靄を晴らす風

2002年4月4日
今日は有給を取って、ゴージャスなお姉さまとデート。

劇団☆新感線の公演「天保十二年のシェイクスピア」を観に行ったあと、ディナーデートの予定。
本当は昼食も一緒にとる予定だったのだけれど、双方出足が遅かったために昼食会は断念。

今回の公演は4時間近い公演らしいので、お腹が鳴っても困るだろうと会場に近い珈琲館でクロックムッシュを食べ、会場に入る。
席につく前にプログラムとCDを買って、階段を上る。


今日の席は2階席の2列目。
この時間の公演は追加発売されたものだったので、比較的席はいい。

…しかし(/||| ̄▽)/ !

階段が急勾配で、降りるのが怖いくらい。
実際、私は派手に落っこちかけた(爆)
よろよろと危険極まりない移動を終え、席に座る。
ところが私の隣の席に座った4人組がどうも感じが悪い。
なんか何時までたってもがさがさして、とにかく落ち着きがない。
おまけに(席が狭いせいもあるのだけれど)、やたら私の方によりかかって座ってくる。
幕が上がるまでに機嫌が悪くなりそうだったけれど…

周囲が暗くなり、鐘の音がする。
そして、いきなり大音響の中、舞台は幕を開けた。


お姉さまは嬉しそう。
彼女が嬉しいのは、お気に入りのベーシスト、高橋ヨシロウ氏が舞台の前で演奏してるから。
彼女からはメタル系のバンドが舞台上で演奏するってことは聞いていたけれど、本当にライブみたいな形で演奏するとは思いもしなかった。
別の友人からは「新感線の音はやかましい」と聞いていたので、それ相応の覚悟で臨んでいたけれど、思ってた程に音は大きくなかった。


劇の中身は、シェイクスピアの作品の詰め合わせのような感じ。
(筋はこちらのサイトで書かれてるのが一番簡潔な気がします。http://www.nifty.ne.jp/forum/ftheater/topic/02-03/tenpou/story.htm )
舞台が2階建てのような形になってたり、床についてる蓋を開けると水槽があったりするのが面白い。

正直、ちょっと性的描写がえげつなかったりしつこい気はしたし、ちょっと詰め込みすぎって感じもしたけれど、よく練られたいい台本だったと思う。


東京公演中は、主人公の上川隆也とヒロインの沢口靖子がとんでもなく下手で、脇の阿部サダヲがとてもよかったと聞いていたけれど…
私とお姉さまは、揃って老婆役の熊谷真実がよかったということで意見が一致した。
(私は演技+彼女が持ってる小道具の入れ歯型手袋がツボはまりだったけれど…)

客演の人が多かったせいか、物足りない役回りになってしまった気はしたけれど、新感線のメンバーは歌えるし、演技も目を引く。
非常に面白い(*^_^*)

上川隆也はイメージ的にキツイなぁと思えてならなかったけれど、同情の余地のない程の悪役をよく演じたなぁとは思った。
阿部サダヲの役はハナからテンションが高い役だったせいで、すんごい印象に残って入るけれど、そのよさを実感するに至らず…(ファンの方ごめんなさい)
ただ、影の義太夫(バックバンド)のヴォーカルが何で決まったかは歌を聴いてて判った気はした。
(ヴォーカルのTAKIの歌声は、阿部サダヲの歌声にすんごい似てる。
阿部サダヲの歌の部分はTAKIとの掛け合いの形の歌だったから、違和感なく聞けたのはよかったと思う)


いつも劇を観る時は、登場人物の誰かに感情移入をするような形で全体像を眺めてしまうけれど、今回は登場人物の誰にも感情移入できなかった、というよりも感情移入するまもなくだだだだぁーっと話が進行していった気がする。

気が付くと、2時間近1幕が終わっていた。
私も彼女も席を立つ気がしなくて、じっと座ったまま話をしている。
時々、袖付近をうろうろするヨシロウ氏を見ては、きゃっきゃ言ってるお姉さま。
その姿に「かわええなぁ(*^_^*)」と思いつつ、一緒になってヨシロウ氏を追う私。


インターミッションも終わり、第2幕が始まる。


しかし、開始早々ブチ切れそうな事態が発生ヽ(`⌒´)ノ

私の隣に座っていたけったいな4人組。
よりにもよって、遅れて入ってきた。
挨拶もなしに、狭い座席前をずかずか通り抜けていった挙句に、デカい鞄で人の顔をばこんと叩きかけるし。
一瞬、スイッチがぱちんと入って、肘鉄かましそうになったけれど(爆)
駆け足のように過ぎていく舞台を逃すにはあまりにも惜しい気がして、ぐっと堪えた。


後半も前半に負けず劣らず、ばたばたばたと過ぎていく。
登場人物もばたばたばたと死んでいく。
「一体、何人死ぬねん」ってくらい。
途中、気になる台詞が心を掠めては、小さな爪あとを残すような感じが否めなかったけれど、お構いなしにラストまで引きずって走っていく。

クライマックスの演出については、「ここまでやらいでも…」ってくらいに激烈なるエンディングだったけれど。
あっと言う間の、4時間だった。


外に出ると、まだ日が高くて肌に感じる空気が心地いい。
今日の舞台の話やヨシロウ氏の話をしながら、たらたらと歩きつづける。


お昼もあまり食べていない上に、4時間も一生懸命舞台を観るとお腹もすくというもの(笑)
難波に向かって歩きながら、時折寄り道をして、何年か前に忘年会で使ったイタリアンレストランに行った。


お姉さまはここの「ムール貝の香草バター焼き」がお気に入り。
それと「真っ赤なオレンジジュース」もお気に入りで、即決で注文。
あと、アスパラとベーコンとニンニクのパスタを明日出勤日でありながらもチョイス。
それと「チーズの器に入ってきます」という触れ込みが気になった「きのこのリゾット」を注文した。
食欲魔人な二人なので、これで足りるとは到底思えなかったけれど、取り敢えず注文はここでおしまい。
…あ、リゾットが来る前にアーティチョークのフリットも頼んだわ(^^ゞ


再び舞台の話をしてるうちに、結構な勢いで注文した料理が飛んでくる。
それを焦るわけでもなく、涼しい顔して食べる女が二人。
ところが、そのうち周りがどっと沸いた。
「なんだろう?」と思って顔をあげてびっくり。

「きのこのリゾット」がきていた。
びっくりしたのは、その料理自体ではなく、その器。
チーズはチーズでも、丸太を立て半分に切ったようなパルメザンチーズの塊の上にちょこんとリゾットが乗っている。

「どないする気やねん?」

周囲の人の視線に小さくなりながら、その丸太のようなチーズを眺めていると…

店員さんはチーズの器をほじくって、リゾットと混ぜ合わせながら皿に注いでくれた。
「チーズが足りないようなら振りますから、言って下さいね」
そう満面の笑みで言う店員さんに、すかさず「もう少し振ってください」とはお姉さま。

…さりげなく引きつった笑顔に変わったのを、私は見逃さなかった(^m^*)エヘヘ


その後も、別の店でシナモンミルクティとパンプキンプリンを食べながら、チケット代等を精算。
舞台と同じくらいの時間、ゴージャスなお姉さまと食べては語った。
店が閉店にならなかったら、延々話し続けただろうけど…

別れるのがとても惜しかったけれど、構えずに話すことを許し、ありのままを受け止めようとしてくれた彼女と過ごせたことがとても嬉しくて、命の洗濯をしたみたいに晴れやかな気持ちで家路に着いた。


心にかかる靄を晴らす風のような時間を過ごせたことが嬉しかった。


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