笑顔の戻る場所
2002年2月14日昨晩ネット徘徊中に友達に捕獲され、調子に乗って話し込んで睡眠時間はまたもや3時間を切ってしまった。
完全に眠りモードの身体を無理矢理起こして、会社に行く。
今日、明日と同僚は彼氏とバレンタイン旅行に出てお休み。
寒いこの時期に竜樹さんに「旅行に出ましょう♪」とはさすがによう言わないけれど。
暖かくなったら、私も竜樹さんと遠出できたらって思ってた。
けれど。
暖かくなったら、竜樹さんは再手術を受けることになるってこと。
この時まですっかり忘れていた。
先月は竜樹さんに執刀医を紹介した彼女の騒動で右往左往、今月に入ってからは寒の戻りで竜樹さんは弱っているにもかかわらずあまあまモードを提供してくれてることでケロリ。
…何で、そんな重要なことを忘れるかなぁ?
自分で自分に嫌気がさしそうになるほど、反省した。
…でも、ふと気付いた。
私が再手術の件を忘れていられたのは、竜樹さんの精一杯の配慮だったのかもしれない。
2年前に手術をした時。
私や竜樹さんのご両親は勿論、竜樹さん自身ですら「この手術が終われば、闘病生活のすべてが終わる」と信じていた。
身体の何処にも障害は出なかった代わりに、時折訪れる激痛に苛まれることになる。
手術はすべてに引導を渡したわけではなかったんだ。
「再手術は今具合の悪いところの手直しのようなものになるから、前ほど大したことはないらしいで?」
そう竜樹さんは笑って言うけれど。
本当に病と闘うことに引導を渡すことができると決まったわけじゃない。
もう一度、最悪の事態をも含めて考慮した上で、自分自身を立て直し、竜樹さんと挑まねばならないことがある。
それは二人を強くもする代わりに、さらなる消耗戦になることをも孕んでいる。
「楽しめるうちは、楽しんだらええんや?」
そんな風に笑う竜樹さんを思うと、心の中にすっと降り立っていくものがあった。
…もう少ししたら、つまらないことで足踏みしてられない生活がまた始まるんだ。
ぼろぼろと落としてしまってるものを、もう一度付け直さなければならない。
事務所は課長と私の2人だけ。
なのに、電話は噛み付くように鳴り響く。
昨日も大概諦めつかない理不尽さには沢山出会ったけれど、今日もまた諦めつかない理不尽さを伴った出来事は続く。
この会社に入社したときから感じていたけれど、この空間にいるとどんどん笑顔が削がれていく気がする。
…いつか本当に笑えなくなる前に辞めてやる
昨日思ったことを復唱しながら、怒涛の午前中の業務は終わった。
ぐったりしたままお昼ご飯を食べ、友達にメールを送って一息つく。
今日はバレンタイン。
前倒しイベントは先の3連休で済ませてしまってるから、今日逢う予定はない。
でも前倒しの時は何もできなかったからと、昨日の夜作ろうと思ってて出来なかった差し入れを作る材料を持って出ていた。
恒例のバレンタインケーキを渡す前にと、小さなチョコレートも持ってきてた。
明日1日乗りきれば翌日は私の前倒し誕生会だというのに、わざわざ行く必要ないだろにたぁ思うけど。
何となくあの笑顔に触れると、明日も頑張れそうな気がするから。
そう思って、「バレンタイン特別出張サービス」というタイトルのメールをひとつ飛ばしてみた。
お返事がなかったら、まっすぐ家に帰ってハンバーグの差し入れを作ればいい。
そう思いながら、昼からの業務に挑む。
午後からも相変わらず諦めのつかない理不尽さには沢山出会ったけれど。
それでも何とか定時には仕事を終えた。
お弁当鞄の中の携帯に目をやると、メールがひとつ。
「迎えにいけないけど、ご用命あり。でも、無理せずに(^○^)」
とっとと着替えて、脱兎の如く会社を飛び出した。
少々寄り道して電車に乗る前に竜樹さんにメールを送ると一番早く着けそうなバスの時刻を知らせてくれた。
竜樹さん指定のバスに飛び乗り、竜樹邸に向かう。
竜樹邸に入ると、ほにゃとした笑顔の竜樹さんがいた。
その笑顔一つで、また明日1日頑張れると思った。
竜樹さんが入れてくれたコーヒーを飲み、ちっさなチョコレートを渡し、ハンバーグを作ろうと立ち上がると。
「霄ちゃんのためにご飯を作ってん(*^_^*)」
そう言って、蓋をしたフライパンからそば飯をついでくれた。
…相変わらず、おいしいんだ(*^_^*)
お腹も満たされたけど、心も満たされた。
一息ついて、今度こそハンバーグを作ろうと立ち上がると。
「ハンバーグ作ってくれるのも嬉しいねんけどさ…」
そう言って、隣の部屋に連れて行かれる。
…竜樹さん、じゃれっこしたかったんですね?(*-_-*)
そこにいる互いを抱き締めて、体温を分け合う。
ふと、竜樹さんの腰に手を添えた時、手術のことを思い出したけれど。
…放っておけばやがては生命が終わることすら越えられたのだから、きっと痛みも越えられる。
何故だか、そんな風に思えた。
そうこうするうちに竜樹さんの波に飲まれてしまったのか、少し眠ってしまった。
慌てて起きると、竜樹さんがいろいろと持って帰るものを準備してくれていた。
「…ハンバーグ、作らないと!」
そう言って起き上がろうとする私に、
「土曜日来て、俺が寝てしまってるときにでも作ってくれたらええよ」
またほにゃっとした笑顔でそう言ってくれた。
自分が会社で感じる「諦めのつかない理不尽」に中てられてしまって、明日1日頑張る力すら見いだせなくて。
竜樹さんの笑顔一つで明日も頑張れる気がするなんていう理由で竜樹邸に押しかけることこそ理不尽な我儘だとは思うけれど。
私には竜樹さんという、笑顔を取り戻す場所があるんだ。
私が竜樹さんに触れて笑顔を取り戻せるように、竜樹さんにとっても私がそうであればいいと。
来るべき日には、私が笑顔を渡せるように。不安を除く風になれるように。
竜樹さんの「笑顔の戻る場所」になりたい。
完全に眠りモードの身体を無理矢理起こして、会社に行く。
今日、明日と同僚は彼氏とバレンタイン旅行に出てお休み。
寒いこの時期に竜樹さんに「旅行に出ましょう♪」とはさすがによう言わないけれど。
暖かくなったら、私も竜樹さんと遠出できたらって思ってた。
けれど。
暖かくなったら、竜樹さんは再手術を受けることになるってこと。
この時まですっかり忘れていた。
先月は竜樹さんに執刀医を紹介した彼女の騒動で右往左往、今月に入ってからは寒の戻りで竜樹さんは弱っているにもかかわらずあまあまモードを提供してくれてることでケロリ。
…何で、そんな重要なことを忘れるかなぁ?
自分で自分に嫌気がさしそうになるほど、反省した。
…でも、ふと気付いた。
私が再手術の件を忘れていられたのは、竜樹さんの精一杯の配慮だったのかもしれない。
2年前に手術をした時。
私や竜樹さんのご両親は勿論、竜樹さん自身ですら「この手術が終われば、闘病生活のすべてが終わる」と信じていた。
身体の何処にも障害は出なかった代わりに、時折訪れる激痛に苛まれることになる。
手術はすべてに引導を渡したわけではなかったんだ。
「再手術は今具合の悪いところの手直しのようなものになるから、前ほど大したことはないらしいで?」
そう竜樹さんは笑って言うけれど。
本当に病と闘うことに引導を渡すことができると決まったわけじゃない。
もう一度、最悪の事態をも含めて考慮した上で、自分自身を立て直し、竜樹さんと挑まねばならないことがある。
それは二人を強くもする代わりに、さらなる消耗戦になることをも孕んでいる。
「楽しめるうちは、楽しんだらええんや?」
そんな風に笑う竜樹さんを思うと、心の中にすっと降り立っていくものがあった。
…もう少ししたら、つまらないことで足踏みしてられない生活がまた始まるんだ。
ぼろぼろと落としてしまってるものを、もう一度付け直さなければならない。
事務所は課長と私の2人だけ。
なのに、電話は噛み付くように鳴り響く。
昨日も大概諦めつかない理不尽さには沢山出会ったけれど、今日もまた諦めつかない理不尽さを伴った出来事は続く。
この会社に入社したときから感じていたけれど、この空間にいるとどんどん笑顔が削がれていく気がする。
…いつか本当に笑えなくなる前に辞めてやる
昨日思ったことを復唱しながら、怒涛の午前中の業務は終わった。
ぐったりしたままお昼ご飯を食べ、友達にメールを送って一息つく。
今日はバレンタイン。
前倒しイベントは先の3連休で済ませてしまってるから、今日逢う予定はない。
でも前倒しの時は何もできなかったからと、昨日の夜作ろうと思ってて出来なかった差し入れを作る材料を持って出ていた。
恒例のバレンタインケーキを渡す前にと、小さなチョコレートも持ってきてた。
明日1日乗りきれば翌日は私の前倒し誕生会だというのに、わざわざ行く必要ないだろにたぁ思うけど。
何となくあの笑顔に触れると、明日も頑張れそうな気がするから。
そう思って、「バレンタイン特別出張サービス」というタイトルのメールをひとつ飛ばしてみた。
お返事がなかったら、まっすぐ家に帰ってハンバーグの差し入れを作ればいい。
そう思いながら、昼からの業務に挑む。
午後からも相変わらず諦めのつかない理不尽さには沢山出会ったけれど。
それでも何とか定時には仕事を終えた。
お弁当鞄の中の携帯に目をやると、メールがひとつ。
「迎えにいけないけど、ご用命あり。でも、無理せずに(^○^)」
とっとと着替えて、脱兎の如く会社を飛び出した。
少々寄り道して電車に乗る前に竜樹さんにメールを送ると一番早く着けそうなバスの時刻を知らせてくれた。
竜樹さん指定のバスに飛び乗り、竜樹邸に向かう。
竜樹邸に入ると、ほにゃとした笑顔の竜樹さんがいた。
その笑顔一つで、また明日1日頑張れると思った。
竜樹さんが入れてくれたコーヒーを飲み、ちっさなチョコレートを渡し、ハンバーグを作ろうと立ち上がると。
「霄ちゃんのためにご飯を作ってん(*^_^*)」
そう言って、蓋をしたフライパンからそば飯をついでくれた。
…相変わらず、おいしいんだ(*^_^*)
お腹も満たされたけど、心も満たされた。
一息ついて、今度こそハンバーグを作ろうと立ち上がると。
「ハンバーグ作ってくれるのも嬉しいねんけどさ…」
そう言って、隣の部屋に連れて行かれる。
…竜樹さん、じゃれっこしたかったんですね?(*-_-*)
そこにいる互いを抱き締めて、体温を分け合う。
ふと、竜樹さんの腰に手を添えた時、手術のことを思い出したけれど。
…放っておけばやがては生命が終わることすら越えられたのだから、きっと痛みも越えられる。
何故だか、そんな風に思えた。
そうこうするうちに竜樹さんの波に飲まれてしまったのか、少し眠ってしまった。
慌てて起きると、竜樹さんがいろいろと持って帰るものを準備してくれていた。
「…ハンバーグ、作らないと!」
そう言って起き上がろうとする私に、
「土曜日来て、俺が寝てしまってるときにでも作ってくれたらええよ」
またほにゃっとした笑顔でそう言ってくれた。
自分が会社で感じる「諦めのつかない理不尽」に中てられてしまって、明日1日頑張る力すら見いだせなくて。
竜樹さんの笑顔一つで明日も頑張れる気がするなんていう理由で竜樹邸に押しかけることこそ理不尽な我儘だとは思うけれど。
私には竜樹さんという、笑顔を取り戻す場所があるんだ。
私が竜樹さんに触れて笑顔を取り戻せるように、竜樹さんにとっても私がそうであればいいと。
来るべき日には、私が笑顔を渡せるように。不安を除く風になれるように。
竜樹さんの「笑顔の戻る場所」になりたい。
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