星と想いが集う日

2002年7月7日
ほこほこと暖かな気持ちで家に戻ってきて、そのまますぐに眠れるかと思ったけれど、いつもとは違った意味で寝付けない。

ゾンビっちの前でぽけっとしてると、お姉さまからメールがひとつ。
私が知らないW杯の写真が置いてあるサイトを教えてくれた。
嬉々としてカーン様の画像を落としながら、何度かお返事を飛ばしあってるうちに意識が落ちていた。


次の朝、蒸し暑さで目が覚めた。
窓の外を見ると青空が見える。

…もしかしたら、今日は天の川を拝めるかもしれない。

昨日も竜樹さんとそんな話をしていたけれど、私を家まで送った翌日は大抵体調を崩すらしいので、今日も竜樹邸にお邪魔するというのは少し気が引けた。


リビングに降りてプードルさんと格闘したり、昼食を作ったり。
ひと段落して自室に戻って、何となく竜樹さんの声が聞きたくなって、気がついたら携帯を握り締めて電話していた。

「…あれ?どないしてん?」

竜樹邸にお邪魔した翌日は大抵疲れてるみたいだから、なるべく連絡をしないようにしてる。
そのせいか、ちょっとびっくりしてはったけれど。

「うん、天気がいいから、どうしてるのかな?と思って…」

取り立てて用件がある訳でもないから、取り留めのない話ばかりしてしまう。
体調は悪そうなのに、竜樹さんは飽きもせずそれに付き合ってくれる。

今日が七夕だという話は、昨日竜樹邸に言った時もしたけれど、あまりに空が晴れていたのでまたその話題を転がしてしまう。

「いつも俺に付き合わなくても、他の友達と遊びに行ってもええねんで?」

「一緒に天の川を拝みたい」と言った私に、竜樹さんはちょっと申し訳なさげにそう言ったけれど。
天の川を拝むなら竜樹さんと拝みたかったから、他の誰かと眺めに行こうとは思わない。

2人で天の川を拝むことは叶わなくても、少しの時間だけでも心に触れられたらそれでいいと思う気持ちがどこまで伝わったかは判らないけれど。
互いに機嫌よく、少しばかり電話を切るのを惜しみながら会話を終えた。


けれど勝手なもので、電話を切ると「やっぱり一緒にいたかったなぁ」と思う自分がいる。
ちょっとだけ切なさを感じながら、何をする気にもなれずにぼけっとしてると、メールがひとつ。


海衣からだった。
近況報告と明日の金岡父の誕生日に何を送るつもりなのかのお伺いだった。

…何を贈ったらええねやろ?

竜樹さんのことや自分自身のことに意識を向ける余り、金岡父への贈り物のことも海衣の近況を聞くことも意識の外に落っことしてたことに気づく。
メールを読み進めると、海衣もまた大変な思いをしてるということがよく判る。

姪御を育て、家庭を維持して、仕事もして。
遠く離れたところにいるからこそ、ちゃんと意識を向けとかないとアカンのになと反省。
私から出来るアドバイスと少しばかりの願いをこめて、メールを飛ばしたら、すぐに返事が返ってきた。


「宛先間違ってるぞ〜(笑)」


…ゴージャスなお姉さまからだった(^^ゞ


そこから海衣とお姉さま、それぞれとメールの飛ばしあいになる。
海衣とは愚痴大会、お姉さまとはユーロ2004の話。
宛先間違いだけは気をつけながら、双方と会話を続けていく。
海衣との愚痴大会もヒート。
お姉さまとはW杯以降ずっとワールドサッカーの話題でヒート。


お姉さまはいろんなことを良く知っていて、今年の9月からぱらぱらと欧州選手権が始まることやグループ分けも開催地も知っていた。
私の好きなドイツと彼女の好きなスウェーデンは別グループなので、2、3戦観られるツアーで両方の国の試合が見れるのがあれば、一緒に行こうかという話まで飛び出す。


…でも、お姉さま。ユーロ2004の会場はポルトガルなんですけど((((((((^-^;


私もお姉さまも会社に行くのが辛くて仕方のない者同士だけれど、ひとまず目先にユーロ2004があるならそれまでは頑張れるかということで意見は一致。
「あと2年、のたのた頑張ろう( ^^)/\(^^ ) 」ということで折り合いがついた。


メール大会を繰り広げてるうちにすっかり日は傾いて、夕飯を食べる時間になる。

本当は金岡父の誕生会と称して外食する予定が入っていたのだけれど、先週から金岡母が不調なので延期。
外食嫌いの父は昨日私が竜樹邸であまあまな時間を過ごしてる隙に、豪勢なご馳走を金岡母から作ってもらって堪能したとのこと。


…何年か前なら、その豪勢なご馳走の席に私もいてたのにね(-_-;)


竜樹さんが室長だった頃は、土日は休みじゃなくて逢えなかったから、友達と出歩かない限りは家族揃ってご飯を食べていたのだけれど。
その席から海衣がいなくなり、やがては私もいなくなる。
ふとそんなことを考えると、鼻がつんと痛くなるけれど。


何かあった時に、ふっと連絡を取り合って気持ちを受け渡して。
何処にいても、心がちゃんとそこに戻って来れるようでありさえすればそれでいいのかな?という気もする。
それは家族であっても、友達であっても。
何処にいても、ちゃんと意識を残して置けるなら、きっと大丈夫なんだろう。
多少の気がかりは残していたにせよ。

そんな風に感じられたのは、海衣のメールのおかげかもしれない。
間違いメールをやり過ごさずにいてくれたお姉さまのおかげかもしれない。


…不思議な感じがする。


年に一度、出逢うためにやってくる一組の恋人たちのために集う小さな星の集いは、思わぬ贈り物を齎してくれた。
それが必然だったか偶然だったかまでは判らないけれど。


自分の大切に想う人に対しての気持ちは、きちんとこの手の中にある。
その想いに意識を置いているうちは、私の心はのびやかであれるような気がする。
何処にいても、きっと。


窓をそっと開けてみる。
夜空は鈍い漆黒の雲に阻まれて、星ひとつ探し出せる状態にはない。


…今年もまた天の川は拝めなかったなぁ


少しばかりため息をついたりしたけれど。


私の中にある、一番大きな願いはたったひとつ。
それは多分、いつまでも変わらない。


竜樹さんに本当の笑顔と元気が戻ること。


何をおいても、それが一番の願いなんだけれど。


…でも、もうひとつお願いしてもいいかなぁ?


小さな星たちが集う日に、私の周りに集った大切な人たちのことを…


私の心の傍にいる、大切な人たちの心に笑顔がありますように…

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