竜樹邸に行かない土曜日。
取り立てていくべき場所も予定もない時はだらだらさ加減にいっそう磨きがかかってくる。
何をするでもなく、寝たくれていた。

思い出したようにぼんやりと階下に降り、賄いを作ると金岡母から封筒を貰う。
姉さまはわざわざ速達でセールの招待状を送ってくれた。
貰ったのだから行くつもりで用意をしてみたものの、ちょっとぐずぐずしていると閉場の時間にぎりぎり間に合うか間に合わないかという時間になってしまって結局今日は行くのを見合わせた。


家にいてるから何もしなくていい訳でもなければ、することがない訳でもないけれど。
何となく本当なら行くべきところがあったのにと思うと気力が2、3割ダウンする感じがする。
喪中はがきも出さなきゃならないし、大掛かりな部屋の片づけだってしたいと思っていたけれど、何となくだらだらしてしまう。
このまま何もしないのは非常に勿体無い気がして、溜まりに溜まった日記の追っかけ更新の作業をぼそぼそと始める。

竜樹さんに纏わる話を綴っていると、今週会えないことがやっぱり心に少しばかり影を落とすような感じがして、ふと手を止める。


四六時中竜樹さんと会える時は「たまには自分の時間もあればいいのになぁ」なんて不遜なことを思うことだってあるというのに、会えなくなればなったでがっかりしてる自分がいる。
結局そんな気持ちを秤にかけてみたら、やっぱり「会えなくて残念」が勝つ。
竜樹さんといる前の自分の中にはなかった感情だから、随分変わったなぁと感心しきり。
自分の心の移り変わりを眺めながら、ぼそぼそとその日の出来事と想いを綴る作業を続ける。


突然、部屋電が鳴った。
ディスプレイを見ずに慌てて飛び出すと、絵のお師匠さまだった。
「週末は留守番」と書いて歩いていたのを見て、電話してみようと思ってくださったらしい。
沈み込みな気分は一気に浮上する。


お師匠さまは声もそうなんだけれど、空気がまぁるい感じがして話しててほっとする。
過剰な警戒心や心に引っかかってる何かがすこんと落ちる感じがするのが嬉しくて、ついつい無駄に喋ってしまう。
それにお付き合い頂いた結果、最後は慌てて電話を切るという状態に陥るのだけれど…
慌しい別れ方でも、心にいつも暖かさが残る。
それは今日も変わらなかった。


もしもいつものように竜樹さんに会いに行ってたら、お師匠さまと話すことはきっと叶わなかった。
姉さまから貰ったセールに出かけてても、きっと話すことは叶わなかっただろう。
そう思うと今日家にいててよかったなぁって思う。


どこにいても、自分の心に暖かく優しいものを拾えたなら。


きっとその日はいい日なんだと思う。


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