当たり前のものじゃない…
2001年9月12日竜樹さんと私がいる。
竜樹さんはこれから仕事に行くという。
「この仕事から戻ったら、ずっと一緒にいようなぁ。もう離れて暮らさんでもええようにするからなぁ」
そう笑って出かけていく竜樹さん。
それを笑顔で送り出す私。
…でも、竜樹さんはそれっきり戻ってくることはなかった
「…え?」
夢だった。
悪趣味なる夢だった。
「…寝覚め悪すぎぃ(-"-;)」
夢に戻る気はなかったけれど、布団の暖かさから抜け出す気になれない。
竜樹さんとくっついてる時と非常に似通った温度だから。
あんな夢のあとに幸せなる温度に包まれたら、抜け出そうなんて思わない。
でも、朝だ。
また「現実」は始まる。
「しゃあない。起きるかぁ」
名残惜しい気持ち一つに蓋をして、布団から抜け出す。
着替えてリビングに降りると、ついてるテレビからは、アメリカ同時テロの続報ばかり。
「…あれは、やっぱり『現実』やってんやぁ」
朝からすんごい重たい気持ちで家を飛び出す。
夢見が悪かったせいもあるけれど、あれだけの凄惨な出来事は現実に起こってしまったのだと思うと、すっきりしない。
空が晴れ渡れば晴れ渡るほど、人間の業の深さを思い知るようで気分が沈む。
大好きな友達に朝メール一つ送って、会社に向かう。
「機嫌を損ねるもの」はここにもたくさん落ちていた。
朝、会社でいろんな人と挨拶を交わすけれど、今日はアメリカ同時テロの話題の多いこと多いこと。
「戦争になったりしたら、日本も巻き添え食らいますよね?やだなぁ…」
そう返したとき、耳に飛び込んだ言葉。
「あらぁ、金岡さんの彼は病気だから、兵隊さんには取られないでしょ?まだいいじゃない」
…何言ってんだ、こいつヽ(`⌒´)ノ
そう思ったけれど、
「あ、そっかぁ。この状態ってそんな情勢に縺れ込んだらラッキーなんですよね?」
適当な笑顔を作ってそう答えておいた。
…「左」が表に出てたら、ひっぱたかれてるぞ?あんた?
私と竜樹さんの置かれてる状況の端っこの方をちょろっと知る、数少ない会社の人に言われた言葉で機嫌はかんなり悪くなる。
事務所に上がって、グレープフルーツジュースを一口。
落ち込む気分は少し浮上。
けれど、また機嫌が悪くなるものが、ごろり。
今度は、先輩。
人の顔を見るなり、「なぁなぁなぁなぁ。昨日のテロ、すごかったよなぁ?やっぱり現実は映画なんかよりもよっぽどおもろいなぁ?」と喜々として喚いてる。
…こんなネタではしゃぐなよ?
そう思ったけれど、適当に受け答えしてるとどんどん図に乗ってくる先輩。
「日本にもどっかの飛行機が突っ込まへんかなぁ?仕事にならん位、おもろいやん?」
…ヽ(`⌒´)ノ
「ごめん。そのネタ、おもろないわ」
そう答えて、事務所に戻る。
…人が死ぬことを笑いものにするなんて、最低やヽ(`⌒´)ノ
グレープフルーツジュースをマグカップになみなみと注いで、一気飲みに近い状態で飲んだ。
気分は少しマシになったけれど、やっぱりすっきりしない。
昼休み、脱兎のごとく事務所を後にして、「産業道路沿いチャリ爆走の旅」を繰り広げた。
身体を動かすと、少しすっきりした。
…ふと思う。
私を取り巻くどれ一つとして、「当たり前」のものなんてないのかもしれない。
毎週末、竜樹さんちに行って料理を作ったり、暖かな時間を過ごすこと。
竜樹さんの暖かな笑顔や気持ちを受け取れること。
友達と毎朝メールを交わすこと。
日記帳やいろんな場所で友達と心で話すこと。
「大好き」と言ってくれる大切な人たちがいてくれてるということ。
「大好き」と思う大切な人たちがいてくれてるということ。
大切だと感じてる人たち皆が、毎日普通に暮らしていること。
そして。
私が生きているということ。
何気なく口にする。「またね」。
そんな言葉が明日覆ることだってある。
それは非常事態が起こる可能性があるからだけじゃなくて。
自分に向けてもらえる想いが「絶対」や「永続性」のあるものではないから。
相手がいつまでも変わることなく、そこにいてくれてるのは当たり前ではないから。
生きてること自体が当たり前なんかではないから。
当たり前のように感じてることは、実は特別なもの。
その特別がたくさんあるってことは幸せなこと。
自分の人生レベルで被ってる荒波なんてものは、本人にとっては大変なことだと感じてるけれど、大きな流れの中では誤差範囲くらいのもので。
心が動くこと自体が幸せなことなのかもしれない。
…生きてること自体が「当たり前」ではないんだから。
そう思うと、とてつもなく竜樹さんに逢いたいと思った。
「連絡がないのは、しんどいから」という暗黙の了解が、そうでなくなることだってあるのだから。
別に逢いに行くのに大層な距離じゃない。
会社帰りに行くのは、ちょっと身体がしんどいだけ。
竜樹さんに逢える方がよっぽど安心。
竜樹さんに触れたらとても安心。
生きてるうちに「特別」を少しでもありがたいものとして受け止めておきたいんだ。
そう思ったけれど。
残業食らって、逢いに行くことは叶わなかった。
当たり前のものじゃないから、無理にでもいろんなことをすればいいというものでもないんだと思うけど。
できることは、なるべくその場でできるようにしたいって思う。
取り返す明日は当たり前のようにやってくるものではないんだから。
そして。
私を取り巻くすべての「特別」をいつもありがたいと思える幸せが、少しでも長く続けばいいなって思う。
少しでも「幸せ」だと感じられることに感謝して、今日も明日も生き延びよう。
何はなくとも、今の私にはそれが大切なんだと思うから…
竜樹さんはこれから仕事に行くという。
「この仕事から戻ったら、ずっと一緒にいようなぁ。もう離れて暮らさんでもええようにするからなぁ」
そう笑って出かけていく竜樹さん。
それを笑顔で送り出す私。
…でも、竜樹さんはそれっきり戻ってくることはなかった
「…え?」
夢だった。
悪趣味なる夢だった。
「…寝覚め悪すぎぃ(-"-;)」
夢に戻る気はなかったけれど、布団の暖かさから抜け出す気になれない。
竜樹さんとくっついてる時と非常に似通った温度だから。
あんな夢のあとに幸せなる温度に包まれたら、抜け出そうなんて思わない。
でも、朝だ。
また「現実」は始まる。
「しゃあない。起きるかぁ」
名残惜しい気持ち一つに蓋をして、布団から抜け出す。
着替えてリビングに降りると、ついてるテレビからは、アメリカ同時テロの続報ばかり。
「…あれは、やっぱり『現実』やってんやぁ」
朝からすんごい重たい気持ちで家を飛び出す。
夢見が悪かったせいもあるけれど、あれだけの凄惨な出来事は現実に起こってしまったのだと思うと、すっきりしない。
空が晴れ渡れば晴れ渡るほど、人間の業の深さを思い知るようで気分が沈む。
大好きな友達に朝メール一つ送って、会社に向かう。
「機嫌を損ねるもの」はここにもたくさん落ちていた。
朝、会社でいろんな人と挨拶を交わすけれど、今日はアメリカ同時テロの話題の多いこと多いこと。
「戦争になったりしたら、日本も巻き添え食らいますよね?やだなぁ…」
そう返したとき、耳に飛び込んだ言葉。
「あらぁ、金岡さんの彼は病気だから、兵隊さんには取られないでしょ?まだいいじゃない」
…何言ってんだ、こいつヽ(`⌒´)ノ
そう思ったけれど、
「あ、そっかぁ。この状態ってそんな情勢に縺れ込んだらラッキーなんですよね?」
適当な笑顔を作ってそう答えておいた。
…「左」が表に出てたら、ひっぱたかれてるぞ?あんた?
私と竜樹さんの置かれてる状況の端っこの方をちょろっと知る、数少ない会社の人に言われた言葉で機嫌はかんなり悪くなる。
事務所に上がって、グレープフルーツジュースを一口。
落ち込む気分は少し浮上。
けれど、また機嫌が悪くなるものが、ごろり。
今度は、先輩。
人の顔を見るなり、「なぁなぁなぁなぁ。昨日のテロ、すごかったよなぁ?やっぱり現実は映画なんかよりもよっぽどおもろいなぁ?」と喜々として喚いてる。
…こんなネタではしゃぐなよ?
そう思ったけれど、適当に受け答えしてるとどんどん図に乗ってくる先輩。
「日本にもどっかの飛行機が突っ込まへんかなぁ?仕事にならん位、おもろいやん?」
…ヽ(`⌒´)ノ
「ごめん。そのネタ、おもろないわ」
そう答えて、事務所に戻る。
…人が死ぬことを笑いものにするなんて、最低やヽ(`⌒´)ノ
グレープフルーツジュースをマグカップになみなみと注いで、一気飲みに近い状態で飲んだ。
気分は少しマシになったけれど、やっぱりすっきりしない。
昼休み、脱兎のごとく事務所を後にして、「産業道路沿いチャリ爆走の旅」を繰り広げた。
身体を動かすと、少しすっきりした。
…ふと思う。
私を取り巻くどれ一つとして、「当たり前」のものなんてないのかもしれない。
毎週末、竜樹さんちに行って料理を作ったり、暖かな時間を過ごすこと。
竜樹さんの暖かな笑顔や気持ちを受け取れること。
友達と毎朝メールを交わすこと。
日記帳やいろんな場所で友達と心で話すこと。
「大好き」と言ってくれる大切な人たちがいてくれてるということ。
「大好き」と思う大切な人たちがいてくれてるということ。
大切だと感じてる人たち皆が、毎日普通に暮らしていること。
そして。
私が生きているということ。
何気なく口にする。「またね」。
そんな言葉が明日覆ることだってある。
それは非常事態が起こる可能性があるからだけじゃなくて。
自分に向けてもらえる想いが「絶対」や「永続性」のあるものではないから。
相手がいつまでも変わることなく、そこにいてくれてるのは当たり前ではないから。
生きてること自体が当たり前なんかではないから。
当たり前のように感じてることは、実は特別なもの。
その特別がたくさんあるってことは幸せなこと。
自分の人生レベルで被ってる荒波なんてものは、本人にとっては大変なことだと感じてるけれど、大きな流れの中では誤差範囲くらいのもので。
心が動くこと自体が幸せなことなのかもしれない。
…生きてること自体が「当たり前」ではないんだから。
そう思うと、とてつもなく竜樹さんに逢いたいと思った。
「連絡がないのは、しんどいから」という暗黙の了解が、そうでなくなることだってあるのだから。
別に逢いに行くのに大層な距離じゃない。
会社帰りに行くのは、ちょっと身体がしんどいだけ。
竜樹さんに逢える方がよっぽど安心。
竜樹さんに触れたらとても安心。
生きてるうちに「特別」を少しでもありがたいものとして受け止めておきたいんだ。
そう思ったけれど。
残業食らって、逢いに行くことは叶わなかった。
当たり前のものじゃないから、無理にでもいろんなことをすればいいというものでもないんだと思うけど。
できることは、なるべくその場でできるようにしたいって思う。
取り返す明日は当たり前のようにやってくるものではないんだから。
そして。
私を取り巻くすべての「特別」をいつもありがたいと思える幸せが、少しでも長く続けばいいなって思う。
少しでも「幸せ」だと感じられることに感謝して、今日も明日も生き延びよう。
何はなくとも、今の私にはそれが大切なんだと思うから…
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