巣立ちの日

2001年7月2日
今日はマミちゃんのサヨナラ公演の千秋楽。

…外は白っぽい曇り空。湿度は高い。
蒸し暑い一日になりそうだ。


昨日と同様、Afternoon Tearoomに行き、季節限定のパスタランチを取り、劇場に向かう。

花の道には、千秋楽のチケットを売って欲しがる人が待ち構えている。
劇場の敷地内に入ると、こんな時間からもうお別れのパレードのための場所取をするべく座り込んでる人たちがいる(゜o゜)

…マミちゃんが出てくるまで、あと5時間以上もあるのに

チケットが取れなかった人にとっては、最後のパレードがマミちゃんと会える最後のチャンス。
これを逃したら二度と逢えないんだから、頑張っちゃうよね?

…多分、チケット取れてなかったら私もやったよなぁ。

そう思いながら、劇場内に入っていく。


今日でマミちゃんとはお別れ。
多分、私もこの先宝塚歌劇を観に来ることはないと思う。
次に月組トップになるリカちゃん(紫吹淳)の舞台も一度くらいは見てみたい気はするけれど、今まで私が宝塚観劇を辞めずにいたのはマミちゃんがいたからだから。
もうこれでやめてしまってもいいような気はしてるんだ。

私が宝塚を観るようになってから、何人ものトップが辞めていったし、そのうちの何人かはこんなふうに初日と千秋楽共に押さえてもらって見届けたけれど。
一人辞める度に「○○ちゃんとマミちゃんがいるから、まだ観に来れる」って言ってた。
やがて「マミちゃんがいるから、まだやめないもん」になり、とうとうそのマミちゃん自身が去ることになってしまった。
しかも、彼女は二度と舞台には立たないと言ってる。
宝塚を観るのをやめるにはいい機会なのかもしれない。

…いろいろ思うことはあるけれど、今日だけはマミちゃんに気持ちのすべてを割こう

馬鹿げてるとは思ったけれど、そう思ったんだ。


劇場に入り、自分の座席に着いてみると、背もたれに袋入りのサイリウムが貼り付けてある。


「サヨナラショーの後半に『LUNA』の『アナザーライフ』の歌の時、大階段にのぼり始めます。その際にペンライトを振ろうと思っています。
『愛のソナタ』終演後の35分休憩の間に、ペンライトを折って下さい。すぐに発光を始めますので、振る時まで光がもれないようにバック等に入れておいて下さい。
皆様のご協力をよろしくお願い致します。
                             TSUBASA CLUB」


マミちゃんのファンクラブの人たちが自前で全席にペンライトを置いていたんだ。
今まで、男役トップの人のサヨナラショーには何度も立ち会ってきたけれど、こんなことは初めてだったから、相棒と二人でびっくりしてたんだ。
そんなささやかなことに感動(?)してるうちに幕は上がる。


前半のお芝居「愛のソナタ」は、本当にアドリブ合戦。
女装したマミちゃん(マリアンデルという名の小間使い)とリカちゃん(オックス男爵)とのやりとりの中で、なんとマウストゥマウスのキスが飛ぶ(゜o゜)
これは二人とも予期してなくて、たまたま勢いでぶつかったみたいになったんだけど。
リカちゃん、頭が真っ白になったみたいで台詞がちょっとの間出ない。
ようやっとリカちゃんから台詞が飛び出しはしたけれど、お客はいつまでも笑い続けてるし、舞台の進行がちょっと固まりモード入った状態になってしまって。
お客はただ笑ってるだけだからいいけれど、演じてる側は大変。
特に食われてしまった次期トップのリカちゃんにはちょっと気の毒だったかも(-_-;)
それでも、さすがは舞台人の集団。
みんな上手に流していく。
それでも、やっぱりおかしな台詞や仕草が混ざるから、見てる側はずっと笑い続けてるんだけどね。

周りの人たちはこの芝居の段階で、すでに鼻をグズグズいわしてたけど、私自身はあまりに面白い舞台の進行に気を取られていたために、「あぁ、これでマミちゃんの舞台は最後なんだ」っていう寂寥感に駆られることのないまま、舞台を見てはげらげら笑っていた。


お芝居が終わって、35分休憩に入る。
笑い死にしそうになってる私と相棒。
「…どうせなら、今日の公演すべてビデオ化してくれたらいいのになぁ。そしたら絶対買うよなぁ?」
どちらからともなく、そんな声があがった。
いつも会社を休むと気になって、休憩の時間中に会社に電話を入れるのだけど、珍しく会社のことを忘れていた。
席を立っていた相棒が戻ってきてから、二人してサイリウムを折って鞄にしまい、また取り留めない話をする。

…そうしてるうちに、ショーの始まりを告げるブザーが鳴り、マミちゃんのアナウンスが入る。

「このアナウンスも今日が最後か」

ちょっと心が痛む気はしたけれど、とりあえず楽しむことだけ考えた。
ショーはお芝居と違ってアドリブは少ないけれど、替え歌っぽい要素が入ったり、何回か観てると微妙に違いが判るような部分があったりして、楽しめた。
マミちゃん曰く「宝塚史上、舞台から客席に向かって声を上げさせるなんていうのは前例がないこと」を彼女自身がやってみたり、また客席もそれに応えたりとやっぱり泣いてる暇がないような作り方。
それでもやっぱり周囲から鼻をグズグズいわせてるのが聞こえてくる。
しかも、その人数は着実に増えている。
涙も出てこず、乗りまくってる私はなんだかいけないファンのような気がしたんだけど。
フィナーレを向かえ、大階段からマミちゃんが降りてきてもやっぱり涙は出てこなくて、
幕が下りるまでのってしまった(-_-;)

幕が下りると、組長さんの挨拶があって、その間にサヨナラショーの準備は進んでいく。
組長さんの挨拶中も鼻をすする人の数は増える一方。
それでもまだ涙も出ない金岡。

…本当に私、マミちゃんのこと好きなんだろうか?

理由もなく(笑)不安になってきた。

そうこうしてるうちに、サヨナラショーが始まる。
昨日も拝めたから、ショーの構成は重々わかってるはずなのに。
マミちゃんのお披露目公演の「EL DRADO」の主題歌が流れてくると、鳥肌が立つような感じがする。
もうそれからはずっと鼻グズグズを背中にしょって、マミちゃんを食い入るように見ていた。
それでも、まだ涙は出てこない。

…観劇を引っ張り続けた人が去るときですら泣けなくなってるん?

自分にもう一度問い返したけれど、涙は出てこなかった。
そうしてるうちに、「うたかたの恋」のデュエットシーンも終わり、やがてサヨナラショーも終わりに差し掛かってきた。
そして、サヨナラショーのフィナーレを向かえ、幕が下りる。
拍手の嵐に推されるように、幕が何度も上がりマミちゃんが姿を現す。

…つっと涙が頬を伝った

自分でもびっくりしてしまったんだ。

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字数が一杯になってしまったから、3日に続きます。
「竜樹さん日記」の方がマシだと思ってる方がいらっしゃったら、ごめんなさいm(__)m



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