元気の素でありたい
2002年8月4日(3日の続き)
頼んだ食材が底をつき、追加の肉とホタテのバター焼きを頼む。
竜樹さんがご飯物が食べたいと仰るけれど、ビビンバを食べるにはちょっと苦しいなぁということ。
2人で半分こにして丁度よさそうなおじやがあったので、迷うことなく注文した。
…一抹の不安はあったのだけれど。
そのおじや、お店の名前がついてるのだけど、どんな具が入っててどんな味をしてるのか、メニューを眺めても全く判らない。
店員さんを呼び止めて聞いても良かったけれど、かなり人が多くて忙しそうだったので、何となく聞きそびれてしまった。
…その「何となく」が命取りだった。
運ばれてきたおじやを見てびっくり。
おじやのスープが真っ赤なのだ。
多分豆板醤やら唐辛子系の調味料がふんだんにばら撒かれてたと思われるいでたち。
普段の私なら涼しい顔をして食べられたと思うけれど、生憎腹11分目くらい食べてからの登場。
そんな状態に唐辛子系調味料満載のおじやはキツかった。
唐辛子が苦手な竜樹さんにお任せするにはあんまりなおじやだし、せっかく頼んだのだからと、一人で黙々と食べ始める。
卵もご飯もやわらかで、確かに美味しいのだけれど。
食べ進めるに連れて、唐辛子にじりじりと胃を締め上げられるような感覚を覚える。
「…なぁ、霄ぁ。無理に食べんでええねんで?」
時折そう言って竜樹さんが声をかけてくれるのを、「大丈夫、大丈夫」とやりすごしてたけれど、唐辛子の攻撃にちょっと参り気味。
「ちょっと貰うなぁ(*^-^*)」
よこからおじやを掬った蓮華を奪っていった竜樹さん。
次の瞬間にはけふんけふんとむせ返っておられた。
「なぁ、ケフ、もうやめとき?ケフン(>。<)゜゜゜ 」
むせ返る竜樹さんを見てようやっと諦めをつけて、席を立つ。
少しばかりの賞与も出たことだし、今日はご馳走しようと思ってると、竜樹さんはとっとと精算を済ませておられた。
「少しやけどボーナスも出たんだし、私、おごったのに」
「ええねん♪焼肉を食べたかったんは俺やし、いつも夕飯を作ってもらってるから」
そう言ってにこにこしてる竜樹さんが何だかかわいくて、お隣にあるアイスクリーム屋でアイスクリームをプレゼント。
テイクアウト仕様にしてもらって、仲良く竜樹邸に戻った。
竜樹邸に帰り着くと、二人揃ってごろり。
「焼肉食べてすぐに横になったら、牛になるの確実な気が…」
「そやけど、頑張ってんもん」
意味不明なる会話を交わし暫く横になってから、買ってきたアイスを食べ、またごろり。
大好きな焼肉を食べに出れたこと、そのあと竜樹さんとくっついて横になってる時間。
その全てが心を満たしていくけれど。
…私のお腹は唐辛子攻撃に負けたらしい。
唐辛子攻撃の最中もそして今も冷房漬けの状態の上に、アイスまで食べてしまったためにお腹の調子がすこぶる悪い。
時折、お腹をさすってくれる竜樹さんの手の温度が心地よかったけれど、立ち上がる気力が削がれていく。
そのまま調子が良くなるのを待っていたら、またしても午前様コースになるのは目に見えていたけれど、「無理せんと、ゆっくり休んどき?」という竜樹さんのお言葉に甘えてしまった。
しんどい身体に竜樹さんの熱だけが、心地よくてそのまま竜樹邸に留まっていたいなぁと思ったけれど。
竜樹さんのところに来ていると知れている状態で「泊まって帰ります」は通用しないことは十二分に判っている。
「泊まって帰れるんやったら、ええねけどな」という竜樹さんの表情もどこか諦めの色が挿している。
…このままずっと一緒にいられたらなぁ。
身体が弱った時、竜樹さんが私が傍にいたらいいなぁって思うというのが何となく判ったような気がした。
そうして横になってじっと回復するのを待ち、「大丈夫」ってところでそっと起き上がる。
ずっと触れてた竜樹さんの熱が徐々に冷房で冷やされていくのが、何だか切なかったけれど帰り支度を始める。
部屋着から着てきた服に着替えるためにまた部屋の隅でごそごそしてると、竜樹さんが寄ってきてじっとこちらを見てる。
「何見てんですか?(-.-;」
「いや、今週の見納め♪(*^-^*)」
どうしていいのか判らずにちょっとオタついてると、「もういいで。着替え」と竜樹さんがほにゃと笑いかける。
そうして慌てて着替え、竜樹邸を後にした。
竜樹邸の外は深夜だというのに、湿気を帯びて肌に纏わりついてくるような感覚すら与える。
「相変わらず、蒸し暑いなぁ」
「早く涼しくなってくれるといいのにね」
話したところで気温が変わるわけでもないのに、そんな会話をしながら駐車場に行く。
…今日二度目の運転、大丈夫かなぁ?
竜樹さんだって体調がそれほどいい訳でもないのに、一生懸命動いてくれるので何だか申し訳ない気がする。
車の中で、竜樹邸の流しの洗い物をして帰ってくるのを忘れたことに気づいた。
今日は本当に申し訳ないくらい何もしていない。
「たまにはそういう日もなかったら、霄かってまいってまうで」
そんな風にほにゃと笑って返してくれた竜樹さんに、「来週は頑張って家事やるからね」と返すと、「うんうん(*^-^*)」とまた笑う。
…どしてなんだろう?
手術を目前に控えて、余裕などあるはずのない人が笑顔を贈ってくれる。
いろんなことに思い煩いがちの私に対する精一杯の気持ちなのかもしれない。
竜樹さんの放つ空気が柔らかいのは嬉しいけれど、それ以上に私からも何かを届けたいなぁと思う。
目一杯張り詰めるだろう彼の中の空気を柔らかいものにしたいなぁと思う。
竜樹さんと別れ、次の朝目覚めてからもどこかお腹の調子は悪くて、結局、1日寝たり起きたりを繰り返していたけれど。
竜樹さんに会うときに元気でいられるように、休むことだって必要なんだろう。
竜樹さんがくれる笑顔にきちんと応えられるだけの元気を以って竜樹さんの隣に立ちたいから。
…竜樹さんが私の元気の素であるように、私も竜樹さんの元気の素でありたい。
竜樹さんが心にくれた温みを思い返しながら、休み休み日曜日を過ごした。
頼んだ食材が底をつき、追加の肉とホタテのバター焼きを頼む。
竜樹さんがご飯物が食べたいと仰るけれど、ビビンバを食べるにはちょっと苦しいなぁということ。
2人で半分こにして丁度よさそうなおじやがあったので、迷うことなく注文した。
…一抹の不安はあったのだけれど。
そのおじや、お店の名前がついてるのだけど、どんな具が入っててどんな味をしてるのか、メニューを眺めても全く判らない。
店員さんを呼び止めて聞いても良かったけれど、かなり人が多くて忙しそうだったので、何となく聞きそびれてしまった。
…その「何となく」が命取りだった。
運ばれてきたおじやを見てびっくり。
おじやのスープが真っ赤なのだ。
多分豆板醤やら唐辛子系の調味料がふんだんにばら撒かれてたと思われるいでたち。
普段の私なら涼しい顔をして食べられたと思うけれど、生憎腹11分目くらい食べてからの登場。
そんな状態に唐辛子系調味料満載のおじやはキツかった。
唐辛子が苦手な竜樹さんにお任せするにはあんまりなおじやだし、せっかく頼んだのだからと、一人で黙々と食べ始める。
卵もご飯もやわらかで、確かに美味しいのだけれど。
食べ進めるに連れて、唐辛子にじりじりと胃を締め上げられるような感覚を覚える。
「…なぁ、霄ぁ。無理に食べんでええねんで?」
時折そう言って竜樹さんが声をかけてくれるのを、「大丈夫、大丈夫」とやりすごしてたけれど、唐辛子の攻撃にちょっと参り気味。
「ちょっと貰うなぁ(*^-^*)」
よこからおじやを掬った蓮華を奪っていった竜樹さん。
次の瞬間にはけふんけふんとむせ返っておられた。
「なぁ、ケフ、もうやめとき?ケフン(>。<)゜゜゜ 」
むせ返る竜樹さんを見てようやっと諦めをつけて、席を立つ。
少しばかりの賞与も出たことだし、今日はご馳走しようと思ってると、竜樹さんはとっとと精算を済ませておられた。
「少しやけどボーナスも出たんだし、私、おごったのに」
「ええねん♪焼肉を食べたかったんは俺やし、いつも夕飯を作ってもらってるから」
そう言ってにこにこしてる竜樹さんが何だかかわいくて、お隣にあるアイスクリーム屋でアイスクリームをプレゼント。
テイクアウト仕様にしてもらって、仲良く竜樹邸に戻った。
竜樹邸に帰り着くと、二人揃ってごろり。
「焼肉食べてすぐに横になったら、牛になるの確実な気が…」
「そやけど、頑張ってんもん」
意味不明なる会話を交わし暫く横になってから、買ってきたアイスを食べ、またごろり。
大好きな焼肉を食べに出れたこと、そのあと竜樹さんとくっついて横になってる時間。
その全てが心を満たしていくけれど。
…私のお腹は唐辛子攻撃に負けたらしい。
唐辛子攻撃の最中もそして今も冷房漬けの状態の上に、アイスまで食べてしまったためにお腹の調子がすこぶる悪い。
時折、お腹をさすってくれる竜樹さんの手の温度が心地よかったけれど、立ち上がる気力が削がれていく。
そのまま調子が良くなるのを待っていたら、またしても午前様コースになるのは目に見えていたけれど、「無理せんと、ゆっくり休んどき?」という竜樹さんのお言葉に甘えてしまった。
しんどい身体に竜樹さんの熱だけが、心地よくてそのまま竜樹邸に留まっていたいなぁと思ったけれど。
竜樹さんのところに来ていると知れている状態で「泊まって帰ります」は通用しないことは十二分に判っている。
「泊まって帰れるんやったら、ええねけどな」という竜樹さんの表情もどこか諦めの色が挿している。
…このままずっと一緒にいられたらなぁ。
身体が弱った時、竜樹さんが私が傍にいたらいいなぁって思うというのが何となく判ったような気がした。
そうして横になってじっと回復するのを待ち、「大丈夫」ってところでそっと起き上がる。
ずっと触れてた竜樹さんの熱が徐々に冷房で冷やされていくのが、何だか切なかったけれど帰り支度を始める。
部屋着から着てきた服に着替えるためにまた部屋の隅でごそごそしてると、竜樹さんが寄ってきてじっとこちらを見てる。
「何見てんですか?(-.-;」
「いや、今週の見納め♪(*^-^*)」
どうしていいのか判らずにちょっとオタついてると、「もういいで。着替え」と竜樹さんがほにゃと笑いかける。
そうして慌てて着替え、竜樹邸を後にした。
竜樹邸の外は深夜だというのに、湿気を帯びて肌に纏わりついてくるような感覚すら与える。
「相変わらず、蒸し暑いなぁ」
「早く涼しくなってくれるといいのにね」
話したところで気温が変わるわけでもないのに、そんな会話をしながら駐車場に行く。
…今日二度目の運転、大丈夫かなぁ?
竜樹さんだって体調がそれほどいい訳でもないのに、一生懸命動いてくれるので何だか申し訳ない気がする。
車の中で、竜樹邸の流しの洗い物をして帰ってくるのを忘れたことに気づいた。
今日は本当に申し訳ないくらい何もしていない。
「たまにはそういう日もなかったら、霄かってまいってまうで」
そんな風にほにゃと笑って返してくれた竜樹さんに、「来週は頑張って家事やるからね」と返すと、「うんうん(*^-^*)」とまた笑う。
…どしてなんだろう?
手術を目前に控えて、余裕などあるはずのない人が笑顔を贈ってくれる。
いろんなことに思い煩いがちの私に対する精一杯の気持ちなのかもしれない。
竜樹さんの放つ空気が柔らかいのは嬉しいけれど、それ以上に私からも何かを届けたいなぁと思う。
目一杯張り詰めるだろう彼の中の空気を柔らかいものにしたいなぁと思う。
竜樹さんと別れ、次の朝目覚めてからもどこかお腹の調子は悪くて、結局、1日寝たり起きたりを繰り返していたけれど。
竜樹さんに会うときに元気でいられるように、休むことだって必要なんだろう。
竜樹さんがくれる笑顔にきちんと応えられるだけの元気を以って竜樹さんの隣に立ちたいから。
…竜樹さんが私の元気の素であるように、私も竜樹さんの元気の素でありたい。
竜樹さんが心にくれた温みを思い返しながら、休み休み日曜日を過ごした。
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