風向きを変えるためには…
2001年9月23日子供の泣き声で目が覚めた。
ドアを開けるとそこには姪御(1歳)がいた。
久しぶりに顔を見る。
「…あ、そっか。昨日から妹が帰っていたんだ」
この3連休中、妹と姪御がこちらに来ていたんだ。
妹や姪御の顔を見るのは、イヤではない。
嬉しい部分もあるのだけど、心に引っかかってる何かが取れない。
今日も外はよく晴れている。
今日も竜樹さんちに行こうと思うけれど。
昨日のお昼ご飯のミートソースの残りで竜樹さんの昼食は取れるし、昨日作った夕飯はまだ残っているだろうから、行ったところで私がすることは何もない。
…いや、することが何もなくても逢いたいって思ってるけれど
昨日、思い知ってしまったこと。
私が本調子じゃなければ、竜樹さんの笑顔を引き出すことは難しいってこと。
ただ、食事を作ってお話をする以外、外に連れ出してあげられる訳でも、何かしてあげられる訳でもない。
昨日今日で、私が完全に元気になれる訳じゃないことも本人が一番よく判っている。
そう思うと、竜樹さんに逢いに行くこと自体を躊躇ってしまうんだ。
一度でも竜樹さんが電話に出てくれたら、逢いに行こうと思っていたけれど。
一度も出てくれないところをみると、竜樹さんも本調子からはとても遠いところにいるのだろう。
「お休みする日だって必要だよね?」
そう言い聞かせて、家族のお昼ご飯を作ったり、明日持っていくための鶏ハムを茹でたりと、いろいろするけれど。
何となく、心の中がすっきりせずにいる。
覚え書きのまま書き散らしてる日記だって書いてしまいたいけれど、心の中にひっかかり続けてる何かに心押し潰されそうな感覚があって、文章が進まない。
横になって料理の本を眺めてるうちに、少しだけ眠ってしまっていた。
目が覚めたら14時前だった。
…この電話で竜樹さんが出てくれなかったら、今日は一日家にいよう。
そう思って電話をしたら、竜樹さんは出てくれたけれど。
竜樹さん自身もすっきりしていない様子で、行っていいのやら悪いのやら、判断がつかない。
互いが互いの置かれた現状をのらりくらりと話している状態。
「霄ぁ、うちに来てくれへんかぁ…」
その一言が聞けたら、それでよかったのかもしれない。
そうしたら、いろんなことを放り出してすっと出て行けたのかもしれない。
でも、二人とも何かに遠慮してるようで、互いに自分から結論を出したくないような感じ。
相手に悪いと言う気持ちがあるのか、相手の気持ちの出方を待っているのか?
なんだか変な感じのまま、言葉だけが滑っていく。
結論が出ないまま同じ所をぐるぐる回っているような会話に、竜樹さんが終止符を打った。
「とりあえず、電話で話してても仕方がないからおいで」
パソコンに覚え書き一つあげて、家を出た。
…私ってサイテー
竜樹さんに本当に逢いたいと思うなら、「パソコンを修理に出すために日記を片さないといけない」なんて言わなきゃいいのに。
竜樹さんに必要とされていると思えば何でもできるなんていうのは詭弁に過ぎなくて。
本当は日記が進まないことも、この家にいるのが嫌なことも、みんな私の都合。
その都合に目を向けたくないから、竜樹さんの言葉が欲しかっただけなんじゃないかって気がして、ただでさえ重い気分が更に沈んでいく感じがする。
本当は疲れてもいるし、今日の夕飯に何を作ればいいのかも思いついていない。
体調が思わしくなくて沈みがちな竜樹さんの気持ちをやわらげるだけの材料も、今の私は持ち合わせていない。
それでも、「竜樹さんに必要とされてる」と思える何かがあれば、動くに足りるだけのエネルギーは確保できる。
そんな自分の思惑を竜樹さんに押し付けてしまったんじゃないかって気がして、移動中もずっと気分が晴れることはなかった。
空はとても青いのに、霄の心は沈んだまま。
気がつくと、竜樹さん地へ向かうバスの始発駅に着いていた。
竜樹さんちに持っていく飲み物を幾つか買って、バスに乗る。
竜樹さんは、相変わらず調子が悪いらしい。
私も調子がいいわけじゃないから、話す内容がとても辛気臭くて申し訳なく思う。
…これじゃあ、来た意味がないやんなぁ?
何となくそう思っていると、身体が勝手に動き出した。
気がつくと、竜樹さんを抱き締めてた。
何かがほぐれていく感じがするのがわかる。
暫くしてゆっくり竜樹さんから身体を離すと、そこには少しだけ和らいだ竜樹さんの笑顔があった。
気がつくと私も笑っていた。
何かに詰まると、抱き締めあうことを繰り返して過ごした。
それが何の役に立つとも思えなかったけれど、「今」の私にできる精一杯のことはそれしかなかったから。
途中、竜樹さんのお母さんが差し入れしてくれたお好み焼きを食べたり、コーヒーを飲んだりもしたけれど。
気がつくと、鉄腕ダッシュが始まっていたので(笑)、慌てて夕飯を作り始める。
今日の夕飯は、ジャガイモと鶏肉のクリーム煮。
昨日の夕飯の残りだの、竜樹さんのお母さんの差し入れのお好み焼きだのあったから、
1品だけにしておいた。
ジャガイモは皮をむき立てに4つ割りにし、更にそれを横半分に切って10分ほど水にさらしておく。
鳥のモモ肉は食べやすい大きさに切り、塩コショウで下味をつけておく。
フライパンにバターを入れて熱し、スライスした玉ねぎ(1/2個)を炒め、しんなりしてきたら下味をつけてる鶏肉をいれ、焦げないように炒める。
肉の色が変わってきたら、水気を取ったジャガイモをいれさっと炒め、水1カップを足して煮る。
(竜樹さんちのフライパンはそれほど大きくないので、途中で鍋に移し変えた)
沸騰してきたら蓋をして火を弱め、10分から12分ほど煮る。
その後塩コショウで味を調え、牛乳1カップを足し、バターと小麦粉(竜樹邸には小麦粉がないので片栗粉を使いました)を大さじ2/3ずつ別容器に入れて混ぜ合わせたものを鍋に入れて混ぜて完成。
途中、外に出るのをおっくうがっていた竜樹さんが散歩に出かけた。
私がここに来ている間、少しでも何かをしようという気になるなら、今はそれで十分なんだろうか?
とりあえず、そう思うことにしたけれど…
その後、ちょっと遅くなった夕飯を竜樹さんはとても喜んで食べてくれた。
食事を取る竜樹さんの表情が柔らかでほっとしたけれど。
食事の後に背中が痛くなるのはお約束だから。
辛そうな竜樹さんを見ると、やっぱりちょっと気持ちが塞がるような感覚が取れずにいてるんだけれど。
どうしたら、「風向き」が変えられるんだろうか?
まずは私が本調子を取り戻すこと?
それとも他に何が必要?
今はまだ判らないけれど…
このまま歩きながら考えてみようか?
時には立ち止まり、歩きながら考えて。
やがて、吹く風を自分たちの味方に出来るように。
ゆっくりでも投げずに歩くしかないんだろうね?
ドアを開けるとそこには姪御(1歳)がいた。
久しぶりに顔を見る。
「…あ、そっか。昨日から妹が帰っていたんだ」
この3連休中、妹と姪御がこちらに来ていたんだ。
妹や姪御の顔を見るのは、イヤではない。
嬉しい部分もあるのだけど、心に引っかかってる何かが取れない。
今日も外はよく晴れている。
今日も竜樹さんちに行こうと思うけれど。
昨日のお昼ご飯のミートソースの残りで竜樹さんの昼食は取れるし、昨日作った夕飯はまだ残っているだろうから、行ったところで私がすることは何もない。
…いや、することが何もなくても逢いたいって思ってるけれど
昨日、思い知ってしまったこと。
私が本調子じゃなければ、竜樹さんの笑顔を引き出すことは難しいってこと。
ただ、食事を作ってお話をする以外、外に連れ出してあげられる訳でも、何かしてあげられる訳でもない。
昨日今日で、私が完全に元気になれる訳じゃないことも本人が一番よく判っている。
そう思うと、竜樹さんに逢いに行くこと自体を躊躇ってしまうんだ。
一度でも竜樹さんが電話に出てくれたら、逢いに行こうと思っていたけれど。
一度も出てくれないところをみると、竜樹さんも本調子からはとても遠いところにいるのだろう。
「お休みする日だって必要だよね?」
そう言い聞かせて、家族のお昼ご飯を作ったり、明日持っていくための鶏ハムを茹でたりと、いろいろするけれど。
何となく、心の中がすっきりせずにいる。
覚え書きのまま書き散らしてる日記だって書いてしまいたいけれど、心の中にひっかかり続けてる何かに心押し潰されそうな感覚があって、文章が進まない。
横になって料理の本を眺めてるうちに、少しだけ眠ってしまっていた。
目が覚めたら14時前だった。
…この電話で竜樹さんが出てくれなかったら、今日は一日家にいよう。
そう思って電話をしたら、竜樹さんは出てくれたけれど。
竜樹さん自身もすっきりしていない様子で、行っていいのやら悪いのやら、判断がつかない。
互いが互いの置かれた現状をのらりくらりと話している状態。
「霄ぁ、うちに来てくれへんかぁ…」
その一言が聞けたら、それでよかったのかもしれない。
そうしたら、いろんなことを放り出してすっと出て行けたのかもしれない。
でも、二人とも何かに遠慮してるようで、互いに自分から結論を出したくないような感じ。
相手に悪いと言う気持ちがあるのか、相手の気持ちの出方を待っているのか?
なんだか変な感じのまま、言葉だけが滑っていく。
結論が出ないまま同じ所をぐるぐる回っているような会話に、竜樹さんが終止符を打った。
「とりあえず、電話で話してても仕方がないからおいで」
パソコンに覚え書き一つあげて、家を出た。
…私ってサイテー
竜樹さんに本当に逢いたいと思うなら、「パソコンを修理に出すために日記を片さないといけない」なんて言わなきゃいいのに。
竜樹さんに必要とされていると思えば何でもできるなんていうのは詭弁に過ぎなくて。
本当は日記が進まないことも、この家にいるのが嫌なことも、みんな私の都合。
その都合に目を向けたくないから、竜樹さんの言葉が欲しかっただけなんじゃないかって気がして、ただでさえ重い気分が更に沈んでいく感じがする。
本当は疲れてもいるし、今日の夕飯に何を作ればいいのかも思いついていない。
体調が思わしくなくて沈みがちな竜樹さんの気持ちをやわらげるだけの材料も、今の私は持ち合わせていない。
それでも、「竜樹さんに必要とされてる」と思える何かがあれば、動くに足りるだけのエネルギーは確保できる。
そんな自分の思惑を竜樹さんに押し付けてしまったんじゃないかって気がして、移動中もずっと気分が晴れることはなかった。
空はとても青いのに、霄の心は沈んだまま。
気がつくと、竜樹さん地へ向かうバスの始発駅に着いていた。
竜樹さんちに持っていく飲み物を幾つか買って、バスに乗る。
竜樹さんは、相変わらず調子が悪いらしい。
私も調子がいいわけじゃないから、話す内容がとても辛気臭くて申し訳なく思う。
…これじゃあ、来た意味がないやんなぁ?
何となくそう思っていると、身体が勝手に動き出した。
気がつくと、竜樹さんを抱き締めてた。
何かがほぐれていく感じがするのがわかる。
暫くしてゆっくり竜樹さんから身体を離すと、そこには少しだけ和らいだ竜樹さんの笑顔があった。
気がつくと私も笑っていた。
何かに詰まると、抱き締めあうことを繰り返して過ごした。
それが何の役に立つとも思えなかったけれど、「今」の私にできる精一杯のことはそれしかなかったから。
途中、竜樹さんのお母さんが差し入れしてくれたお好み焼きを食べたり、コーヒーを飲んだりもしたけれど。
気がつくと、鉄腕ダッシュが始まっていたので(笑)、慌てて夕飯を作り始める。
今日の夕飯は、ジャガイモと鶏肉のクリーム煮。
昨日の夕飯の残りだの、竜樹さんのお母さんの差し入れのお好み焼きだのあったから、
1品だけにしておいた。
ジャガイモは皮をむき立てに4つ割りにし、更にそれを横半分に切って10分ほど水にさらしておく。
鳥のモモ肉は食べやすい大きさに切り、塩コショウで下味をつけておく。
フライパンにバターを入れて熱し、スライスした玉ねぎ(1/2個)を炒め、しんなりしてきたら下味をつけてる鶏肉をいれ、焦げないように炒める。
肉の色が変わってきたら、水気を取ったジャガイモをいれさっと炒め、水1カップを足して煮る。
(竜樹さんちのフライパンはそれほど大きくないので、途中で鍋に移し変えた)
沸騰してきたら蓋をして火を弱め、10分から12分ほど煮る。
その後塩コショウで味を調え、牛乳1カップを足し、バターと小麦粉(竜樹邸には小麦粉がないので片栗粉を使いました)を大さじ2/3ずつ別容器に入れて混ぜ合わせたものを鍋に入れて混ぜて完成。
途中、外に出るのをおっくうがっていた竜樹さんが散歩に出かけた。
私がここに来ている間、少しでも何かをしようという気になるなら、今はそれで十分なんだろうか?
とりあえず、そう思うことにしたけれど…
その後、ちょっと遅くなった夕飯を竜樹さんはとても喜んで食べてくれた。
食事を取る竜樹さんの表情が柔らかでほっとしたけれど。
食事の後に背中が痛くなるのはお約束だから。
辛そうな竜樹さんを見ると、やっぱりちょっと気持ちが塞がるような感覚が取れずにいてるんだけれど。
どうしたら、「風向き」が変えられるんだろうか?
まずは私が本調子を取り戻すこと?
それとも他に何が必要?
今はまだ判らないけれど…
このまま歩きながら考えてみようか?
時には立ち止まり、歩きながら考えて。
やがて、吹く風を自分たちの味方に出来るように。
ゆっくりでも投げずに歩くしかないんだろうね?
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