想いの根っこ
2002年5月11日明日は竜樹ファミリーとの小旅行。
みんなで揃って現地に行くほうが効率がいいということで、前日から竜樹邸に滞在することが決まった。
昨日の夜、竜樹さんから電話がかかってきて、今日のことを打ち合わせしてたのだけれど。
ここのところ、竜樹さんとそのご家族がおかれてる状況が決して機嫌がよくなるようなものでなく、むしろ気持ちを沈ませていくようなものに向かいつつあって、話す竜樹さんは終始へこみモード。
それを何とかしたくても、結局私にはどうすることも出来ないような話題ばかりで、やるせなさと自分の力のなさに嫌気がさしながら横になったせいもあって、起きるのが随分遅くなってしまった。
慌てて飛び起きて、荷造りをしながら下書きをしたままほりっぱなしにしてた追っかけ更新分の日記を書きながらたらりたらりとしているところへ号外がひとつ。
そのお知らせに機嫌をよくして、暫し日記書きも荷造りも放棄。
私も竜樹さんへの想いと共に、そっと願いを託した。
…尤も私の場合は、友達のようにほの温かいエピソードとは程遠く、半ばバーゲンセールで特価品を買い占めるおばちゃん状態だったような気がして、「あぁ、つくづく情緒ねぇ」と嘆きもしたけれど。
(海衣一家の話を書いてたからといって、海衣一家、ついでに金岡両親、さらには竜樹さんご両親まで託してしまったあさましい奴だから…)
すっかりハイになった私はお礼状を投売りするように飛ばしまくって、また荷造りと追っかけ更新を平行して進め、家を出る。
途中、お腹がすいたのでロッテリアに寄り、日記のお友達が気にして話題にあげてた「ピュアバーガー」を食べる。
…一体、何がピュアなのかよく判らないまま、食べてもあまりお腹がいっぱいにならないまま、また荷物を提げて一路竜樹邸へ向かう。
移動しながら、昨日思ったことやこれから竜樹邸に向かうことを報告するメールを友達に送って、たんと叱られながら電車を乗り継ぎ、バスに乗り、てくてく歩いて竜樹邸に到着。
そこには笑顔のやらかい、竜樹さんがいた。
いつものように2階にあがって、暫くお話する。
昨日とてつもなくへこんでた竜樹さん、嘘みたいに元気。
というよりも、何か昨日のことを少し気にしてるのか、それとも遡ってレバニラの一件のことも気にしてるのか、やたら私の話を聞こうとしてくれる。
そして、自分が思うことも話そうとしてくれる。
「そんなん気にせんでええのに」と思う反面、そうやって一生懸命私に触れようと、自分に触れさそうとする気持ちがただ嬉しかった。
私が彼のおかれてる状況を打破できるほどの力を持ち合わせていなかったとしても…
…最初っからわかってるんだ。
私と同じように自分の舞台裏を見せないようにして歩いている竜樹さんが、あそこまで自分がしんどいことを吐露したことの意味。
それほどまでに、しんどかったのだと、苦しかったのだということ。
そして、彼が求めているものは、その自体の即効的解決策ではなくて、ただ今の自分のしんどさの一部分を預かってもらえればそれでいいのだということ。
「あんまり目に見えることばかり追いかけないでくださいね」
友達が叱りながらかけてくれた言葉を思い返しながら、ただ竜樹さんの笑顔に答えたいと思い続けた。
そうすると不思議なもので、どこからともなく笑顔は沸き起こってくる。
そして、それがまた竜樹さんの笑顔を連れてくる。
特別何を話した訳でないのに、もしかしたら何気ない話すべてが二人には特別なものだったのかもしれないけれど、ささやかな時間を分かち合う。
そんな時間を過ごしながら、新聞のテレビの番組欄を見ながら話をしてると…
「…あ、今日は阪神×巨人戦や!アリアスがホームラン打つの見な!」
突然、嬉しそうにしはじめる竜樹さん。
どうも最近、竜樹さんは阪神ではなく星野監督、星野監督よりもアリアスがお気に入りで、阪神戦はマメにご覧になってるご様子。
二人ともばたばたばたと階下に降り、テレビをつけると…
「アリアス、ホームラァァァァン!」
テレビからアナウンサーの叫び声。
「よぉっしゃぁぁぁぁぁっ、ええぞ、アリアス!男前!」
呆然としてる上原が映るテレビをまるで蹴飛ばしかねない勢いで、喜ぶ竜樹さん。
こんな竜樹さんを見ることも稀なので、何はともあれ嬉しい。
そのあと、檜山、濱中が立て続けにホームラン。
こうなると、竜樹さんはさらに喜び、またテレビを蹴飛ばさんがばかりに暴れまわる。
それをほほえましく思いながら、眺める私。
ひとしきり吼えまくって、却って冷静になったのか。
試合はまだ続いているのに、竜樹さんはじゃれっこモード。
切り替えの早さにただただ驚いて、「…あの、阪神戦、まだやってるんですけど?」なんて間抜けな質問してみたけれど。
「俺は、アリアスがホームランを打ったのが見れたらそれでええんや(o^−^o)
あとは勝とうが負けようが、どうでもええねん♪
アリアスが打つかどうかが大事やねん♪」
…既に、竜樹さんの中では試合は終わった模様。
そのまま、引きずられるようにずるずると……(/-\*)
熱を帯びる竜樹さんは、いつもと違う顔を見せる。
それが本当なのか、いつものが本当なのか惑うけれど。
「霄は俺がええねやんなぁ?」
久しぶりにその言葉を聞いた気がする。
そこにどんな意図があるのかは判らないけれど、ただそれが嬉しくて抱きしめ返す。
一緒に歩き始めた頃の気持ちが、互いの中にあったのかどうかまではつかめなくても。
ただ互いが互いを独り占めしてたい気持ちだけが真実なのかもしれないと、冷静さを取戻せないまま澱のように感情は降り積もる。
そうして互いの持つものを受け渡しながら、長い長い時間が経つ。
二人がいつも通りの意識に戻る頃、阪神はきれーに負けておいでだったけれど。
アリアスのホームランが見れた、竜樹さんにはそれはどうでもいいことだったらしい。
ただ、隣にいる私を笑顔で受け入れてくれる竜樹さんだけがそこにいた。
そのあと、お風呂を沸かして入ったり、竜樹さんのしないといけないことを手伝ったり、布団を2階に持ち上げて眠る準備をしたりと忙しかったけれど。
ただずっと一緒にいられることが嬉しかった。
「…え?もう1時なん?
一緒にいてる時間は、随分早く過ぎんねんなぁ」
少々がっかり気味にそう呟いた竜樹さんを見て、一緒にいられることを楽しいと思ってるのが自分だけじゃないんだと知って、もっと嬉しくなった。
それが嬉しくて、ただニコニコしてる私を、そっと抱きしめてくれる竜樹さん。
並べたお布団に仲良く並んで、そっと手を繋ぎながら横になる。
またじゃれモードが入ってきて、なかなか寝付けないけれど(〃^〃ゞ
ただ一緒にいられること。
その先がどうあれ、一緒にいられること。
それを互いが望みあうこと。
それがきっと結果より何より大切なものなのだろうと。
目に見えるものに捕らわれる自分が欲しいものは、自分の存在価値や存在意義。
それを判りやすい形で手に入れたいのだと。
それ以上に大切なものは、想いの根っこにあるもの。
それはきっとそうそう簡単には見つけられないのかもしれないけれど。
ぼんやりしていても、そこに確かにあるもの。
どんなものよりも大切なもの。
それをそっと抱きしめて生きられたらと。
差し出された右手をそっと握り返しながら、眠りについた。
みんなで揃って現地に行くほうが効率がいいということで、前日から竜樹邸に滞在することが決まった。
昨日の夜、竜樹さんから電話がかかってきて、今日のことを打ち合わせしてたのだけれど。
ここのところ、竜樹さんとそのご家族がおかれてる状況が決して機嫌がよくなるようなものでなく、むしろ気持ちを沈ませていくようなものに向かいつつあって、話す竜樹さんは終始へこみモード。
それを何とかしたくても、結局私にはどうすることも出来ないような話題ばかりで、やるせなさと自分の力のなさに嫌気がさしながら横になったせいもあって、起きるのが随分遅くなってしまった。
慌てて飛び起きて、荷造りをしながら下書きをしたままほりっぱなしにしてた追っかけ更新分の日記を書きながらたらりたらりとしているところへ号外がひとつ。
そのお知らせに機嫌をよくして、暫し日記書きも荷造りも放棄。
私も竜樹さんへの想いと共に、そっと願いを託した。
…尤も私の場合は、友達のようにほの温かいエピソードとは程遠く、半ばバーゲンセールで特価品を買い占めるおばちゃん状態だったような気がして、「あぁ、つくづく情緒ねぇ」と嘆きもしたけれど。
(海衣一家の話を書いてたからといって、海衣一家、ついでに金岡両親、さらには竜樹さんご両親まで託してしまったあさましい奴だから…)
すっかりハイになった私はお礼状を投売りするように飛ばしまくって、また荷造りと追っかけ更新を平行して進め、家を出る。
途中、お腹がすいたのでロッテリアに寄り、日記のお友達が気にして話題にあげてた「ピュアバーガー」を食べる。
…一体、何がピュアなのかよく判らないまま、食べてもあまりお腹がいっぱいにならないまま、また荷物を提げて一路竜樹邸へ向かう。
移動しながら、昨日思ったことやこれから竜樹邸に向かうことを報告するメールを友達に送って、たんと叱られながら電車を乗り継ぎ、バスに乗り、てくてく歩いて竜樹邸に到着。
そこには笑顔のやらかい、竜樹さんがいた。
いつものように2階にあがって、暫くお話する。
昨日とてつもなくへこんでた竜樹さん、嘘みたいに元気。
というよりも、何か昨日のことを少し気にしてるのか、それとも遡ってレバニラの一件のことも気にしてるのか、やたら私の話を聞こうとしてくれる。
そして、自分が思うことも話そうとしてくれる。
「そんなん気にせんでええのに」と思う反面、そうやって一生懸命私に触れようと、自分に触れさそうとする気持ちがただ嬉しかった。
私が彼のおかれてる状況を打破できるほどの力を持ち合わせていなかったとしても…
…最初っからわかってるんだ。
私と同じように自分の舞台裏を見せないようにして歩いている竜樹さんが、あそこまで自分がしんどいことを吐露したことの意味。
それほどまでに、しんどかったのだと、苦しかったのだということ。
そして、彼が求めているものは、その自体の即効的解決策ではなくて、ただ今の自分のしんどさの一部分を預かってもらえればそれでいいのだということ。
「あんまり目に見えることばかり追いかけないでくださいね」
友達が叱りながらかけてくれた言葉を思い返しながら、ただ竜樹さんの笑顔に答えたいと思い続けた。
そうすると不思議なもので、どこからともなく笑顔は沸き起こってくる。
そして、それがまた竜樹さんの笑顔を連れてくる。
特別何を話した訳でないのに、もしかしたら何気ない話すべてが二人には特別なものだったのかもしれないけれど、ささやかな時間を分かち合う。
そんな時間を過ごしながら、新聞のテレビの番組欄を見ながら話をしてると…
「…あ、今日は阪神×巨人戦や!アリアスがホームラン打つの見な!」
突然、嬉しそうにしはじめる竜樹さん。
どうも最近、竜樹さんは阪神ではなく星野監督、星野監督よりもアリアスがお気に入りで、阪神戦はマメにご覧になってるご様子。
二人ともばたばたばたと階下に降り、テレビをつけると…
「アリアス、ホームラァァァァン!」
テレビからアナウンサーの叫び声。
「よぉっしゃぁぁぁぁぁっ、ええぞ、アリアス!男前!」
呆然としてる上原が映るテレビをまるで蹴飛ばしかねない勢いで、喜ぶ竜樹さん。
こんな竜樹さんを見ることも稀なので、何はともあれ嬉しい。
そのあと、檜山、濱中が立て続けにホームラン。
こうなると、竜樹さんはさらに喜び、またテレビを蹴飛ばさんがばかりに暴れまわる。
それをほほえましく思いながら、眺める私。
ひとしきり吼えまくって、却って冷静になったのか。
試合はまだ続いているのに、竜樹さんはじゃれっこモード。
切り替えの早さにただただ驚いて、「…あの、阪神戦、まだやってるんですけど?」なんて間抜けな質問してみたけれど。
「俺は、アリアスがホームランを打ったのが見れたらそれでええんや(o^−^o)
あとは勝とうが負けようが、どうでもええねん♪
アリアスが打つかどうかが大事やねん♪」
…既に、竜樹さんの中では試合は終わった模様。
そのまま、引きずられるようにずるずると……(/-\*)
熱を帯びる竜樹さんは、いつもと違う顔を見せる。
それが本当なのか、いつものが本当なのか惑うけれど。
「霄は俺がええねやんなぁ?」
久しぶりにその言葉を聞いた気がする。
そこにどんな意図があるのかは判らないけれど、ただそれが嬉しくて抱きしめ返す。
一緒に歩き始めた頃の気持ちが、互いの中にあったのかどうかまではつかめなくても。
ただ互いが互いを独り占めしてたい気持ちだけが真実なのかもしれないと、冷静さを取戻せないまま澱のように感情は降り積もる。
そうして互いの持つものを受け渡しながら、長い長い時間が経つ。
二人がいつも通りの意識に戻る頃、阪神はきれーに負けておいでだったけれど。
アリアスのホームランが見れた、竜樹さんにはそれはどうでもいいことだったらしい。
ただ、隣にいる私を笑顔で受け入れてくれる竜樹さんだけがそこにいた。
そのあと、お風呂を沸かして入ったり、竜樹さんのしないといけないことを手伝ったり、布団を2階に持ち上げて眠る準備をしたりと忙しかったけれど。
ただずっと一緒にいられることが嬉しかった。
「…え?もう1時なん?
一緒にいてる時間は、随分早く過ぎんねんなぁ」
少々がっかり気味にそう呟いた竜樹さんを見て、一緒にいられることを楽しいと思ってるのが自分だけじゃないんだと知って、もっと嬉しくなった。
それが嬉しくて、ただニコニコしてる私を、そっと抱きしめてくれる竜樹さん。
並べたお布団に仲良く並んで、そっと手を繋ぎながら横になる。
またじゃれモードが入ってきて、なかなか寝付けないけれど(〃^〃ゞ
ただ一緒にいられること。
その先がどうあれ、一緒にいられること。
それを互いが望みあうこと。
それがきっと結果より何より大切なものなのだろうと。
目に見えるものに捕らわれる自分が欲しいものは、自分の存在価値や存在意義。
それを判りやすい形で手に入れたいのだと。
それ以上に大切なものは、想いの根っこにあるもの。
それはきっとそうそう簡単には見つけられないのかもしれないけれど。
ぼんやりしていても、そこに確かにあるもの。
どんなものよりも大切なもの。
それをそっと抱きしめて生きられたらと。
差し出された右手をそっと握り返しながら、眠りについた。
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