雨雲を蹴散らして…
2002年3月24日昨日の晩も何気なく上がったメッセで友達に捕まえられて、明け方まで話す。
その割に朝は早く目が覚めた。
部屋の外から聞こえるのは雨の音。
そしてひんやりとした空気。
何となくすぐに起き上がれなくて、布団に包まりながら手を伸ばすけれど。
手に触ったのは、読みかけの本が数冊。
暖かな人はそこにはいなかった。
…あ、帰って来てたんだっけ?私?
ここが竜樹邸でないことを改めて思い知る。
布団の外に脱ぎ散らかしたフリースを着て雨戸を開けると、またしても鈍色の空から大粒の雨が降り注いでいる。
…いつまで続くんだよ?この雨は?
毒づきながら、布団から抜け出した。
そして、そこにはいない竜樹さんの具合を思った。
熱が下がっていないなら、何かおなかに優しいものでも作りに行きたい。
飼ってるお魚にエサをあげるだけでもいい。
ただ、傍にいられたらそれでいい。
そう思ったけれど。
本当にしんどい時、竜樹さんは一人でないとちゃんと休めないこと。
そして、今日は家にいないといけないこと。
いろいろ思って、やめてしまった。
この部屋でしないといけないことは腐るほどあるけれど。
どれもこれも手につかない。
頭の中でしないといけないことの外形図を描いたり、心の中にあるものを言葉に置き換えようとしたりするけれど、どうにもこうにも空回りする。
雨は一向にやみそうにない。
ブルーな気分は加速する。
…やっぱり竜樹さんになんと言われても、もう一日竜樹邸に留まり続けたらよかったかな?
そんな気持ちで一杯になる。
傍にいたからといって何も出来やしないことは、おとつい昨日と実感したことのはずなのに。
それでも、傍にいれば何か出来たかもという、「If」に捕われ続ける。
竜樹さんが昨日貸してくれたフリースを着て、進むでもない作業に意識を向けようとした。
それが意味のないことと知りながら…
四六時中一緒にいなければ寂しくて寂しくていられないと言う程の寂しがりではない。
むしろ、ある程度一人の時間は欲しいと思ってる。
そういうところは竜樹さんとも一致してたからこそ、長い間一緒にいられたんだとは思うけれど。
竜樹さんが辛い思いをしてるだろうことは、天候一つとっても判る。
窓の外の温度や湿度の感じでも判る。
自分の知らないところで何かが起こってることも辛いかもしれないけれど、判りきってることをどうすることも出来ずにただ案じてるしかないってこと自体やるせなくて仕方ない。
身体の不調に苦しむ竜樹さんの目の前で、この2日間何が出来たのかを振り返れば、自分がいようといまいとあまり事態を劇的に変えるだけの力など持ち合わせてもいないことくらい判りきったことなのにね?
何故なんだろう?
無駄だと判っていても、近くにいたいと思うのは。
考えても仕方のないことにばかり意識を取られて、結局何一つしないといけないことは進まないまま。
また、おぞましい1週間が始まるんだね?
来週の終わりには、特別な日が待っている。
2人が歩き始めてから7回目の春がそっと待っているんだ。
去年は直前に大揉めに揉めた挙句、別れ話が待ち受けていた。
結局それは、桜の咲く風の強い午後に回避されたけれど…
今年はどんな風に2人は7回目の春を眺めるんだろう?
やるせない想いはいつになったら、終わりを迎えるのだろう?
あと何回春を迎えたら、二人が本当に笑える春を迎えられるんだろう?
毎年、2人が歩き始めた春に心の底から笑えることは少なかったんだ。
もしかしたら、私自身がそれを知っているからかもしれない。
2人が手放しで喜べる春など、来やしないだろうことを…
それを知りながら手を携えて歩いてきた。
傍から見たら、ただの道化かもしれない。
「金岡は男で蹴躓いたね?」
「金岡って、将来のこと何も考えてないわけ?」
そういう声がそこいらに転がってるのも事実。
それらに対して承服するつもりも、噛み付くつもりもなく、たらりたらりと受け流してきたけれど。
そういう声にめげることなく、心で小さく「見てろよ?」って思いながら顔をあげて歩いてきたのも、すべては竜樹さんの笑顔があったから。
竜樹さんが生きててくれたから。
けれど、竜樹さんの笑顔の素に私はなれてたのかな?
私のために無理に笑おうとしてたんじゃないのかな?
今はそんな疑問が私の周りを取り囲む。
雨雲のような思いに苛まれ続けるけれど…
いつかこの迷いを蹴散らして、竜樹さんが気負うことなく笑顔でいられるように。
身体の不調がある時に、「霄に悪いから」ではなく「霄にいて欲しい」と思ってもらえるように。
雨雲を蹴散らすだけの力が欲しいと思う。
「迷ってへこむこと自体、余裕があるってことだろ?
それは今までよりもはるかに恵まれた道を歩いてるってことだぜ?」
心の底から聞こえる小さな声に、すべてを預けて。
雨雲を蹴散らすように、迷う心を蹴散らそう。
出来ないことを出来ないことと諦めるよりも、出来ないことを出来ないからと嘆くよりも。
もっとシンプルに出来ることを。
迷いを蹴散らしながら、手に入れよう。
7度目の春に間に合わなくても、8度目でも9度目でもいい。
竜樹さんが生きて、その笑顔を私に向けてくれてるうちに。
雨雲蹴散らして、笑顔だけをそっと送り出そう。
その割に朝は早く目が覚めた。
部屋の外から聞こえるのは雨の音。
そしてひんやりとした空気。
何となくすぐに起き上がれなくて、布団に包まりながら手を伸ばすけれど。
手に触ったのは、読みかけの本が数冊。
暖かな人はそこにはいなかった。
…あ、帰って来てたんだっけ?私?
ここが竜樹邸でないことを改めて思い知る。
布団の外に脱ぎ散らかしたフリースを着て雨戸を開けると、またしても鈍色の空から大粒の雨が降り注いでいる。
…いつまで続くんだよ?この雨は?
毒づきながら、布団から抜け出した。
そして、そこにはいない竜樹さんの具合を思った。
熱が下がっていないなら、何かおなかに優しいものでも作りに行きたい。
飼ってるお魚にエサをあげるだけでもいい。
ただ、傍にいられたらそれでいい。
そう思ったけれど。
本当にしんどい時、竜樹さんは一人でないとちゃんと休めないこと。
そして、今日は家にいないといけないこと。
いろいろ思って、やめてしまった。
この部屋でしないといけないことは腐るほどあるけれど。
どれもこれも手につかない。
頭の中でしないといけないことの外形図を描いたり、心の中にあるものを言葉に置き換えようとしたりするけれど、どうにもこうにも空回りする。
雨は一向にやみそうにない。
ブルーな気分は加速する。
…やっぱり竜樹さんになんと言われても、もう一日竜樹邸に留まり続けたらよかったかな?
そんな気持ちで一杯になる。
傍にいたからといって何も出来やしないことは、おとつい昨日と実感したことのはずなのに。
それでも、傍にいれば何か出来たかもという、「If」に捕われ続ける。
竜樹さんが昨日貸してくれたフリースを着て、進むでもない作業に意識を向けようとした。
それが意味のないことと知りながら…
四六時中一緒にいなければ寂しくて寂しくていられないと言う程の寂しがりではない。
むしろ、ある程度一人の時間は欲しいと思ってる。
そういうところは竜樹さんとも一致してたからこそ、長い間一緒にいられたんだとは思うけれど。
竜樹さんが辛い思いをしてるだろうことは、天候一つとっても判る。
窓の外の温度や湿度の感じでも判る。
自分の知らないところで何かが起こってることも辛いかもしれないけれど、判りきってることをどうすることも出来ずにただ案じてるしかないってこと自体やるせなくて仕方ない。
身体の不調に苦しむ竜樹さんの目の前で、この2日間何が出来たのかを振り返れば、自分がいようといまいとあまり事態を劇的に変えるだけの力など持ち合わせてもいないことくらい判りきったことなのにね?
何故なんだろう?
無駄だと判っていても、近くにいたいと思うのは。
考えても仕方のないことにばかり意識を取られて、結局何一つしないといけないことは進まないまま。
また、おぞましい1週間が始まるんだね?
来週の終わりには、特別な日が待っている。
2人が歩き始めてから7回目の春がそっと待っているんだ。
去年は直前に大揉めに揉めた挙句、別れ話が待ち受けていた。
結局それは、桜の咲く風の強い午後に回避されたけれど…
今年はどんな風に2人は7回目の春を眺めるんだろう?
やるせない想いはいつになったら、終わりを迎えるのだろう?
あと何回春を迎えたら、二人が本当に笑える春を迎えられるんだろう?
毎年、2人が歩き始めた春に心の底から笑えることは少なかったんだ。
もしかしたら、私自身がそれを知っているからかもしれない。
2人が手放しで喜べる春など、来やしないだろうことを…
それを知りながら手を携えて歩いてきた。
傍から見たら、ただの道化かもしれない。
「金岡は男で蹴躓いたね?」
「金岡って、将来のこと何も考えてないわけ?」
そういう声がそこいらに転がってるのも事実。
それらに対して承服するつもりも、噛み付くつもりもなく、たらりたらりと受け流してきたけれど。
そういう声にめげることなく、心で小さく「見てろよ?」って思いながら顔をあげて歩いてきたのも、すべては竜樹さんの笑顔があったから。
竜樹さんが生きててくれたから。
けれど、竜樹さんの笑顔の素に私はなれてたのかな?
私のために無理に笑おうとしてたんじゃないのかな?
今はそんな疑問が私の周りを取り囲む。
雨雲のような思いに苛まれ続けるけれど…
いつかこの迷いを蹴散らして、竜樹さんが気負うことなく笑顔でいられるように。
身体の不調がある時に、「霄に悪いから」ではなく「霄にいて欲しい」と思ってもらえるように。
雨雲を蹴散らすだけの力が欲しいと思う。
「迷ってへこむこと自体、余裕があるってことだろ?
それは今までよりもはるかに恵まれた道を歩いてるってことだぜ?」
心の底から聞こえる小さな声に、すべてを預けて。
雨雲を蹴散らすように、迷う心を蹴散らそう。
出来ないことを出来ないことと諦めるよりも、出来ないことを出来ないからと嘆くよりも。
もっとシンプルに出来ることを。
迷いを蹴散らしながら、手に入れよう。
7度目の春に間に合わなくても、8度目でも9度目でもいい。
竜樹さんが生きて、その笑顔を私に向けてくれてるうちに。
雨雲蹴散らして、笑顔だけをそっと送り出そう。
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