これからもずっと…

2002年9月20日
今日も青空が広がる。
ついこないだまで蒸し暑かったのに、急に涼しい風が吹くと何を着たらよいのか迷ってしまう。
季節の変わり目がはっきりしないので、なかなか身体がついていかないのも困りもの。
いろんなことが早く安定してくれればと思う。


今日が終われば2回目の3連休。
竜樹さんの手術が終わってから2度目の週末。
前回の手術の時のように術後七転八倒する様子もなく、経過が異常によいのにただただびっくりしている。


…このままずっと具合がよい日が長く続いて、それが当たり前のところまで持っていけたらいいのになぁ


元気が当たり前だなんてありよう筈はないのに、竜樹さんの経過を見聞きするとそんなわがまますら顔を出してくる。
生命に付き纏う影に怯えたり思いを巡らせたりすることから、少しだけでいいから開放されたいと思う自分がいるのかもしれない。
自分の想いがどうとかじゃなくて、単に竜樹さんが元気ならそれでいいんだけど。
頭の中で一人思考を転がしていると、お弁当鞄が揺れる。
ごそごそと鞄の中から携帯を取り出すと、竜樹さんからだった。


「土曜の1時30分くらいに駅で待つ」


……………………(/-\*)……


その後に続いていた言葉に少々テレながら返事を飛ばし、勢いよく人外魔境を目指す。


親会社棚卸の関係で俄かに多忙を極めてきてるというのに、今日は締日。
締日にはいつもよりも多くの書類が飛び交う。
おまけに洗濯当番という、ありがたい雑務付。
洗濯が絡んでくると仕事がめちゃくちゃになるから、忙しい時にはあまり進んでやりたい雑用じゃないけれど、噛み付くように鳴り響く電話の相手をしたり、飛び交う書類を処理したりするだけで1日終えるよりかは、水を触って気晴らしするのもいいのかもしれない。

洗濯物の籠を持って洗濯機があるフロアまで降りて、洗濯の作業を始める。
涼しくなっても、まだ触るのが嫌になるほどには水は冷たくない。
洗濯機を回してる間に書類を片付け、また洗濯機のフロアへ。
それを数回繰り返し、キレイになった洗濯物を干して作業終わり。
また事務所に戻って、黙々と飛び交う書類を片付ける。
夢中になって書類を片付けているうちに、お昼になった。


ここ数日、お昼休み賑やかな社長は少し静かだ。

一昨日、同僚さんは社長に辞意を表明したらしい。
社長は彼女が進む道を静かに受け入れたらしい。
「がんばれよー」といつもの口調で、でもどこか寂しそうに仰ったそう。
社長が自分が思ってた以上に自分を大事にしてくれてたことを改めて感じ取って、居たたまれない気持ちになったというお手紙を貰った。
泣けてくるほどに申し訳ない気持ちで一杯なのだと、彼女は言う。

相手がどんな想いを抱いているのか。
それが行動に置き換わる時にどのように変化するかなど、そんなに容易く判る筈もなく。
どこか切ないすれ違いは、何処に行ってもそれなりに存在するのだろう。
その切なさに胸が痛んでも、次へ向かう気持ちが曇らないことを願うばかり。


私が洗濯してる時に、彼女はボスに退職願を出したのだろうか?
連休明けにボスがじわりじわりと同僚さんにかけていた圧力は、跡形もなくない。
すべてはこうして実しやかに流れていくのだろうか?

そんな風にぼんやり考えながら、ぼそぼそとお昼ご飯を食べる。


…実しやかには、流れてくれてなかった(>_<)


彼女に向けていた圧力の矛先が、今度は私の方に向いたらしい。
ぼそぼそとご飯を食べ、いつものようにお昼2度目のお茶を煎れボスのデスクに届けると…


「なぁ、金ちゃん!それはホンマもんか?それとも魔除けか?(・∀・)♪」


竜樹さんと交わしたペアリングをしてる左手を指差して、大声で指摘なさる。


「……や、これは道端で拾ったんですよ(^-^;」

到底通るはずのない冗談でのらりくらりやってると、

「嘘つけぇ。ええヤツおるんやろ?
付き合い、もう長いもんなぁ…」


………………………( ̄○ ̄;)!


な、なんで知ってるんだ。

確か前回の手術の頃、お昼休みに竜樹さんから携帯に頻繁に電話が入ってて、それを知ったほかの社員さんがボスにちくったことがあるってのは知ってたけど。

そんな昔のことを未だに覚えているのか?


「いやいや、結婚なんてする気はないんですよ」

「なぁ、金ちゃん。結婚する時は絶対呼んでくれよ。
わしは金ちゃんの結婚式でスピーチするのを楽しみにしてるんやo(^-^o)o(^-^)o(o^-^)o」


…そんなもな、楽しみにしないで下さいo(;-_-;)o


そう言いたかったけれど、「まぁ、そんな話があればってことで…(^-^;」とさらにのらりくらりしながら、台所へ引っ込んで洗い物をする。


…何でそんなこと、急に言うんだろう?


今までも「はよ結婚しぃやぁ」とか「うちにも同じような娘がおるから、ほっとかれへんねん」程度のことは言われていたけれど、ここまで突っ込んだ指摘をされたことはなかった。


…これは同僚さんと一緒に辞めてくれということなのか?
それとも新手のおふざけか?


おじさんのやることは判らない。
ちょっと動揺が出たのか、急須を落っことして割りそうになったけれど。
どきどきを押さえながら何食わぬ顔をして仕事をし、とっとと会社を出た。


…いつも以上にどっと疲れた。


ボスに言ったことはみんな嘘。
竜樹さんとは入社前からずっとお付き合いしてるし、いずれは結婚する気でもいてる。
指輪は拾い物じゃないし、「そんな話」は2年前から出ては消え出ては消えしてもまだ燃え残ってる。


ボスには申し訳ないけれど、竜樹さんを「ボス詣」に参加させる気はないんだ。
きっと2人が結婚の形をとる頃には、私はここにはいてない。

…てか、いない方向に持っていくために来年末まで全力投球しようと思ってるんだもの。


初めて2人が並んで歩くようになってから、冷めるどころか想いは深くなるばかり。
その想いをずっと抱きしめながら、多分機嫌のよい明日を探して生きていくんだ。


2人が笑顔でいられる場所を目指して。
これからもずっと手を繋いで歩いてく。


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