夏の熱病

2001年8月5日
今日は平日よりも早く目が覚めた。
部屋が暑くなっていたのもあったけれど、身体が久しぶりにきちんと充電された感じ。

窓を開けると、外は快晴。
ついでに気温も高い(>_<)
でも外のプールに行くのなら、ちょうどいいかもしれない。

…買った水着が報われますように(-人-)


11時になって、竜樹さんに電話を入れる。
出てきた竜樹さんはねむねむ声だった。

「今日はどうしましょう?」
「…霄が出て来れる時間にこっち来てくれたらええよぉ…」

消え入りそうなねむねむ声を聞いてると、長話するのも申し訳ない気がして、すぐに電話を切って、出かける用意をする。


今日は(予定では)プールに行く。
竜樹さんのねむねむ声はただのねむねむから来てるのか、やっぱり体調が不安定なのか。
少しの心配はあったけれど、鞄に水着を詰め込んでリビングに降りた。
出かけてくると言おうと思ったら、昼食が出てきたので思わず食べてしまった(笑)
こないだの「午前様騒動」があったから、あまり大きな顔して「出かけてくる」といえないでいるのは、小心者のなせる業か(笑)
後片付けをしてから、家を飛び出す。


…暑い。
けれど、行き着く先に竜樹さんが待っているならそれだけで十分だった。
本当にそれだけで十分だった。

途中、いつも大盛況でなかなか買えないシュークリーム屋さんが空いていたので、竜樹さんと金岡家のお土産にと2箱買い込み、竜樹さんちを目指す。
電車に乗り、バスに乗り、よろよろと竜樹さんの家に入ると…


…そこには竜樹さんのお母さんもいらっしゃった(゜o゜)


竜樹さんのお母さんにお会いするのは本当に久しぶりだったので、とても喜んでくださって。
思わず二人して玄関先で話しこんでしまったら、竜樹さんが「はよ、あがっといで」と声をかけてくれた。

竜樹さんは昼食を作ってる最中だった。
フライパンで卵焼きを作っているんだけど、横からお母さんがちゃちゃを入れるので集中してできないらしい。
だんだんイライラが入ってくる竜樹さん。
「私、やりますよー」と声をかけて、コンロの前に立つ私。
竜樹さんがやりかけてたものが中途半端な形だったので悪戦苦闘したけれど、何とか形にして食べやすい大きさに切ってお皿に乗せて食卓へ。

竜樹さんが喜んで食べてくれる姿を見て、満足した。


昼食が一段楽するまで、私とお母さんは2階の部屋で涼むことに。
その時、初めて知ったのだ。

…竜樹さんは昨日から熱を出して寝込んでいたって


「…それじゃあ、プールなんて無理やんか!?」って気持ちよりも、「何で昨日、教えてくれなかったん?」って気持ちの方が強くて言葉が出ない。
買った水着が報われるかどうかよりも、肝心なことを話してもらえなかったことの方がショックだった。
幸い、お母さんの話はあちらこちらに飛んでいくので、それにあわせているうちにへこまずに済んだんだけど…
その話の輪に竜樹さんも加わり、暫く話していた。
やがてお母さんは自宅の用事を済ませるために帰ってしまったけれど…


「出かけなアカンねんけどなぁ…、出かけたいねんけどなぁ…」
そう言いながら起きれずにいる竜樹さんは、いつものように私に触れ始める。

「…何で、熱が出てること話してくれなかったんですか?」食って掛かる私。
「熱が出てきた時は、しんどくて電話できへんかったし……」

続きが出ないということは、誤魔化されモードに入ってきてるってことなのか…ヽ(`⌒´)ノ
じたばた暴れてみるけれど、竜樹さんには敵わなくて…
当たり前のようにそれは始まる。


竜樹さんとのやりとりがいつもとまた違うようなのは気のせいなのか。
私の応え方が違うのもまた気のせいなのか。
どこかいつもと違う竜樹さんに戸惑い半分、いつもと違う私に戸惑い半分。
戸惑う私を置き去りにしていくように、崩落と安堵はとめどなくやってくる。

だんだん思考回路が落ちてきて、長い長い波に身を任せてしまった。


抱きしめてくれる竜樹さんの中で、薄れ行く意識の中で。
頭の中をよぎった言葉。

…ジャングル・フィーバー

それって確か、スパイク・リーの映画のタイトルだったよね?
あれってどんな結末だったっけ?
救いのないエンディングだったっけ?


…私と竜樹さんの想いもまた「ただの熱病」?…


ぎくりとして身体を動かすと、「どしたん?」と竜樹さん。
「…何でもないですぅ」抱き締める私。
不安定な思考から出た薄ら寒い疑問に蓋をしたくて、竜樹さんを抱き締めた。
そうしてまたやりとりを繰り返す。

しばらく互いが互いを抱き締めあう時間は続いた。


そうしてるうちに、竜樹さんの実家から電話が入り、夕飯を差し入れしてもらうことになった。
せっかく久しぶりにお母さんとも顔をあわせたのだから、4人で食事に出てもよかったのになと思いながら。
竜樹さんの体調が不安定なのに、無理もさせられないかと竜樹さんのご両親の好意に甘えてしまった。


二人で楽しく夕飯を食べ、またじゃれあいっこして、お風呂に入る。
熱いお湯は迷いの思考すら汗に変えてしまったようで。
あがってきた時にはすっきりしていた。
竜樹さんは飼っている魚の面倒を見ながら、私に冷たいお茶をくれた。
そうして涼みながら時間を過ごす。
自分の事をしながらも、どこか私のことを機にかけてくれる様子を見てると、どことなく大事にされてるのかな?って気にはなるけれど。
私のことはいいから、もちっと自分のことも厭ってくださいと思う。

…竜樹さんに気を遣わせたくないなら、自分でちゃっちゃと動けばいいのに

また、思考は後ろ暗い方に走っていくけれど、竜樹さんの笑顔がそれを上手く引き上げてくれた。


…ありがとうね。竜樹さん(*^_^*)


2階に上がり、帰る用意をする。
本当はこのまま帰りたくない気もするけれど、明日からまた1週間出勤しないといけないし。
次の週末からお盆休みに入るから、今週はちゃんと働かないと。


竜樹さんの熱はいつの間にか下がっていたようで、送ってもらえることになった。
本当は寝ていてもらった方が安心できるのだけど、明日病院に行くから大丈夫っていう竜樹さんの言葉を信じることにした。

…また数十分、竜樹さんと一緒にいられる(*^_^*)

それだけでとても気持ちが安らいだ気がした。


たとえ、私たちが共にいることがただの「熱病」であったとしても。
熱病の底にある気持ちはただの流行り病ではないと信じていたい。
竜樹さんがそう思ってくれてるのかどうかは私には判らないけれど。
互いが互いを求める気持ちが熱病なんかじゃないと思っていたい。
誰に判られなくても、二人がそう思えるのならそれが真実なのだと。
いつか傍からも判るような形にできたなら、


…この想いが夏の熱病でないと証明できるのかもしれない。


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