風向き

2001年4月16日
ちょっと昔の話。

竜樹さんと出かけた帰り、車の中で聞いていたFMでこんな話をしてた。

「あなたの恋人が1年間、山に登りに行くといいます。
あなたはその訳を聞きます、
恋人はどう答えたでしょうか? 」

という心理テスト。

竜樹さんはちょっと考えた後に「山登りがしたいからかな?」と言った。
私は即座に「一人になりたいから」と言った。


…その心理テストの答は「あなたが恋人と別れる理由として言う言葉」だった。

その答を聞いた竜樹さんは、「お前の答、本当に聞かされることになったら恐ろしいわ。
お前言い出したら容赦なさそうやもんな」
って言った。

私の答え方に少しの迷いも見られないように思えたとも言ってた。
その時は、本当に思いつくままそう答えたから、
「そうかなぁ?」って思ったけど…


…もしかしたら、結構当たってるかもしれない


昔から、私は一所に留まらないタイプだと言われる。
それは自分でもそう思う。
ついでに言うなら、自分のイメージひとつとっても「固定」されるのが嫌い。

…早い話がへそ曲がり(笑)


時々、何気に「今の生活」全てにリセットかけたくなる自分がいる。
「あの人」流に言うならその姿はもう「破壊本能全開」だそうで(失笑)

…今、ちょっとそういう気分になりつつある


今朝、家を出る前に自分の顔を鏡で見て少し思ったんだ。
「…ちょっと髪を切りすぎたかな?」って。
竜樹さんに「かわいい」って言ってもらえたんだからいいじゃんかよぉと思い直したけど会社に出向いたら、(予想通り?)人々は一斉に目を丸くした。
で、「男みたいになった」と騒ぐやつあり、何度も何度も人のことを見返すくせに視線を合わせないようにするやつあり…。

…いつもなら気にも留めないようなことなんだけど、
今日は妙に気に障る。

止めを刺すように、ボスにもむっとすることを言われた。
マジで縛られるものがなかったら、さっさと辞めたいって思った。


この会社に来て、今年の6月で丸4年。
もうちょっとこの生活にはうんざりしてる。
大体、3年周期で新しいことをしたくなる。
子供の時からいつもそうだった。
それまで築き上げたものにあまり執着しないから、新しいことをどんどん始める。
(…そういう割には、竜樹さんのことは長く引っ張ってる気がするけど(^^ゞ)
周りを取り巻く人が一変するのは少し寂しくもあるけれど、
それはそれとして割り切っていけた。
そういう「風」のような生き方を続けたいと思ってた。

…それが「世間さん」的に正しいか間違ってるかどうかは別として…


最近、竜樹さんの暖かな笑顔が増えてきつつあるのに、
一緒に要る時間を出来るだけ作るように精一杯努力してくれるようになってるというのに、
その姿を見て竜樹さんのことをたまらなく愛しいと思っているのに…

…今、何故かその基盤ごとすべてぶっ壊したくなってる


会社のこととは関係なく、自分で望んで自分自身の力や気持ちを試しつづけているけれど、
時々それがたまらなく嫌になることがあるんだ。
その上、自分の気持ちまで試されるようなことが起こったりするといい加減うんざりもする。

…もう、めんどくさい。こんな生活続けるくらいなら、一人でいる方がいい

そう思うんだ。
今の会社に入ったのも、差し迫って安定した収入が必要だと考えて面接を受けて、
とりあえず内定が取れたところがここだったから。
どうしてもやりたい仕事になんてそうそうつけるわけがないことくらい、この年齢になりゃ判らないわけじゃないけれど…

…もうそろそろ窒息しそうなんだ。


全てを0にしたら、気持ちは晴れるのかな?
心も体も縛り付けられるもの全て捨てていきさえしたら、も少しまともに生きてるよなって気がするんだろうか?

そう思うとき、あの心理テストの答が頭の中をよぎるんだ。
そして思うんだ。


…めんどくせぇ、一人になりたいやって。


不機嫌なまま、昼休みを迎える。
パソコンの前で格闘してると、いつものように先輩がやってきた。

「…もうそんな時間ですか?」
「飯も食わんと、一生懸命何してんねん?」
「何かね、物を食べる気にすらならないんですよね」
「思春期の女子高生みたいなこと言うなぁ」

「…機嫌悪いんですよぉ」

そうぼそっと言いかけたとき、

「あ〜っ、ねえやんの頭。上から見たら金魚みたいやなぁ〜」

先輩がそう言って笑った。
一瞬、ムカッと来るかと思ったけど……

思わず爆笑してしまった。

「え〜っ、金魚?」
「そうそう、金魚ちゃん」

別に何がおかしかったって訳じゃない。
ボスが馬鹿にして言ったことと先輩が言ったことってそんなに大差なかったはずなのに…

…なんとなく、風向きが変わった気がしたんだ


…だからなんだ。
会社でヘンな噂立てられたり、周りを取り巻く空気がざわついたりしても、
先輩と話すのを完全にやめられないのは。

人と接することで風向きが変わるってことはあるよね?
この会社で竜樹さんのことを抱えながら働きつづけられるのは、嫌なことがあっても風向きをきちんと変えてくれる人がいるからだ。

…それが自分の中で恋愛がらみの好意とは全然次元の違うものだったとしても

「人が近くにいると、自分の中の風向きやいろんな物事が変わるってことが、実感できる」

そんな瞬間が確かにあるんだ。

自分が他人にとって「風向きを変える人」になれるとは思わないけど…
人に話し掛けて何が変わるわけでもないと知りながら話し掛けずに入られない。
いつか私を認めてくれてる誰かにとって、よい風の元になれればいいなって思ってる。


そんなことを思い、短い髪を気にしながら家に帰ってパソコンに向かう。
ふと思い立ってメールをひとつ。
…そしたらね、

ずっと「お話しようね」と言ってた友達と話せたんだ。
また自分の中で何かの「風向き」が変わる。

それひとつでまたとても機嫌がよくなった。


いろんな人と接することで自分の中で滞ってる空気を換えることができたら、
誰かにとって自分がそうあれたら、とても機嫌よく生きていける気がする。

何度でも「一人になりたい病」は出てくると思う。
そのたびにきっと私の中の風向きを変える人に出会うんだと思うと、
後ろ暗い気持ちですら悪くないような気になるよ。
後ろ暗い気持ちのままで竜樹さんに電話なんてしたくなかったから止めたけど、
明日は機嫌よく電話してみようかな?

私は「ひとりきり」ではないんだから。
後ろ暗い気持ち抱えても、きちんと風向きを変える誰かに出会うんだから。


もう少しだけ、頑張ってみよう。
リセットボタン押さずに歩いていこう。

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