心を開ける場所

2002年12月22日
今日は金岡本家で法事。
祖母が亡くなった後、こうしてちょこちょこと法事は続く。
今回もまた親レベルまでの親戚が参加すればいいということで、寂しがりのプードルさんのために私は金岡家で留守番。

こうして何かがある度に自宅に軟禁されるような状態は正直言うと勘弁して欲しいのだけれど、ここの家にいてる間は仕方がないのだろうか。


ゆっくりと時間が進む中、ガスストーブの前でぼんやりと窓の外に映る空を見上げてる。
「かまえー、かまえー、構えったら、かーまーえーーー」とばかりにじゃれついてきてたプードルさんは構えコールに疲れたのか、時折場所を変えては昼寝三昧。
目に見えて散らかってるところは片付けたりしたけれど、リビングにいてるとネットもできないので、することもなく引き続きぼんやり三昧。


ふと、床に転がってた携帯を拾い上げて触る。


金曜の夜に友達とメールを何通かやりとりしていて、話の流れからふと最近の竜樹さんの私への態度を見て感じたことを教えてくれたのだけど。


「竜樹さんにとって、霄さんは家族なんですね」


…家族ってほどいいもんなんだろうか?(--;)


そもそも自分の中にある家族って何なんだろうと思うと、考え込んでしまった。


家族という言葉を聞いて受ける印象や自分が身を置く家族の実像っていうのは人それぞれ違うから一概にこれと決定付けられるものでもないのだろうけれど。

家族という名の許にある関係が「ある程度心許せる場所」なのだと言えば聞こえはいいけれど、ともすると甘えや我儘も出やすくなる場所でもあるのかもしれない。
血が繋がってるからこそ許せないことも確かに存在するけれど、血が繋がっているが故に許容される物事も確かにある。

自分自身が弱ってきた時に家庭の温かさみたいなものに触れて一瞬でもほっとすることだってあるから、いろいろありはしても私にとっての家族というのは、心に小さな暖かさや気安さのあるものなのかもしれない。


…にしちゃあ、ここの家族は互いが互いを便利屋扱いしてる部分ないか?


私と金岡両親との関係の表層を切り取ってみるとそんな風に感じないわけではないけれど、何かあった時の互いの言動の中には便利屋扱いとは違うものが確かに存在してる。

いろいろありはしても、心のどこかではここが家族の戻る場所であること。
そして互いが互いのことを気にかけて生きているということ。
それは、互いの放つ空気に触れればちゃんと感じられてはいるんだ。

互いの狭量に甘えて依存しすぎてしまうならよろしくないけれど、気を許せるからこそ頼ることのできる部分は確かにあるんだ。


どこまで言っても感情の置き方のさじ加減というのは難しいのだろう。
それが家族という枠組みの中にある人間同士のことであっても、それとは違う人間関係であっても…


友達の言う、「竜樹さんにとって霄さんは家族なんでしょうね」という言葉は、甘えと信頼の境界線が究めて曖昧な状態の私たちの姿をそのまま表してるのかな?って気がした。


竜樹さんの具合が悪くなった時、かつての自分の残像が心を掠めることで苛立ちが生まれ、やがてそれが不安に変わっていく光景には何度となく出会ったけれど。

竜樹さんが不安に心も身体も包み込まれたみたいになった時、間違いなく私は必要とされてるみたいだけど、私が感じてることが本当に正しいのかどうかは判らない。


判らないけど…


やるせなさと甘え、その他諸々の要素が混ざりあった結果、心を貫くような鋭い言葉が生まれることがある。
それは間違いなく心に切り傷を残すのだけど、不安が和らいだ時に間違いなくその事実に心を痛める竜樹さんはそこにいる。

私の心は間違いなくそれによって痛むことはあるし、できるならそんな場面に出くわしたくはないけれど。
いろんな想いを吹き飛ばすほどの体の痛みがどんなものなのか、それは竜樹さんにしかきっと判らない。

竜樹さんの中にあるいろんな想いを吹き飛ばすほどの激烈なる痛みを、そこから生まれる鋭さに触れたくないから全部飲んでくださいなんて言えるはずもなければ言いたくもない。


今までどれほどしんどくても、最後まで弱音を吐かなかった、吐けなかった竜樹さん。
彼がここに来てやっと自分の痛みややるせなさや不安を見せることのできる相手が見つかったのだというのなら。


それが私なのだというのなら。


それは間違いなく嬉しいこと。


数年前の私なら、恋人から家族に移行することにどこか違和感を感じて複雑な気分になったろうけれど。
関係性がどうあれ、位置付けがどうあれ。
竜樹さんが安心して心開ける場所が私とともにある場所なのだと思ってもらえるなら、それが一番嬉しいと今は思う。


今はまだ私の中で家族という言葉に対して複雑な想いが混在してる状態だけど、いつか竜樹さんと築く関係の中で家族というものが純粋に暖かく愛しいものだと実感できたらなぁと思う。


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