臨界点
2001年3月22日昨日の晩、一日の終わりに竜樹さんの声が聞きたくなって電話をした。
竜樹さんは電話に出てくれた。
連絡が取れなかった3日間のこと、聞いてみた。
…もしかしたら、ここから間違えてしまったのかもしんない
日曜日、私と別れてから強烈に背中が痛くなって、すぐには家に帰れなかったらしい。
薬を飲んでは休み、車を停めては少し眠って、ようやっと家に帰ったそう。
そのあと、昨日までの3日間、再びダウンしたのだとか。
…何だか申し訳ない気持ちで一杯になった。
竜樹さんの声に覇気もないし、私のためにこれ以上時間をとらせるのは申し訳なくて、「もう休みましょうか」って切り出した。
「何か話したいことがあるんなら、遠慮せんと話したらええねんで」と竜樹さんが言ってくれけど…
さして話す必要のあることなんて無かった。
竜樹さんの声が聞きたかっただけなんだから…
特に話すべきことはないと伝えると、竜樹さんが自分の用件を話し始めた。
私が借りてたり、預かったりしてたものを返して欲しいという話だったので、
メモを取り取り話を聞く。
でも、何だか雲行きが怪しい。
借りているものの話をしてる間、何かにつけて「霄が悪い」みたいな話が飛び出してくる。
体調の悪い状態で話してることを、必要以上に間に受ける必要なんて無かった。
だって、体調がいいときにはこんな言い方されないんだから。
いつものように、押し黙って受け流せばよかった。
…でも、今日はできなかった
「話し聞いてると、何でも私一人が悪いみたいに聞こえるんだけど、
そんなに私と話してたら不愉快?
テレビも本も器も待てないなら送ります」
いつもの竜樹さんなら「週末会うとき車出すから、家からすぐに持って出れるようにだけしておいて」って言うところなのに、
「悪いけど、着払いで送り返してくれ」
そう言った。
「じゃあ、送ったら電話します」と言う私に、
「送ったこと、メールで知らせてくれたらいいから」
竜樹さんはそう返した。
…ばちん
何かが弾けた気がした。
「…そんなに面倒なら、竜樹さんが電話したくなった時に電話ください。
もう私からは電話しません。
…だけど、あなたからかかってくる電話なんて一生待ってたってないって思うけど」
そう吐き捨てた。
私から一方的に話をぶった切り、竜樹さんの「おやすみ」って声を聞く前に電話を切った。
携帯を壁に投げつけた。
…どうしようもない気持ちなのに涙すら出なかった
判ってるよ。竜樹さんは私と会うために散々無理をした挙句、ものすごいしんどい目をしてる。
私は好調とはいえないまでも、竜樹さんから見たらまだ健康な方。
労わらないといけないのは私。
彼の尖った心を受け止めないといけないのも私。
…でも、いつまで私が折れ続けたら気が済むの?
私にだって、辛いことあるよ。
竜樹さんの言うことだからって、いつでも笑って聞いてられる訳じゃないよ。
私がそう言うと、あなたはきっといつものようにこう言うんだろうね。
「俺が40歳になるまでに、お前にはいろんなことを教えとかないとあかんから。
俺が40歳過ぎたら、お前の判断に従って歩いても大丈夫なようにせんなんから」
…それって、ある意味正しいかもしんない。
一緒に歩いていくつもりで立てたビジョンだってこと、判ってるよ。
だから、できる限り聞くようにしてきたつもりだよ。
でも、甘やかしてもらえる年齢だって、やることを誉めてもらえる年齢だって、
限界があるんだよ?
あなたが甘やかしてくれそうな頃には、それが許されない年齢になるんだよ、私。
私にだって時間がないんだよ。
おまけに「あの人」との約束は、(多く見積もって)あと10年は履行される可能性がある。
辛い想いばかり抱えて、あちらの世界にゃ行きたくないよ。
否定されることばっかり続けば人間腐ってまうことくらい、一緒に子供教えてたんだから判らへん?
そんな経験則も、教師の道を絶とうと決めた時に丸ごとほかしてきたん?
私は環境とこの性格のせいで、完全なる壊れ物になることが許されていなくて。
本当に壊れられたら、どれほど楽かって思いながら生きとうよ。
平気な顔するのに慣れてる私のことは、誰も心配もせぇへんしね。
誰にも心配かけとうないから、平気そうな振りして生きとうねん。
親がこんなに頻繁にダウンしてる状態が続けば、それを盾にとって「見合い話」持ってこられたら、私だってどこまで拒否し続けられるか判らない。
それこそ嫌だろうが一生吐き気伴おうが、「よそ」に行かんなんようになるよ。
…だって、近くで親を守る立場に立てるのはもう私しかいないんだから。
竜樹さんと私の周りでは様々なことが蠢いている。
竜樹さんの気持ち、私の気持ち。
竜樹さんの健康状態、私の置かれてる環境の状態。
それらが微妙なバランスを取りながら、私たちは一緒にいることを許されてる気すらする。
でも、二人を取り巻くもののすべてが好き勝手に動き出したとき、
それがのっぴきならない所まで行ったとき、
二人の関係は壊れるのかもしれない。
もしかしたら、今回の母のダウンのケースは相棒との同居どころか、
あなたと一緒にいること自体にものすごい影を落とすことになるのかもしれない。
…だって、親は私の性格を見越してるもの。
「自分の娘は、頑固者だけど情にはもろいから、そこから突っ込んでいったら間違いなく操作しうる人間」だってこと。
あなたとの結婚を「私たちを取るか竜樹を取るか、どちらか一つしか道はない」と言い切り、そのくせ「妹は一度結婚する機会を自分たちが壊してるから、次にやったらあの子は死にかねない」って言って、あっさり認める。
私が一昨年の夏、それが原因でものすごいキレ方したの、知ってるでしょ?
今は父も母も体調が悪いことにしか意識が向いてないから、そのカードを出してくることすら頭にないだろうけど、
母の体調がよくなったときどう出てくるかは判らない。
…でも今度そのカードを使われたとき、「NO」と言える自信がない。
今のままの状態で、何でも「霄の意思で決めればいい」で通されたら、
本当にだめになるかもしれない。
竜樹さんの「霄が傍にいて欲しい」って気持ちが見えてきさえすれば何とでもできるのに、
それを望むことですら、私の我儘でしかないのかな?
…今はただ、「臨界点」を越える日が来ないことを願ってる。
竜樹さんがただそのまま私を受け止めてくれたらいいのにって願ってる。
馬鹿げた願いだとは判っていても…
竜樹さんは電話に出てくれた。
連絡が取れなかった3日間のこと、聞いてみた。
…もしかしたら、ここから間違えてしまったのかもしんない
日曜日、私と別れてから強烈に背中が痛くなって、すぐには家に帰れなかったらしい。
薬を飲んでは休み、車を停めては少し眠って、ようやっと家に帰ったそう。
そのあと、昨日までの3日間、再びダウンしたのだとか。
…何だか申し訳ない気持ちで一杯になった。
竜樹さんの声に覇気もないし、私のためにこれ以上時間をとらせるのは申し訳なくて、「もう休みましょうか」って切り出した。
「何か話したいことがあるんなら、遠慮せんと話したらええねんで」と竜樹さんが言ってくれけど…
さして話す必要のあることなんて無かった。
竜樹さんの声が聞きたかっただけなんだから…
特に話すべきことはないと伝えると、竜樹さんが自分の用件を話し始めた。
私が借りてたり、預かったりしてたものを返して欲しいという話だったので、
メモを取り取り話を聞く。
でも、何だか雲行きが怪しい。
借りているものの話をしてる間、何かにつけて「霄が悪い」みたいな話が飛び出してくる。
体調の悪い状態で話してることを、必要以上に間に受ける必要なんて無かった。
だって、体調がいいときにはこんな言い方されないんだから。
いつものように、押し黙って受け流せばよかった。
…でも、今日はできなかった
「話し聞いてると、何でも私一人が悪いみたいに聞こえるんだけど、
そんなに私と話してたら不愉快?
テレビも本も器も待てないなら送ります」
いつもの竜樹さんなら「週末会うとき車出すから、家からすぐに持って出れるようにだけしておいて」って言うところなのに、
「悪いけど、着払いで送り返してくれ」
そう言った。
「じゃあ、送ったら電話します」と言う私に、
「送ったこと、メールで知らせてくれたらいいから」
竜樹さんはそう返した。
…ばちん
何かが弾けた気がした。
「…そんなに面倒なら、竜樹さんが電話したくなった時に電話ください。
もう私からは電話しません。
…だけど、あなたからかかってくる電話なんて一生待ってたってないって思うけど」
そう吐き捨てた。
私から一方的に話をぶった切り、竜樹さんの「おやすみ」って声を聞く前に電話を切った。
携帯を壁に投げつけた。
…どうしようもない気持ちなのに涙すら出なかった
判ってるよ。竜樹さんは私と会うために散々無理をした挙句、ものすごいしんどい目をしてる。
私は好調とはいえないまでも、竜樹さんから見たらまだ健康な方。
労わらないといけないのは私。
彼の尖った心を受け止めないといけないのも私。
…でも、いつまで私が折れ続けたら気が済むの?
私にだって、辛いことあるよ。
竜樹さんの言うことだからって、いつでも笑って聞いてられる訳じゃないよ。
私がそう言うと、あなたはきっといつものようにこう言うんだろうね。
「俺が40歳になるまでに、お前にはいろんなことを教えとかないとあかんから。
俺が40歳過ぎたら、お前の判断に従って歩いても大丈夫なようにせんなんから」
…それって、ある意味正しいかもしんない。
一緒に歩いていくつもりで立てたビジョンだってこと、判ってるよ。
だから、できる限り聞くようにしてきたつもりだよ。
でも、甘やかしてもらえる年齢だって、やることを誉めてもらえる年齢だって、
限界があるんだよ?
あなたが甘やかしてくれそうな頃には、それが許されない年齢になるんだよ、私。
私にだって時間がないんだよ。
おまけに「あの人」との約束は、(多く見積もって)あと10年は履行される可能性がある。
辛い想いばかり抱えて、あちらの世界にゃ行きたくないよ。
否定されることばっかり続けば人間腐ってまうことくらい、一緒に子供教えてたんだから判らへん?
そんな経験則も、教師の道を絶とうと決めた時に丸ごとほかしてきたん?
私は環境とこの性格のせいで、完全なる壊れ物になることが許されていなくて。
本当に壊れられたら、どれほど楽かって思いながら生きとうよ。
平気な顔するのに慣れてる私のことは、誰も心配もせぇへんしね。
誰にも心配かけとうないから、平気そうな振りして生きとうねん。
親がこんなに頻繁にダウンしてる状態が続けば、それを盾にとって「見合い話」持ってこられたら、私だってどこまで拒否し続けられるか判らない。
それこそ嫌だろうが一生吐き気伴おうが、「よそ」に行かんなんようになるよ。
…だって、近くで親を守る立場に立てるのはもう私しかいないんだから。
竜樹さんと私の周りでは様々なことが蠢いている。
竜樹さんの気持ち、私の気持ち。
竜樹さんの健康状態、私の置かれてる環境の状態。
それらが微妙なバランスを取りながら、私たちは一緒にいることを許されてる気すらする。
でも、二人を取り巻くもののすべてが好き勝手に動き出したとき、
それがのっぴきならない所まで行ったとき、
二人の関係は壊れるのかもしれない。
もしかしたら、今回の母のダウンのケースは相棒との同居どころか、
あなたと一緒にいること自体にものすごい影を落とすことになるのかもしれない。
…だって、親は私の性格を見越してるもの。
「自分の娘は、頑固者だけど情にはもろいから、そこから突っ込んでいったら間違いなく操作しうる人間」だってこと。
あなたとの結婚を「私たちを取るか竜樹を取るか、どちらか一つしか道はない」と言い切り、そのくせ「妹は一度結婚する機会を自分たちが壊してるから、次にやったらあの子は死にかねない」って言って、あっさり認める。
私が一昨年の夏、それが原因でものすごいキレ方したの、知ってるでしょ?
今は父も母も体調が悪いことにしか意識が向いてないから、そのカードを出してくることすら頭にないだろうけど、
母の体調がよくなったときどう出てくるかは判らない。
…でも今度そのカードを使われたとき、「NO」と言える自信がない。
今のままの状態で、何でも「霄の意思で決めればいい」で通されたら、
本当にだめになるかもしれない。
竜樹さんの「霄が傍にいて欲しい」って気持ちが見えてきさえすれば何とでもできるのに、
それを望むことですら、私の我儘でしかないのかな?
…今はただ、「臨界点」を越える日が来ないことを願ってる。
竜樹さんがただそのまま私を受け止めてくれたらいいのにって願ってる。
馬鹿げた願いだとは判っていても…
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