White Birthday

2002年2月19日
誕生日の朝がきた。
妙に冷え込むので布団から出るのに勇気が要ったけれど、思い切って抜け出して雨戸を開けると…

眼下に広がる家々の屋根が真っ白だった。
おまけに空から雪が舞い降りている。

…「生まれた日」の再現やねぇ

尤も本当に再現されてしまったら、会社に行ったはいいけれど家には帰ってこれない。
「困ったな…」と思いつつ遅れてる日記を書いて、いつもよりも早めに外に出る。

雪は道路に積もりこそはしていないけれど、日陰のところは微妙にアスファルトの光り方が違う。

…今日は早く帰ってこないとダメかぁ(T^T)

せっかくのお誕生日だから、ちょっとくらいのお出かけはしたいのにと思いながら、舞い降りる雪を眺めていた。
私が生まれた日と同じ光景を眺めながら、新しい年齢を迎えることに少しばかりの不思議を感じながら…


いつものように朝メールを飛ばす準備を始めると、携帯にメールがひとつ。
開けてみると、妹からだった。
彼女が金岡邸にいてる時はあれほど仲が悪かったのに、ちゃんと思い出してくれるんだなぁと思うと心が暖かくなる。

…けれど、相変わらず考えさせられる質問をしてくるなぁ、妹君(^-^;

「去年はどんな一年だった?」

確か、去年もそんなことを聞かれたような気がする。
竜樹さんとのこと、そしてそれ以外のこと。
いろいろと思いを廻らせながら、社屋に入る。


今日もまた昨日と同様、どことなく社内の空気は尖っていて、しんどい。
電話が噛み付くように鳴り響くのも同じ。
親会社の理不尽な押し付けと、理不尽なまでに連携の取れてない社内の人々。
眺めてるだけでもうんざりなのに、そこにぼぉんと放り込まれて8時間半を過ごすのは苦痛に他ならないけれど。
その苦痛をどう脱却するのか、脱却できるまでに何を必要としてどうやって血路を開くのか。
竜樹さんの体調のことも慮りながら、考えるべきときに来たのだけは間違いない。
それは昨日も思ったことだけれど。

もしも、前の年齢の私の一年について妹に説明するとしたら。

「いいことも悪いこともそれ相応にあって、いつもそれに対しては力は及ばないけれど自分の100で臨むようにしてきたつもり。
気持ちではやらないといけないことを模索しながら一人でばたばたともがいているけれど、
傍からはぼんにゃり過ごしていたようにしか見えてなかっただろう1年だったよ」

情けないたぁ思うけれど、今の時点ではそう答えるしかない。

次の1年に挑んでいくに当たって、もしも話さなければならないならば。

「『自分がなれるものの中での一番』をきちんと手に入れられるよに、足りないものが何かを考えてそれを補いながら、機嫌のいい結果を手に入れたい。
後は、能天気なようだけれど、日々の中で楽しめることをもっともっと増やしたいと思う」

こう彼女に答えて、彼女からどんなコメントが飛び出すか、楽しみなような怖いような…


時折、心に浮かぶ言葉を記憶に少しばかり留める努力をしつつ、業務に追われて午前中を終える。
昼休みに入っても、業務用の雑用と本当の雑用をしてるうちに昼休みの半分が消えてなくなっていた。
やっとのことでお昼ご飯を食べ始めたとき、机の上の携帯が踊る。
そこには、バースデイメールがまたひとつ(*^_^*)

…自分が生まれた日に自分のことを一瞬でも思い出してくれる誰かがいてくれるのって嬉しいね?

昨日の夜からずっとそう思っていた。
本当にありがたいことだ。

ご飯を食べて後片付けを済ませ、息抜きのために踊場に出る。
小さな窓から見える空は雪の降る頃の鈍色からパステルブルーに変わっていた。
いつもは辛い冬の寒さが、この時は何故か心地よかった。

少しばかり気分をよくして、また仕事に戻る。

…案の定、ヒステリックに仕事は舞い込むけれど(-_-;)

ボスが少しばかり元気を取り戻して、けったいなちゃちゃを入れられるところまで戻ってきてくれてはったのが唯一の救い。
+竜樹さんに貰ったものに囲まれてどうにか仕事をこなす。


外に出ると、吹く風は胸を刺すよう。
ほんの少しだけ、「竜樹さんに逢えるかも?」と思ってた部分もあったけれど、この寒さじゃ絶対無理。
しょぼーんとしながらよろよろ自転車をこぎ、久し振りに寄り道大会に出ることにした。

…路面凍結してしまったら、家に帰れなくなるかもしれないのに。

そう思わなかったわけじゃないけど、何となく寄り道したくなったから。
電車に乗って街に出て、CD屋で新譜を予約したり、DVDを眺めたり。
何をするわけでもなくただ散策しただけだったけれど、それはそれでいい気分転換になった。

…それでも、竜樹さんが隣にいてくれてたらなぁとは思ったけれど(しつこい)

さすがにこの年齢になって、バースデイケーキなんて用意されてないだろうと思ったので、自分でケーキを3つ購入。
電車に乗ってよろよろと家に帰る。


…そしたら、金岡母がケーキを買っていてくれた。
しかも、かわいらしい鞄も貰った(^ー^)v


それを喜んでる横で、金岡父が冷たい一言。

「あれ?今日、誕生日やったんか?」

…暖かいお言葉をありがとう、金岡父(ー_ーメ)


ケーキを食べ、自室に戻ると東京の友達から電話が入った。
向こうの電話機の調子が悪くて、本当に話し出すまでに何度かかかってきては切れかかってきては切れを繰り返したけれど…
久し振りにいい意味での昔に返れた気がして、心が安らいだ気がする。

…と言っても、近況報告と今後の予定と日常話をしただけなんだけどね(^-^;

それぞれの道に進んでいく中で忘れていくことも多いだろうし、忘れていく人も多いだろうと思うけれど。

この日に私が生まれたことを覚えていてくれて、ありがとう。


電話を切ってメールチェックをすると、これまた大好きな友達からメールがひとつ。
なんと日付が変わる1分前に受信してた\(◎o◎)/!

一日の終わる寸前に思い出してくれてありがとうm(__)m


結局、竜樹さんからは連絡はなかったし、私も敢えて連絡は入れなかったけれど。
それを寂しいと思わなかったわけではないけれど。
誕生日だから触れられる、大切な人の暖かさを改めて実感するにはこれでよかったのかもしんない。


真っ白い雪が舞い降りて始まった誕生日。
いろんなことに塗れていくうちにその白さは徐々に失われていくものだけれど。

せめて、素直に心暖められることに対して嬉しいと思えるだけの白い部分は残しておきたいなと思う。


ありがとう。

ただ生まれてきたことを喜んでくれて、ありがとう。


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