沢山の偶然と沢山のラッキー
2002年6月1日いよいよ、突然決まった冒険旅行決行の日。
今まで行く先にいる友達を頼りにして旅に出たことはあっても、完全に近い一人旅でこれだけの距離を移動するのは初めてのこと。
(数時間だけ日記のお友達と始めて逢うとはいえ…)
…しかも、行く手に待ち受けるのはワールドカップ。
尋常な話ではないはずなんだけれど。
正直言ってあと数時間後に飛行機に乗ることも、降り立つ先でのことも何もかもに実感がない。
空港に着き、飛行機の窓を流れる風景を眺めていても、まだ自分が旅に出てる実感がないのがあまりに不思議だったけれど。
…あ、友達が住んでるのはこの辺りかな?
…へぇ、高度8000m近くになると、氷点下20℃近くになるんだ。
周りにいる人たちはみんなW杯に向けてテンションがやたら高い人たちばかりなのに、私は窓の下の風景がどこなのか、目の前にあるモニターに映し出された地図を眺めていた。
途中から目の前のモニターに映る映像がかつての記憶に少しだけ障るので、目を背けるように窓の外に視線を落としたけれど。
雲の下の世界がどんな天気であろうが、そこにいるものが幸せであろうが不幸であろうが。
雲の上はいつも青く、太陽の光が降り注いでいる。
個人にふりかかる事情など、たかが知れてるのかもしれない。
そんなことを思ってるうちに意識がだんだんぼんやりしてくる。
…気がついたら、少しばかり眠ってたらしい。
眠っていた間に心を掠めた場面が少しだけ心を抉った所為なのか、涙で目が覚めた。
目覚めたことに気づいた乗務員さんにコーヒーを貰って意識を取り戻していく。
意識がはっきりした頃、眼下に広い台地が広がる。
…あー、来たのかぁ。
ここまで来てもまだ実感のないまま、飛行機に引きずられて陸地に降り立つ。
飛行機を降りて携帯の電源を入れると、メールが2通。
ゴージャスなお姉さまはW杯関連の情報を、もう1通はこちらで逢う友達からだった。
ひとまずメールを返してお昼ご飯を食べ、(明日の出発が早いので)お土産を買い込み、
慌てて電車に飛び乗る。
車窓を流れる風景もまた、実感を引き出すことが出来ない。
「どうしてこんなに心が動かないんだろう」と不思議に思いながら、ここへ来るまでの沢山の偶然と、少しばかりの後押しについて思いを馳せていた。
自分を取り巻く流れってものがあって、時にそれは自分が意図しない方向に押し流していこうとする。
ずっとずっと自分を取り巻く物事の流れは自分の意に添わぬものだったから、必死になって抗いつづけてきた。
そうして、結果的に自分の欲しいものを勝ち得た場合もあれば、得られなかった場合もある。
最小限度の犠牲に留まったこともあれば、必要以上の犠牲を払ったこともある。
…不思議なものだ。
「絶対にこうするんだ」という意思の許に物事の段取りを進め、「さぁ、あと一歩」ってとこでぶっ壊れることもある。
そうかと思えば、思いもよらない偶然が重なった結果、予想もしないラッキーに出逢うこともある。
もしかしたら。
来るべき時が来たら、自ずとそこへ向かうことになるのかもしれない。
自分の思惑とは関係無しに行くべき場所へ身体ごと連れて行かれるのかもしれない。
ならば、それを楽しみに待ちながら、流れに乗ってしまうのもいいのかもしれない。
急に決まった週末の小さな冒険旅行にそんなことを感じているうちに、身体は札幌駅に連れてこられた。
そこから地下鉄に乗り、宿泊先に向かう。
今日逢う友達は宿泊先まで来てくれるというので、不慣れな土地ではありながら、とっとと移動する。
少々道に迷いながらやっと辿り着いた宿泊先のロビーに、友達が待っていてくれた。
「…はじめまして」
待っていてくれたお友達にそう声をかけながら初めて逢った気がしないのは、初めてネットをさまよい始めた頃に声をかけてくれて心から話をした人だったからかもしれない。
かわいらしい感じの方だったので、また走って逃げたくなるような感覚には捕らわれそうになったけれど(笑)
急な話に、時間を空けてくれたんだ。
短い時間の中でいろんな話がしたいと思った。
ひとまずチェックインを済ませて、外へ出る。
私の宿泊先のロビーには喫茶店もないので、そこから歩いて大きなホテルのロビーにあるラウンジに入る。
そこでいろんな話をする。
暫くして、外へ出て公園でも話す。
吹く風は私が住む場所とは比べ物にならないくらい涼しく、少し寒いくらい。
もう少し楽しい話題があればよかったのにと思いながら、今私が置かれてる状態があまり機嫌のよいものでないので口をつくのはろくな話じゃなかったけれど。
ただそれを受け止めてくれてはるってことがとても嬉しかった。
元々が見知った人に、自分の心のうちは明かさないようにしてたから、ヘンな感じがするけれど、それがすっと出るのは心で話しつづけてきたからだろう。
日が傾くまで公園で話し続けた。
まだまだ話したいことはあったけれど、あまり長く話しつづけてる訳にも行かない。
彼女と別れ、私は札幌ドームへ向かう。
地下鉄に乗り、平岸駅からシャトルバスに乗る。
まだキックオフまで3時間近くあったからか、道は空いている。
時折、ゴージャスなお姉さまや弟君にメールを打っているうちに、眼前に札幌ドームが見えてくる。
…正直、札幌ドームが見えてきてもまだ、自分がこれからワールドカップを見るという実感はなかったけれど。
そこから、バスを降りて1時間くらい会場の周りで入場を待ち、いろんなチェックを済ませて場内に入る。
席は、ちょうどバックスタンド側でドイツのコーナーに程近い実質前から3列目の席だった。
さすがに眼前に広がるピッチを見たら、実感も湧いてくるもので。
時折飛び込んでくるお姉さまのメールに返事を打ちながら、持ってきたおにぎりを食べ、プログラムを買ったり写真を撮ったりして、時を待つ。
そのうち、ウォーミングアップをする選手が出てき始める。
ふと見ると、ドイツのGK・オリバー・カーンがこちらの方に歩いてくる。
…うわぁ、カーン様だぁ(*^-^*)
カーン様の写真を撮ろうとした時、目の前に太りきったドイツ人のおっさんが一人、スタンドの減りのところにドイツ国旗を吊るすために立ちはだかる。
「どけよ、おっさん」
思わず口をついてしまったけれど、そこはドイツ人。通用するはずもなく。
おっさんがどいた頃には、カーン様は自分のポジションに戻っていった。
徐々に取り囲む空気が熱を帯びてくる。
メールの返事を打ちながら、「現実」がやってくるのを待つ。
20時30分。
「現実」はやってきた。
試合の流れはとても速い。
あっという間にドイツが先制点を挙げる。
サウジは攻めてくるけれど、カーン様の出番には至らず。
けれど、前半戦でドイツゴールへのフリーキックの時。
カーン様が他の選手に指示を出す声が聞こえる。
ものすごく大きな声。
それだけで感動してる、大バカやろうな金岡霄。
目の前で展開している試合はテレビで観るサッカー中継と比べ物にならないスピードと迫力。
後半戦、陣地が入れ替わってからも目の前で繰り広げられたシュートラッシュにただただ度肝を抜かれて帰ってきた。
…サッカーの試合で8点も入る試合なんてはじめて見た。
随分珍しいものを観たものだと思いながら、いろいろと想いを馳せながらホテルに戻る。
帰りの移動があまりに長時間に及んだので、とても疲れたけれど。
沢山の偶然と沢山のラッキーに包まれた、気持ちいい疲れだった。
今まで行く先にいる友達を頼りにして旅に出たことはあっても、完全に近い一人旅でこれだけの距離を移動するのは初めてのこと。
(数時間だけ日記のお友達と始めて逢うとはいえ…)
…しかも、行く手に待ち受けるのはワールドカップ。
尋常な話ではないはずなんだけれど。
正直言ってあと数時間後に飛行機に乗ることも、降り立つ先でのことも何もかもに実感がない。
空港に着き、飛行機の窓を流れる風景を眺めていても、まだ自分が旅に出てる実感がないのがあまりに不思議だったけれど。
…あ、友達が住んでるのはこの辺りかな?
…へぇ、高度8000m近くになると、氷点下20℃近くになるんだ。
周りにいる人たちはみんなW杯に向けてテンションがやたら高い人たちばかりなのに、私は窓の下の風景がどこなのか、目の前にあるモニターに映し出された地図を眺めていた。
途中から目の前のモニターに映る映像がかつての記憶に少しだけ障るので、目を背けるように窓の外に視線を落としたけれど。
雲の下の世界がどんな天気であろうが、そこにいるものが幸せであろうが不幸であろうが。
雲の上はいつも青く、太陽の光が降り注いでいる。
個人にふりかかる事情など、たかが知れてるのかもしれない。
そんなことを思ってるうちに意識がだんだんぼんやりしてくる。
…気がついたら、少しばかり眠ってたらしい。
眠っていた間に心を掠めた場面が少しだけ心を抉った所為なのか、涙で目が覚めた。
目覚めたことに気づいた乗務員さんにコーヒーを貰って意識を取り戻していく。
意識がはっきりした頃、眼下に広い台地が広がる。
…あー、来たのかぁ。
ここまで来てもまだ実感のないまま、飛行機に引きずられて陸地に降り立つ。
飛行機を降りて携帯の電源を入れると、メールが2通。
ゴージャスなお姉さまはW杯関連の情報を、もう1通はこちらで逢う友達からだった。
ひとまずメールを返してお昼ご飯を食べ、(明日の出発が早いので)お土産を買い込み、
慌てて電車に飛び乗る。
車窓を流れる風景もまた、実感を引き出すことが出来ない。
「どうしてこんなに心が動かないんだろう」と不思議に思いながら、ここへ来るまでの沢山の偶然と、少しばかりの後押しについて思いを馳せていた。
自分を取り巻く流れってものがあって、時にそれは自分が意図しない方向に押し流していこうとする。
ずっとずっと自分を取り巻く物事の流れは自分の意に添わぬものだったから、必死になって抗いつづけてきた。
そうして、結果的に自分の欲しいものを勝ち得た場合もあれば、得られなかった場合もある。
最小限度の犠牲に留まったこともあれば、必要以上の犠牲を払ったこともある。
…不思議なものだ。
「絶対にこうするんだ」という意思の許に物事の段取りを進め、「さぁ、あと一歩」ってとこでぶっ壊れることもある。
そうかと思えば、思いもよらない偶然が重なった結果、予想もしないラッキーに出逢うこともある。
もしかしたら。
来るべき時が来たら、自ずとそこへ向かうことになるのかもしれない。
自分の思惑とは関係無しに行くべき場所へ身体ごと連れて行かれるのかもしれない。
ならば、それを楽しみに待ちながら、流れに乗ってしまうのもいいのかもしれない。
急に決まった週末の小さな冒険旅行にそんなことを感じているうちに、身体は札幌駅に連れてこられた。
そこから地下鉄に乗り、宿泊先に向かう。
今日逢う友達は宿泊先まで来てくれるというので、不慣れな土地ではありながら、とっとと移動する。
少々道に迷いながらやっと辿り着いた宿泊先のロビーに、友達が待っていてくれた。
「…はじめまして」
待っていてくれたお友達にそう声をかけながら初めて逢った気がしないのは、初めてネットをさまよい始めた頃に声をかけてくれて心から話をした人だったからかもしれない。
かわいらしい感じの方だったので、また走って逃げたくなるような感覚には捕らわれそうになったけれど(笑)
急な話に、時間を空けてくれたんだ。
短い時間の中でいろんな話がしたいと思った。
ひとまずチェックインを済ませて、外へ出る。
私の宿泊先のロビーには喫茶店もないので、そこから歩いて大きなホテルのロビーにあるラウンジに入る。
そこでいろんな話をする。
暫くして、外へ出て公園でも話す。
吹く風は私が住む場所とは比べ物にならないくらい涼しく、少し寒いくらい。
もう少し楽しい話題があればよかったのにと思いながら、今私が置かれてる状態があまり機嫌のよいものでないので口をつくのはろくな話じゃなかったけれど。
ただそれを受け止めてくれてはるってことがとても嬉しかった。
元々が見知った人に、自分の心のうちは明かさないようにしてたから、ヘンな感じがするけれど、それがすっと出るのは心で話しつづけてきたからだろう。
日が傾くまで公園で話し続けた。
まだまだ話したいことはあったけれど、あまり長く話しつづけてる訳にも行かない。
彼女と別れ、私は札幌ドームへ向かう。
地下鉄に乗り、平岸駅からシャトルバスに乗る。
まだキックオフまで3時間近くあったからか、道は空いている。
時折、ゴージャスなお姉さまや弟君にメールを打っているうちに、眼前に札幌ドームが見えてくる。
…正直、札幌ドームが見えてきてもまだ、自分がこれからワールドカップを見るという実感はなかったけれど。
そこから、バスを降りて1時間くらい会場の周りで入場を待ち、いろんなチェックを済ませて場内に入る。
席は、ちょうどバックスタンド側でドイツのコーナーに程近い実質前から3列目の席だった。
さすがに眼前に広がるピッチを見たら、実感も湧いてくるもので。
時折飛び込んでくるお姉さまのメールに返事を打ちながら、持ってきたおにぎりを食べ、プログラムを買ったり写真を撮ったりして、時を待つ。
そのうち、ウォーミングアップをする選手が出てき始める。
ふと見ると、ドイツのGK・オリバー・カーンがこちらの方に歩いてくる。
…うわぁ、カーン様だぁ(*^-^*)
カーン様の写真を撮ろうとした時、目の前に太りきったドイツ人のおっさんが一人、スタンドの減りのところにドイツ国旗を吊るすために立ちはだかる。
「どけよ、おっさん」
思わず口をついてしまったけれど、そこはドイツ人。通用するはずもなく。
おっさんがどいた頃には、カーン様は自分のポジションに戻っていった。
徐々に取り囲む空気が熱を帯びてくる。
メールの返事を打ちながら、「現実」がやってくるのを待つ。
20時30分。
「現実」はやってきた。
試合の流れはとても速い。
あっという間にドイツが先制点を挙げる。
サウジは攻めてくるけれど、カーン様の出番には至らず。
けれど、前半戦でドイツゴールへのフリーキックの時。
カーン様が他の選手に指示を出す声が聞こえる。
ものすごく大きな声。
それだけで感動してる、大バカやろうな金岡霄。
目の前で展開している試合はテレビで観るサッカー中継と比べ物にならないスピードと迫力。
後半戦、陣地が入れ替わってからも目の前で繰り広げられたシュートラッシュにただただ度肝を抜かれて帰ってきた。
…サッカーの試合で8点も入る試合なんてはじめて見た。
随分珍しいものを観たものだと思いながら、いろいろと想いを馳せながらホテルに戻る。
帰りの移動があまりに長時間に及んだので、とても疲れたけれど。
沢山の偶然と沢山のラッキーに包まれた、気持ちいい疲れだった。
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