不協和音から始まったけれど…
2001年5月20日相変わらず眠れなくて、夜が明ける頃眠りについた。
おまけに眠りが浅いのか、寝たり起きたりを繰り返す。ようやく意識がはっきりしてきた頃、竜樹さんに電話をした。
電話をしたら、もう既に竜樹さんは出かけていて用事を片付け始めてると言う。
今日は竜樹さんの車を洗うことになっていて、彼が今洗車場の近くで別の作業をしてるからその場を離れられない。
ということは、私が自力でそこまで行かないといけないということなんだけど。
その場所は運転できなければとてもじゃないけど行けない所で。
バスを2本か3本乗り継いだら行けそうな気はしたけれど、お試しでやってみるにしてもどれくらい時間がかかるか見当もつかない。
とりあえず、「どれくらい時間がかかるか判らないけど、自力でそこまで行きます」とだけ答えて電話を切る。
…さて、どうしたものだか
リビングで地図を広げて、あぁでもないこうでもないとブツブツ言ってると、母が「送ってあげようか?」と言ってくれた。
丁度、竜樹さんのいるところの近くに買い物に行く用もあったからと。
「申し訳ないな」と思いつつ、母の手を借りることにした。
結局のところ、何かあると家族の手を借りないといけない自分が情けなくてならないんだけど。
今日のところは、ありがたく手を借りることにしよう。
そう自分に言い聞かせた(大袈裟?)
母の買い物に付き合い、洗車場から竜樹さんに電話して、彼のいる場所に行く。
竜樹さんは相変わらずしんどそうな感じだったんだけれど、用事は片付けられたよう。
ただ荷物の整理が出来てなくて、私が乗るスペースがない。
どうしようかなと思ってると、いきなり「お前、乗る場所ないで」って言われた。
いつもなら、「一緒に整理するよ」くらいのことはぽんと言えるんだけど。
朝からもひとつ調子が悪い上に、母の手を借りてまで自力で来たのにいきなりそんな言い方する?って思わなかったわけでもなかったから。
「いいよ。洗車場まで私歩いていくから」
そう言って、すたすたと洗車場に歩いていった。
待てど暮らせど竜樹さんは来なくて。
「車の中を一緒に整理したほうがいいのかな?」
そう思わなかったわけでもなかったけど、半ばどうでもいいような気持ちのほうが強くなってきて、そのまま放っておいてしまった。
それから、15分くらいして竜樹さんの車が洗車場に来た。
だけど、竜樹さんは私にそのまま車に乗るように言う。
「…車、洗いに来たんじゃなかったんですか?」
「もうしんどいから、ええわ」
「私一人で洗って、その間竜樹さん休んでたらいいじゃないですか?」
「お前が一人で洗うってか?」
「そのつもりですけど?」
「…ええわ、もう」
いくつかの言葉を交わしたけれど、結局車洗いは延期になってしまった。
…そんなんやったら、別に私、(自力で)来なくてもよかったのに
尖った沈黙の時間が走る。
竜樹さんの家の方に車が向かってると判ったから、「あ、これで今日はお開きかな?」と思ったんだけど、竜樹さんは一向に口を開こうとしない。
「…どうするつもりなんだろう?竜樹さん。しんどいなら、無理しなくてもいいのに」
…ここで「もう帰ろうか?」って言った方がいいのだろうか?
なんともかわいくないことを考えたりしたけれど。
黙ってる私をよそに竜樹さんは路肩に車を止めて、シートを倒して横になった。
…あ、やっぱりひどく痛むんだ
「やっぱり今日はお開きにしましょうか?」と言いかけた途端、
「風呂に入って、横になりたいやけどええかなぁ?」
これまで、殆ど口を開かなかった竜樹さんがそう言った。
「…うん」
そう答えるしかなかった(^^ゞ
暫く車の中で休んだ竜樹さんは、再び車を走らせる。
「ご飯食べたの?」
「ううん。食べてないよ…」
「じゃあ、何か買って入る?」
ぽつぽつと言葉を交わしながら、「お風呂付部屋」を目指す。
途中、コンビニで食料を調達。
「部屋」に入った。
バスダブにお湯を張って戻ると、竜樹さんはベッドの上でぐでっと倒れていた。
近くに寄っていいかどうか判らなくて、少し離れた椅子に座ってついてたテレビを見る。
竜樹さん、何故か(?)競馬中継を見てる。
「今日、オークスだったっけ?」
「知らんけど。俺、本当はボクシング観るつもりやってん…」
横になりながら、そう答える竜樹さん。
暫くすると、竜樹さんはふらっと立ち上がり、「風呂行って来るわ」と言い残して、
行ってしまった。
珍しく何をやるにも迷いが付き纏ってるような状態の私は生返事ひとつして、競馬中継を眺めている。
「…これでは、アカンだろう」
暫くしてバスルームに赴き、「背中流さなくていいですか?」って聞いてみた。
「…いつになったら来るかと思ってた」
…スミマセン(>_<)
部屋に戻ってきちんと用意して、バスルームに行く。
背中を流すと、竜樹さんは相変わらず気持ちよさそうで。
その表情を見ると、ひどくほっとするんだ。
会ってからここまでかなりぶっきらぼうだったから、一生懸命お詫びがてら頑張ってみた。
バスルームでも上がってからもさんざんじゃれあった。
ところが、ひとしきりじゃれあうと疲れてしまったのか、眠気がどっと襲ってきた。
竜樹さんが横からちょっかい出してきてるのは判ってて、きちんと応えたいとは思ってるんだけど、どんどん眠りの森に足を引っ張られていく。
気が付くと、竜樹さんに背中を向けて眠ってる私を竜樹さんは後ろから抱きしめながら、眠ってた。
…多分私が眠っちゃってからも、ちょっかい出しつづけてたんだろうなぁ
そう思うと何だか申し訳ないような。
でもどことなく愛しいような。
竜樹さんの方に身体の向きを直そうとすると、竜樹さんは目を覚ましてしまった。
「何か暑いなあ…」
エアコンを入れて、またじゃれあう。
ひとしきりじゃれあって、ご飯を食べてまたじゃれあう。
最後の最後でやっと「不協和音」は修正されたみたい。
二人のささやかなる(今回の場合は竜樹さんが頑張った?)努力で、尖ってた空気はまた暖かなものに戻ったんだ。
それがたまらなく嬉しかったんだ。
暖かな気持ちひとつ抱きしめて、部屋を後にした。
竜樹さんも明日から学校だから無理させたくなくて、竜樹さんちの最寄の駅で降ろしてもらって、別れた。
きっと竜樹さんの提案がなければ、後味悪い別れになっただろうけれど。
私の家まで一緒にいられなくても、竜樹さんの顔に笑顔が戻ってるならそれで十分。
車洗いの手伝いって役目を果たすことは出来なかったけれど、二人が笑顔で一日を終えられたなら、逢えた意味は十分あったんだって思える。
…次は体調を万全にして、会いに行くからね
竜樹さんの車を見送りながら、そう心の中で呟いた。
おまけに眠りが浅いのか、寝たり起きたりを繰り返す。ようやく意識がはっきりしてきた頃、竜樹さんに電話をした。
電話をしたら、もう既に竜樹さんは出かけていて用事を片付け始めてると言う。
今日は竜樹さんの車を洗うことになっていて、彼が今洗車場の近くで別の作業をしてるからその場を離れられない。
ということは、私が自力でそこまで行かないといけないということなんだけど。
その場所は運転できなければとてもじゃないけど行けない所で。
バスを2本か3本乗り継いだら行けそうな気はしたけれど、お試しでやってみるにしてもどれくらい時間がかかるか見当もつかない。
とりあえず、「どれくらい時間がかかるか判らないけど、自力でそこまで行きます」とだけ答えて電話を切る。
…さて、どうしたものだか
リビングで地図を広げて、あぁでもないこうでもないとブツブツ言ってると、母が「送ってあげようか?」と言ってくれた。
丁度、竜樹さんのいるところの近くに買い物に行く用もあったからと。
「申し訳ないな」と思いつつ、母の手を借りることにした。
結局のところ、何かあると家族の手を借りないといけない自分が情けなくてならないんだけど。
今日のところは、ありがたく手を借りることにしよう。
そう自分に言い聞かせた(大袈裟?)
母の買い物に付き合い、洗車場から竜樹さんに電話して、彼のいる場所に行く。
竜樹さんは相変わらずしんどそうな感じだったんだけれど、用事は片付けられたよう。
ただ荷物の整理が出来てなくて、私が乗るスペースがない。
どうしようかなと思ってると、いきなり「お前、乗る場所ないで」って言われた。
いつもなら、「一緒に整理するよ」くらいのことはぽんと言えるんだけど。
朝からもひとつ調子が悪い上に、母の手を借りてまで自力で来たのにいきなりそんな言い方する?って思わなかったわけでもなかったから。
「いいよ。洗車場まで私歩いていくから」
そう言って、すたすたと洗車場に歩いていった。
待てど暮らせど竜樹さんは来なくて。
「車の中を一緒に整理したほうがいいのかな?」
そう思わなかったわけでもなかったけど、半ばどうでもいいような気持ちのほうが強くなってきて、そのまま放っておいてしまった。
それから、15分くらいして竜樹さんの車が洗車場に来た。
だけど、竜樹さんは私にそのまま車に乗るように言う。
「…車、洗いに来たんじゃなかったんですか?」
「もうしんどいから、ええわ」
「私一人で洗って、その間竜樹さん休んでたらいいじゃないですか?」
「お前が一人で洗うってか?」
「そのつもりですけど?」
「…ええわ、もう」
いくつかの言葉を交わしたけれど、結局車洗いは延期になってしまった。
…そんなんやったら、別に私、(自力で)来なくてもよかったのに
尖った沈黙の時間が走る。
竜樹さんの家の方に車が向かってると判ったから、「あ、これで今日はお開きかな?」と思ったんだけど、竜樹さんは一向に口を開こうとしない。
「…どうするつもりなんだろう?竜樹さん。しんどいなら、無理しなくてもいいのに」
…ここで「もう帰ろうか?」って言った方がいいのだろうか?
なんともかわいくないことを考えたりしたけれど。
黙ってる私をよそに竜樹さんは路肩に車を止めて、シートを倒して横になった。
…あ、やっぱりひどく痛むんだ
「やっぱり今日はお開きにしましょうか?」と言いかけた途端、
「風呂に入って、横になりたいやけどええかなぁ?」
これまで、殆ど口を開かなかった竜樹さんがそう言った。
「…うん」
そう答えるしかなかった(^^ゞ
暫く車の中で休んだ竜樹さんは、再び車を走らせる。
「ご飯食べたの?」
「ううん。食べてないよ…」
「じゃあ、何か買って入る?」
ぽつぽつと言葉を交わしながら、「お風呂付部屋」を目指す。
途中、コンビニで食料を調達。
「部屋」に入った。
バスダブにお湯を張って戻ると、竜樹さんはベッドの上でぐでっと倒れていた。
近くに寄っていいかどうか判らなくて、少し離れた椅子に座ってついてたテレビを見る。
竜樹さん、何故か(?)競馬中継を見てる。
「今日、オークスだったっけ?」
「知らんけど。俺、本当はボクシング観るつもりやってん…」
横になりながら、そう答える竜樹さん。
暫くすると、竜樹さんはふらっと立ち上がり、「風呂行って来るわ」と言い残して、
行ってしまった。
珍しく何をやるにも迷いが付き纏ってるような状態の私は生返事ひとつして、競馬中継を眺めている。
「…これでは、アカンだろう」
暫くしてバスルームに赴き、「背中流さなくていいですか?」って聞いてみた。
「…いつになったら来るかと思ってた」
…スミマセン(>_<)
部屋に戻ってきちんと用意して、バスルームに行く。
背中を流すと、竜樹さんは相変わらず気持ちよさそうで。
その表情を見ると、ひどくほっとするんだ。
会ってからここまでかなりぶっきらぼうだったから、一生懸命お詫びがてら頑張ってみた。
バスルームでも上がってからもさんざんじゃれあった。
ところが、ひとしきりじゃれあうと疲れてしまったのか、眠気がどっと襲ってきた。
竜樹さんが横からちょっかい出してきてるのは判ってて、きちんと応えたいとは思ってるんだけど、どんどん眠りの森に足を引っ張られていく。
気が付くと、竜樹さんに背中を向けて眠ってる私を竜樹さんは後ろから抱きしめながら、眠ってた。
…多分私が眠っちゃってからも、ちょっかい出しつづけてたんだろうなぁ
そう思うと何だか申し訳ないような。
でもどことなく愛しいような。
竜樹さんの方に身体の向きを直そうとすると、竜樹さんは目を覚ましてしまった。
「何か暑いなあ…」
エアコンを入れて、またじゃれあう。
ひとしきりじゃれあって、ご飯を食べてまたじゃれあう。
最後の最後でやっと「不協和音」は修正されたみたい。
二人のささやかなる(今回の場合は竜樹さんが頑張った?)努力で、尖ってた空気はまた暖かなものに戻ったんだ。
それがたまらなく嬉しかったんだ。
暖かな気持ちひとつ抱きしめて、部屋を後にした。
竜樹さんも明日から学校だから無理させたくなくて、竜樹さんちの最寄の駅で降ろしてもらって、別れた。
きっと竜樹さんの提案がなければ、後味悪い別れになっただろうけれど。
私の家まで一緒にいられなくても、竜樹さんの顔に笑顔が戻ってるならそれで十分。
車洗いの手伝いって役目を果たすことは出来なかったけれど、二人が笑顔で一日を終えられたなら、逢えた意味は十分あったんだって思える。
…次は体調を万全にして、会いに行くからね
竜樹さんの車を見送りながら、そう心の中で呟いた。
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