青空が帰ってきた

2001年8月22日
強い風は昨日の夜遅くまで吹いていたけれど。
朝起きて窓を開けると、窓の外は一面光る雲の海。
雲間から見える青空と光が差し込んできてる様を見てると、これから晴れてくれるんだろうなって予感はする。

…こんな風に私の心にも晴れ間が来ますように

心にそっと願いをかけて、家を飛び出した。


相変わらず、電車に乗ってても眠くて仕方がないけれど。
何となく、心は少しだけ軽くなってる気がする。
月曜・火曜と竜樹さんとは話せていないけれど。
週末になったら逢えるんだし、竜樹さんの背中が痛んで動けないなら、私が竜樹さんちに行けば済むこと。
心の中に、少しだけ雲の切れ間が見つかった気がした。


会社でもねむねむなのは相変わらずだけど、何だか妙にいらいらしない。
それは単に金曜日に会社休んで遊びに行くからからかもしれないけれど…

今日は何故か、会社の人々も終始ご機嫌さんだった気がする。
一人一人の電話の内容や上司との会話を聞いてると、それぞれにクレームだのトラブルだの抱えてはいるんだけど。
いらいらすると受話器を投げたり、どんどんバンバン音をたてながら仕事をする人たちが、無駄に大きな音を立てないでいてくれてる。
それが機嫌よさを加速させていく。


階段を使って階下に降りるとき。
いつも踊り場でとぐろを巻いてるような蒸し暑さがなくて、とても居心地がいいのに気がつく。

…もしかしたら、今日は竜樹さんの体調もマシなのかな?

理由もなく、そう思った。

竜樹さんの背中の痛みは、雨の降る前と湿気が多いときに酷くなるみたいだけど、台風が去ってそのいずれもがなくなってるんだから、きっと調子がいいだろうって気がしたんだ。

…でも、竜樹さんのことだから、きっとあれこれ仕事を増やして、ぶっ倒れてそうな気がする(-_-;)

一生懸命仕事をして、ばったりと布団の上で横たわってる竜樹さんが想像できて、笑っていいのやら悪いのやら(^^ゞ

頭をひとつ振って、仕事に戻る。


事務所では相変わらずボスが絶口調で(笑)、そのお天気さ加減が妙に和やかな雰囲気を醸し出してる。
中でも、皆が妙に盛り上がった話題があったんだ。

…それは「給料日前のご飯」の話。

「給料日前の夕飯のおかずの寂しいこと寂しいこと〜(T_T)」とお嘆きのボスに、
「そうなんですよぉ〜。うちは昨日、秋刀魚と豆腐とご飯でしたよ〜」と笑って語る課長。
「なにぃ?秋刀魚なんて今からが旬の食べ物やないか?給料日前にリッチやないかぁ( ^ー^) にやっ!」と返すボスに、
「…いやぁ、1匹100円の秋刀魚ですよぉ(^^ゞ)」と課長。

「でも1匹まるまま出てくるんやろ?」と問い掛けるボスに、
「そりゃそうですよぉ」と課長。

それを聞いてた私は、首を捻った。


…え?秋刀魚って1匹まるまま出てくるのが当たり前じゃないのん?


「何や?どうした?金ちゃん?」そう聞くボスに、躊躇うことなく言ってしまった。

「秋刀魚って1匹まるまま食べる以外にどうやって食べるんですか?」


…ボスと社長が同時に笑った

「金ちゃんはええとこの子やなぁ。わしらんとこは1匹を2人で食べるんや( ^ー^) にやっ!」

「…ですから、どんな風に食卓に出てくるんですか?」と聞き返した私にボスは一言。


「1匹を頭と尻尾の間で切って、二人で分けるんや」

…\(◎o◎)/!

びっくり目の私を尻目に、社長も「そうそう、俺んとこもそうやった」と笑顔で答える。

…知らないって怖い(-_-;)

そう思ったけれど。
食事の話題一つで、皆が笑顔でそこにいる。

…勤務中にこんな話してる会社って、ダメダメちゃん?

そうも思ったけれど。
珍しく、会社の中にいてる時に機嫌がよくなったんだからよしとしよう?
そう思い直したんだ。


そんな風に何気に出てきた食事の話で、ふと思いを馳せるのは。

…今週末、竜樹さんに何を食べさせよう?


竜樹さん見てると、野菜と魚介類が不足してる気がして。
実家の隣に住んでるんだから、お母さんが足りないものは補ってくれそうだけど。
私は私でできることはしたいって思う。
唯一(?)、竜樹さんが「これは霄の方が上手」って認めてくれる分野は料理だけなんだから(爆)
できることはちゃんとしたいって思うんだ。

…さりとて、竜樹さんちのちっさなコンロ一つで魚を焼いたら、料理してる私も傍で見てる竜樹さんも燻製になる(>_<)
フライにしてもいいけど、カロリーが気になるし(笑)

「…何にしたらええねやろぉ?」

会社を出て、電気屋に向かってる間も。
電気屋で用事を済ませて、家路を急ぐ間も。
ずっと竜樹さんに食べてもらうご飯のことを考えていた。

なかなかレシピが思いつかずに、部屋で転げ回ってると遠くでどーんという音がする。
窓を開けると、花火が上がってる。
年に1度、市内であるお祭りの花火だ。

…この花火は竜樹さんのところからも見えるのかな?

そう思って電話をしたけれど、竜樹さんは出てくれない。

…やっぱり、しんどいのかなぁ?

心配にはなったけれど。
きっと、週末になったらまた連絡も取れるだろうし、逢う時間も割いてくれるだろう。
竜樹さんちで逢った時に、竜樹さんから笑顔が飛び出すようなご飯が作れたらいいな。

…ご飯よりも前に、今シーズンラストの花火を見に行くことを考えるだろうけどね、竜樹さんのことだから(^^ゞ


そうやって竜樹さんの行動が予測できたり、竜樹さんの姿が手にとるように判ったりする様がおかしくて。
一人で笑ってしまった。


どうやら、昨日横殴りの雨を連れてきた台風は、私の心の中のすっきりしない物事の多くを吹き飛ばしていったみたいで。
心の中には青空が見え始めてる気がする。
心の中に戻ってきた青空は私の笑顔の素になり、やがて私の笑顔が竜樹さんの笑顔の素になって、竜樹さんに笑顔が増える。
竜樹さんの笑顔で私の笑顔が増えて、やがて笑顔のキャッチボールが始まる。

それが長く続くことで、愛しい時間が増えていくのだと何となく思った。

強い風に吹かれ、強い雨に洗い流された心は、まだ澄み切ってるってところまではいかないにしても。
徐々に青空が戻ってきてる感じがする。


やがて晴れ渡った青空のような心から、竜樹さんに笑顔一つ送り出せたらいいな。
そうして、二人で笑顔の贈りあいっこができたらいいな。


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