風をくれる人
2002年8月23日L’aimez-vous vraiment?
Une telle chose est une chose bien connue.
Je l’aime.
Toute n’est pas ma verite bien que reflete dans vos yeux.
Une telle chose est la connaissance naturellement.
朝起きたら、心に刺さり続けてた小さな刺がぽろりと落ちた。
それは会社を休んで一日早い週末を迎えたからだろうか?
それとも来るべき時が来たからなのか。
いずれにしても珍しくいつもよりは機嫌の良い朝を迎えた。
今日は宝塚歌劇月組公演の初日。
先月の発売日にチケットを押さえられなかったので、代わりに別ルートからチケットは押さえたけれど。
届いたチケットは、封も開けずに放りっぱなし。
しかも有給を取得していたことも、昨日会社に行くまで忘れていたという体たらく。
相棒と約束してた当時はまだ竜樹さんの再手術がこんなに差し迫ったものではなかったし、「まぁ、たまに遊びに行くくらいいいか」と思っていたけれど。
…何度考えても、今遊びに出かける気はしない。
けれど、人外魔境に等しい会社に行く方がもっと気乗りしない。
だからきっとこれはこれでよかったのだと、迷う気持ちに蓋をして用意を始める。
のたりくたり用意してるうちに、待ち合わせの時間に少し遅れそうな気配。
相棒に電話してその旨を伝え、慌てて用意して家を飛び出して、坂道駆け下り駅に向かうと…
…電車は行ってしまった。
へなへなときかかってるところに携帯が鳴る。
「霄ちゃん、今どこにいるん?」
「一本電車逃したから、暫くかかると思う。ごめんm(__)m」
「じゃ、先にお店に入ってるね(*^-^*)」
電話を切ってベンチに座ると、今度はメールの着信音。
…大好きなお友達からだった(*^-^*)
定例の朝メールをすっとばして心配をかけてしまった模様。
ただ朝が少し遅かったためにメールを届けるのが遅れてしまったこと、しかも会社休んでお気楽観劇なんていうオチ聞いたら「心配するんじゃなかった」と静かに後悔されるだろうと思ったけれど。
ひとまず自分の近況を伝えるメールを曇り空に放ち、ホームに滑り込んできた電車に乗った。
予定よりもだいぶ遅れて、相棒の待つ店に到着。
相棒はチキンとほうれん草のパスタを、私はバジルソースの冷製パスタを注文。
遅れてきたとはいえ、15時開演までにはかなり余裕のある待ち合わせ時間の設定だったため、二人して近況報告話に花を咲かせながら、楽しい食事をとる。
その後、宝塚大劇場までたらたら移動。
途中、初日にもかかわらず随分サバキが出てる。
「昔やったら『売ってください』な人の方が多くなかった?」
「だって、この演目ならそんなに『どしても観たい』て思う人のほうが少ないでしょ?」
相変わらず、相棒は辛口。
そりゃ、私も彼女ももっと錚々たるメンバーの時代を知ってるから、そう感じるのは無理もなかったんだろうけど…
本拠地でボロカス言ってたら、そのうち刺されるぞとびくびくしながら座席に着く。
開演まで暫く喋り、やがて場内が暗くなり、リカちゃん(月組トップ 紫吹 淳)のアナウンス。
月組公演初日が始まった。
前半は「長い春の果てに」というミュージカルプレイ。
元々、劇にはあまり期待してなかった。
と言うのも、前回の「ガイズ・アンド・ドールズ」でリカちゃんしか追えなかったという状況だったから(爆)
ただ、本来男役であるはずのコウちゃん(専科・汐風 幸)が女性の役を演じてて「わぁ、キレイだなぁ」と思ったり、時々台詞を噛むのに笑ったり。
リカちゃんは相変わらずカッコいいなぁと、惚れ惚れしたり(爆)
相変わらずこの組はアドリブで笑わせてもくれるから、自分の置かれてる状況に意識を向けなければ、それはそれで楽しめたのだろうけど…
今の私には、医者と難病を抱えたクランケの話と言うのは、かなりキツイものだった。
手術中に患者を死なせて二度と手術をさせてもらえなくなって自堕落路線に入ってる医者の前に女の子が現れ、引っ掻き回されながらも自分らしさを取り戻していく。
けれど、その女の子は脳の難しい位置に血管腫があり、このままだと助からないという。
結局、いろんな人とのやり取りや交流の末に、不可能なはずの手術は実施され、その女の子も助かり、最終的にはハッピーエンド。
ハッピーエンドに持ち込むために、随分「これはないだろう?」と脚本的に突っ込めそうなところもあったけれど、それ以前に取り扱ってるテーマや内容そのものが今の私には痛かった。
…気分転換に宝塚を観に来て、どうして鬱屈とした思いを抱えなきゃならないんだ。
演目は去年の末には発表されていたから、そんなん言いがかりでしかないと判っているけれど、正直「観に来るんじゃなかった」と思った。
時折、相棒が「見てみ?」とオペラグラスを渡しては、劇とは直接関係のないことをこっそり教えてくれたから、逃げ出してしまおうとは思わなかったけれど…
そのあと30分ほどの休憩を挟んで、ミュージカル・レビュー「With a Song in my Heart」。
「南太平洋」や「サウンド・オブ・ミュージック」の曲を作った、リチャード・ロジャース氏の生誕100周年記念のレビュー。
よく知った歌が流れるから、とっつきはいいと思う。
…けれど、私、少しの間、寝てました(爆)
前半で感覚と意識をフル動員して観てた所為もあるのか、かんなり疲れてた時間帯があった。
それを知ってか知らずか、また相棒がオペラグラスを貸してくれる。
「リカちゃん、足、めっちゃキレイっしょ?」
………………(・∀・)♪
ダルマ(男役の人がレオタードに編みタイツ、ハイヒール穿いてます)で登場のリカちゃんの足は確かにきれいだった(爆)
あまり自分の事情に障らないレビューは脱線モードな視点は入りながらも楽しめた気がする。
レビューの後は、初日のご挨拶。
組長の夏河ゆらさん、喋る喋る。
早口でいっぱい面白いことを話すので、場内爆笑の渦。
リカちゃんの挨拶は割りと淡々としてるけれど、さり気に面白かった。
挨拶終了後、場内の拍手で更に2回幕があがってご挨拶、でホントに終了。
その後、お昼にランチを食べた店でお茶して喋り、駅のホームでもまた喋り。
大概な時間になったので、ひとまず別れた。
「…なんて一日だったんだろう」
まるで去年の末から既にこの時期私がこんな風になるのを見透かしたような演目に心は曇ったけれど。
劇を見て「辛いな」と感じた時、風向きを変えてくれる人がいる。
時にふっと意識を外せる風をくれる人と時間を過ごすことも悪くはないのかもしれない。
いろいろと思うことはあったけれど、相棒に逢えたことがこの日一番の気分転換になったのかもしれない気がした。
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