってるし、特別に何かを起こすには放課後の数時間じゃ足りないような気もするけれど…
クリスマスイブだから特別な何がある訳でなく、一緒にいられることがただ嬉しいのは昨日も今日も変わりないことと同じように、きっと明日も変わらない。
竜樹さんがしんどそうにしてる様子を見て、竜樹さんが辛そうにしてることがやるせなくて、本当にただ会いに来るだけでよかったのだろうかと考えてしまう部分は今でもあるのだけれど。
ただ一緒にいられることが嬉しいと思うこと。
会う度に都度確認して、そんな小さな暖かさを糧にしてまた歩いていくための、そんな力のかけらを生み出す時間。
それが竜樹さんと会う時間なんだと思ってる。
冷え込みはするけれど、天気はまずまず。
いつもよりもこころもち早めに家を出る。
何かの折につけ贈物を届けてくれる友達がいて、何か返そうと思いながらぴんと来るものに出会えずにぐずぐずとしていたのだけれど、クリスマスも近いし何か掘り出し物がありそうな気がして竜樹邸に行く前に少し寄り道を企てることにした。
連休最終日だからという以前に、明日・明後日がクリスマスだからか、ショッピングモールはどこも込み合っている。
お目当ての店も人でごった返してる。
人ごみをかき分けて「これがいいかな」と思うものを見つけ、他にいいのがないかとその一角を1周して戻ってきたら、さっき見つけたアイテムは姿を消していた。
……………(ノ゜ο゜)ノ オオオオォォォォォォ-
アイテムそのものは他にもごまんとあるのだけれど、色も形もそれ以上にいいと思えるものがない。
忙しくてばたばたしている店員さんには申し訳ないとは思ったけれど、在庫があるならそれでいいのだからと店員さんを捕まえて在庫の確認をしてもらった。
幸い全数在庫があったので、それをプレゼント用に包装してもらって送ってもらうことにした。
送り状に友達の住所を書いてると、「メッセージカード書かれますか?」と店員さん。
咄嗟に「はい」と言ったものの、メッセージなんて準備できてない。
ふと横を見ると、レジはめちゃ混み。
頭の中は真っ白、メッセージは出てこない。
あぁでもないこうでもないと焦る姿は、したたか酔ってるところにいきなりスピーチのマイクを回された間抜けなおっさんとよく似てる気が…
焦れば焦るほど言葉が出てこなくなる。
「一足先に食卓に春が来ますように」
なんだかすっとぼけたことをちっさなカードに書いて、店員さんに返す。
「もっといい言葉はないのかよ?」と自分に問い返したけれど、それ以上混んでるレジをつかえさせるのもどうかと思ったから諦めた。
頭の回転が鈍い上に、肝心な時にばかり上がり性が出るなぁと思いながら、駅まで移動して電車に乗る。
電車の中にいる人も、気のせいかどことなくクリスマスに向けて華やいでる感じがする。
本当は明日も休みにして竜樹邸で過ごそうかと思っていたのだけど、連休明けは仕事の量が尋常じゃないので休むとどえらいことになる。
それが怖かったので、放課後竜樹邸に寄ってひととき一緒に過ごすということにして、今日は明日の夕飯の下拵えをメインに進める予定。
竜樹邸に向かうバスの乗り場の駅まで行き、いつものスーパーで食材を買い込んでよろよろとバスに乗る。
寒くても日差しが暖かいと不思議と気持ちが和らぐのは気のせいなのだろうか。
別に今日は出かけられなくてもいいけれど、せめて竜樹さんが元気でいてくれればと思いながら、車窓を流れる景色をぼんやりと眺めていた。
竜樹邸の鍵を開けて中に入ると、竜樹さんはどこか調子悪そうにしておられた。
こちらに向ける表情は決して尖ったものではないけれど、明らかに体の具合の悪いのが判る感じ。
竜樹さんとくっついて横になりながら少し話をして、また竜樹さんは眠りにつく。
竜樹さんの傍にいたいけれど、眠りが浅いのか落ち着きなくしておられる様子。
…あ、一人になりたいのかな?
一人が好きというよりも一人でいないと落ち着かないことも彼にはあるようなので、鞄を持ってそっと2階に上がる。
竜樹さんが眠っている間、友達から借りて見れずじまいで放っていたビデオを見る。
1時間半ばかりぼんやりとテレビの画面を眺めていたけれど、階下で眠る竜樹さんのことが気がかり。
…あともう少し見たら、竜樹さんの様子を見に行ってみようか?
「…霄、ヒーターくらいつけや?風邪ひくで?」
まだちょっと眠そうな竜樹さんが2階まで探しに来てくれた。
「ちゃんと眠れました?」
「うん、霄が一人にしてくれてたからちゃんと眠れたわ」
そのままビデオを見つづけてると終わるまで寒い部屋に竜樹さんも残っていそうなので、ビデオを止めて一緒に階下に降りる。
どことなく甘えたそうにしてる竜樹さんをお布団の上で抱き締めて、そのまま抱き枕兼湯たんぽ代わりの状態に入る。
ただくっついてると安心するのか、ちょっと落ち着いてこられたので夕飯の下拵えに入ることにする。
明日はチキンを焼くだけにしたいので、今日はチキンにかけるソースとスープ、サラダを作る。
その結果、今日のメインが竜樹邸の冷蔵庫の掃除料理になりそうなのは難だけれど(-_-;)
スープは鍋でベーコンを炒め、ミックスベジタブルを投入の後、お湯を入れて煮立ってきたらコンソメキューブとカットトマトの缶詰を投入しておしまい。
サラダは、色とりどりのマカロニを茹で、お湯をきった後器に入れ、角切りにしたブロッコリー、トマト、ゆで卵を混ぜ、マヨネーズで味付けして完成。
大量にできたスープとサラダ、そして竜樹邸の冷蔵庫に細々残っている惣菜をあわせると結構な量になる。
竜樹さんがご飯を食べれそうな状態になるまで、再び抱き枕兼湯たんぽ代わりになり、竜樹さんが食事を摂れる体勢になってようやく夕食。
「これ、美味しいわ♪(*^_^*)」
簡単そうに見える、クリスマス仕様のサラダが竜樹さんのお気に召したらしい。
あと、カットトマトがスープに入っていたのもご機嫌だった気がする。
「これは沢山あるから、明日チキンと一緒にもう一回食べることになりますよ」
「そうか、それはよかった」
竜樹さんの表情からしんどそうな色よりも柔らかな感じが強く出てるのにほっとしながら、明日は竜樹さんの体調がいいといいなと思う。
ご飯を食べて後片付けして、またじゃれっこしそうになるけれど、明日は会社なのでいつもよりは早めに撤収することに。
…本当はもう少し一緒にいたいんだけどね
明日のことを考えずに、仕事のことを考えずに、ただいたいだけいられたらどれほどいいかと思うけれど、自分たちの立地基盤を確立するのは普段の生活なのだからと自分に言い聞かせて、買える用意をして竜樹邸をあとにする。
「では、また明日」
「おー、楽しみにしてるなぁ」
2人でいる時間を日常のサイクルが別ってしまうのはやるせなくてならないけれど、明日は8年目にして初めて迎える2人だけのクリスマスイブ。
竜樹さんからのクリスマスプレゼントは既に貰ってしまってるし、特別に何かを起こすには放課後の数時間じゃ足りないような気もするけれど…
クリスマスイブだから特別な何がある訳でなく、一緒にいられることがただ嬉しいのは昨日も今日も変わりないことと同じように、きっと明日も変わらない。
竜樹さんがしんどそうにしてる様子を見て、竜樹さんが辛そうにしてることがやるせなくて、本当にただ会いに来るだけでよかったのだろうかと考えてしまう部分は今でもあるのだけれど。
ただ一緒にいられることが嬉しいと思うこと。
会う度に都度確認して、そんな小さな暖かさを糧にしてまた歩いていくための、そんな力のかけらを生み出す時間。
それが竜樹さんと会う時間なんだと思ってる。
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