今日は休みの日にしては早く目が覚めた。
いつもならもう一度寝直すし、体はそれを要求するけれど、何だかそうしててはならない気がして起き上がる。
ぼけっと散らかり方がひどいところを片付けたり、ちょこっと雑用をして階下に降りる。


部屋の前でプードルさんがため息交じりで部屋の前で横たわってる。
「どしたのかな?」と思って眺めると、金岡母がダウンしてた。
聞くと何も食べていないということなので、可能な限りのことをしておく。
薬を飲む前に簡単に食べれるものを用意し、金岡父に後のことを頼んでおいた。
リビングでの作業がひと段落して、自室に戻ると携帯に着信がひとつ。


「どないしたのん?」とだけ打って、青空に飛ばした。


折り返し竜樹さんから連絡が入り、私の家までは迎えにいけないけれど、いつも待ち合わせしてる駅までなら迎えにいけそうだからということで、待ち合わせ場所と時間を決めて電話を切る。
ダウンしてる母の様子を時々見ながら用意をして、昨日買った食材を抱えて家を出た。


重い食材を提げてふらふらと坂道を降り、途中の薬局でストックを切らしている風邪薬を調達。
そうこうしてるうちに乗るつもりだった電車が出てしまった。
このままでは恒例の10分遅れコースになってしまうので、事情を説明し何分くらいにつくかを知らせるメールを飛ばす。
ゆっくりことやってきた後続の電車に飛び乗り、流れ行く景色をいらいらと眺めていた。

気持ちばかり焦ってる時ほど、乗り物がゆっくり走ってるような気がしてならない時はないものだなぁとヘンに感心した部分もあったけれど…


待ち合わせ場所に近づいた頃、竜樹さんから居場所を知らせるメールが届く。
その場所を頭に思い描きながら、待ち合わせ場所の最寄駅に着いた途端脱兎の如く改札を出る。

待ち合わせ場所にはちょっとしんどそうだけど、柔らかい笑顔の竜樹さんがいた。


「朝から大変やったなぁヾ(*^-^*)
その食材、まさか家から持ってきたんか?」
「そですよ。多分買出ししてる時間がない気がしてたから…」
「ようそんな重いの持って、家まで迎えに行ったらよかったなぁ」


会話を交わしながら、竜樹邸に向かう。
週末の道路は混んでいたけれど、竜樹さんがさほどしんどくならないうちに竜樹邸に辿り着けたのはありがたかった。


よろよろと竜樹邸に食材を運び入れ、冷蔵庫に片付けていく。
冷蔵庫に食材を入れながら余ってる食材を物色し、簡単なお昼ご飯を作る。

竜樹邸がそうなのか、それとも今日はどこに言っても冷え込むのか。
食事を摂った後、竜樹さんは少し体調を崩されたよう。
何気なく触れる手も少し力がなくて、不安がよぎる。


「…ホントはなぁ、ガスレンジを買いに行きたかったんや。
霄が料理すること多いから、使いやすそうなん一緒に選んでもらおうって思ってたのに…」


具合が悪いからだけじゃなく、なんだかとても残念そうに話す竜樹さん。


「元気な時でいいじゃないですか?」
「…ん、でも、出かけたいやろ?せっかくの休みやねんし…」
「私は家にいるのも好きですよ。
それよっか、今休んどかないと夜のすき焼きパーティも流れちゃいますよ?」
「…そやなぁ」


竜樹さんが触れるまま、私もその場にぼんやりと座り込んでいた。
竜樹さんが休んでる時は好きなことをしてていいよと言われるけれど、テレビをつけると起こしてしまいそうだし、竜樹邸に来てまでパソコンを触る気にもなれない。
携帯を触るのもどうかという気がして、新聞を読んだり片付けたりして過ごす。

それでも何となく時間が余ってしまって、夜のすき焼き用の材料を先に用意しておこうと、台所へ移動して、作業を始める。


…作業たって、材料を切るだけなんだけど(^-^;


簡単な作業なので当然のように時間は余り、ぼーっとしてるうちに私も少しだけ眠ってしまってた。
目が覚めると、あたりが暗くなっててびっくりした。

ぼんやりした頭で、ちょっと考える。
竜樹邸ですき焼きをするのに必要なもので、まだ調達し損ねてるものがある。


…それはビール


竜樹さんはお酒がそれほど強い訳でもないし、私もビールは好んで飲まない。
飲むためにビールが必要なのではなく、すき焼きの割り下に使うそう。
金岡家ではすき焼きの割り下は醤油と砂糖と水を使うけれど、竜樹家では水の代わりにビールを使う。
すき焼きをする度に面食らうのは私だけなのかどうかは定かではないけれど、竜樹さん曰く「割り下が薄まらず、牛肉も柔らかくなるからいいのだ」とのこと。


…確かに、アルコールは飛んでるから酔いはしないけどね(;^_^A


家庭によって味付けの仕方は違うのだと感心してしまうのだけれど。
兎にも角にもビールがないと具合が悪いので、竜樹さんに買出しに行く旨を伝えて、外へ出る。


頬に当たる風は冷たくて、一気に目が覚める。


とことこと歩きお酒屋さんに行き、ビールを買ってまわれ右。
途中の自販機で目覚ましコーヒーを買い、それで暖を取りながら竜樹邸に引き返す。
竜樹邸に入ると、すっかり張り切り屋さんになってる竜樹さんがいた。

張り切り屋竜樹さんと食卓のセッティングをして、ご実家に「一緒に食べましょう」コールをしたけれど、竜樹母さんはおうちで竜樹父さんの帰りを待ちたいとのことでメンバーの増減はなし。


2人だけのすき焼きパーティーのはじまりはじまり。


熱した鉄鍋にラードを引き、肉を焼いて色が変わった頃にビールと醤油と砂糖を投入。


「強火でアルコール飛ばすんやで」


すでに、鍋奉行状態の竜樹さん。
私は奉行に従って、黙々と食材を鍋に入れては待つ。
けれど、このお奉行さまは仕切るだけじゃなくて、食べ頃食材を私の取り皿まで運んでもくれる親鳥のような人。
だんだん私は鍋に入れる作業から、ただひたすら食べる人に代わっていった。

最初に切った野菜だけでは足りず、追加で野菜を切って運んでまた鍋で煮て…


…2人とも、「暫くはすき焼きは食べたくないぞ」状態になってしまった


それでも、竜樹さんは希望が叶って終始ご機嫌さん。
ご機嫌さん状態から、ちょっと「あれー?」な方向に移行したのは問題だったけれど…


美味しい食事と甘い時間を沢山堪能して、2人とも笑顔が絶えない。


以前に比べたら格段に元気になった竜樹さん。
寒さが厳しくなると具合が悪くなることを思うと、まだ考えなきゃならないこともしないとならないことも沢山あるけれど。

今まで以上に前向きになってる竜樹さんを見ると、大丈夫なのかな?という気はする。


寒く辛い時期があるからこそ、暖かく愛しい時間を知る。
寒くて辛い時期などなければないに越したことはないと思うけれど、それでも辛いことの先には暖かな時間はきっとあるから。


暖かくて愛しい時間をできるだけたくさん竜樹さんと過ごしたいって思う。


そこへ辿り着くまでの道程が辛いものであったとしても…

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

この日記について

日記内を検索